要点著作権法 79 条は、複製権等保有者が出版や公衆送信を引き受ける者に出版権を設定できると定める規定。設定範囲では著作者自身も同じ方法で出版できなくなる。
Q · 出版社と契約して「出版権を設定する」って、著作権を売り渡すことなの?
著作権の譲渡ではなく、排他的な出版権を出版社に設定する規定です
著作権法 79 条により、複製権等保有者は、著作物を出版行為または公衆送信行為として引き受ける者に対して出版権を設定できます。出版権は排他的・物権的な権利で、設定範囲では第三者だけでなく著作者自身も同じ方法で出版・公衆送信ができなくなります。存続期間を定めなければ最初の出版から 3 年(83 条)。複製権等に質権が設定されている場合は、質権者の承諾を得たときに限り設定できます(79 条 2 項)。2014 年改正で紙だけでなく電子出版も対象になりました。
あなたが小説を書き上げ、出版社から「うちで本にしましょう」と声がかかった。差し出された契約書に「出版権を設定する」とある。多くの著作者はそれを「本を出す約束」だと思って印鑑を押す。だが著作権法 79 条が生み出すのは、契約上の約束ではなく、物権に近い排他的な権利だ。出版権を設定した範囲では、出版社は他人を排除して独占的に出版でき、著作者であるあなた自身でさえ、同じ作品を他社から同じ方法で出せなくなる。さらに 2014 年の改正で、紙の本だけでなく電子書籍(記録媒体への記録と公衆送信)も出版権の対象になった。契約書の動詞が「許諾する」か「設定する」か、対象が「紙のみ」か「電子も含む」か、期間を書いているか書いていないか。サインの前のこの一行が、あなたの作品の二次利用・電子展開・海賊版対策の主導権を、誰が握るかを決める。
著作権法 79 条の出版権とは、複製権等保有者が、著作物を文書・図画として出版し、または記録媒体に記録した複製物を用いて公衆送信を行う者に対して設定できる、排他的・物権的な権利をいう。設定範囲では第三者のみならず複製権等保有者自身の出版も排除される。
AI 輔助整理,以條文原文為準
複製権等保有者が、著作物の出版や公衆送信を引き受ける者に設定できる排他的・物権的な権利です(著作権法 79 条)。設定範囲では著作者自身も同じ方法で出版できません。
設定行為で定めがなければ、最初の出版行為等があった日から 3 年です(著作権法 83 条)。契約書で期間を明記しないと、この 3 年デフォルトが適用されます。
登録できます(著作権法 88 条)。登録すれば二重設定や権利移転があっても第三者に対抗でき、海賊版に対して自社名義で差止めを求める立場が安定します。
出版社が出版義務(81 条)を怠ったとき、相当の期間を定めて催告し、応じなければ出版権の消滅を請求できる制度です(著作権法 84 条)。塩漬けの作品を取り戻す道です。
譲渡は著作権そのものを移す行為、設定は著作権を手元に残したまま期間・範囲を限って排他的な出版権だけを渡す行為です。設定なら著作権は著作者に残ります。
記録媒体への記録と公衆送信による電子出版を対象とする出版権です。2014 年改正で 79 条の対象に加わり、電子海賊版に自社名義で対抗できるようになりました。
複製権・公衆送信権に質権が設定されている場合、質権者の承諾を得たときに限り出版権を設定できます(著作権法 79 条 2 項)。承諾を欠くと設定の効力が否定されえます。
動詞が『許諾』か『設定』か、対象が紙のみか電子・公衆送信も含むか、存続期間の明記、登録の有無、消滅事由条項の有無です。ここが二次利用の主導権を決めます。
出版権を設定した範囲では、著作者自身も同じ方法での出版や公衆送信ができなくなります。出版権が排他的な権利だからです(第 79 条、第 80 条)。ただし設定範囲しだいで、紙の出版権だけなら Web 公開は残せます。業界裏話ヒント:出版社のひな形は紙と電子と公衆送信を一括で設定する形が多く、しかも期間を空欄にして第 83 条の 3 年デフォルトすら意識させないことがあります。サインの前に範囲と期間を一行ずつ確認する著者は、編集者から『この人は分かっている』と扱われ、条件交渉のテーブルにつけます
口約束や単なる独占的利用許諾では、あなたや出版社が自分の名前で海賊版業者を直接差し止めるのは原則として困難です。直接の差止めや損害賠償には、第 79 条に基づく出版権の設定、できれば登録(第 88 条)が必要です。業界裏話ヒント:『独占的に許諾する』という文言と『出版権を設定する』は法的効果が全く違います。前者は債権どまり、後者は物権的な権利。海賊版対策を本気で考える出版社は必ず後者を選んで登録します。契約書の動詞が『許諾』か『設定』かを見るだけで、相手の本気度が読めます
紙の出版権だけを設定し、電子出版(公衆送信を含む)を留保していれば可能です。逆に契約書が電子も含む包括設定なら、出版権者の承諾なしに他社から電子版は出せません。2014 年改正で電子出版が出版権の対象に明記されたため、この切り分けが極めて重要になりました(第 79 条第 1 項)。業界裏話ヒント:電子と紙を別契約に分けて残しておくと、後のアニメ配信やサブスク、海外電子展開で交渉の自由度が段違いに上がります。最初の一括設定で電子まで渡すと、二次利用の主導権を失います
出版権は財産権なので、倒産手続の中で扱われ、当然に著作者へ戻るわけではありません。契約書に『出版社の倒産や出版中止のとき出版権は消滅する』等の条項があるかが鍵で、なければ第 84 条の消滅請求等の手続が要ります。業界裏話ヒント:実務では契約書に『出版権の消滅事由』条項を入れておくのが定石です。これがないと、倒産した出版社の管財人や譲受人に権利が渡り、著作者は自分の作品を他社から出せない宙ぶらりん状態に陥ります。サイン前にこの条項の有無を必ず確認してください
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 法的性質 | 79 条:出版権の設定(排他的・物権的な権利) | — |
| 第三者・海賊版への対抗 | 登録すれば自己名義で直接差止め可(88 条) | — |
| 著作者の手元に残るもの | 著作権は著作者に残る(範囲・期間限定で貸す) | — |
| 存続期間・回復手段 | 定めなければ 3 年(83 条)、消滅請求可(84 条) | — |
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