要点著作権法 90 条の 2 は、実演家が自分の名前を本名・芸名で表示するか、表示しないかを選べる氏名表示権を定める。この権利は一身専属で、契約による譲渡や放棄はできない。
Q · 出演料をもらって全部の権利を渡したら、もう名前のことは何も言えないの?
言える。名前を名乗る権利は契約でも奪えない
著作権法 90 条の 2 の氏名表示権は、実演家が本名・芸名で名乗るか、まったく名乗らないかを選べる人格的権利です。録音権・放送権などの財産権を契約で全部譲渡しても、この権利は実演家人格権として一身に専属し(101 条の 2)、譲渡も放棄も原則できません。利用者は、実演家の別段の意思表示がない限り、既に表示されている名義に従う義務を負います(2 項)。クレジットの省略が許されるのは、実演家であることを主張する利益を害するおそれがない場合か、公正な慣行に反しない場合に限られます(3 項)。
ライブハウスで弾いたギター、アニメで当てた声、結婚式で歌った一曲。それを誰かが動画にして世界に流すとき、あなたの名前を出すか、芸名にするか、いっそ消すか。その最終決定権を握っているのは、撮った人でも事務所でもなく、実演したあなた自身だ。著作権法 90 条の 2 は、実演家に「氏名表示権」という人格的な権利を与えている。1 項であなたは、本名・芸名のどちらで名乗るか、あるいは名乗らないかを選べる。2 項で利用者は、あなたが別段の意思を示さない限り、あなたが既に出していた表示に従う義務を負う。決定的なのは、この権利が実演家の一身に専属する(101 条の 2)という点だ。出演料と引き換えに録音権も放送権も全部譲渡しても、名前を名乗るこの権利だけは、あなたの体から切り離せない。契約書に何を書いても、だ。
著作権法 90 条の 2 が定める氏名表示権とは、実演家が自己の実演の公衆への提供または提示に際し、本名・芸名その他の実演家名を表示し、または表示しないことを選択できる人格的権利をいう。実演家人格権の一種であり、一身専属性を有し(101 条の 2)、譲渡または放棄は原則として認められない。
AI 輔助整理,以條文原文為準
実演家が自分の実演の公開に際し、本名・芸名で名乗るか、名乗らないかを選べる人格的権利です。著作権法 90 条の 2 が根拠で、実演家人格権の一種です。
できません。氏名表示権・同一性保持権を含む実演家人格権は一身に専属し(101 条の 2)、契約による譲渡も放棄も原則認められません。財産権だけが譲渡対象です。
利用者は実演家が既に表示している名義に従って表示できます(2 項)。省略は、主張利益を害さない場合か公正な慣行に反しない場合に限り許されます(3 項)。
メインキャストの氏名を省くのは原則 3 項の例外に当たらず、氏名表示権の侵害になり得ます。端役の一部省略は慣行上許容される余地があります。
氏名表示権(90 条の 2)は名前の表示を選ぶ権利、同一性保持権(90 条の 3)は実演を勝手に改変されない権利です。どちらも実演家人格権です。
一身専属のため本人の死亡で消滅しますが、死後も人格的利益は保護されます(116 条)。財産権の保護期間とは別軌道です。
実演家であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるとき、または公正な慣行に反しないと認められるときに限り省略できます(3 項)。
差止請求(112 条)、名誉回復措置(115 条)に加え、民法 709 条に基づく損害賠償を請求できます。まず表示の是正を書面で求めるのが実務的です。
あなた自身が歌った「カバー」なら、その実演の実演家はあなたなので、あなたの氏名表示権の話になります。元の歌手の氏名表示権ではありません(別途、楽曲の作詞作曲者の著作者人格権・著作権の許諾問題は残ります)。業界裏話ヒント:実演家人格権と楽曲の著作権は完全に別レイヤー。多くの人が「歌手にクレジット」だけ気にして、作曲者への使用料・許諾を見落とす。動画収益化の前に、JASRAC 等の管理状況を必ず確認する
言えます。本名で名乗るか芸名で名乗るかを選ぶのは、まさに 90 条の 2 第 1 項が実演家本人に与えた権利です。実演家人格権は一身専属(101 条の 2)で、事務所に譲渡されるものではありません。業界裏話ヒント:財産権の管理は事務所に委ねていても、人格権はあなた個人に残ったまま、という二層構造を事務所側も意外と説明しません。本名露出を望まないなら、契約段階で表示名義を明記させておくと、後の揉め事をほぼ封じられる
3 項が、表示が『実演家であることを主張する利益を害するおそれがない』か『公正な慣行に反しない』ときの省略を認めています。端役やエキストラの一部省略は業界慣行として許容される余地がありますが、線引きは役の比重や慣行次第です。業界裏話ヒント:省略が許されるかどうかは『公正な慣行』という曖昧な基準なので、実務では解釈が分かれています。自分の役が省略されて納得いかないなら、同種作品で同等の役がどう扱われているかの実例を集めるのが、交渉でも訴訟でも効く
言えます。あなたが渡せたのは録音権・放送権などの財産的な権利だけで、氏名表示権を含む実演家人格権は一身専属(101 条の 2)のため、契約でも譲渡・放棄できないのが原則です。業界裏話ヒント:『すべての権利を譲渡する』という包括条項があっても、人格権は法律上そこに含められない。だから契約後でも氏名表示については交渉カードが残る。これを知っている実演家と知らない実演家とで、トラブル時の出方がまるで違う
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 権利の主体 | 90 条の 2:実演家(俳優・声優・演奏家・歌手) | — |
| 守る内容 | 実演家名をどう表示するか(本名・芸名・無表示)を選ぶ権利 | — |
| 譲渡の可否 | 一身専属、譲渡・放棄不可(101 条の 2) | — |
| 省略の可否 | 主張利益を害さない/公正な慣行に反しない場合に省略可(3 項) | — |
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