民事執行法 第136条(手形等の提示義務)
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執行官は、手形、小切手その他の金銭の支払を目的とする有価証券でその権利の行使のため定められた期間内に引受け若しくは支払のための提示又は支払の請求(以下「提示等」という。)を要するもの(以下「手形等」という。)を差し押さえた場合において、その期間の始期が到来したときは、債務者に代わつて手形等の提示等をしなければならない。
この条文の基本情報
手形等の提示義務とは何ですか?
定義手形等の提示義務とは、民事執行法第136条に定められた規定で、「執行官は、手形、小切手その他の金銭の支払を目的とする有価証券でその権利の行使のため定められた期間内に引受け若しくは支払のための提示又は支払の請求(以下「提示等」…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第136条(手形等の提示義務)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第136条の条文原文は「執行官は、手形、小切手その他の金銭の支払を目的とする有価証券でその権利の行使のため定められた期間内に引受け若しくは支払のための提示又は支払の請求(以下「提示等」…」で始まります。
- 民事執行法第136条は第二節 金銭の支払を目的とする債権についての強制執行に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第136条の前の条は民事執行法第135条です。
- 民事執行法第136条の次の条は民事執行法第137条です。
- 民事執行法第136条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第136条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第136条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/136
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法136条は、差し押さえた手形等の提示期間の始期が到来したとき、執行官が債務者に代わり提示・取立てをしなければならないと定める規定である。
Q · 差し押さえた手形って、放っておいても執行官がちゃんと取り立ててくれるの?
はい、取立ては執行官の義務です。自分で銀行に持ち込む必要はありません。
はい。民事執行法136条により、執行官が差し押さえた手形・小切手などは、提示期間の始期が到来した時点で、執行官が債務者に代わって支払呈示や取立てをしなければなりません。手形は提示期間を過ぎると裏書人らへの遡求権が消え、価値が大きく下がるため、この義務が価値の蒸発を防ぎます。債権者が自分で銀行に持ち込む必要はなく、差押え後に勝手に取り立てるべきでもありません。取り立てられた金銭は配当手続に回るので、債権者は配当要求の期限管理に集中すべきです。
解説
借金を返さない取引先の事務所へ、動産執行をかけに行く。狙うのはパソコンや在庫だと誰もが思う。だが相手の金庫や引き出しに約束手形が眠っていたら、話は変わる。手形も有価証券として差し押さえられる。ところが手形には落とし穴がある。手形法が定める提示期間を過ぎると、裏書人らへの遡求権が消え、価値が大きく下がるのだ。そこで民事執行法136条は、差し押さえた手形の提示期間の始期が来たら、執行官が債務者に代わって支払呈示や取立てをしなければならないと定める。あなたが債権者なら、差し押さえた紙が期限切れで無価値になる事態を、この条文が防いでくれる。あなたが債務者なら、引き出しの手形すら執行の網にかかり、しかも執行官の手で確実に取り立てられることを意味する。差し押さえて終わりではない、期限内に取り立てるところまでが執行だと知る者だけが、回収を取りこぼさない。
法的な位置づけ
民事執行法136条は、動産執行において差し押さえた手形・小切手その他の支払を目的とする有価証券について、権利行使に必要な提示期間の始期が到来したとき、執行官が債務者に代わって支払呈示・引受呈示・取立てを行う義務を定める規定である。差押財産の価値保全を目的とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.債務者の手形保有状況を事前に把握する 動産執行を申し立てる前に、債務者の取引実態を調べ、手形や小切手を保有していそうか、どこに保管していそうかを把握する。B2B の建設・製造業では手形が動く場面が残る
- 2.動産執行を申し立てる 執行力ある債務名義(確定判決・公正証書等)に基づき、債務者所在地を管轄する地方裁判所の執行官に動産執行を申し立てる。差押えのスピードが遡求権保全の鍵になる
- 3.執行官に手形の存在と保管場所を情報提供する 差押えの現場で、執行官に対し手形・小切手が金庫や引き出しにある旨とその場所を伝える。情報提供が早いほど、提示期間の始期を逃さず取り立てさせられる
- 4.始期到来後は執行官の取立てに委ね、自ら手を出さない 提示期間の始期が到来すると、執行官が債務者に代わって支払呈示・取立てをする(民執136条)。債権者が自分で銀行に持ち込む必要はなく、勝手に取り立ててもならない
- 5.配当要求の期限を管理する 取り立てられた金銭は執行機関に納められ配当手続に回る。配当要求の終期を過ぎると配当を受けられないため、期限を管理し必要な配当要求を行う
よくある質問 AI による整理
Q1民事執行法136条とは何ですか?
差し押さえた手形・小切手などの提示期間の始期が到来したとき、執行官が債務者に代わって提示・取立てをする義務を定めた規定です。差押財産の価値保全が目的です。
Q2手形の提示期間を過ぎるとどうなりますか?
裏書人などへの遡求権が失われ、手形の価値が大きく下がります。約束手形の支払呈示は満期日を含む2取引日内、国内小切手は原則10日以内です。
Q3執行官が取り立てたお金はどこへ行きますか?
執行機関に納められ、配当手続を通じて債権者へ配当されます。債権者は取立てそのものより配当要求の期限管理に注意すべきです。
Q4電子記録債権(でんさい)も136条で差し押さえられますか?
でんさいは有価証券ではなく電子記録債権のため、136条ではなく債権差押命令の手続で押さえます。136条の対象は紙の手形等です。
Q5手形の差押えは超過差押えになりませんか?
手形も動産執行の対象ですが、券面額が明確なため超過差押え(民執128条)の主張は通りにくいのが実務です。
Q6差押えに納得できないときはどうすればいいですか?
差押手続に違法があれば執行異議(民執11条)で争えます。ただし金銭化が確実な手形では超過差押えの主張は通りにくいです。
Q7手形に原因関係の問題があるとき取立てを止められますか?
手形の人的抗弁(原因関係の不存在など)は、取立先である支払人側で主張できる余地があります。執行手続内では争いにくいです。
Q8小切手も手形と同じように執行官が取り立てますか?
はい。小切手も136条の「手形等」に含まれ、提示期間(原則10日)の始期到来後に執行官が支払呈示・取立てをします。
この条文についての質問 AI による整理
Q1差し押さえた手形、自分で銀行に持って行って取り立てちゃダメなんですか?
原則ダメです。136条により提示・取立ての義務と権限は執行官にあり、差押えで債務者の処分権は制限されています。債権者が勝手に取り立てると手続の枠を壊しかねません。実務のポイント:実務では執行官が取り立てた金銭が執行機関に納められ、そこから配当される流れになる。だから債権者は『取立て』より『配当要求の期限管理』に神経を使うべきで、ここを外すと押さえたのに一円も取れないことがある
Q2相手の手形って、満期前でも差し押さえられるんですか?
差し押さえられます。満期前でも手形は有価証券として動産執行の対象で、136条は始期が来たら執行官が提示すると定めています。つまり満期を待って自動的に取り立てられる仕組みです。実務のポイント:満期前差押えの狙い目は、相手が手形を第三者へ裏書譲渡して現金化してしまう前に押さえること。動きが早い債権者ほど、まだ相手の手元にあるうちに差押えを打つ。ここが回収の分かれ目になる
間違えやすい点 AI による整理
- 手形も差し押さえられることは知っていても、その手形に提示期限があり、放置すれば遡求権が消えて価値が激減することまで意識している人は少ない。差し押さえた瞬間に安心して放置すると、回収できたはずの金額が期限切れで目減りする。知っている「差押えの効力」と、知らない「時間切れのリスク」のギャップが、そのまま回収額の差になる
- 「手形の取立ては債権者である自分がやらなければならない」と思い込む人がいるが、136条により提示・取立ての義務を負うのは執行官だ。あなたが銀行に持ち込む必要はなく、むしろ差押え後に勝手に手を出すべきでもない
- 「手形なんてもう時代遅れで、自分の執行には関係ない」と問い自体を切り捨てる人がいる。だが建設業や製造業の B2B 取引では今なお手形が動いており、債務者の資産に手形が紛れる場面は現実に残る。問うべきは「手形が関係あるか」ではなく「差押対象に手形が混じっていないか」だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 民執136条:差し押さえた手形等の提示・取立て義務 | 民執122条:動産執行の開始(手形も対象となる根拠) 民執128条:超過差押えの禁止 |
| 適用の局面 | 差押え後、提示期間の始期到来時の権利行使 | 差押えの入口(対象財産の把握・着手) 差押えの範囲を画する制約 |
| 主たる行為者 | 執行官(債務者に代わって提示・取立て) | 執行官(占有取得・差押え) 執行官(券面額と債権額を比較し過剰差押えを回避) |
| 手形での実務上の意味 | 遡求権の消滅・価値蒸発を防ぐ価値保全 | 手形が動産執行の網にかかる根拠 券面額が明確な手形では主張が通りにくい |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も差し押さえた有価証券について執行機関が権利保全・取立てを行う枠組みを持つ点で日本と近い
韓国も有価証券の差押えと執行機関による取立ての仕組みを備え、日本の動産執行に類似する
ドイツでは差し押さえた有価証券(Wertpapiere)の換価・取立てを執行官が担う。日本法の母法系にあたる
米国では手形は UCC で規律され、執行は州の writ of execution によるため、条文単位で日本の136条に完全対応する規定はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先が倒産寸前。あなたは債権回収のため動産執行をかけ、相手の金庫から満期前の約束手形を差し押さえた。満期日まであと5日。何もしなくても、執行官が始期の到来とともに支払呈示をしてくれる。あなたが銀行窓口に走る必要はない
- もし差し押さえた小切手の提示期間が、差押えの翌日から始まるとしたら? 執行官はその始期の到来を待って、あなたに代わり支払のための提示をする。小切手の提示期間は原則10日と短い。執行官がこの義務を負うからこそ、あなたの回収額が守られる
- あなたの会社に執行官が来た。パソコンや在庫だけでなく、取引で受け取った手形まで差し押さえられた。その手形は執行官の手で取り立てられ、代金は債権者への配当に回る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 債務者が手形や小切手を保有していそうな取引実態を事前に把握する2. 動産執行を申し立て、執行官に手形の存在と保管場所を情報提供する3. 差押え後は執行官が提示期間の始期到来とともに支払呈示・取立てをするので、あなたが銀行に持ち込む必要はない4. 取り立てられた金銭は配当手続に回るので、配当要求の期限管理を怠らない
訴えられた側:1. 手形も動産として差押えの対象になり、しかも執行官が確実に取り立てる点を理解する2. 差押手続に違法があれば執行異議(民事執行法11条)で争える3. 超過差押えや差押禁止の主張が通る場面もあるが、金銭化が確実な手形では通りにくい4. 手形に人的抗弁(原因関係の不存在等)があるなら、取立先である支払人側で主張できる余地を検討する
時効(請求できる期限):手形・小切手の提示期間は手形法・小切手法で定まる(約束手形の支払呈示は満期日を含めて2取引日内、国内小切手は振出日から原則10日)。この期間を過ぎると裏書人らへの遡求権が失われるため、執行官の提示義務は始期到来後速やかに履行される必要がある(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:手形上の権利は差押え後も債務者に帰属したままだが、処分は制限され、提示・取立てという権利行使の局面のみを執行官が代行する。これにより執行の実効性(遡求権保全)と債務者の財産権保護の均衡を図るものと理解されている。
改正沿革 AI による整理
- 昭和54年(1979年)制定 民事執行法(昭和54年法律第4号)の制定により新設。動産執行で差し押さえた手形等について、提示期間の始期到来後に執行官が債務者に代わって提示等をする義務を定め、差押財産の価値保全を制度化した
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法(昭和54年法律第4号)の制定により新設。動産執行で差し押さえた手形等について、提示期間の始期到来後に執行官が債務者に代わって提示等をする義務を定め、差押財産の価値保全を制度化した。
- 民事執行法 第122条動産執行の開始、手形も差押対象となる根拠
- 民事執行法 第123条債務者の占有する動産の差押手続
- 民事執行法 第128条超過差押えの禁止、券面額との関係
- 民事執行法 第11条執行異議、差押手続違法時の救済
- 手形法 第38条支払のための呈示期間の根拠
- 手形法 第43条遡求権、提示期間徒過による喪失
- 小切手法 第29条小切手の提示期間(原則10日)
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