保険業法 第112条(株式の評価の特例)
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- 保険会社は、その所有する株式のうち市場価格のあるもの(第百十八条第一項に規定する特別勘定に属するものとして経理されたものを除く。以下この項において同じ。)の時価が当該株式の取得価額を超えるときは、内閣府令で定めるところにより、内閣総理大臣の認可を受けて、当該株式について取得価額を超え時価を超えない価額を付すことができる。
- 2.前項の規定による評価換えにより計上した利益は、内閣府令で定める準備金に積み立てなければならない。
この条文の基本情報
株式の評価の特例とは何ですか?
定義株式の評価の特例とは、保険業法第112条に定められた規定で、「保険会社は、その所有する株式のうち市場価格のあるもの(第百十八条第一項に規定する特別勘定に属するものとして経理されたものを除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第112条(株式の評価の特例)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第112条の条文原文は「保険会社は、その所有する株式のうち市場価格のあるもの(第百十八条第一項に規定する特別勘定に属するものとして経理されたものを除く。」で始まります。
- 保険業法第112条は第五章 経理に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第112条の前の条は保険業法第111条です。
- 保険業法第112条の次の条は保険業法第113条です。
- 保険業法第112条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第112条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第112条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/112
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法112条は、保険会社が市場価格のある所有株式の時価が取得価額を超えるとき、内閣総理大臣の認可を受けて評価換えできると定める。生じた利益は準備金に積み立てる義務がある。
Q · 保険会社は売っていない株の値上がり益を、決算の数字に載せられるんですか?
できる。ただし金融庁の認可が必要で、益は準備金に固定される
保険業法112条1項により、保険会社は市場価格のある所有株式の時価が取得価額を超えるとき、内閣総理大臣(実務上は金融庁)の認可を受けて、取得価額を超え時価を超えない価額を付すことができます。取得原価主義の例外です。ただし同条2項が、その評価換えで計上した利益を内閣府令で定める準備金に積み立てることを義務づけており、配当や役員賞与への流用はできません。特別勘定(保険業法118条1項)に属する株式は対象外です。
解説
会計のルールでは、持っている株が値上がりしても、売るまでは帳簿上の利益にしないのが原則である。保険業法112条は、その原則に穴を一つ空けている。保険会社は、市場価格のある保有株式の時価が取得価額を上回るとき、内閣総理大臣(実務上は金融庁)の認可を受ければ、帳簿上の値段を取得価額より上、時価以下の範囲で付け直せる。売っていないのに、含み益の一部を表に出せるということだ。ただし条文は同時に手綱も引いている。第2項で、その評価換えで生まれた利益は内閣府令が定める準備金に積み立てなければならない、と縛る。つまり出した益を配当や役員賞与に流すことはできない。あなたが保険契約者なら、これは自分の保険金の支払原資が守られているかどうかの話であり、あなたが保険会社の株主なら、なぜ含み益が配当に回ってこないのかの答えがここにある。特別勘定(変額保険など、契約者が投資リスクを負う勘定)に属する株式は、そもそもこの仕組みの対象外である。
法的な位置づけ
保険業法112条は株式評価の特例を定める規定であり、保険会社が所有する市場価格のある株式について、時価が取得価額を超える場合に、内閣総理大臣の認可を受けて取得価額を超え時価を超えない価額を付すことを認める。評価換えにより計上した利益は内閣府令で定める準備金への積立が義務づけられ、特別勘定に属する株式は適用対象から除外される。
よくある質問 AI による整理
Q1株式の評価換えとは何ですか?
帳簿上の株式価額を付け直すことです。保険業法112条では、市場価格のある株式の時価が取得価額を超える場合に、取得価額超・時価以下の範囲で価額を付せます。
Q2保険業法112条の認可は誰が出すのですか?
内閣総理大臣の認可です。実務上は金融庁が内閣府令の定める手続に従って審査します。会社が単独の判断で評価換えを計上することはできません。
Q3評価換えで出た利益はどこに行くのですか?
保険業法112条2項により、内閣府令で定める準備金に積み立てられます。株主配当や役員賞与の原資には回せず、支払原資として固定されます。
Q4特別勘定の株式は評価換えできますか?
できません。112条1項が、保険業法118条1項の特別勘定に属するものとして経理された株式を明文で除外しています。変額保険などの資産が該当します。
Q5時価を超える価額を付けることはできますか?
できません。条文は「取得価額を超え時価を超えない価額」と上限を時価に固定しています。時価超の評価は認可の対象外で、根拠を欠く計上となります。
Q6取得原価主義の例外はなぜ認められるのですか?
保険会社は長期の支払義務の担保として株式を長期保有するため、含み益が財務に一切現れないと健全性が過小表示されます。その調整弁として設けられた特例です。
Q7保険会社の決算書で評価換えはどこを見れば分かりますか?
有価証券報告書の注記の株式評価換え関連項目と、対応する準備金の増減表です。損益計算書の本業損益と切り分けて読むのが要点になります。
Q8評価換えはソルベンシー・マージン比率に影響しますか?
支払余力の判定は保険業法130条の基準に従います。評価換えと準備金の状況を併読することで、健全性指標が何に支えられているかを判断しやすくなります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1売ってない株の値上がりを利益にしていいって、それ粉飾じゃないんですか?
粉飾ではない。保険業法112条1項が明文で認めた例外であり、しかも内閣総理大臣の認可という関門がある。裁量で勝手に付け替えることはできない。実務のポイント:この規定は歴史的に、保険会社が長期保有する株式の含み益を健全性指標に反映させるために置かれたものである。認可制であるがゆえに実務上の使用例は限定的で、「条文はあるが日常的には動かない装置」という位置づけを知っているかどうかで、決算書の読み方が変わる
Q2評価換えで出た利益って、株主の配当に回るんですか?
回らない。112条2項が、内閣府令で定める準備金への積立を義務づけている。実現していない益を社外に流出させれば、保険金の支払原資が空洞化するためである。実務のポイント:保険会社の財務を見るときは、利益の額そのものより「その利益が動かせる金か、固定された金か」を区別する。準備金に固定された益は配当にも役員賞与にも使えず、実質的には契約者のための担保として積まれている
Q3変額保険で運用されている株も、この評価換えの対象になるんですか?
ならない。112条1項は、保険業法118条1項に規定する特別勘定に属するものとして経理された株式を明文で除外している。特別勘定は運用実績が契約者に直接帰属する仕組みであり、会社の裁量で評価を動かす余地を残さない設計である。実務のポイント:変額保険の資産は一般勘定と切り離されている。この分離を理解していると、保険会社の経営悪化時に自分の契約がどの勘定に属するかで、リスクの性質がまったく違うことが見えてくる
間違えやすい点 AI による整理
- 「含み益を計上できるなら、その分だけ会社は儲かっていて、配当も増えるはず」と考えるのは、112条の前半だけを読んだ結果である。2項が後半の答えを持っている。評価換えで生まれた利益は内閣府令が定める準備金への積立が強制され、株主への配当や役員賞与への流用が封じられる。前半だけで判断すると、財務の実態を読み違える
- 取得原価主義の例外があること自体は知られているが、その例外がなぜ「認可制」なのかまでは知られていない。保険会社の資産評価は、そのまま契約者への支払余力の表示になる。評価を会社の裁量で動かせれば、契約者は実態より健全に見える会社と契約してしまう。認可は形式手続ではなく、契約者保護のための最後の関門である
- 「保険会社の会計は会社法と金融商品取引法で完結している」という前提そのものがずれている。保険業は業法が会計処理そのものに個別に介入する数少ない業種であり、112条はその典型例。一般の会社法会計の知識だけで保険会社の財務諸表を読むと、必ずどこかで説明のつかない項目に出会う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 112条:資産側(株式)の評価換えと益の準備金固定 | 116条:責任準備金(負債側)の積立義務 118条:特別勘定の設定(112条の適用除外の根拠) |
| 会社の裁量 | 内閣総理大臣の認可が前提、認可なしに計上不可 | 積立は法定の義務、裁量による不積立は不可 契約により特別勘定を設定、運用結果は契約者に帰属 |
| 生じた金の行き先 | 内閣府令で定める準備金に積立、配当・賞与に流用不可 | 将来の保険金支払に充てる負債として計上 特別勘定内で契約者に帰属、一般勘定と分別経理 |
| 契約者から見た意味 | 含み益が支払原資として社内に固定される | 支払債務の裏づけが数値として確保される 運用リスクを契約者自身が負担する |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も保険業の資産運用と評価を業法で個別規律し、主管機関の核准を要する枠組みを採る点で日本と共通。認可主体が金融監督管理委員会である点が制度上の対応関係にあたる
韓国も保険業法と監督規程で資産評価と準備金を規律し、監督当局(金融委員会・金融監督院)の関与を前提とする構造をとる
ドイツは保険監督法と会計規則で保険会社の資産評価・準備金を規律。EU の Solvency II 体制下で健全性評価が統合されている点が日本と異なる
米国は州保険監督官の統一会計基準(SAP)で株式評価を規律し、評価変動の緩衝として準備金を置く発想が日本の準備金積立義務と機能的に近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 生命保険会社の決算短信を読んでいて、「株式評価換益」「株式含み益の準備金繰入」という行が目に留まる。売っていない株の益がなぜ計上されているのか、そしてなぜそれが配当原資にならないのか。112条1項と2項をセットで読むと、その二つの謎が一度に解ける
- もしあなたが保険会社の経理担当で、上司から「今期は保険引受が苦しいから、保有株の含み益を計上して数字を作れないか」と言われたらどうする? 112条は確かにその道を用意しているが、内閣総理大臣の認可が必要であり、しかも出た益は準備金に積み立てられて配当には回らない。数字を作る道具としては、ほぼ使えない
- 保険会社を買収先として検討している。デューデリジェンスで貸借対照表を見ると、株式の帳簿価額が取得価額と一致しない。112条による評価換えが過去に行われた可能性がある。認可の経緯と積立準備金の残高は、必ず確認すべき項目
- 契約している生保が経営不安と報じられ、決算発表まであと数日。あなたは自分の保険金が守られるのか知りたい。112条が生む含み益は準備金に固定される仕組みであり、外部流出しない。ソルベンシー・マージン比率(保険業法130条)と併せて読めば、支払余力の実像に近づける
取るべき行動
被害を受けた側:契約者・投資家として保険会社の健全性を検証する立場なら、1. 有価証券報告書の注記から株式評価換えの有無と金額を確認2. 対応する準備金の積立額が評価益と整合しているか照合3. ソルベンシー・マージン比率(保険業法130条)と併読し、評価益への依存度を測る4. 説明が不自然なら、金融庁の監督指針に基づく開示内容と突き合わせ、必要なら保険会社に直接照会する
訴えられた側:保険会社側で財務・経理を担当する立場なら、1. 評価換えは内閣総理大臣の認可が前提であり、事前相談なしの計上は許されない2. 認可申請は内閣府令の定める手続に従い、対象株式が特別勘定に属していないことを確認3. 評価益は必ず内閣府令が定める準備金に積み立て、配当原資に流用しない4. 取締役会議事録と認可書類を保存、事後の検査で説明できる状態にしておく
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。認可申請の期限は内閣府令および金融庁の運用に従い、決算期との関係で実務上のスケジュールが決まる。財務書類の虚偽記載に関する責任追及は、会社法・金融商品取引法上の各期間および一般の消滅時効(民法166条、債権は権利行使できることを知った時から5年または権利行使できる時から10年)による(最新の改正状況をご確認ください)
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