保険業法 第115条(価格変動準備金)
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- 保険会社は、その所有する株式その他の価格変動による損失が生じ得るものとして内閣府令で定める資産(次項において「株式等」という。)について、内閣府令で定めるところにより計算した金額を価格変動準備金として積み立てなければならない。ただし、その全部又は一部の金額について積立てをしないことについて内閣総理大臣の認可を受けた場合における当該認可を受けた金額については、この限りでない。
- 2.前項の準備金は、株式等の売買等による損失(売買、評価換え及び外国為替相場の変動による損失並びに償還損をいう。)の額が株式等の売買等による利益(売買、評価換え及び外国為替相場の変動による利益(第百十二条第一項の規定による評価換えにより計上した利益を除く。)並びに償還益をいう。)の額を超える場合においてその差額のてん補に充てる場合を除くほか、取り崩してはならない。ただし、内閣総理大臣の認可を受けたときは、この限りでない。
この条文の基本情報
価格変動準備金とは何ですか?
定義価格変動準備金とは、保険業法第115条に定められた規定で、「保険会社は、その所有する株式その他の価格変動による損失が生じ得るものとして内閣府令で定める資産(次項において「株式等」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第115条(価格変動準備金)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第115条の条文原文は「保険会社は、その所有する株式その他の価格変動による損失が生じ得るものとして内閣府令で定める資産(次項において「株式等」という。」で始まります。
- 保険業法第115条は第五章 経理に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第115条の前の条は保険業法第114条です。
- 保険業法第115条の次の条は保険業法第116条です。
- 保険業法第115条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第115条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第115条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/115
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法115条は、保険会社に株式等の価格変動リスクに備えた価格変動準備金の積立てを義務づける規定。売買等損失が利益を超える差額のてん補以外の取崩しは原則禁止。
Q · 保険会社が積んでいる価格変動準備金って、業績が悪い年に取り崩して赤字を埋められるんですか?
法律上の強制積立で、原則として自由に取り崩せません
保険業法115条1項により、保険会社は株式その他の価格変動で損失が生じ得る資産について、内閣府令で定める方法で計算した金額を価格変動準備金として積み立てる義務を負います。任意の内部留保ではなく法律上の強制積立であり、積立てをしないためには内閣総理大臣の認可が必要です。さらに2項により、取崩しは株式等の売買等による損失が売買等利益を超える差額のてん補に充てる場合に限られ、保険引受の赤字を埋める目的や配当原資に回す目的では、認可がない限り取り崩せません。
解説
保険会社の決算書には、他の業種では見かけない不思議な勘定科目が並んでいる。その一つが「価格変動準備金」だ。保険業法115条は、保険会社が持つ株式や外貨建て資産のように値動きするものについて、内閣府令の計算式に従った金額を毎年積み立てることを義務づける。任意の内部留保ではない、法律上の強制積立である。さらに重要なのは第2項。この準備金は、株式等の売買・評価換え・為替変動・償還による損失が利益を上回った差額を埋める場合しか取り崩せない。業績が悪いから取り崩して赤字を隠す、配当原資に回す、そうした運用は法律が封じている。あなたが保険料を払い込む生命保険は、20年後30年後に支払われる約束だ。その間に株価が半値になろうと為替が乱高下しようと契約者への支払い能力が揺らがないよう、平時に厚みを蓄えさせる仕組み。契約者が直接見ることのない防波堤が、この一条で立っている
法的な位置づけ
保険業法115条にいう価格変動準備金とは、保険会社が所有する株式その他の価格変動により損失が生じ得る資産について、内閣府令で定める方法により計算した金額を積み立てる法定の準備金をいう。取崩しは株式等の売買等による損失が売買等利益を超える場合の差額のてん補に限定され、それ以外は内閣総理大臣の認可を要する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.対象資産と積立額を内閣府令の算式で確定する 運用資産のうち「株式等」に当たる区分を洗い出し、保険業法施行規則が定める区分ごとの計算方法に従って当期の積立額を算定する。ポートフォリオの構成変更があった年度は積立負担も変動するため、期中の運用方針変更を必ず反映させる
- 2.期末の数か月前に取崩しの可否を判定する 当期の株式等の売買等による損失(売買・評価換え・為替変動による損失+償還損)が、売買等利益(112条1項の評価換え益を除く)を超えるかを試算し、2項本文の取崩事由に該当するかを判定する。該当しない取崩しを予定するなら認可ルートに切り替える
- 3.認可が必要なら事前に金融庁へ相談・申請する 1項但書の積立免除、または2項但書の要件外取崩しを行う場合は、内閣総理大臣(実務上は金融庁長官への委任)の認可を事前に取得する。決算確定後の遡及取得はできないため、決算発表日から逆算して事前相談の時期を確保する
- 4.積立・取崩の根拠をディスクロージャーで開示する 決算短信・有価証券報告書・ディスクロージャー資料において、価格変動準備金の当期積立額・取崩額とその根拠を開示する。認可を受けた事実がある場合は注記で説明し、報告徴求(128条)に備えて算定根拠資料を保存する
よくある質問 AI による整理
Q1価格変動準備金とは何ですか?
保険会社が株式など値動きする資産について、内閣府令の算式で計算した金額を積み立てる法定の準備金です。保険業法115条1項が積立てを義務づけています。
Q2保険業法115条の対象になる資産は何ですか?
株式その他の価格変動により損失が生じ得るものとして内閣府令で定める資産です。条文では「株式等」と定義され、外国為替相場の変動を受ける資産も想定されています。
Q3価格変動準備金の残高はどこで確認できますか?
有価証券報告書やディスクロージャー資料の貸借対照表、負債の部に計上されています。5年分を並べると積立ての継続性と資産運用リスクへの耐久力が読み取れます。
Q4価格変動準備金はいつ積み立てますか?
各事業年度の決算において積み立てます。事業年度末が実質的な期限であり、決算が確定した後に遡って積立処理をすることはできません。
Q5積立てをしないと保険会社はどうなりますか?
認可を受けずに積立義務に違反すると、報告徴求や立入検査(保険業法128条)を経て、業務改善命令や業務停止命令(同132条、133条)の対象になり得ます。
Q6取崩しの認可はどこに申請しますか?
条文上は内閣総理大臣の認可ですが、権限は実務上金融庁長官に委任されており、金融庁への事前相談・申請となります。事後に遡って取得することはできません。
Q7銀行にも価格変動準備金はありますか?
銀行法に同名の制度はなく、銀行は自己資本比率規制などで価格変動リスクに対応します。価格変動準備金は保険会社の財務諸表に特有の勘定科目です。
Q8価格変動準備金はソルベンシー・マージン比率に関係しますか?
価格変動準備金はソルベンシー・マージンの算入項目に含まれるため、残高が薄い会社は株価急落局面で比率が低下しやすく、健全性指標の耐久力が落ちます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1価格変動準備金って、契約者の保険金のために取ってあるお金なんですか?
契約者ごとに分別された財産ではなく、保険会社の負債の部に計上される会計上の準備金である。将来の保険金支払いに直接充てられるのは責任準備金(保険業法116条)の方で、115条の価格変動準備金は資産の値動きによる損失を吸収する緩衝材にあたる。実務のポイント:両者は目的が違うため、片方が厚くても他方が薄ければ健全性の評価は変わる。ディスクロージャー資料では必ず両方を並べて見る
Q2保険会社が赤字のとき、この準備金を取り崩して穴埋めできないんですか?
原則できない。2項は取崩しを「株式等の売買等による損失が売買等利益を超える場合の差額のてん補」に限定しており、保険引受の赤字や一般的な業績悪化を埋める目的では取り崩せない。ただし但書で内閣総理大臣の認可を受けた場合は例外となる。実務のポイント:この認可は事前に取るものであり、決算を締めてから遡って取得することはできない。財務担当者にとって、期末の何か月も前の判断が決算の姿を決める
Q3積立額はどうやって決まるんですか。会社が自由に決められる?
決められない。対象となる資産の範囲も積立額の計算方法も内閣府令で定められており、保険会社は指定された算式に従って積み立てる。1項但書により内閣総理大臣の認可を受けた金額については積立てを要しないが、これは例外的な取扱いである。実務のポイント:対象資産の区分ごとに積立率が定められているため、運用ポートフォリオの構成を変えると積立負担も変わる。運用戦略と規制コストは連動している
間違えやすい点 AI による整理
- 価格変動準備金を「保険会社が自主的に積む内部留保」と理解している人が多いが、前提が違う。積立額は内閣府令で計算方法が定められ、積立ては法律上の義務。積まない自由は原則として存在せず、免除には内閣総理大臣の認可が要る。企業の裁量的な引当金と同列に読むと、この条文の意味を丸ごと取り違える
- 「準備金があるなら、業績が悪い年に取り崩して赤字を埋めればいい」と考えがちだが、2項は取崩事由を売買等損失が売買等利益を超えた差額のてん補に限定している。保険引受の損失や一般管理費の赤字を埋めるための取崩しは、認可がない限りできない。財布は一つに見えて、法律上は用途が分けられている
- 契約者から見れば「準備金は自分の保険金の担保」と映るが、法律上は保険会社の負債の部に計上される会計上の準備金であり、特定の契約者のために分別管理された財産ではない。この落差を理解しないまま「準備金があるから絶対安心」と考えると、破綻時の実際の保護は保険契約者保護機構(保険業法259条以下)の枠組みで決まるという現実を見落とす
- 「価格変動準備金と責任準備金は似たようなもの」と思われているが、目的が違う。責任準備金(保険業法116条)は将来の保険金支払いに備えるもので、価格変動準備金は資産側の値動きリスクに備えるもの。負債側のリスクと資産側のリスク、守る対象が別物である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 守る対象のリスク | 115条:資産側の価格変動リスク(株式等の値動き・為替・償還) | 116条:負債側の将来の保険金支払義務 117条:既発生で未払いの保険金等の支払義務 |
| 積立ての単位 | 内閣府令が定める対象資産の区分ごとの算式 | 保険契約の区分ごとに将来収支を見積もって算出 支払事由が発生した個別事案ごとに見積もり計上 |
| 取崩し・使用の制限 | 売買等損失が売買等利益を超える差額のてん補のみ、例外は認可 | 保険金等の支払いに応じて取り崩す 現実の支払いに応じて取り崩す |
| 契約者から見た意味 | 運用相場が崩れても契約を履行できるようにする緩衝材 | 将来の保険金支払いの原資そのもの 請求済み・発生済みの保険金の支払原資 |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾は「価格変動準備金」という独立科目ではなく、各種責任準備金・特別準備金の枠組みの中で資産運用リスクに対応する。積立基準を主管機関の辦法に委任する構造は日本と共通
韓国も準備金の積立てを法律で義務づけ、具体的な算定は監督規定に委任する構造。資産の価格変動に対しては비상위험준비금などの枠組みで対応する
中国は責任準備金・公積金の積立義務を法律で定める一方、資産の価格変動リスクは主として「償二代」(C-ROSS)のソルベンシー資本規制で捕捉する設計
ドイツは商法典に変動準備金の計上を定め、監督面は VAG と Solvency II の自己資本規制が担う。会計上の準備金と自己資本規制を二層で組み合わせる点が日本と対照的
フランスは資産の減価に備える引当てと、債券売却損益を平準化する積立てを別建てで用意する。日本の115条が一本の準備金でまとめている機能を複数科目に分けている
米国は州法ベースの法定会計で、資産価値変動準備金(AVR)と金利変動の平準化(IMR)を義務づける。連邦法ではなく NAIC のモデル規制と州監督で運用される点が日本と異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 保険会社の格付けや財務健全性を比べようとして、ソルベンシー・マージン比率だけを見ていないか。価格変動準備金はソルベンシー・マージンの算入項目でもあり、この残高が薄い会社は株価急落局面での耐久力が落ちる。有価証券報告書の負債の部を開けば、その厚みは誰でも読める
- 保険会社の経理・財務担当として年度末を迎えた。運用収益が悪く、価格変動準備金を取り崩して損失を吸収したい。だが2項の要件(売買等損失が売買等利益を超えた差額のてん補)に当たるか、当たらないなら内閣総理大臣(実務上は金融庁長官へ委任)の認可が要る。認可申請には時間がかかり、決算スケジュールから逆算すると準備に残された日数は多くない
- もし保険会社が積立てをせずに配当や役員報酬に回したらどうなる? 115条1項は「積み立てなければならない」と義務づけており、違反は業務改善命令や業務停止命令(保険業法132条、133条)の引き金になりうる。積み立てないという選択は、認可を得た場合を除いて存在しない
- 保険の乗り換えを勧誘され、契約中の保険会社より新しい会社の方が利回りが良いと言われた。判断材料は予定利率だけではない。準備金の積立状況は、その会社が長期の約束を守り切れるかの指標になる
取るべき行動
被害を受けた側:契約者の立場で保険会社の健全性を検証するなら、1. 金融庁が公表するディスクロージャー資料と有価証券報告書で価格変動準備金の残高・積立額の推移を5年分確認2. ソルベンシー・マージン比率(200% が監督上の目安)と併せて読む3. 積立免除の認可を受けた事実があれば注記に現れることがあるので確認4. 万一の破綻時の保護は保険契約者保護機構(保険業法259条以下)の枠組みで決まるため、その補償範囲も同時に把握しておく
訴えられた側:保険会社側で積立て・取崩しの適法性を問われた場合、1. 内閣府令が定める対象資産の範囲と計算方法に従った積立額であることを、算定根拠資料で示す2. 取崩しが2項本文の要件(株式等の売買等損失が売買等利益を超える差額のてん補)に該当することを、損益の内訳で立証する3. 該当しない取崩しであれば、事前に認可を得ていた事実と申請内容を提示4. 手続の適法性を欠く場合でも、金融庁との協議・報告徴求(保険業法128条)の段階で是正計画を提出できる余地がある
時効(請求できる期限):積立ては各事業年度の決算において行うものであり、事業年度末が実質的な期限となる。積立免除および要件外の取崩しの認可は事前認可であり、決算確定後に遡って取得することはできない。この条文自体に消滅時効の定めはなく、契約者が保険会社に対して持つ債権については一般消滅時効(民法166条、権利行使できることを知った時から5年または権利行使できる時から10年)が適用される
学説
通説:価格変動準備金は、保険会社の資産側の市場リスクに対応する法定の強制準備金であり、負債の部に計上される会計上の準備金と理解される。契約者のために分別管理された財産ではなく、破綻時の契約者保護は別途保険契約者保護機構の枠組みによる点で、責任準備金とは機能を異にする
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