保険業法 第8条(取締役等の兼職制限)
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- 保険会社の常務に従事する取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役)は、内閣総理大臣の認可を受けた場合を除き、他の会社の常務に従事してはならない。
- 2.内閣総理大臣は、前項の認可の申請があったときは、当該申請に係る事項が当該保険会社の業務の健全かつ適切な運営を妨げるおそれがないと認める場合でなければ、これを認可してはならない。
この条文の基本情報
取締役等の兼職制限とは何ですか?
定義取締役等の兼職制限とは、保険業法第8条に定められた規定で、「保険会社の常務に従事する取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役)は、内閣総理大臣の認可を受けた場合を除き、他の会社の常務に従事してはならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 保険業法第8条(取締役等の兼職制限)は、日本の保険業法に含まれる条文です。
- 保険業法第8条の条文原文は「保険会社の常務に従事する取締役(指名委員会等設置会社にあっては、執行役)は、内閣総理大臣の認可を受けた場合を除き、他の会社の常務に従事してはならない。」で始まります。
- 保険業法第8条は第一章 通則に置かれています。
- 保険業法の公布日は平成7年6月7日です。
- 保険業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 保険業法第8条の前の条は保険業法第7条の2です。
- 保険業法第8条の次の条は保険業法第8条の2です。
- 保険業法第8条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
保険業法(平成七年法律第百五号)第8条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105 - 本サイト収録
保険業法(平成七年法律第百五号)第8条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/407AC0000000105/8
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点保険業法8条は、保険会社の常務に従事する取締役および執行役が他の会社の常務に従事するには内閣総理大臣の認可を要すると定める。認可は健全な運営を妨げるおそれがない場合に限られる。
Q · 保険会社の取締役は、他の会社の役員を兼ねてもいいんですか?
常務に従事する兼職は内閣総理大臣の認可が必要です
保険業法8条1項は、保険会社の常務に従事する取締役(指名委員会等設置会社では執行役)が、内閣総理大臣の認可を受けた場合を除き、他の会社の常務に従事することを禁じています。同条2項は、当該兼職が保険会社の業務の健全かつ適切な運営を妨げるおそれがないと認める場合でなければ認可してはならないと定めており、原則不認可・例外認可の構造です。社外取締役など日常業務の執行に携わらない立場は原則として対象外ですが、該当性は肩書ではなく実態で判断されます。
解説
保険会社の取締役として日々の業務を回している人が、別の会社の常務にも就こうとすると、そこには内閣総理大臣(実務上は金融庁長官へ委任)の認可という関門が立ちはだかる。社外取締役や監査役ならこの制限の外だが、常勤で経営に関与する取締役、指名委員会等設置会社なら執行役が対象だ。ここで見落とされがちなのは、認可の判断基準が「本人の能力」ではなく「保険会社の業務の健全かつ適切な運営を妨げるおそれがないか」に置かれている点である。つまり、あなたがどれだけ優秀でも、兼職先が保険会社と利益相反を起こす構造にあれば認可は下りない。保険会社の取締役に就任のオファーを受けた人、あるいは自分の会社の役員を保険会社に送り込もうとしている親会社の担当者は、就任承諾の前にこの一条を確認しないと、就任後に慌てて兼職を解消する羽目になる。
法的な位置づけ
保険業法8条は、保険会社の役員の兼職制限を定める規定である。常務に従事する取締役(指名委員会等設置会社にあっては執行役)は、内閣総理大臣の認可がなければ他の会社の常務に従事できない。認可は、保険会社の業務の健全かつ適切な運営を妨げるおそれがないと認められる場合に限り与えられる行政上の事前規制である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.現任役員の兼職状況を全件棚卸し 取締役・執行役ごとに、常勤か非常勤か、他社での関与実態が「常務に従事」に当たるかを肩書ではなく実質で判定する。役員名簿と兼職一覧を突合できる表にまとめる
- 2.該当兼職について監督部局へ事前相談 認可の要否、兼職先と保険会社の取引関係・利益相反の有無について、正式申請の前に金融庁の監督部局へ事前相談する。いきなり申請すると補正のやり取りで期間が伸びる
- 3.認可申請書を作成・提出 保険業法施行規則が定める記載事項と添付書類を揃え、兼職が保険会社の業務の健全かつ適切な運営を妨げるおそれがないことを申請側から積極的に説明する構成で作成する
- 4.認可取得後に就任、就任日を逆算管理 兼職開始前に認可を得ている必要があるため、就任承諾日・クロージング日から審査期間を逆算して工程表に落とす。事後申請では違反状態が発生する
- 5.認可済み兼職の定期再確認 兼職先の事業内容や保険会社との取引関係が変われば前提が崩れる。年次で兼職台帳を更新し、認可の前提事実に変動がないかを点検して検査対応の備えとする
よくある質問 AI による整理
Q1保険業法8条の兼職制限とは何ですか?
保険会社の常務に従事する取締役(指名委員会等設置会社では執行役)が、他の会社の常務に従事するには内閣総理大臣の認可を要するという事前規制です。
Q2兼職の認可は誰が出すのですか?
条文上は内閣総理大臣ですが、実務上は金融庁長官への権限委任を通じて金融庁の監督部局が審査・処理します。事前相談を経て正式申請するのが実務の流れです。
Q3「常務に従事する」とはどういう意味ですか?
日常的に会社の業務執行へ関与することを指します。常務取締役という肩書の有無ではなく、職務内容・出社頻度・決裁権限といった実態で判断されます。
Q4認可の審査基準は何ですか?
保険業法8条2項により、当該兼職が保険会社の業務の健全かつ適切な運営を妨げるおそれがないと認められることです。原則不認可・例外認可の構造です。
Q5無認可で兼職したらどうなりますか?
兼職先での取締役の行為が私法上無効になるわけではなく、保険会社および役員に対する業務改善命令等の監督処分という行政ルートで効果が生じます。
Q6社外取締役は兼職制限の対象ですか?
本条の対象は「常務に従事する取締役」であり、日常業務の執行に携わらない社外取締役は原則として対象外です。ただし実態が伴えば該当しえます。
Q7銀行にも同じ兼職制限はありますか?
銀行法7条に同趣旨の兼職制限があり、銀行の常務に従事する取締役も他の会社の常務に従事するには認可を要します。金融機関に共通する枠組みです。
Q8兼職認可はどんな書類が必要ですか?
保険業法施行規則が申請書の記載事項と添付書類を定めており、兼職先の事業内容、職務内容、保険会社との取引関係などを説明する資料が中心となります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1社外取締役なら他の会社の役員を兼ねても大丈夫なんですか?
本条が対象とするのは「常務に従事する取締役」であり、社外取締役のように日常業務の執行に携わらない立場は原則として対象外です。指名委員会等設置会社では執行役が対象になります(保険業法8条1項)。実務のポイント:問題は「常務に従事」の判定が肩書ではなく実態で行われる点です。常務取締役という肩書がなくても、日常的に業務執行に関与していれば対象になりうる。肩書だけで安心せず、実際の職務内容で判断する。
Q2認可の申請ってどのくらい時間がかかるものですか?
標準処理期間が定められていますが、申請内容の複雑さや利益相反の有無で実際の期間は変動します。兼職先が保険会社と取引関係にある場合は審査が慎重になります(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:金融庁への事前相談を経てから正式申請するのが実務の定石です。いきなり申請書を出すと補正のやり取りで時間が伸びる。役員就任のスケジュールから逆算して、事前相談の段階を必ず工程表に入れる。
Q3認可を取らずに兼職していたら、その会社での取締役の行為も無効になりますか?
なりません。本条は保険業法上の行政規制であり、私法上の効力を否定する規定ではないため、兼職先での取締役としての行為は有効です。効果は保険会社および当該役員に対する監督処分として現れます(保険業法132条、133条)。実務のポイント:無効にならないからこそ発覚が遅れやすい。取引の相手方が困らないので誰も声を上げず、検査で初めて表面化するというパターンが典型です。
間違えやすい点 AI による整理
- 「取締役会で承認を取れば兼職できる」と会社法の感覚で処理してしまう人が多いが、問いの立て方そのものがずれている。会社法356条の競業取引承認と、保険業法8条の兼職認可はまったく別の制度で、目的も判断者も違う。社内手続を完璧にこなしても、行政の認可がなければ違反状態は解消されない。
- 兼職制限があること自体は知っていても、その射程を軽く見ている人がいる。制限は「他の会社の常務に従事」に及ぶのであって、保険業界内の会社に限らない。飲食業でも IT 企業でも、常務に従事するなら対象になる。業種による除外は条文のどこにも書かれていない。
- 「認可は形式審査で、申請すれば通る」と考えられがちだが、2項は逆の書き方をしている。健全かつ適切な運営を妨げるおそれがないと認める場合「でなければ、これを認可してはならない」。つまり原則不認可、例外的に認可という構造である。申請側が積極的に支障のなさを説明する責任を負う。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の場面 | 保険業法8条:役員の他社兼職そのものを事前規制 | 保険業法5条:免許審査時の人的構成の適格性 会社法356条:取締役個人の競業取引の承認 |
| 判断者 | 内閣総理大臣(実務上は金融庁) | 内閣総理大臣(免許審査部局) 取締役会(社内機関) |
| 違反の効果 | 業務改善命令等の監督処分(保険業法132条・133条)。私法上の行為は有効 | 免許が下りない、条件付与 取締役の損害賠償責任、任務懈怠の推定 |
| タイミング | 兼職開始前の事前認可 | 免許申請時 競業取引の前に承認、事後は報告 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は主管機関(金融監督管理委員会)が保険業負責人の資格条件と兼職制限を法規命令で細かく定める方式を採り、日本の個別認可制と対照的
韓国は金融会社支配構造法で金融機関役員の兼職を一般的に制限し、保険業法で上乗せする二層構造。日本と近い発想
ドイツは兼職を個別認可でなく、経営者の適格性審査と兼任数の上限規制(Mandatsbegrenzung)で処理する。EU Solvency II の fit and proper 要件と連動
米国は州保険庁による持株会社グループ規制と利益相反開示が中心で、役員兼任そのものの事前認可制は一般的でない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 生命保険会社の常務執行に携わる取締役に選ばれたあなたが、実は家業の不動産管理会社でも代表取締役をやっている。家業のほうは年に数回の意思決定だけだが、「常務に従事」に当たるかどうかは名目ではなく実質で判断される。就任承諾書にサインする前に、この兼職を認可申請に載せるか整理するかを決めなければならない。
- 外資系保険会社の日本法人で、親会社から派遣された取締役がアジア地域の関連会社の役員も兼ねている。この兼職に認可が下りていなければ、法令違反状態が継続していることになる。金融庁の立入検査で最初に洗われるのは、こうした役員名簿と兼職認可の突合だ。
- もし保険会社の取締役が、認可を取らずに他社の常務に就いていたことが後から発覚したら、何が起きるか? 当該取締役の他社での行為が無効になるわけではない。効くのは保険業法上の監督権限、業務改善命令や役員解任命令(保険業法133条)という行政ルートである。
- M&A の交渉中、買収先の保険会社に自社の執行役員を役員として送り込む計画を立てている。デューデリジェンスの最終段階であと3週間。認可申請には審査期間が必要で、クロージング日に役員就任を合わせるなら、申請のスケジュールを今日から逆算しなければ間に合わない。
取るべき行動
被害を受けた側:保険会社側の立場なら、まず現任取締役・執行役の兼職状況を全件洗い出す。1. 常勤か非常勤か、他社での関与実態が「常務に従事」に当たるかを実質で判定2. 該当するものは認可申請の要否を金融庁の監督部局に事前相談3. 認可済みの兼職も、兼職先の事業内容が変わっていないか定期的に再確認する。役員名簿と認可台帳を突合できる状態にしておくことが、検査対応の実質的な備えになる。
訴えられた側:無認可の兼職を指摘された場合、まず事実関係を「常務に従事」の該当性から精査する。名目上の役員で実際の業務関与がなければ該当しない余地がある。1. 兼職先での職務内容、出社頻度、決裁権限の実態を書面で整理2. 該当すると判断されるなら速やかに認可申請または兼職解消を選択3. 監督当局への報告は自主的に行うほうが、業務改善命令(保険業法132条)の内容が穏当になりやすい。放置して検査で発覚するのが最も条件が悪い。
時効(請求できる期限):認可申請自体に法定の期限はないが、兼職を開始する前に認可を得ている必要がある。事後申請では違反状態が発生する。特定の時効はないが、行政処分の対象となる違反状態は継続する限り是正義務が続く(最新の改正状況をご確認ください)。
学説
実務通説:本条は保険会社の経営体制の専念性と利益相反防止を目的とする行政規制であり、会社法上の競業避止義務と併存する二層構造をなす。「常務に従事」の該当性は名目上の役職ではなく業務執行への実質的関与により判断される
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