民事訴訟法 第3条の10(管轄権が専属する場合の適用除外)
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第三条の二から第三条の四まで及び第三条の六から前条までの規定は、訴えについて法令に日本の裁判所の管轄権の専属に関する定めがある場合には、適用しない。
この条文の基本情報
管轄権が専属する場合の適用除外とは何ですか?
定義管轄権が専属する場合の適用除外とは、民事訴訟法第3条の10に定められた規定で、「第三条の二から第三条の四まで及び第三条の六から前条までの規定は、訴えについて法令に日本の裁判所の管轄権の専属に関する定めがある場合には、適用しない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第3条の10(管轄権が専属する場合の適用除外)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第3条の10の条文原文は「第三条の二から第三条の四まで及び第三条の六から前条までの規定は、訴えについて法令に日本の裁判所の管轄権の専属に関する定めがある場合には、適用しない。」で始まります。
- 民事訴訟法第3条の10は第一節 日本の裁判所の管轄権に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第3条の10の前の条は民事訴訟法第3条の9です。
- 民事訴訟法第3条の10の次の条は民事訴訟法第3条の11です。
- 民事訴訟法第3条の10には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第3条の10 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第3条の10(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/3_10
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法3条の10は、日本の裁判所の専属管轄が法令で定められた事項について、管轄の合意や応訴管轄など柔軟な国際裁判管轄ルールの適用を一括して除外する規定である。
Q · 契約書で『シンガポールの裁判所で裁判する』と決めても、日本でしか裁判できない事項はあるの?
あります。日本の専属管轄事項なら合意は効きません
民事訴訟法3条の10により、訴えについて法令に日本の裁判所の専属管轄の定めがある場合、被告住所地(3条の2)、契約等の特別管轄(3条の3)、管轄の合意(3条の7)、応訴管轄(3条の8)などの柔軟な国際裁判管轄ルールは一切適用されません。日本にある不動産の登記、日本で設立した会社の組織、日本で登録された特許権の有効性に関わる訴えがこれに当たり、契約書で外国裁判所を専属管轄と合意していても、その合意は当該事項について効力を持ちません。
解説
海外の取引先と契約を結び、末尾に「紛争はシンガポールの裁判所を専属管轄とする」と書いた。あなたはこれで日本の裁判所には引きずり出されないと安心している。ところが、その契約の中身が日本にある不動産の登記、日本で設立した会社の組織、日本で登録された特許権の有効性に関わるものだったら、その一行は効力を失う。民事訴訟法3条の10は、日本の法律が「この種の訴えは日本の裁判所でしか審理できない」と専属管轄を定めている場合、被告がどこに住んでいようと、当事者がどこで裁判すると合意していようと、応訴があろうと、特別の事情があろうと、それら柔軟なルール(3条の2から3条の9)を一切適用しないと宣言する。専属管轄は当事者の合意より強い。契約書でいくら国外を指定しても、覆せない領域が存在することを、あなたは知っておく必要がある。
法的な位置づけ
民事訴訟法3条の10は、国際裁判管轄に関する適用除外規定であり、訴えについて法令上日本の裁判所の専属管轄が定められている場合には、一般管轄・特別管轄・管轄の合意・応訴管轄・特別の事情による却下などの柔軟な管轄規定(3条の2から3条の4まで及び3条の6から3条の9まで)を適用しない旨を定めるものである。
よくある質問 AI による整理
Q1国際裁判管轄の専属管轄とは何ですか?
日本の裁判所だけが審理でき、当事者の合意でも他国に移せない管轄です。日本の不動産登記・会社組織・登録知財の有効性などが対象になります。
Q2国際裁判管轄の専属の特則は民事訴訟法の何条ですか?
民事訴訟法3条の10です。専属管轄が定められた事項について、3条の2から3条の9までの柔軟な管轄ルールを適用除外とする調整規定です。
Q3管轄合意があっても無効になるのはどんなときですか?
対象が日本の専属管轄事項のときです。3条の10により合意管轄(3条の7)の適用が除外され、外国裁判所を指定した条項は当該事項で効力を失います。
Q4日本にある不動産の裁判は海外でできますか?
登記など日本の専属管轄に当たる訴えは、原則として日本の裁判所でのみ審理されます。外国裁判所を合意していても3条の10で除外されます。
Q5特許の有効性の裁判はどこの国でやりますか?
日本で登録された特許権の有効性は日本の専属管轄事項です。海外仲裁・海外裁判を合意しても、有効性が争点になればその部分は日本に引き戻されます。
Q6会社の決議無効の訴えは外国の裁判所でできますか?
日本で設立した会社の組織に関する訴えは日本の専属管轄に当たり得ます。海外裁判の合意があっても3条の10により適用除外となります。
Q7民訴3条の5と3条の10の違いは何ですか?
3条の5は日本の専属管轄『そのもの』を定め、3条の10はその専属事項について他の柔軟ルールを『適用しない』とする除外規定です。役割が異なります。
Q8応訴管轄は専属管轄事項でも使えますか?
使えません。3条の10が応訴管轄(3条の8)の適用も除外するため、被告が異議なく本案で争っても専属の壁は動きません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1海外の会社と「全部ロンドンで裁判」って契約したのに、日本で裁判になるってどういうことですか?
契約の中身が日本にある不動産の登記や、日本で設立した会社の組織、日本で登録された特許権の有効性に関わると、それは日本の専属管轄事項(民訴3条の5)です。専属事項については、3条の10が管轄合意のルール(3条の7)の適用を除外するので、ロンドン合意はその部分で効きません。実務のポイント:渉外弁護士は契約書を読むとき、フォーラム条項より先に『この取引の対象が専属管轄に触れるか』を見ます。条項そのものより、対象事項の性質が管轄を決めるからです
Q2相手が日本の裁判所で争ってもいいと言えば、専属でも日本で裁判できますよね?
できません。通常の管轄なら被告が異議なく本案で争えば応訴管轄(民訴3条の8)が生じますが、3条の10は専属管轄事項について応訴管轄の適用も除外します。当事者双方が合意しても、専属の枠は動かないということです。実務のポイント:実務では『当事者が両方とも日本でいいと言っているのだから日本で』と思い込んで手続を進め、後で管轄が否定されて全部やり直しになる事故があります。専属事項は当事者の意思では動かせない、と最初に肝に銘じるかどうかで結果が分かれます
間違えやすい点 AI による整理
- 「管轄の合意は絶対で、契約書に書けば必ずその国で裁判する」と信じている人が多い。だが3条の10は、専属管轄が定められた事項についてはその合意条項(3条の7)を適用除外にする。合意の効力に穴が空いていることを知らないまま、その一行を頼りにしているのが落とし穴
- 応訴管轄(相手が異議なく本案で争えば管轄が生じる、3条の8)を使えば日本で訴えられると思っている人がいる。だが専属管轄事項では応訴管轄も適用されない。被告が「ここで争ってもいい」と言っても、専属の壁は動かない。当事者の意思では越えられない領域がある
- あなたが「専属管轄は単に便利な裁判所を一つ指定するだけのルール」と捉えているなら、問いの立て方がずれている。専属管轄は他のすべての管轄ルールを排除する遮断装置であり、3条の10はその遮断範囲を確定する条文。論点は『どこで裁判できるか』ではなく『他のどの根拠も使えなくなるのはどの範囲か』だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 3条の10:専属事項について他のルールを封じる適用除外規定 | 3条の7:当事者合意で管轄を発生させる規定 3条の8:被告の本案弁論で管轄を発生させる規定 |
| 当事者の意思で動かせるか | いいえ。専属事項は当事者の合意でも変更できない | はい。書面・電磁的記録の合意で管轄を選べる はい。異議を述べずに争えば管轄が生じる |
| 専属管轄事項での効力 | 柔軟ルール(3条の2〜4・6〜9)を一括適用除外 | 適用されない(合意は当該事項で無効) 適用されない(応訴しても管轄は生じない) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は不動産について専属管轄を定め(第10条)、合意管轄は専属管轄に反してはならないとする(第26条)。専属事項を当事者の合意で動かせない点で日本と同趣旨。
韓国は2022年改正国際私法で国際裁判管轄を体系化し、第10条で専属的国際裁判管轄を定める。専属事項では合意・応訴管轄が排除される点で日本と類似。
ドイツを含む EU 域内では、不動産の物権・賃貸借、会社の組織、登記・登録、知的財産の有効性について加盟国裁判所の専属管轄を定め、合意管轄に優先する。
米国は不動産関連訴訟を所在地に結びつける local action doctrine を持ち、forum selection clause も M/S Bremen 以降原則有効としつつ公序・著しい不公正があれば無効とする。専属概念の統一的成文化は乏しい。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが日本国内の不動産を担保にした国際融資契約を結び、管轄は香港と定めた。返済を巡る紛争で登記の効力が争点になった瞬間、3条の5の専属管轄が発動し、3条の10によって香港合意は適用外。日本の裁判所が審理する
- もし、外国企業があなたの日本法人を相手に「契約上ロンドン仲裁のはずだ」と主張してきたら、どうなるか。争いの核心が会社の取締役選任決議の無効なら、それは日本の専属管轄事項。相手の主張は通らない
- あなたが日本で設定登録された特許のライセンス契約で、米国裁判所を専属管轄に合意した。だが特許そのものの有効性(無効審判類似の争点)が前面に出ると、その部分は日本の専属管轄に吸い込まれ、米国合意は割れる
- 国際取引の法務担当として契約書をレビューしている。フォーラム条項が完璧に書けていても、対象が日本の登記・登録・会社組織に触れた瞬間、その条項は対象事項について空文化する。残された時間は調印前の数日、ここで気付けるかどうかが分水嶺
取るべき行動
被害を受けた側:1. 国外を専属管轄とする契約で紛争が起きたら、訴えの核心が日本の不動産登記・登録・会社組織に触れるか切り分ける(3条の5が定める専属事項を確認) 2. 該当するなら、3条の10により相手のフォーラム条項は適用除外、日本の裁判所に提訴できる3. 該当部分と非該当部分が混在する複合紛争では、争点ごとに管轄が割れる可能性を前提に、訴訟戦略を組む4. 国際裁判管轄は専門性が高いので、渉外案件の実績がある弁護士に早期相談
訴えられた側:1. 国外で訴えられた、または日本で訴えられた場合、まず対象が日本の専属管轄事項か検証2. 専属事項なら、たとえ契約で別の国を合意していても、または応訴したくなくても、3条の10で柔軟な管轄ルールは封じられている点を理解3. 逆に専属事項でないのに日本で訴えられたなら、管轄の合意(3条の7)や特別の事情による却下(3条の9)で争う余地が残る4. どちらに転ぶかで防御の組み方が正反対になるため、争点の性質を最初に確定する
時効(請求できる期限):本条自体に期間の定めはない。ただし国際裁判管轄を争う場合、日本の裁判所では管轄違いの主張は本案前に行う必要があり、本案について弁論すると応訴管轄(3条の8)が問題となる。もっとも専属管轄事項では応訴管轄も適用されないため、時期に関わらず管轄の欠缺を主張できる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:専属管轄は公的な制度秩序(登記制度・会社制度・登録知財の有効性)と不可分であり、当事者自治に優先する。3条の10はこの専属事項について一般・特別管轄、管轄合意、応訴管轄、特別の事情による却下を一括して適用除外とする調整規定であると解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成23年(2011年)改正、平成24年(2012年)施行 従来は判例(条理)に委ねられていた国際裁判管轄を初めて成文化した一連の規定(3条の2から3条の12)の一部として新設。専属管轄が定められた事項について、他の柔軟な管轄ルールを一括して適用除外とする調整規定を明文化した
改正の年表
- 1.平成23年(2011年) 新設:それまで判例(条理)に委ねられていた財産関係事件の国際裁判管轄を初めて成文化した一連の規定(3条の2から3条の12)の一部として新設。平成24年(2012年)4月1日施行。専属管轄が定められた事項について柔軟な管轄ルールを適用除外とする調整規定を明文化した。
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