民事訴訟法 第88条(受命裁判官による審尋)
クイックジャンプ
裁判所は、審尋をする場合には、受命裁判官にこれを行わせることができる。
この条文の基本情報
受命裁判官による審尋とは何ですか?
定義受命裁判官による審尋とは、民事訴訟法第88条に定められた規定で、「裁判所は、審尋をする場合には、受命裁判官にこれを行わせることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第88条(受命裁判官による審尋)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第88条の条文原文は「裁判所は、審尋をする場合には、受命裁判官にこれを行わせることができる。」で始まります。
- 民事訴訟法第88条は第一節 訴訟の審理等に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第88条の前の条は民事訴訟法第87条の2です。
- 民事訴訟法第88条の次の条は民事訴訟法第89条です。
- 民事訴訟法第88条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第88条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第88条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/88
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法88条は、裁判所が審尋をするとき、合議体の裁判官1人(受命裁判官)にこれを行わせることができると定める。保全や執行など決定で終わる手続で用いられ、非公開で迅速に行える。
Q · 仮差押えの審尋に呼ばれたら、法廷で裁判官3人の前に立つんですか?
いいえ、1人の受命裁判官が非公開で聞くことが多いです
民事訴訟法88条により、裁判所は審尋をするとき、合議体を構成する裁判官のうち1人(受命裁判官)にこれを行わせることができます。そのため保全・執行・倒産などの決定手続では、公開の法廷に3人の裁判官が居並ぶのではなく、非公開の場で1人の裁判官が当事者双方の言い分を聞くことが多くなります。審尋は口頭弁論より簡略で、1回で心証が固まりやすいため、疎明資料と陳述書を期日前に準備することが重要です。
解説
あなたが取引先から突然「仮差押え」を申し立てられ、裁判所から審尋の呼出状を受け取ったとする。多くの人は『公開の法廷で、3人の裁判官の前に立たされるのか』と身構える。だが実際は違うことが多い。民事訴訟法88条は、裁判所が審尋をするとき、合議体を構成する裁判官のうち1人(受命裁判官)にこれを行わせることができると定める。つまり居並ぶ法廷ではなく、非公開の準備室のような場所で、たった1人の裁判官があなたと相手方の言い分を聞く。審尋は口頭弁論と違って公開されず、手続も軽い。保全、執行、倒産といった『決定で終わる手続』で頻繁に使われる。この条文を知っているかどうかで、呼出しを受けたときの心構えと、その場に何を持って行くかが変わる。
法的な位置づけ
民事訴訟法88条は、裁判所が審尋を行う場合に、合議体を構成する裁判官のうち1人(受命裁判官)にこれを行わせることができる旨を定める手続規定である。保全・執行・倒産など決定で完結する手続において、非公開かつ簡略な聴取を1人の裁判官に委ね、手続の迅速化と裁判所の負担軽減を図る機能を持つ。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.呼出状と相手方の申立書を確認する 審尋呼出状が届いたら、指定期日と争点を確認し、相手方の申立書・疎明資料を閲覧・謄写して、何を主張されているかを正確に把握する
- 2.反論の陳述書と疎明資料を期日前に準備する 審尋は1回で心証が固まりやすいため、当日の口頭だけに頼らず、反論をまとめた陳述書と疎明資料を期日前に提出して、受命裁判官の心証形成を先回りで動かす
- 3.受命裁判官1人に向けて争点を絞る 審尋を進めるのは合議体全員ではなく受命裁判官1人。その1人に対し、最重要の争点を簡潔に口頭で補えるよう要点メモを用意しておく
- 4.不利な決定に備え不服申立ての期間を確認する 審尋後の決定は早い。保全なら保全異議・保全抗告に期間制限があるため、決定告知日を起点に申立期限を逆算し、必要なら直ちに弁護士へ相談する
よくある質問 AI による整理
Q1受命裁判官とは何ですか?
合議体(3人など)を構成する裁判官のうち、特定の手続を1人で行うよう裁判所から命じられた裁判官です。88条では審尋を、171条では弁論準備手続を担当します。
Q2審尋は公開されますか?
公開されません。憲法82条の公開原則は対審・判決が対象で、審尋は非公開で足ります。準備室のような場所で、当事者と裁判官だけで進むのが通常です。
Q3仮差押えの審尋では何を準備すればいいですか?
疎明資料と陳述書を期日前に提出するのが基本です。審尋は1回で心証が固まりやすいため、当日の口頭説明だけに頼らず、書面で争点を先回りして示すことが重要です。
Q4審尋と口頭弁論の違いは何ですか?
口頭弁論は公開・厳格で判決手続に用い、審尋は非公開・簡略で決定手続に用います。88条により審尋は受命裁判官1人に委ねられる点も大きな違いです。
Q5受命裁判官と受託裁判官の違いは?
受命裁判官は同じ合議体内の裁判官が手続を担当する場合を指し、受託裁判官は他の裁判所に手続を嘱託する場合を指します。88条は受命裁判官による審尋を定めます。
Q6審尋の呼出状が来たら無視できますか?
無視は不利益に直結します。特に保全の債務者側は、出頭・反論しないまま申立人の疎明だけで心証が固まり、差押えが認められるおそれがあります。
Q7審尋は何回くらい行われますか?
事案によりますが、保全のように迅速性が求められる手続では1回で終わることも多く、その1回で心証が決まりやすい点に注意が必要です。
Q8審尋を経た決定に不服があるときは?
決定の種類に応じた不服申立てが可能です。保全手続では保全異議・保全抗告に期間制限(告知から2週間など)があるため、決定告知日を起点に逆算します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1審尋って、普通の裁判と何が違うんですか?
審尋は口頭弁論と違って非公開で、手続も簡略です。保全・執行・倒産などの『決定で終わる手続』で使われ、88条により合議事件でも裁判官1人(受命裁判官)が行えます。実務のポイント:保全の審尋は申立てから数日で開かれることもあり、スピードが命。その場で心証を取る受命裁判官1人に向けて、争点を絞った簡潔な陳述書を先に出せるかどうかが、口頭弁論より結果を大きく分ける
Q2審尋に呼ばれたら、弁護士なしで行っても大丈夫ですか?
内容次第です。単純な事実確認の審尋なら本人でも対応できますが、保全の債務者側のように差押えの成否が懸かる審尋は一発勝負で、準備不足が致命傷になります。実務のポイント:保全の審尋は時間が短く、やり直しが効かない。債務者側は当日の口頭より、事前に出す反論の陳述書と疎明資料で勝負が決まる。呼出状が届いた段階で、間に合うなら弁護士に疎明資料の組み立てを相談する価値がある
間違えやすい点 AI による整理
- 審尋は『軽い手続だから適当でいい』と思われがちだが、保全や執行では審尋で形成された心証がそのまま決定に直結する。口頭弁論のように何度もやり直す機会はなく、1回の審尋で勝負が決まる場面が多い。軽さは『手を抜いていい』という意味ではなく、『一発で決まる怖さ』を意味する
- 『裁判はすべて公開の法廷でやる』という前提そのものが誤っている。88条が想定する審尋は非公開で、しかも合議体全員ではなく1人の受命裁判官で足りる。あなたが思い描く法廷ドラマの光景は、民事手続のごく一部にすぎない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 受命裁判官に委ねられる手続 | 88条:審尋(当事者からの聴取) | 171条:弁論準備手続(争点・証拠の整理) 195条:証人尋問(裁判所外での証拠調べ) |
| 主な使用場面 | 保全・執行・倒産など決定で終わる手続 | 通常訴訟の争点整理段階 遠隔地・出頭困難な証人等の尋問 |
| 公開性 | 非公開 | 非公開(当事者立会いが原則) 証拠調べとして実施 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も合議事件で受命法官に準備手続・訊問を委ねる制度を持ち、単独の裁判官が聴取を行う点で機能的に共通する
韓国も合議部の裁判官1人(수명법관)に一定の手続を担当させる制度を持ち、日本の受命裁判官と同種の役割を果たす
日本の受命裁判官制度の沿革的母法。合議体の1人に証拠調べ等を委ねる beauftragter Richter の発想を継受している
米国はマジストレイト・ジャッジに一定の手続を委ねる制度を持つが、嘱託に近く合議体内部の委任とは構造が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 取引先が倒産しかけ、あなたの売掛金が焦げ付きそうになった。回収のため仮差押えを申し立てたら、裁判所が債務者を呼んで審尋を開くことになった。そこに現れて心証を取るのは合議体3人ではなく、1人の受命裁判官。この1人をどう動かすかが、差押えが通るかの分かれ目になる
- もし保全の審尋期日に呼ばれて、相手方は陳述書と証拠をそろえて準備万端なのに、あなたは『口頭で説明すればいい』と手ぶらで行ったら、どうなる? 審尋は1回で心証が固まりやすく、その場の口頭だけでは挽回が効かないことが多い
- 審尋呼出状が届いた。指定期日まであと5日。非公開の場で1人の裁判官に何をどう伝えるか、疎明資料をいつまでに出すか、今夜から動かないと間に合わない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 仮差押え・仮処分を申し立てる側なら、審尋期日が指定されたら疎明資料と陳述書を期日前に提出する2. 審尋は受命裁判官1人が進めるので、その場で要点を口頭で補える準備をしておく3. 担保(保証金)の額を意識し、審尋の中で担保に関するやり取りが出る場合に備える4. 審尋後の決定は早い。不利益が出たときの不服申立ての期間を最初から頭に入れておく
訴えられた側:1. 審尋呼出状が届いたら、相手の申立書と疎明資料を閲覧・謄写して主張内容を把握する2. 反論の陳述書と疎明資料を期日前に用意し、当日その場の口頭だけに頼らない3. 受命裁判官1人の心証が決定を左右するので、争点を絞って簡潔に伝える4. 不利な決定が出たら保全異議・保全抗告を検討する。期間制限があるので決定告知の日を起点に逆算する
時効(請求できる期限):審尋それ自体に固有の時効はない。ただし審尋が多用される保全手続では不服申立てに期間制限がある(保全抗告は決定の告知から2週間、民事保全法41条)。実務上は審尋の指定期日が事実上のリミットになる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:審尋は対審ではないため憲法82条の公開原則は及ばず、非公開で足りる。88条は迅速性が求められる決定手続において、合議体全員によらず受命裁判官1人に聴取を委ねることを認めた手続的合理化規定と解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 民事訴訟法の全部改正により現行の条文番号・文言に整備され、審尋を受命裁判官に行わせることができる旨が現行88条として置かれた
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法の全部改正により、審尋を受命裁判官に行わせることができる旨が現行88条として整備された
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める