民事訴訟法 第89条(和解の試み等)
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- 裁判所は、訴訟がいかなる程度にあるかを問わず、和解を試み、又は受命裁判官若しくは受託裁判官に和解を試みさせることができる。
- 2.裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、和解の期日における手続を行うことができる。
- 3.前項の期日に出頭しないで同項の手続に関与した当事者は、その期日に出頭したものとみなす。
- 4.第百四十八条、第百五十条、第百五十四条及び第百五十五条の規定は、和解の手続について準用する。
- 5.受命裁判官又は受託裁判官が和解の試みを行う場合には、第二項の規定並びに前項において準用する第百四十八条、第百五十四条及び第百五十五条の規定による裁判所及び裁判長の職務は、その裁判官が行う。
この条文の基本情報
和解の試み等とは何ですか?
定義和解の試み等とは、民事訴訟法第89条に定められた規定で、「裁判所は、訴訟がいかなる程度にあるかを問わず、和解を試み、又は受命裁判官若しくは受託裁判官に和解を試みさせることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第89条(和解の試み等)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第89条の条文原文は「裁判所は、訴訟がいかなる程度にあるかを問わず、和解を試み、又は受命裁判官若しくは受託裁判官に和解を試みさせることができる。」で始まります。
- 民事訴訟法第89条は第一節 訴訟の審理等に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第89条の前の条は民事訴訟法第88条です。
- 民事訴訟法第89条の次の条は民事訴訟法第90条です。
- 民事訴訟法第89条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第89条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第89条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/89
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法89条は、裁判所が訴訟のいかなる段階でも和解を試みることができると定める。調書に記載された和解は確定判決と同一の効力を持ち、そのまま強制執行できる。
Q · 裁判官に和解を勧められたら、それって負けるサインなんですか?
拒んでも不利にはならないが、心証が漏れていることが多い
民事訴訟法89条により、裁判所は訴訟のどの段階でも和解を試みることができます。和解に応じる義務はなく、拒んでも法的に不利になることはありません。ただし提示される和解案は裁判官の心証を映していることが多く、不利な案を感情だけで蹴るのは危険です。さらに調書に記載された和解は確定判決と同一の効力を持ち(267条)、相手が破れば訴え直さずに強制執行できます。令和4年改正でウェブ会議による和解期日も可能になりました。
解説
訴訟の途中、裁判官がふいに「この辺りで一度、和解を考えてみませんか」と切り出す。多くの人はこれを「面倒だから早く店じまいしたいのだろう」と受け取る。それは半分しか当たっていない。民事訴訟法89条は、裁判所が訴訟のどの段階でも和解を試みることができると定める。ここに玄人だけが読み取る情報が隠れている。裁判官が和解を強く勧めてきたとき、それはしばしば、裁判官が心の中で勝敗の見通し、つまり心証をすでに固めたサインだ。あなたに不利な条件の和解案を出してくるなら、判決でも分が悪い可能性が高い。逆もまた然り。さらに、ここで成立した和解は調書に記載されると確定判決と同一の効力を持ち(267条)、相手が約束を破れば、改めて訴え直すことなくそのまま相手の財産を差し押さえられる。和解は妥協ではなく、判決と同じ武器を、より早く手に入れる手段だ。
法的な位置づけ
民事訴訟法89条は和解の試みを定める規定であり、裁判所が訴訟の進行段階を問わず和解を試み、または受命裁判官・受託裁判官に試みさせることができる旨を規定する。当事者の意見を聴いたうえで音声の送受信による方法で和解期日の手続を行うこと、および出頭しない当事者の出頭擬制も認められる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.裁判官の和解勧告のサインを読む 裁判官が「和解を考えてみませんか」「次回は和解期日に」と切り出したら、それは心証を固めたサインの可能性が高い。早く終わらせたいだけと受け取らず、提示される金額と条件をメモして判決の見通しを逆算する
- 2.和解案とあなたの請求額を冷静に比較する 提示された和解案とあなたの請求額(または相手の請求額)の差を、判決まで戦った場合の勝敗見込みと比較する。不利な案なら現時点の心証が不利なサイン。主張・証拠を補強してから再度の和解交渉に臨む
- 3.和解条項を一円・期日単位で特定する 受け入れる場合、給付の内容を金額・期日まで具体的に特定する。分割払いなら『一回でも遅れたら残額全部を直ちに払う』という期限の利益喪失条項を入れる。後の蒸し返しを防ぐ清算条項も盛り込む
- 4.遠方ならウェブ会議和解を申し出る 出廷のたびに往復の交通費と休業が発生する場合、89条2項のウェブ会議和解を申し出る。当事者の意見聴取を経て音声送受信で和解期日に参加でき、3項により出頭したものとみなされる
- 5.成立後は和解調書を債務名義として確保する 和解が調書に記載されると確定判決と同一の効力を持ち(267条)、債務名義になる(民事執行法22条)。相手が破れば別訴不要で給与や預金を差し押さえられる。調書の正本・送達証明を取得しておく
よくある質問 AI による整理
Q1訴訟上の和解とは何ですか?
係属中の訴訟で当事者が裁判所の関与のもと合意して紛争を終わらせる手続です。民事訴訟法89条が根拠で、調書に記載されると確定判決と同一の効力を持ちます(267条)。
Q2和解調書にはどんな効力がありますか?
確定判決と同一の効力を持ち(267条)、債務名義になります(民事執行法22条)。相手が約束を破れば訴え直さずに財産を差し押さえられます。
Q3ウェブ会議で和解はできますか?
令和4年改正により可能です。89条2項で当事者の意見を聴いたうえで音声送受信の方法による和解期日が認められ、3項で出頭擬制されます。遠方の本人訴訟でも出廷負担を減らせます。
Q4和解条項案の書面受諾には期限がありますか?
あります。裁判所が示した和解条項案は、定められた期間内に受諾の書面を出さなければ効力を生じません(264条)。期限を過ぎると審理に逆戻りします。
Q5即決和解とは何ですか?
訴え提起前の和解(275条)です。すでに合意がある当事者が簡易裁判所に申し立て、和解調書を作ることで判決と同じ執行力ある紙を得られます。訴訟を起こす必要がありません。
Q6和解で受け取ったお金に税金はかかりますか?
性質によります。損害賠償か売買代金か未払賃金かで課税扱いが変わります。和解条項の文言から税務署が性質を判断するため、書きぶり一つで手取りが変わることがあります。
Q7和解条項に何を盛り込むべきですか?
給付の内容を一円単位・期日単位で特定し、分割払いなら期限の利益喪失条項、後の蒸し返しを防ぐ清算条項を入れます。曖昧だと和解調書でも執行できません。
Q8和解と調停はどう違いますか?
和解は係属中の訴訟内で裁判所が試みるもの(89条)、調停は民事調停法に基づく訴訟外の手続です。いずれも合意成立で執行力ある調書になりますが、利用する手続の入口が異なります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1裁判官に和解を勧められたんですが、蹴ったら判決で不利になりますか?
和解に応じる義務はなく、蹴ること自体で法的に不利になることはありません(89条はあくまで「試み」)。ただし提示された和解案は裁判官の心証を映していることが多く、不利な案を感情だけで拒むのは危険です。実務のポイント:弁護士は和解案の中身を心証を読む材料に使います。あなたに7割払えという案なら判決でも7割負けが見えている、と逆算する。蹴る前に、なぜその案が出たかを必ず読む
Q2和解で決まった内容って、相手が守らなかったら結局また裁判ですか?
いいえ。調書に記載された訴訟上の和解は確定判決と同一の効力を持ち(267条)、そのまま債務名義になります(民事執行法22条)。相手が払わなければ訴え直さずに給与や預金を差し押さえられます。実務のポイント:ただし和解条項で給付内容が曖昧だと執行できません。『誠意をもって支払う』では差し押さえられない。金額と期日を一円単位で特定した条項にできるかどうかが、この紙の価値を決める
間違えやすい点 AI による整理
- 「和解は妥協、つまり負けを認めること」と思っている人が多い。だが和解条項は判決より柔軟に組める。分割払い、謝罪文言、口外禁止、相手の財産状況に合わせた現実的な回収など、判決では実現できない着地点を作れる。早く、確実に、自分に有利な形で終わらせる手段でもある
- 「和解できること自体は知っている」という人でも、和解調書の重さを知らないことが多い。調書に記載された和解は確定判決と同一の効力を持ち(267条)、二度と蒸し返せず、相手が破れば即強制執行できる。判決と同じく既判力に縛られる以上、その場の勢いでサインしてはいけない一枚なのだ
- あなたから見れば和解は「譲歩」だが、裁判官から見れば「事件を合理的に処理する着地点」だ。この視点の落差を知らないまま和解案を感情で蹴ると、裁判官の心証を逆撫でし、結局その心証どおりの判決でしっぺ返しを食らう。蹴る自由はあるが、なぜその案が出てきたかを読まずに蹴るのは危険だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 性質 | 和解の試み(89条):当事者の合意による紛争解決 | 判決:裁判所の判断による権利の確定 即決和解(275条):訴え提起前の合意の調書化 |
| 効力 | 調書記載で確定判決と同一の効力(267条) | 確定により既判力・執行力が生じる 和解調書として確定判決と同一の効力 |
| 手続段階 | 訴訟係属中、いかなる段階でも可能 | 口頭弁論終結後に言い渡される 訴え提起前(訴訟になる前) |
| 柔軟性 | 分割払い・謝罪文言・口外禁止など柔軟に設計可 | 請求の趣旨の範囲で一律に判断 当事者の合意内容に応じて柔軟 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も裁判所がいつでも試行和解でき、成立した和解は確定判決と同一の効力を持つ点で日本と同構造
韓国も裁判所が和解を勧告でき、화해조서(和解調書)は確定判決と同一の効力を有する。日本法の影響が強い
ドイツは口頭弁論に先立つ Güteverhandlung(和解期日)を原則必須とし、和解による解決を手続の前提に組み込んでいる
米国は pretrial conference で和解を促し、settlement が訴訟の大多数を占める。裁判官による積極的な和解勧奨が実務慣行
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし第二回口頭弁論の直後、裁判官が突然「次回は和解期日にしましょう」と言い出したら、それは何を意味する? あなたの主張がどこまで裁判官に通っているかの、無言の通知かもしれない。提示される和解案の金額と条件を読み解けば、まだ判決が出ていない段階で、判決の方向が透けて見える
- あなたが貸金の返還を求められた被告だとする。一括では到底払えない。だが裁判官が和解を勧めてきたら、ここが分岐点だ。判決なら一括の支払命令だが、和解なら分割払いを条件に盛り込める。しかもその和解調書は、判決と同じく相手も縛る。負けを和解という形で柔らかく着地させる技術がある
- 遠方に住むあなたが本人で訴訟をしている。出廷のたびに往復の交通費と丸一日の休業。2項のウェブ会議和解を申し出れば、自宅から音声でつないで和解期日に参加でき、3項により出頭したものとみなされる
- 裁判所から和解条項案が示され、書面で受諾するかどうかの回答期限が切られた。あと数日。期限内に受諾の書面を出さなければ、その和解案は流れて審理に逆戻り(264条)。この数日の判断が、和解で終わるか判決まで戦い続けるかを分ける
取るべき行動
被害を受けた側:1. 裁判官から和解勧告があったら、提示案とあなたの請求額の差を、判決で勝った場合の見込みと冷静に比較する2. 和解案が不利なら、それは現時点の心証が不利なサイン。主張と証拠を補強してから再度の和解交渉に臨む3. 受け入れる場合、和解条項は給付の内容を一円単位、期日単位で特定し、分割払いなら期限の利益喪失条項を必ず入れる4. 成立後は和解調書がそのまま債務名義になり(民事執行法22条)、相手が破れば別訴不要で強制執行できる
訴えられた側:1. 敗訴の見込みが高いなら、和解は判決リスクを回避し条件を柔らかくする手段。分割払いや減額を交渉材料にする2. 一括が無理でも、判決と違い和解なら現実的な分割案を組める3. 和解条項に『本件に関し当事者間に他に債権債務がないことを確認する』という清算条項を入れ、後の蒸し返しを封じる4. 遠方なら2項のウェブ会議和解を申し出て、出廷の負担そのものを減らす
時効(請求できる期限):和解の試み自体に時効はなく、訴訟のどの段階でも可能(1項)。ただし裁判所が示した和解条項案の書面受諾は、定められた期間内に受諾しなければ効力を生じない(264条)。和解調書に記載され確定した債権の消滅時効は10年(民法169条、確定判決と同一の効力を有するものによる確定)。起算点は和解成立日、履行期の定めがあればその到来時
学説
両性説(通説):訴訟上の和解は、私法上の和解契約(民法695条)としての性質と、訴訟を終了させる訴訟行為としての性質を併せ持つとする立場。意思表示に瑕疵がある場合の救済と訴訟手続の安定の調和を図る。
訴訟行為説:訴訟上の和解を専ら訴訟行為と捉え、その効力は手続法によって規律されるとする立場。手続の安定を重視するが、私法上の瑕疵による救済の説明には別途の構成を要する。
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧民事訴訟法から条文番号が再編され、現行89条として、裁判所がいかなる段階でも和解を試み、受命裁判官・受託裁判官に試みさせることができる旨を整理した
- 令和4年(2022年)民事訴訟手続 IT 化改正 2項・3項を新設し、当事者の意見を聴いたうえで音声の送受信による通話の方法(電話会議・ウェブ会議)で和解期日の手続を行えること、出頭せず関与した当事者を出頭擬制することを認めた。施行は段階的(最新の施行状況をご確認ください)
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正。旧民事訴訟法から条文番号が再編され、現行89条として、裁判所がいかなる段階でも和解を試み、受命裁判官・受託裁判官に試みさせることができる旨を整理した
- 2.令和4年(2022年) 改正:民事訴訟手続の IT 化改正により2項・3項を新設。当事者の意見を聴いたうえで音声の送受信による方法(電話会議・ウェブ会議)で和解期日の手続を行えること、出頭しない当事者の出頭擬制を認めた。施行は段階的
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