民事訴訟法 第265条(裁判所等が定める和解条項)
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- 裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、当事者の共同の申立てがあるときは、事件の解決のために適当な和解条項を定めることができる。
- 2.前項の申立ては、書面でしなければならない。この場合においては、その書面に同項の和解条項に服する旨を記載しなければならない。
- 3.第一項の規定による和解条項の定めは、口頭弁論等の期日における告知その他相当と認める方法による告知によってする。
- 4.当事者は、前項の告知前に限り、第一項の申立てを取り下げることができる。この場合においては、相手方の同意を得ることを要しない。
- 5.第三項の告知が当事者双方にされたときは、当事者間に和解が調ったものとみなす。
この条文の基本情報
裁判所等が定める和解条項とは何ですか?
定義裁判所等が定める和解条項とは、民事訴訟法第265条に定められた規定で、「裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、当事者の共同の申立てがあるときは、事件の解決のために適当な和解条項を定めることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第265条(裁判所等が定める和解条項)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第265条の条文原文は「裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、当事者の共同の申立てがあるときは、事件の解決のために適当な和解条項を定めることができる。」で始まります。
- 民事訴訟法第265条は第六章 裁判によらない訴訟の完結に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第265条の前の条は民事訴訟法第264条です。
- 民事訴訟法第265条の次の条は民事訴訟法第266条です。
- 民事訴訟法第265条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第265条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第265条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/265
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法265条の裁定和解は、当事者の共同申立てにより裁判所が和解条項を定める制度。双方への告知で和解が成立し、確定判決と同一の効力を持つ。
Q · 裁判で揉めているとき、裁判官に和解の中身を丸ごと決めてもらう方法はあるの?
ある。265条の裁定和解で裁判官が条項を定める
民事訴訟法265条の裁定和解により、当事者が共同で書面を出して「裁判所が定める和解条項に服する」と申し立てれば、裁判官が事件に適した和解の中身そのものを定めます。告知が双方にされた瞬間に和解が成立したとみなされ(同条5項)、その和解は267条で確定判決と同一の効力を持ちます。相手が従わなければ、改めて訴えることなく強制執行に進めます。ただし告知前であれば、相手の同意なく一方的に申立てを取り下げられます(同条4項)。
解説
裁判で争っているとき、両者とも「もう終わらせたい」のに、賠償額や明渡しの期限という最後の一歩で詰まる場面がある。判決まで突き進めば白か黒かのギャンブルになり、控訴でさらに一年延びるかもしれない。そこに265條の裁定和解という抜け道がある。双方が共同で書面を出し「裁判所が決めた和解条項に従う」と申し立てれば、裁判官が事件に最も適した和解の中身を自ら決めてくれる。そして告知が当事者双方になされた瞬間、当事者間に和解が調ったものとみなされる。この和解は267條により確定判決と同一の効力を持つ。つまり相手が従わなければ、そのまま強制執行できる。判決を待つより速く、安く、しかも判決と同じ強制力を手に入れる手だ。ただし実務での利用は決して多くない。だからこそ、この道を知っているかどうかで交渉のカードが一枚増える。
法的な位置づけ
民事訴訟法265条は裁定和解を定める規定であり、当事者の共同の申立てがある場合に、裁判所または受命・受託裁判官が事件解決のため適当な和解条項を自ら定め、双方への告知によって和解が調ったものとみなす制度を規律する。当事者が内容形成を裁判所に委ねる点で、通常の裁判上の和解と区別される。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.金額・期限だけが詰まった事件かを見極める 請求の大筋には争いがなく、賠償額や明渡し期限など最後の一歩だけで折り合えていない案件かを確認する。そこが裁定和解の適地。全面的に争いがある事件には向かない
- 2.証拠調べ後、相手方に共同申立てを打診 証拠調べがある程度進み、裁判官が心証を形成した段階で、相手方に裁定和解の共同申立てを打診する。早すぎる段階で委ねると裁判官の心証が固まる前の決定になり読みにくい
- 3.書面で「和解条項に服する旨」を明記して共同申立て 265条2項に従い、共同の申立てを書面で行い、その書面に「裁判所が定める和解条項に服する」旨を必ず記載する。口頭申立ては無効
- 4.不利と感じたら告知前に取下げ 申立て後でも、告知前であれば相手の同意なく一方的に取り下げられる(265条4項)。手元の証拠が出し切れていない、不利だと感じる場合は告知前に撤回する
- 5.告知後は和解調書を債務名義に強制執行 告知が双方にされ和解が成立したら、267条により確定判決と同一の効力を持つ。相手が履行しなければ、和解調書を債務名義として給与差押えや競売などの強制執行に進める
よくある質問 AI による整理
Q1裁定和解とは何ですか?
当事者が共同で申し立て、裁判所が和解条項そのものを定める制度です。民事訴訟法265条が根拠で、双方への告知により和解が成立したとみなされます。
Q2裁定和解と普通の和解の違いは何ですか?
普通の和解は当事者が内容を合意しますが、裁定和解は当事者が「中身はお任せ」と委ね、裁判官が金額や期限を設計する点が違います。委ねる合意のみが当事者の意思です。
Q3裁定和解は判決より効力が弱いですか?
弱くありません。267条により確定判決と同一の効力を持ち、相手が履行しなければ和解調書を債務名義として直接強制執行できます。
Q4裁定和解の申立ては口頭でできますか?
できません。265条2項で書面によることが要件とされ、その書面に和解条項に服する旨を記載しなければなりません。
Q5裁定和解の申立ては取り下げられますか?
告知前に限り、相手方の同意なく一方的に取り下げられます(265条4項)。ただし告知の瞬間に和解が確定するため、それ以降は撤回できません。
Q6和解条項の内容を見てから受けるか決められますか?
できません。和解条項は告知の瞬間に確定します。内容を先に確認してから判断したい場合は、書面受諾型の264条の枠組みが向きます。
Q7裁定和解はどの段階で申し立てるのが有利ですか?
証拠調べが一通り終わり、裁判官が事件の心証を形成した後が有利です。その段階の裁定は判決の落としどころに近くなります。
Q8裁定和解は実務でよく使われますか?
利用は決して多くありません。だからこそ制度を知っているかどうかが交渉のカードを一枚増やすことにつながります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1和解って結局、判決より弱いんじゃないですか。相手が守らなかったら、また裁判するんでしょう?
いいえ、逆です。裁定和解は調書に記載されると確定判決と同一の効力を持ちます(民訴267條)。相手が履行しなければ、改めて訴える必要はなく、その調書を債務名義として給与差押えや不動産競売などの強制執行へ直接進めます。実務のポイント:通常の話し合いの和解(裁判上の和解)も同じ効力ですが、当事者が金額で折り合えないときに裁判官に内容決定を委ねられるのが265條の特徴。執行力の強さは普通の和解とまったく同じだと知らない当事者が多い
Q2両方で申し立てたら、もう裁判官が決めた内容に絶対従わないといけないんですか。途中でやめられない?
告知される前であれば、相手の同意なしに一方的に取り下げられます(民訴265條4項)。ただし和解条項は告知の瞬間に確定するため、決まった中身を見てから受けるか断るかを選ぶことはできません。実務のポイント:内容を先に確認してから判断したいなら、265條ではなく、相手が提示した和解案を書面で受諾する264條の枠組みのほうが向く場面がある。どちらの条文で動くかで、見てから決められるか否かが変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 和解は当事者同士が話し合って内容を決めるもの、と思い込んでいる人が多い。だが265條の裁定和解では、双方が「中身はお任せします」と委ねた上で、裁判官が和解条項そのものを定める。合意するのは「裁判官の決定に従う」という一点だけで、金額も期限も裁判官が設計する
- 「和解だから判決より弱い、守らなくても何とかなる」と考えるのは危険だ。裁定和解は267條により確定判決と同一の効力を持つ。相手が履行しなければ、改めて訴える必要なく、その和解調書だけで給与差押えや競売といった強制執行へ進める。普通の契約書とは深刻さの次元が違う
- 「告知前なら取り下げられるのだから、決まった内容を見てから断ればいい」と考えるかもしれないが、その前提が間違っている。和解条項は告知の瞬間に確定する。内容を先に見せてもらってから受けるか断るかを選ぶ、という使い方はできない。委ねる時点で結果が見えない覚悟が要る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 内容を誰が決めるか | 265条:裁判所が和解条項を定める(裁定和解) | 264条:相手の和解条項案を当事者が書面で受諾 89条:裁判所が和解を試みる(一般的基礎) |
| 内容確認の可否 | 告知の瞬間に確定、内容を見てから断れない | 提示された条項案を確認してから受諾できる 成立まで当事者が随時合意内容を調整できる |
| 効力 | 267条により確定判決と同一の効力・執行力 | 267条により確定判決と同一の効力・執行力 成立すれば267条で確定判決と同一の効力 |
| 撤回・取下げ | 告知前に限り相手の同意なく取下げ可(4項) | 受諾の意思表示までは応じない自由がある 合意成立までは自由、成立後は不可 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の裁判上の和解も確定判決と同一の効力を持つ点で共通。ただし裁判官が和解条項そのものを職権で設計する裁定和解型の明文規定は日本ほど明確ではない
韓国も和解調書に確定判決と同一の効力を認める。裁判所の和解勧告(화해권고결정)が職権的解決として機能し、機能面で裁定和解に近い
ドイツは書面による和解(Vergleich durch Beschluss)で裁判所が和解成立を決定により確認する仕組みを持ち、当事者の合意を裁判所が確定させる点で機能的に類似
米国は当事者合意に基づく Consent Decree を裁判所が承認・登録する方式が中心。裁判官が和解内容を自ら設計する裁定和解型とは構造が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 賃貸物件の明渡し訴訟で、退去そのものには争いがないが「いつまでに、いくらの立退料で」が双方譲らず半年。もし両者が共同で裁定和解を申し立てたら、家賃相場も双方の事情も把握した裁判官が、明渡し期限と金額を一括で決める。判決のような全か無かではなく、現実的な着地点になりやすい
- 被告として高額の損害賠償を請求され、責任は一部認めるが請求額が過大だと感じている。原告から裁定和解を持ちかけられたとき、応じれば裁判官が中間的な金額を定める可能性が高い。判決で満額認容されるリスクと、裁定和解で着地させる安全のどちらを取るか。応じる前に、自分の手元の証拠がどれだけ揃っているかを冷静に見極める必要がある
- もし、両者が和解書面を共同提出した後、相手が急に強気に転じて「やっぱり判決でいい」と言い出したら、どうなるか。265條4項により、告知前であれば相手の同意なしに一方的に申立てを取り下げられる。ただし告知の瞬間に和解は確定するため、決められた内容を見てから断ることはできない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 請求の大筋には争いがなく、金額や期限だけが詰まっている案件かを見極める。そこが裁定和解の適地だ2. 証拠調べがある程度進み、裁判官が心証を形成した段階で、相手方に共同申立てを打診する3. 応じる場合は265條2項に従い、書面で「裁判所が定める和解条項に服する」旨を明記して提出する4. 告知で和解が成立したら、それは確定判決と同一の効力(267條)を持つ。相手が履行しなければ、その和解調書を債務名義として直ちに強制執行へ進める
訴えられた側:1. 相手から裁定和解を持ちかけられたら、まず判決になった場合の最悪値(満額認容のリスク)と、裁定和解で見込まれる中間的着地を試算する2. 自分に有利な証拠がまだ出し切れていないなら、証拠を尽くしてから委ねる。委ねた後は内容を見て断れない3. 申し立てた後でも、告知前であれば相手の同意なく一方的に取り下げられる(265條4項)。決着を急がず、不利と感じたら告知前に撤回する4. 告知され成立した和解は強制執行可能になるため、履行計画を事前に固めておく
時効(請求できる期限):告知前に限り、相手方の同意なく共同の申立てを一方的に取り下げられる(265條4項)。告知が当事者双方にされた時点で和解が調ったものとみなされ(同5項)、以後の撤回はできない。手続自体に消滅時効はないが、訴訟が係属している間にのみ利用できる制度である
学説
通説:裁定和解(265条)は、当事者が処分権主義に基づく内容形成を裁判所に委ね、告知により和解成立とみなす制度である。当事者自治と裁判所の後見的関与の均衡点に置かれ、267条による執行力は通常の裁判上の和解と同一とされる
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正、平成10年(1998年)施行 裁定和解(裁判所等が定める和解条項)を新設。当事者の共同申立てを要件に、裁判所が和解条項を定め、双方への告知により和解成立とみなす仕組みを創設した。旧民事訴訟法には存在しなかった制度
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 新設:民事訴訟法全部改正により裁定和解(裁判所等が定める和解条項)を新設。当事者の共同申立てを要件に、裁判所が和解条項を定め、双方への告知により和解成立とみなす仕組みを創設。旧民事訴訟法には存在しなかった制度。平成10年(1998年)施行
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