民事訴訟法 第266条(請求の放棄又は認諾)
クイックジャンプ
- 請求の放棄又は認諾は、口頭弁論等の期日においてする。
- 2.請求の放棄又は認諾をする旨の書面を提出した当事者が口頭弁論等の期日に出頭しないときは、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、その旨の陳述をしたものとみなすことができる。
この条文の基本情報
請求の放棄又は認諾とは何ですか?
定義請求の放棄又は認諾とは、民事訴訟法第266条に定められた規定で、「請求の放棄又は認諾は、口頭弁論等の期日においてする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第266条(請求の放棄又は認諾)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第266条の条文原文は「請求の放棄又は認諾は、口頭弁論等の期日においてする。」で始まります。
- 民事訴訟法第266条は第六章 裁判によらない訴訟の完結に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第266条の前の条は民事訴訟法第265条です。
- 民事訴訟法第266条の次の条は民事訴訟法第267条です。
- 民事訴訟法第266条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第266条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第266条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/266
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法266条は、請求の放棄・認諾を口頭弁論等の期日で行うと定める。書面提出により出頭しなくても陳述したとみなされ、調書に記載されれば確定判決と同じ効力を持つ。
Q · 裁判で『全部認めます』と言ったら、その場で負けが確定するの?
はい。認諾は確定判決と同じ効力を持ち、撤回できません
民事訴訟法266条により、請求の認諾(被告が原告の請求を全部認める陳述)と請求の放棄(原告が自らの請求を捨てる陳述)は、口頭弁論等の期日で行います。書面を提出して期日に出頭しなければ、その陳述をしたものとみなされます(2項)。一度調書に記載されると、次条267条で確定判決と同一の効力が生じ、控訴も再訴もできません。認諾調書はそのまま強制執行の債務名義になるため、相手はあなたの財産差押えに直行できます。
解説
法廷で被告が「原告の請求を全部認めます」と述べた瞬間、勝敗は決まる。判決を待つ必要はない。これが請求の認諾だ。逆に原告が「この請求を放棄します」と述べれば、それが請求の放棄になる。多くの人が見落とすのは、この一言が次の条文(267条)によって確定判決とまったく同じ効力を持つという点だ。控訴もできない。同じ相手に同じ請求で訴え直すこともできない(既判力)。和解のように条件を付ける余地もない、全部認めるか全部捨てるか、その二択だ。さらに2項を使えば、書面を出しておくだけで法廷に出頭しなくても認諾・放棄したものとみなされる。つまりあなたが法廷の空気に飲まれてうっかり口にした一言が、後戻りのできない最終結論になりうる。座っているその椅子の重みを、知っているかどうかで判断が変わる。
法的な位置づけ
民事訴訟法266条は請求の放棄及び認諾の手続を定める規定である。請求の放棄とは原告が自らの請求に理由がないことを認める陳述、請求の認諾とは被告が原告の請求に理由があることを認める陳述をいい、いずれも口頭弁論等の期日で行うか、書面提出と期日不出頭の組合せにより成立する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.認める範囲が全部か一部かを見極める 法廷で「認めます」と口にする前に、争点が請求の全部に及ぶのか一部だけなのかを冷静に整理する。一部でも争いがあるなら全面認諾せず、一部認諾や和解での条件交渉に切り替える余地を確保する
- 2.認諾・放棄の陳述は期日で正確に調書化させる 認諾・放棄は口頭弁論等の期日で陳述し、その内容を調書に正確に記載させる。記載が曖昧だと後の強制執行や既判力の範囲で争いになる。範囲・金額・対象を明確にする
- 3.出頭できないなら書面提出で対応する 遠方・体調不良などで期日に出頭できないときは、2項を使い放棄・認諾の旨の書面を提出する。出頭しなくてもその陳述をしたものとみなされるため、無理な出廷コストを省ける
- 4.相手が認諾したら速やかに強制執行へ動く 相手が認諾した場合、できた認諾調書は債務名義になる。相手が財産を隠す前に、執行文付与の申立てと差押え準備に直ちに入る。時間が回収率を左右する
よくある質問 AI による整理
Q1請求の認諾とは何ですか?
被告が原告の請求に理由があると全部認める陳述です。民事訴訟法266条が手続を定め、調書に記載されると確定判決と同じ効力(267条)が生じます。
Q2請求の放棄とは何ですか?
原告が自らの請求に理由がないと認めて捨てる陳述です。認諾の裏返しで、同じく口頭弁論等の期日で行い、既判力が生じて再訴できなくなります。
Q3認諾調書とは何ですか?
認諾の陳述を記載した調書で、確定判決と同一の効力を持ちます。そのまま強制執行できる債務名義となり、相手は新たな判決なしに差押えへ進めます。
Q4認諾調書で強制執行はできますか?
できます。認諾調書は債務名義(民事執行法22条)に該当し、給与や預金の差押えなどの強制執行が可能です。勝訴判決を待つより早く動ける場面があります。
Q5認諾離婚とは何ですか?
離婚訴訟で被告が離婚請求を認諾して離婚を成立させる方法です。人事訴訟法37条の条件下でのみ認められ、通常の民事訴訟の認諾とは扱いが異なります。
Q6請求の認諾は書面でできますか?
2項により、認諾・放棄の旨の書面を提出して期日に出頭しなければ、その陳述をしたものとみなされます。遠方や体調不良で出頭できない当事者に有用です。
Q7一部認諾とは何ですか?
請求の一部のみを認める認諾です。認めた部分は確定し、残部については審理が続行されます。全部認諾と異なり、争う余地を残せます。
Q8請求の認諾に既判力はありますか?
あります。267条により確定判決と同一の効力が生じ、既判力が発生します。同じ当事者が同じ請求で訴え直すことはできません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1法廷で「認めます」と言ったあと、やっぱり撤回したいと思ったら取り消せますか?
原則として取り消せません。請求の認諾が調書に記載されると、確定判決と同じ効力(民事訴訟法267条)が生じ、控訴もできず既判力も発生します。例外的に、認諾の意思表示に錯誤・詐欺・強迫があった場合などに限り、争う余地が残るにすぎません。実務のポイント:実務では、認諾は事実上「その場で確定する判決」として扱われます。だから経験のある弁護士は、依頼者が法廷で勢いに任せて認める発言をしないよう、期日前に「どこまで認め、どこを争うか」の線引きを徹底的に詰めておきます
Q2認諾と訴えの取下げって、どう違うんですか?両方とも訴訟が終わりますよね?
終わり方がまったく違います。訴えの取下げ(261条)は訴え自体がなかったことになり、原則として同じ請求で再び訴えることができます。一方、請求の認諾は中身を認めて既判力が生じるため、同じ争いを蒸し返せません。実務のポイント:相手にもう二度とこの件で訴えてほしくないなら、取下げで終わらせるのは危険です。取下げだと相手は再訴できるからです。完全に決着させたいなら、和解か認諾・放棄で既判力を発生させる、この選択を意識している当事者は意外に少ない
間違えやすい点 AI による整理
- 「認めます」と言っても、後で気が変われば撤回できると思っている人がいる。できない。認諾・放棄が調書に記載されれば確定判決と同じ効力(267条)が生じ、原則として取消しも控訴もできない。意思表示に錯誤・詐欺・強迫があったなど、極めて限られた場合に争える余地が残るにすぎない
- 認諾すれば裁判が終わることは知っていても、その効力の深さを知らない人が多い。認諾調書は単なる「終わりの合図」ではなく、そのまま強制執行できる債務名義になる。相手は新たに判決をもらう手間なく、あなたの財産の差押えに直行できる
- 「認諾と訴えの取下げ、どちらで終わらせるか」と問う人がいるが、この問いの立て方自体がずれている。取下げ(261条)は訴えがなかったことになり再訴の余地が残るのに対し、認諾は中身を認めて既判力が生じる。終わらせ方の好みではなく、未来に同じ争いを蒸し返せるかどうかが本質的な分岐点だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 効力 | 266条 放棄・認諾:267条で確定判決と同一の効力(既判力) | 261条 訴えの取下げ:訴えがなかったことになる(既判力なし) 89条 訴訟上の和解:267条で確定判決と同一の効力 |
| 再訴の可否 | 原則不可(同一請求で蒸し返せない) | 原則可能(再訴できる) 原則不可(既判力が及ぶ) |
| 内容の調整余地 | 全部認めるか全部捨てるか、中間なし(一部認諾は別) | 訴え全体を終了、内容調整なし 条件・分割など柔軟に合意できる |
| 強制執行 | 認諾調書が債務名義となり直ちに執行可 | 債務名義は生じない 和解調書が債務名義となり執行可 |
他国ではどう定めているか 4 か国
当事者が訴訟標的を捨棄・認諾した場合、裁判所はその捨棄・認諾に基づき判決をすると定める。判決の形をとる点で調書方式の日本とやや異なる。
請求の放棄・認諾を記載した調書は確定判決と同一の効力を持つとし、日本267条とほぼ同趣旨の規律を置く。
認諾(Anerkenntnis)に基づく認諾判決、放棄(Verzicht)に基づく放棄判決を予定する。日本法の母法にあたる。
当事者の合意・承認に基づく判決として consent judgment があり、認諾に近い機能を果たすが、制定法上の統一条文ではなく判例・州法により規律される。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 貸金の返還を求められて法廷に立ったあなたは、裁判官から「ここはもう認めましょう」と促され、つい「全部認めます」と言いそうになる。だがその一言を口にした瞬間、控訴の道は消え、相手はその調書だけであなたの給与や口座を差し押さえられる。本当に全額に争いがないか、言う前に一拍置けるか
- もし相手が法廷であっさり「請求を全部認めます」と認諾したら、あなたは判決を待たずにその日のうちに勝ちが確定する。問題はその後だ。認諾調書を債務名義として、いつ、どう強制執行へ動くか
- 離婚訴訟で被告が「離婚に応じます」と述べる。これは認諾離婚と呼ばれ、人事訴訟法37条の条件下でのみ成立する。普通の民事訴訟の認諾と同じだと思い込むと足をすくわれる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手が認諾の意向を見せたら、その範囲が請求の全部か一部かを必ず確認する、一部認諾なら残部の審理は続く2. 認諾の陳述は口頭弁論等の期日で行わせ、調書に正確に記載させる(267条で確定判決と同じ効力) 3. できた認諾調書は債務名義になるので、相手が財産を動かす前に強制執行(差押え)の準備に入る4. 自分が請求を放棄しそうな場面では、取下げ(261条、再訴可能)で足りるのに放棄(既判力発生、再訴不可)を選んでいないか、その違いを必ず意識する
訴えられた側:1. 法廷で「認めます」と言う前に、本当に請求の全部を争わないのか冷静に検証する、一度認諾すれば控訴もできず調書はそのまま差押えの根拠になる2. 全部ではなく一部に争いがあるなら、安易な全面認諾ではなく一部認諾や和解での条件交渉を検討する3. 出頭できない事情があるなら、2項を使い書面で意思を明確にする方法もある4. うっかり認諾してしまった場合、撤回は原則不可だが、意思表示に錯誤・詐欺・強迫があったなら争える余地が残る、すぐ弁護士に相談する
時効(請求できる期限):放棄・認諾そのものに期限はないが、口頭弁論等の期日で陳述するか、2項の書面を提出して期日に不出頭となることで効力が生じる。いったん調書に記載されれば確定判決と同じ効力が生じ、通常の控訴期間(判決送達から2週間)のような取消しの機会は原則として存在しない
学説
通説:請求の放棄・認諾は処分権主義に基づく一方的訴訟行為であり、相手方の同意を要しない。267条により調書記載で確定判決と同一の効力が生じ、原則として撤回・取消しはできないが、意思表示に錯誤・詐欺・強迫等の瑕疵がある場合に限り例外的に争う余地が残るとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正。旧民訴法の規定を整理し、請求の放棄・認諾の手続を266条、その効力を267条に分けて明文化した。
- 2.令和4年(2022年) 改正:民事訴訟手続の IT 化改正。口頭弁論等の期日のオンライン化など全体的な手続のデジタル対応が進められた。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める