民事訴訟法 第262条(訴えの取下げの効果)
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- 訴訟は、訴えの取下げがあった部分については、初めから係属していなかったものとみなす。
- 2.本案について終局判決があった後に訴えを取り下げた者は、同一の訴えを提起することができない。
この条文の基本情報
訴えの取下げの効果とは何ですか?
定義訴えの取下げの効果とは、民事訴訟法第262条に定められた規定で、「訴訟は、訴えの取下げがあった部分については、初めから係属していなかったものとみなす。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事訴訟法第262条(訴えの取下げの効果)は、日本の民事訴訟法に含まれる条文です。
- 民事訴訟法第262条の条文原文は「訴訟は、訴えの取下げがあった部分については、初めから係属していなかったものとみなす。」で始まります。
- 民事訴訟法第262条は第六章 裁判によらない訴訟の完結に置かれています。
- 民事訴訟法の公布日は平成8年6月26日です。
- 民事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 民事訴訟法第262条の前の条は民事訴訟法第261条です。
- 民事訴訟法第262条の次の条は民事訴訟法第263条です。
- 民事訴訟法第262条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第262条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 - 本サイト収録
民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第262条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/408AC0000000109/262
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事訴訟法262条は訴えの取下げの効果を定め、取り下げた訴訟は初めから係属しなかったものとみなされる。ただし本案の終局判決後に取り下げると、同一の訴えは再び提起できない。
Q · 形勢が悪くなった訴訟、取り下げてまた訴え直せるの?
判決前ならやり直せるが、終局判決後の取下げは再訴禁止
民事訴訟法262条1項により、取り下げた訴訟は「初めから係属していなかった」とみなされます。本案の終局判決が出る前なら、訴える権利自体は残るので訴え直せます。しかし2項により、本案の終局判決があった後に取り下げると、同一の訴えは二度と提起できません(再訴禁止)。さらに提訴で得た時効の完成猶予も遡って消え、取下げから6か月で時効が再び進みます。取下げのタイミングが権利の生死を分けます。
解説
訴えを取り下げれば、その事件は「最初からなかったこと」になる。多くの人はこれを便利なリセットボタンだと思っている。形勢が悪くなったら一度引っ込めて、態勢を立て直してまた訴えればいい、と。だが民事訴訟法262条には二つの罠が仕込まれている。第一に、取り下げた瞬間その訴訟は遡って消滅するので、訴え提起で得ていた時効の完成猶予の効果も巻き戻る(取下げの時から6か月は猶予が残るが、その後は時効が再び進む)。第二に、もし第一審で本案の終局判決(請求を認める・退ける判決)が出たあとに取り下げると、あなたは同じ相手に同じ請求で二度と訴えられなくなる。これが再訴禁止だ。「負けそうだから取り下げて出直す」は、判決後では自分の請求権を裁判で実現する道を永久に捨てる行為になりうる。取り下げのタイミングが、あなたの権利の生死を分ける。
法的な位置づけ
民事訴訟法262条は訴えの取下げの効果を規律する規定である。第1項は取り下げられた部分について訴訟が初めから係属していなかったものとみなす遡及的消滅を、第2項は本案の終局判決後に取り下げた者が同一の訴えを再び提起できない再訴禁止を定める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.本案の終局判決が出ているか確認 取り下げる前に、第一審で本案の終局判決(請求を認容・棄却する判決)が言い渡されたかを確認する。出ていれば再訴禁止(262条2項)に当たり、同じ訴えは二度と起こせないため取下げは原則回避する
- 2.時効の完成猶予の残り期間を確認 提訴で得た時効の完成猶予が取下げで遡って消える点に注意する。取下げの時から6か月以内に再提訴または催告で時効を止める必要があるため、時効完成日をカレンダーで逆算する
- 3.単純取下げでなく訴訟上の和解を検討 相手と和解が成立しそうなら、単純な取下げではなく訴訟上の和解(267条)で終結させる。和解調書には確定判決と同じ執行力が付き、相手が約束を破った瞬間に強制執行できる
- 4.被告なら同意するか拒否するかを判断 被告として応訴し本案弁論を済ませている場合、原告の取下げには自分の同意が必要(261条2項)。原告が不利な証拠を出した後に逃げる取下げなら同意を拒否し、判決+再訴禁止を狙う。取下げ書面の送達から2週間以内に異議を述べないと同意擬制される(261条5項)
よくある質問 AI による整理
Q1訴えの取下げとは何ですか?
原告が提起した訴えを撤回し、訴訟係属を消滅させる行為です。民事訴訟法262条1項により、取り下げた部分は初めから係属していなかったものとみなされます。
Q2訴えを取り下げると訴訟費用は誰が負担しますか?
原則として取り下げた原告が訴訟費用を負担します(民訴73条参照)。すでに納めた印紙の一部還付が受けられる場合もあります。
Q3再訴禁止とは何ですか?
本案の終局判決後に訴えを取り下げた者が、同一の訴えを再び提起できなくなる制度です(民訴262条2項)。判決を得た紛争の蒸し返しを防ぎます。
Q4訴えの取下げに被告の同意が必要なのはいつですか?
被告が本案について準備書面の提出・弁論をした後は、取下げに被告の同意が必要です(民訴261条2項)。それ以前なら原告単独で取下げ可能です。
Q5訴えを取り下げると時効はどうなりますか?
提訴で生じた時効の完成猶予が遡って消えます。ただし取下げの時から6か月は猶予が残り、その後に時効が再び進みます(民法147条1項)。
Q6控訴審で訴えを取り下げると再訴できますか?
控訴審では既に第一審の本案終局判決を経ているため、取り下げると再訴禁止(民訴262条2項)に当たり、同一の訴えは提起できません。
Q7訴えの取下げと請求の放棄はどう違いますか?
取下げは訴訟を遡及的に消すだけですが、請求の放棄(民訴266条)は請求権を失う確定的終了で既判力が生じます。効果がまったく異なります。
Q8訴えの取下げ書はどう書きますか?
事件番号・当事者・取り下げる訴えの範囲を記載し、書面で裁判所に提出します(口頭弁論期日では口頭でも可、民訴261条3項)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1一度取り下げた訴訟、また同じ内容で訴え直せますか?
判決が出る前の取下げなら訴え直せます。1項で「初めから係属していなかった」とみなされるだけで、訴える権利そのものは残るからです。ただし本案の終局判決が出た後に取り下げた場合は、2項の再訴禁止で同じ訴えは二度と起こせません。実務のポイント:再訴禁止の「同一の訴え」は判例上、訴訟物が同じでも『新たに訴える正当な利益・必要性』があれば再訴できると緩やかに解されています(最判昭和52.7.19)。弁護士は別の法律構成や新事情を立てて『同一の訴えではない』と組み直す。完全に詰みとは限らない
Q2取り下げれば訴えたこと自体がなかったことになるなら、相手に知られず引っ込められますか?
訴訟記録上は遡って係属が消えますが、被告が応訴した後はあなたの一存では取り下げられません。被告が本案について弁論等をした後は、取下げに被告の同意が必要です(261条2項)。実務のポイント:被告がわざと同意せず、原告に不利な判決を取りに行く戦術があります。原告が証拠で墓穴を掘った後に「やめます」と逃げるのを許さず、棄却判決+再訴禁止まで取る。取下げには相手の同意というハードルがあると最初から織り込んでおく
間違えやすい点 AI による整理
- 「取り下げれば全部リセットされて、いつでもやり直せる」と思われているが、本案の終局判決後の取下げは再訴禁止(262条2項)に当たり、同じ訴えは二度と提起できない。リセットどころか、その請求を裁判で実現する道を自ら閉ざす行為になる
- 取下げで訴訟係属が消えること自体は知られているが、その「遡及効」の深刻さは見落とされやすい。提訴の時にいったん発生した時効の完成猶予も巻き戻り、取下げから6か月を過ぎれば時効が再び走り出す。気づいたときには時効完成、というケースが実在する
- 「取り下げるかどうかは原告の自由」という前提が、実は途中から崩れる。被告が本案について弁論や準備書面提出をした後は、取下げに被告の同意が要る(261条2項)。原告から見れば自分の訴え、しかし被告から見ればすでに応訴で築いた防御の利益がある。この視点の落差を知らない原告は、同意を得られず取下げに失敗する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 効果 | 262条 取下げ:訴訟が遡及的に消滅(初めから不係属) | 266条 請求の放棄:請求権を失う確定的終了 267条 訴訟上の和解:合意内容で訴訟終了 |
| 既判力・執行力 | なし(紛争は未解決のまま残る) | 既判力あり(請求棄却と同様に確定) 和解調書に確定判決と同一の効力・執行力あり |
| 再度の訴え | 判決前は可、終局判決後は再訴禁止(262条2項) | 不可(請求権を放棄済み) 不可(和解で解決済み) |
| 適した場面 | 判決前に紛争から撤退・態勢立て直し | 請求を完全に断念する 相手の履行を執行力で担保しつつ終結 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も訴えの取下げ後は遡及的に不係属とし、本案判決後の取下げに再訴禁止を定める点で日本と酷似する
韓国も소취하の効果として遡及的消滅と재소금지(終局判決後)を定め、日本法と同じ構造をとる
ドイツは被告の応訴後の取下げに被告の同意を要する点で日本と共通。ただし日本型の包括的な再訴禁止規定は持たない
米国は voluntary dismissal を認めるが、二回目の取下げは本案判決とみなす『two-dismissal rule』で蒸し返しを抑制する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 貸金返還で相手を訴えたが、一審の判決言渡し直前に相手が「分割で払う」と言い出した。和解する気で訴えを取り下げたら、相手は約束を反故にした。もう一度訴えようとして気づく。終局判決の前だったから今回はまだ再訴できる。だがもし判決言渡しの後に取り下げていたら、あなたの請求は裁判の世界から永久追放されていた。取り下げ書を出すこの一瞬が分水嶺だった
- あなたが被告として応訴し、準備書面で反論を出した後、原告が突然訴えを取り下げようとしてきた。ここで効いてくるのが、その段階の取下げにはあなたの同意が必要だという点(261条2項)。同意しなければ取下げは成立しない。原告が不利な証拠を出した後に逃げようとする取下げを、あなたは拒める立場にいる
- 終局判決が出た後に「やっぱり取り下げます」と言えるか。言える。だがその瞬間、あなたは同じ訴えを二度と起こせなくなる。勝訴判決ですら、確定する前に取り下げれば紙くずに戻る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 取り下げる前に、本案の終局判決が出ているか確認。出ていれば再訴禁止(262条2項)で同じ訴えは二度と起こせない、取下げは原則回避2. 判決前でも、提訴で得た時効の完成猶予が消える点に注意。取下げから6か月以内に再提訴か催告で時効を止める3. 相手と和解が成立しそうなら、単純取下げではなく訴訟上の和解(267条)で終結させ、和解調書に執行力を持たせる4. 取下げと引き換えに相手が何か約束するなら、必ず書面化してから取り下げる
訴えられた側:1. 原告が取り下げてきたら、自分が本案について弁論・準備書面提出を済ませているか確認。済みなら取下げにはあなたの同意が必要(261条2項)、同意しない自由がある2. 原告が不利な立場で逃げようとしているなら、同意を拒否して判決まで進め、勝訴+再訴禁止を狙う3. 逆に早期終結が得なら同意して取下げを成立させる4. 取下げ書面の送達を受けてから2週間以内に異議を述べないと、同意したものとみなされる(261条5項)ので、対応期限に注意
時効(請求できる期限):取下げ自体に時効はなく、判決確定までいつでも可能(261条1項)。被告の同意擬制は取下げ書面の送達を受けた日から2週間(261条5項)。取下げで訴訟が終了すると、提訴による時効の完成猶予はその終了時から6か月で切れる(民法147条1項)。再訴禁止に当たる取下げは、その後の同一請求の裁判上の行使を不可能にする
学説
通説:262条は処分権主義を前提に原告の撤退の自由を認めつつ、2項の再訴禁止で本案終局判決後の蒸し返しを禁じ、被告の地位の安定と紛争の一回的解決・司法資源の節約を図る規定と解される
改正沿革 AI による整理
- 平成8年(1996年)民事訴訟法全部改正 旧民事訴訟法を現代語化・整理し、訴えの取下げの効果を現行262条に編成。1項の遡及的不係属擬制と2項の再訴禁止を維持した
改正の年表
- 1.平成8年(1996年) 改正:民事訴訟法全部改正。旧法を現代語化・整理し、訴えの取下げの効果を現行262条に編成。1項の遡及的不係属擬制と2項の再訴禁止を維持した
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