要点種苗法 21 条の 2 は、育成者が出願時に届け出た輸出制限・栽培地制限が公示された翌日以後、その制限に反する輸出等の行為に育成者権を及ぼす規定である。
Q · 日本で登録された品種の苗を海外に持ち出したら、種苗法違反になるの?
出願時に輸出制限が届出・公示されていれば、無断輸出は育成者権侵害になります
種苗法 21 条の 2 により、育成者は品種登録の出願と同時に、指定国への輸出制限や指定地域外での栽培制限を農林水産大臣に届け出られます。その制限が公示された日の翌日以後は、制限に反する輸出等の行為に育成者権の効力が及び、差止め・損害賠償を請求できます(種苗法 33 条以下)。ただし届出は出願時にしかできず、掛け忘れれば効力は発生しません。また日本の育成者権は属地主義により、いったん海外に出た後の現地栽培そのものには及びません。
スーパーで一房千円以上するシャインマスカット。あの品種を生み出すのに日本の研究機関は十数年を費やした。ところが品種登録制度には長らく穴があり、苗が海外へ持ち出され、韓国や中国で勝手に栽培され、東南アジアへ輸出されて日本産を市場から押しのけた。この穴を塞ぐために令和2年(2020年)に新設されたのが本条だ。品種を登録する人は、出願と同時に「この品種は指定した国へ輸出してはならない」「指定した国内地域でしか栽培できない」という制限を農林水産大臣に届け出ておける。届出が公示された翌日以降、その制限に反する輸出には育成者権の効力が及ぶ。つまり無断で海外へ持ち出した者を、育成者権侵害として差止め・損害賠償で追える。さらに種苗を業として売る者には、その制限が付いている旨を包装に表示する義務まで課される。あなたが農産物や苗を扱う側に一歩でも入るなら、この一条の射程内にいる。
種苗法第 21 条の 2 は、育成者権の適切な行使を確保するための輸出制限・栽培地制限の届出制度を定める規定である。品種登録の出願者は、出願と同時に、指定国への種苗流出防止または産地形成のための制限を農林水産大臣に届け出ることができ、公示された制限に反する輸出等の行為に育成者権の効力が及ぶ。
AI 輔助整理,以條文原文為準
育成者が出願時に指定国への輸出制限や指定地域外の栽培制限を届け出られる制度です。公示後は制限違反の輸出等に育成者権が及び、無断流出を差止め・損害賠償で追えます。
品種登録の出願と同時にしなければなりません。後から付け足すことはできず、出願時が唯一のタイミングです。掛け忘れると輸出制限の効力は一切発生しません。
農林水産大臣が届出事項を公示した日の翌日以後です。同じ輸出行為でも公示前なら育成者権は及ばず、公示日を境に侵害になるか分かれます。
公示の翌日以後は、55 条の表示に加え、その種苗に輸出・栽培制限が付いている旨と公示された旨を包装等に表示する義務があります(21 条の 2 第 5 項)。
従来の制度では苗の無断持ち出しを育成者権で止められず、韓国や中国で無断増殖されました。この穴を塞ぐため令和 2 年改正で本条が新設されました。
21 条は育成者権が及ばない範囲(自家増殖等)を定める規定で、21 条の 2 は無断輸出・指定地域外栽培に育成者権を及ぼす規定です。混同されがちですが対象が異なります。
農林水産省の品種登録ホームページや品種登録簿で、輸出制限・栽培地制限の届出事項と公示年月日を確認できます。侵害判断はこの公示日が起点になります。
公示後の制限違反の輸出等は育成者権侵害となり、差止請求・損害賠償請求の対象になります(種苗法 33 条以下)。表示義務違反にも別途の制裁があります。
それは誤解が広まったものです。本条(21条の2)が規制するのは登録品種の無断輸出と指定地域外での栽培で、農家の自家増殖を一律禁止する条文ではありません(自家増殖は種苗法21条の問題)。業界裏話ヒント:改正反対運動で「種を採れなくなる」というスローガンが拡散しましたが、縛られるのは登録品種だけで、在来種や登録切れ品種は自由。手元の品種が登録品種かは品種登録簿で確認でき、ここを見ずに不安だけ抱える人が大半です
その苗が輸出制限の公示が付いた登録品種だと、業としてでなくても輸出行為に育成者権が及ぶ可能性があります(21条の2第7項)。善意でも侵害になりえます。業界裏話ヒント:個人の少量発送が直ちに摘発される例は多くありませんが、税関の植物検疫と組み合わさると発覚しやすい。そもそも生きた植物の国際郵送は検疫証明が必要で、無申告だと別の法律違反にもなる。送る前に品種名で登録状況を調べるのが安全です
完全には防げません。日本の育成者権が及ぶのは日本からの輸出行為などで、いったん海外に出た後の現地栽培そのものには日本法の効力は届きません(属地主義)。業界裏話ヒント:本当に守りたい品種は、日本の届出に加えて輸出先の国でも品種登録(UPOV加盟国なら出願可能)をしておくのが実務の鉄則。本条は流出の入口を塞ぐ盾であって、出た後を追う武器ではない。水際で止めるか相手国で権利化するかの二段構えが要ります
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 21 条の 2:無断輸出・指定地域外栽培に育成者権を及ぼす | — |
| 効力の発生要件 | 出願時の届出 + 農林水産大臣の公示 | — |
| 誤解されやすい点 | 農家の自家増殖禁止と混同されるが対象外 | — |
| 違反時の帰結 | 育成者権侵害(差止め・損害賠償、33 条以下) | — |
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