要点種苗法 33 条は、育成者権者が侵害者やそのおそれのある者に侵害の停止・予防を請求でき、侵害品の種苗・収穫物・加工品の廃棄まで請求できると定める。
Q · 登録品種を無断で増やして売ったら、育てた作物やそれで作ったジャムまで捨てさせられるの?
捨てさせられる。苗も収穫物も加工品も廃棄請求の対象
種苗法 33 条により、育成者権者は侵害者に対し栽培・販売の停止(差止請求)を求められます。しかも 2 項では、侵害に使われた種苗だけでなく、そこから採れた収穫物、さらにジャムやワインなどの加工品まで廃棄を請求できます。裁判所が認めれば強制執行されます。実務では廃棄まで突き進む例は多くなく、廃棄を避ける代わりに正規の利用許諾契約へ切り替える解決が最も多い。廃棄請求は「実行するため」より「相手を交渉に引き出す」カードとして機能します。
スーパーで一房二千円のシャインマスカットを見たとき、その値段の裏に「育成者権」という知的財産が隠れていることに気づく人は少ない。種苗法33条は、新品種を生み出した者(育成者権者)と、その独占的利用を許された者(専用利用権者)に、極めて強力な二つの武器を与える。第一に、無断で品種を増殖・販売する相手に対し、その行為を「今すぐ止めろ」と請求できる差止請求権。しかも、現に侵害している者だけでなく「侵害するおそれがある者」にも、行為が始まる前に予防を請求できる。第二に、もっと知られていないのが2項だ。侵害に使われた苗だけでなく、その品種から採れた収穫物、さらにはその実から作ったジャムやワインといった加工品まで、廃棄を請求できる。あなたが農家であれ種苗会社であれ、この条文は守る側にも、知らずに踏み込んだとき殴られる側にもなりうる。2020年の法改正で登録品種の自家増殖が原則許諾制になった今、「昔ながらの種採り」が突然この条文の射程に入った人は少なくない。
種苗法 33 条は育成者権侵害に対する差止請求権および廃棄請求権を定める規定であり、育成者権者または専用利用権者が、侵害者および侵害するおそれのある者に対して侵害の停止・予防を、あわせて侵害品の種苗・収穫物・加工品等の廃棄を請求できる旨を規定する。損害賠償(民法 709 条)と異なり、事後の金銭填補ではなく侵害行為そのものの排除を目的とする。
AI 輔助整理,以條文原文為準
品種登録された新品種を独占的に利用できる知的財産権です。種苗の生産・販売のほか、収穫物や加工品にも効力が及び、原則登録から 25 年(永年性植物 30 年)存続します。
差止請求(33 条)は侵害行為を今止めさせる救済、損害賠償(民法 709 条)は事後の金銭填補です。収穫期という締切がある種苗では、市場流出前に止める差止が切り札になります。
農林水産省の品種登録ホームページで検索できます。登録されていれば 33 条の対象、一般品種・在来種なら対象外です。使う前の確認が適法・違法の分かれ道です。
業として利用したと評価されれば育成者権侵害になり得ます。出品停止だけでなく、手元の株そのものの廃棄まで請求される可能性があります。個人でも対象です。
本訴の判決を待たず、暫定的に侵害行為を止める裁判所の決定です。収穫物が出荷される前に流通を止められるため、種苗侵害では損害をゼロに近づける手段になります。
あります。育成者権を侵害すると個人は 10 年以下の懲役または 1000 万円以下の罰金、法人は 3 億円以下の罰金など重い刑事罰が科され得ます(種苗法の罰則規定)。
品種登録から原則 25 年、樹木など永年性植物は 30 年です(種苗法 19 条)。この存続期間内であれば差止・廃棄請求を継続的に行使できます。
登録品種は品種登録された新品種で 33 条の対象、一般品種・在来種は登録されていないため自由に増殖でき、差止・廃棄請求の対象外です。まず自分の品種の区分確認が重要です。
全部ではない。2020年改正で「登録品種」については自家増殖に育成者権者の許諾が原則必要になったが、一般品種や在来種は従来どおり自由に増殖できる(種苗法21条)。業界裏話ヒント:自分が使っている品種が登録品種かどうかは農林水産省の品種登録ホームページで確認できる。許諾料は品目ごとに大きく差があり、JAなどがまとめて許諾契約を結んでいて個々の農家は意識せず適法になっているケースもある。まず確認、が分かれ道(最新の改正状況をご確認ください)
できる。33条2項は、侵害行為を組成した種苗だけでなく、その収穫物、加工品、侵害に使った機材の廃棄まで請求対象とし、裁判所が認めれば強制執行される。業界裏話ヒント:ただし実務では、廃棄まで突き進む例は多くない。廃棄は相手にとって全損を意味するため、それをちらつかせて正規の利用許諾契約に転換させる解決が現実的に最も多い。廃棄請求は「使うため」というより「相手を動かすため」のカードとして機能している
止められない。種苗法は属地主義で、日本国内の行為にしか効力が及ばない。だから2020年改正で、品種登録の際に栽培できる地域や輸出先を指定し、種苗の海外持ち出しを制限できる仕組みが追加された(種苗法21条の2など)。業界裏話ヒント:シャインマスカットの海外流出は、まさにこの水際の備えと現地での品種登録が欠けていたことが原因。海外で権利を主張するには、その国でも品種登録を済ませておく必要がある。日本の登録だけでは現地では無権利になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 33 条:侵害に対する差止・廃棄という救済手段 | — |
| 誰の側の武器か | 育成者権者・専用利用権者が攻める武器 | — |
| 対象範囲 | 侵害品の種苗・収穫物・加工品・供した物の廃棄まで | — |
| 併用される規定 | 34 条(損害額の推定)・36 条(信用回復措置)と併用 | — |
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