要点破産法 16 条は、法人について支払不能に加えて債務超過も破産手続開始の原因になると定める。ただし存立中の合名会社・合資会社には、債務超過による開始原因は適用されない。
Q · 取引先がまだ毎月払えているのに、破産させることってできるんですか?
法人なら債務超過だけで破産手続開始の原因になります
破産法 16 条 1 項は、債務者が法人である場合、破産法 15 条 1 項の「支払不能」を「支払不能又は債務超過」と読み替えます。債務超過とは、その財産をもって債務を完済することができない状態をいい、資産を時価で評価し直して負債と比較して判断します。したがって手元資金で当面の支払いが回っていても、純資産が実質的にマイナスであれば破産手続開始を申し立てられます。ただし存立中の合名会社・合資会社は、無限責任社員が個人財産で債務を担保するため、この債務超過の開始原因は適用されません(同条 2 項)。
取引先の会社が、まだ毎月の支払いをきちんと続けている。それでも破産させられることがある。破産法 16 条がその根拠だ。個人の場合、破産の入口は『支払不能』、つまり支払いが回らなくなった状態に限られる。だが法人には、もう一つの入口が開いている。『債務超過』、財産をすべて売り払っても借金を返しきれない状態(貸借対照表上の純資産がマイナス)だ。手元の現金で当面は払えていても、債務超過であれば破産手続開始の原因になる。つまり会社に対しては、支払いが止まるより早い段階で破産の引き金を引ける。ただし例外がある。無限責任社員のいる存立中の合名会社・合資会社には、この債務超過の入口は適用されない(2 項)。社員個人が会社の借金を背負うから、会社が債務超過でも社員の財産で埋められる、という理屈だ。
破産法 16 条は、法人の破産手続開始原因を定める規定である。1 項は、債務者が法人である場合、同法 15 条 1 項の「支払不能」を「支払不能又は債務超過」と読み替える。債務超過とは、債務者がその債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいう。2 項は、存立中の合名会社および合資会社を 1 項の適用対象から除外する。
債務者がその債務につき、財産をもって完済することができない状態です(破産法 16 条 1 項括弧書)。資産を時価で評価し直して負債と比較し、純資産が実質マイナスかどうかで判断します。
支払不能は資金繰りの問題(弁済期にある債務を継続的に弁済できない状態)、債務超過は貸借対照表の問題(財産で債務を完済できない状態)です。法人はどちらでも破産原因になります。
します。破産法 16 条 2 項の例外は存立中の合名会社・合資会社に限られ、同じ持分会社でも合同会社(LLC)は含まれません。債務超過がそのまま破産手続開始の原因になります。
実務では実質価値、すなわち時価評価が基準とされます。含み損を抱える不動産や回収見込みの薄い売掛金を評価し直すと、簿価上は純資産プラスでも実質債務超過となる例は珍しくありません。
直ちに弁護士・公認会計士に相談し、再建(民事再生・会社更生)か清算(破産)かを比較します。この段階で特定の債権者にだけ弁済すると後に否認され、取締役個人の責任追及に発展します。
できます(破産法 18 条 1 項)。ただし債権の存在と破産手続開始の原因となる事実を疎明する必要があり、裁判所への予納金も申立人が負担します。
破産は清算、民事再生は再建です。民事再生は「破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれ」がある段階で申立てできる(民事再生法 21 条)ため、債務超過に気づいた早期段階で選択肢に入ります。
あります。破産法 16 条 2 項が外すのは債務超過による開始原因だけです。支払不能に陥れば合名会社も破産しますし、解散して清算段階に入れば債務超過も開始原因になります。
法人なら可能です。破産法 16 条は、法人について『支払不能』に加えて『債務超過』も破産手続開始の原因とします。財産をすべて充てても債務を完済できない状態なら、現金が回っていても申立てができます。業界裏話ヒント:実務では、回っている会社をいきなり破産申立てするより、債務超過を指摘して任意の弁済交渉や担保提供を引き出すほうが回収率は高い。申立ては最後のカードとして温存する債権者が多い
単純な簿価では判断しません。16 条の債務超過は、財産を時価で評価し直したうえで負債と比較します。帳簿上は純資産プラスでも、土地・在庫・売掛金を実際に換価したらマイナス、ということは珍しくありません。業界裏話ヒント:含み損のある不動産や回収見込みの薄い売掛金を時価評価すると、簿価黒字の会社が実は債務超過という逆転は実務で頻発する。決算書の純資産だけ見て安心するのは危険
存立中の合名会社・合資会社については、債務超過は破産原因になりません(破産法 16 条 2 項)。無限責任社員が会社の債務を個人財産で負うからです。ただし『支払不能』になれば、これらの会社も破産します。業界裏話ヒント:この例外は『存立中』が条件。会社が解散して清算手続に入ると例外は外れ、債務超過でも破産原因になる。合名・合資会社の安全圏は、あくまで事業を続けている間だけだ
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 破産手続開始の原因 | 破産法 16 条:法人は「支払不能又は債務超過」 | — |
| 適用対象 | 法人一般(存立中の合名・合資会社を除く) | — |
| 引き金を引ける時点 | 支払いが続いていても、実質純資産がマイナスになった時点 | — |
| 手続の帰結 | 開始原因が認められれば破産手続開始決定(破産法 30 条)へ | — |
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