要点破産法 64 条は、取戻権の目的財産が売却された場合、取戻権者が反対給付請求権の移転を、管財人が代金を受領済みならその財産の給付を請求できると定める。
Q · 倒産した取引先に預けた商品がもう売られていたら、その代金は取り返せないの?
物が売られても、その売却代金を優先的に取り戻せます
破産法 64 条により、取戻権の目的物が破産手続開始前または破産管財人によって売却された場合、取戻権者は買主への反対給付請求権の移転を請求できます(1 項)。さらに管財人がすでに代金を受領していれば、その受領財産の給付を請求できます(2 項)。これが代償的取戻権です。一般の破産債権として数 % の配当を待つのとは違い、配当手続の枠外で代償物を優先的に取り戻せます。ただし代金が他の財団資金と混和して特定性を失うと、この優先的地位は崩れます。
小さなアパレルブランドを営むあなたが、委託販売契約でセレクトショップに自社の服を預けたとする。ところがそのショップが倒産。慌てて駆けつけると、あなたの服はもう売れていて棚は空っぽだ。「商品はもう無い、自分は一般債権者として雀の涙の配当を待つしかない」、ほとんどの人はここで諦める。だが破産法64条はまったく別の道を用意している。あなたの所有物(取戻権の対象)が破産手続開始前に売られていた場合、その売却で生じた『反対給付請求権』、つまり買主への代金請求権を、丸ごと自分に移転させるよう請求できる。さらに破産管財人がすでにその代金を受け取っていれば、受け取った財産そのものの引渡しを請求できる。これが代償的取戻権だ。物が消えても、物に化けた価値はあなたのもの。配当を奪い合う一般債権者の列に並ぶ必要はない。
破産法 64 条は代償的取戻権を定める規定であり、取戻権の目的財産が破産手続開始前または破産管財人により譲渡された場合に、取戻権者が反対給付請求権の移転を請求でき、管財人が反対給付を受領済みのときはその受領財産の給付を請求できることを規律する。取戻権の効力を目的物から代償物へと延長する特則である。
取戻権の目的物が売却された場合に、その売却で生じた反対給付請求権や受領済みの代金を優先的に取り戻せる権利です。破産法 64 条が根拠で、物が価値に姿を変えても追及できます。
取戻権は自分の所有物を破産財団から取り戻す権利で配当と無関係です。別除権(破産法 65 条)は担保権に基づき財団の中で優先弁済を受ける権利で、性質が異なります。
破産者や管財人が取戻権の目的物を売却し、買主がまだ代金を払っていない場合、その買主への代金請求権を取戻権者に移すよう請求できる仕組みです(破産法 64 条 1 項)。
固有の出訴期限はありませんが、管財人が受領した代金が他の財団資金と混和し特定性を失うと事実上行使できなくなります。通知を受けたら速やかに主張すべきです。
反対給付として受け取った財産が他の資金と混ざり区別できなくなると、優先的な取戻しができず、一般の破産債権に格下げされ、わずかな配当を待つ立場になります。
使えます。民事再生法 52 条、会社更生法 64 条が破産法 64 条を準用しており、再生・更生手続でも同様に反対給付への追及が認められます。
通常の取戻権(破産法 62 条)は現存する物そのものの返還を求めます。代償的取戻権(64 条)は物が売却済みで、代金や代金請求権という代償物を追及する点が異なります。
破産債権は配当手続で全債権者と按分され回収率は数 % のこともあります。代償的取戻権は配当の枠外で優先的に代償物を取り戻せるため、回収額が大きく異なります。
なります。あなたの所有物(取戻権の対象)が売られた場合、その買主への代金請求権の移転を請求でき(破産法64条1項)、管財人がすでに代金を受け取っていればその財産の引渡しを請求できます(同2項)。一般の破産債権として配当を待つのとは天と地の差です。業界裏話ヒント:弁護士でも倒産案件を専門にしていないと、取戻権を『現存する物だけ』と狭く考えがち。物が代金に化けても追えるこの条文を持ち出せるかどうかで、回収額がゼロに近いか満額に近いかが分かれる
泣き寝入りとは限りません。所有権留保中の物はあなたの所有物として取戻権の対象になり、転売されていれば転売代金債権の移転や受領代金の引渡しを代償的取戻権(破産法64条)で請求できる余地があります。業界裏話ヒント:所有権留保が『担保』として別除権(破産法65条)扱いになるのか、純粋な取戻権になるのかは、実務上、解釈が分かれています。どちらで構成するかで手続が変わるので、契約書の文言と引渡しの実態を早期に弁護士と詰めるべき
請求できます。破産管財人が取戻権の目的物を譲り渡したときは、あなたは管財人が反対給付として受け取った財産の給付を請求できます(破産法64条1項後段、2項)。業界裏話ヒント:ただし最大の敵は時間です。受け取った代金が財団の口座で他の資金と混ざり、どれがあなたの分か特定できなくなると、優先的な取戻しではなく一般の破産債権に格下げされるリスクがある。通知が来たその日のうちに書面で権利主張するのが鉄則
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 権利の性質 | 破産法 64 条:代償的取戻権(代金・代金請求権を追及) | — |
| 対象 | 売却で生じた反対給付請求権または受領済みの代償物 | — |
| 配当との関係 | 配当手続の枠外で優先的に代償物を回収 | — |
| 失権リスク | 反対給付が混和し特定性を失うと破産債権に格下げ | — |
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