解除条件付債権を有する者が相殺をするときは、その相殺によって消滅する債務の額について、破産財団のために、担保を供し、又は寄託をしなければならない。
要点破産法 69 条は、解除条件付債権で相殺する者に、その相殺で消滅する債務の額について破産財団のための担保提供または寄託を義務づける規定である。
Q · 取引先が倒産したとき、解除条件付きの債権でも相殺で回収できるの?
相殺はできるが担保提供か寄託が必要になる
解除条件付債権でも相殺の対象になります(破産法 68 条)。ただし破産法 69 条により、その相殺によって消滅する債務の額について、破産財団のために担保を供するか、寄託をしなければなりません。理由は、後で解除条件が成就すると債権が遡って消滅し、相殺の根拠が崩れて財団に穴が空くからです。つまり相殺は通っても無条件に懐へ入るわけではなく、条件成就リスクを担保という形で財団に預けるのが満額回収の代償になります。条件が成就しないと確定すれば担保・寄託物の拘束は解かれます。
得意先のA社が破産した、という一報があなたに届く。あなたはA社に売掛金を持つ債権者であると同時に、A社からの仕入れで買掛金も負っている。ここで相殺をすれば、配当で数%しか戻らない売掛金を、自分の買掛金とぶつけて実質満額回収できる。倒産時の最強の自衛策だ。ところが、あなたの売掛金が「返品されたら消滅する」「補助金が下りたら消滅する」といった解除条件付きだと話が変わる。破産法69条は、解除条件付債権で相殺する者に、相殺で消える債務の額について、破産財団のために担保を供するか供託せよと命じる。理由は単純で、後から条件が成就すればあなたの債権は遡って消え、相殺の根拠が崩れ、財団に穴が空くからだ。つまり相殺はできる、ただしタダではない。条件成就リスクを担保という形で財団に預けるのが、満額回収と引き換えの代償である。
破産法 69 条は、解除条件付債権による相殺の担保・寄託義務を定める規定である。解除条件付債権を有する破産債権者が相殺権を行使する場合、その相殺によって消滅する債務の額について、破産財団のために担保を供し、または寄託しなければならない。条件成就による相殺の遡及的失効から破産財団を保全する趣旨をもつ。
AI 輔助整理,以條文原文為準
解除条件付債権で相殺する者に、相殺で消滅する債務の額について破産財団のための担保提供または寄託を義務づける規定です。条件成就で相殺が覆るリスクから財団を守るためです。
一定の事実が起きれば消滅する条件が付いた債権です。例として「返品があれば消滅」「補助金が下りれば消滅」する売掛金など、いつ消えるか不確定な債権を指します。
最後配当の除斥期間内に相殺の意思表示が必要です。破産管財人が 1 月以上の期間を定めて催告でき、その期間内に確答しないと相殺権を失います(破産法 73 条)。
停止条件付債権や将来の請求権による相殺は破産法 70 条が規律し、消滅する債務の額の寄託を請求できます。解除条件付は 69 条、停止条件付は 70 条と条文が分かれます。
手続開始後に負担した債務や、支払不能・支払停止・開始申立てを知った後に取得した債権での相殺は原則禁止されます(破産法 71 条・72 条)。危機時期の駆け込み相殺を防ぐためです。
できます。破産管財人は 1 月以上の期間を定めて相殺するか確答せよと催告でき、期間内に確答しないと相殺権は失われます(破産法 73 条)。起算点は催告の到達時です。
相殺の一般要件は民法 505 条ですが、破産手続では 67 条以下に特則があります。条件付債権の相殺には担保・寄託義務(69 条・70 条)や禁止事由(71 条)が加わる点が異なります。
手続開始時に双方の債権債務が存在したか(67 条)、自分の債権に解除条件が付いていないか(69 条発動)、開始後・危機時期に取得した債権でないか(71 条)を契約書で確認します。
守れます。破産手続によらず相殺できます(破産法67条)。期限付き・条件付きの債権でも相殺の対象になります(68条)。ただし解除条件付きの債権で相殺するなら、消滅する債務額について担保提供か供託が必要です(69条)。業界裏話ヒント:相殺できるかの分水嶺は「破産手続開始時に互いに債権債務が存在したか」。開始後に取得した債権での相殺は71条で禁止される。いつ債権を取得したかの記録が命運を分ける
条文上は「その相殺によって消滅する債務の額」、つまり相殺で帳消しにする自分の債務の金額分です(69条)。債権の全額ではなく相殺充当額が基準になります。業界裏話ヒント:供託(寄託)と担保提供は選べる。資金繰りが厳しければ不動産等の担保提供、確実性を取るなら金銭供託。最初から「供託で対応する」と示すと管財人との交渉が早く片付くことが多い
返ってきます。条件が成就しないと確定すれば、債権は無条件の確定債権となり、相殺は完全に有効、担保・供託物の拘束は解かれます(民法127条2項の反対解釈、破産法69条)。業界裏話ヒント:逆に条件が成就すれば債権は遡って消滅し、相殺の根拠が失われ、そのとき財団が担保・供託から回収する。条件成就の見込みを早期に見極めることが、担保コストと回収可能性の両方を左右する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 破産法 69 条:解除条件付債権による相殺と担保・寄託義務 | — |
| 対象となる債権 | 解除条件付債権(成就すれば遡って消滅) | — |
| 担保・寄託の要否 | 相殺で消滅する債務の額について担保提供または寄託が必要 | — |
| 財団保全の仕組み | 条件成就時の遡及的失効に備え、相殺権者が先に担保・寄託を差し出す | — |
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