要点破産法 68 条は、相殺に使える破産債権の額を 103 条 2 項の区分に従って定め、無利息債権・定期金債権では中間利息相当の劣後部分を控除した額の限度でのみ相殺できるとする。
Q · 破産した取引先に対する売掛金、いくらまで相殺に使えるの?
原則は 103 条 2 項の額。無利息・定期金債権は中間利息を控除した額まで
破産法 68 条 1 項により、相殺に供することができる破産債権の額は、103 条 2 項各号に掲げる債権の区分に応じて定まります。ただし 2 項により、その債権が無利息債権または定期金債権である場合は、債権額から 99 条 1 項 2 号から 4 号に掲げる劣後的破産債権に相当する部分(破産手続開始から期日までの中間利息相当額)を控除した額の限度でしか相殺できません。額面での相殺を前提に回収計画を立てると、認められる相殺額が想定より小さくなります。
取引先が倒産した。あなたはその会社に売掛金500万円を持っているが、同時に買掛金300万円を負っている。普通なら売掛金は配当で数パーセントしか戻らず、ほぼ焦げ付く。だが相殺を使えば、300万円分は他の債権者を出し抜いて満額回収できる。これが破産における相殺の破壊力だ。68条はその相殺で「いくらの破産債権を使えるか」を定める計算ルールである。原則は103条2項の区分に従った額。だがここに落とし穴がある。あなたの債権が無利息で支払期日がまだ先のもの、あるいは定期金債権であるときは、額面そのままでは相殺できない。破産手続開始から期日までの中間利息分(99条1項2号から4号の劣後部分)を控除した現在価値の限度でしか相殺できないのだ。将来もらう500万円を額面で相殺できると思い込むと、その差額は認められず、回収計画が根本から狂う。
破産法 68 条は、破産手続における相殺に供することができる破産債権の額を規律する規定である。1 項は 103 条 2 項各号の区分に従った額を原則とし、2 項は無利息債権および定期金債権について、99 条 1 項 2 号から 4 号に掲げる劣後的破産債権に相当する中間利息部分を控除した現在価値の限度に相殺を制限する。相殺権自体の発生根拠は 67 条であり、本条はその行使可能額の上限を画する。
破産手続で相殺に使える破産債権の額を定める規定です。原則は 103 条 2 項の区分に応じた額、無利息債権・定期金債権は中間利息を控除した額が上限になります。
自分の破産債権額と相手への債務額が重なる範囲です。ただし無利息債権や定期金債権では、68 条 2 項により中間利息相当額を差し引いた現在価値までしか使えません。
将来受け取る金銭を現在価値に引き直すため、期日までの利息相当額を差し引く計算です。破産では 99 条 1 項 2 号から 4 号の劣後部分がこれに当たります。
できますが額面全額ではありません。68 条 2 項により、債権額から中間利息相当の劣後部分を控除した額の限度に絞られます。利息付き債権にはこの控除がありません。
開始前から存在した債権債務なら 67 条により手続外で相殺できます。開始後に負担した債務や取得した債権に基づく相殺は 71 条・72 条で禁止されます。
73 条により 1 か月以上の期間内に確答しないと相殺の効力を主張できなくなります。期間内に 68 条に従って相殺可能額を計算し、書面で意思表示してください。
破産管財人に対して行います。実務では内容証明郵便で、対当額と計算根拠(68 条 2 項の控除計算を含む)を明示して通知するのが安全です。
多くの場合そうです。配当率が数パーセントの破産でも、相殺できる範囲は実質全額回収と同じ効果になります。ただし相殺額は 68 条の計算に拘束されます。
自分の売掛金(債権)と相手への買掛金(債務)を相殺すれば、その重なる範囲は支払わずに済み、実質的に満額回収したのと同じになります(破産法67条、68条)。業界裏話ヒント:相殺は破産手続を待たずにできる強力な権利ですが、相手の倒産後にあわてて新たな取引で債務を作って相殺しようとすると71条・72条で禁止されます。効くのは倒産前から存在した債権債務だけ。日頃から相手別の債権債務を把握しておくかどうかが勝負を分けます
できません。68条2項により、無利息債権や定期金債権は、破産手続開始から期日までの中間利息分(99条1項2号から4号の劣後部分)を控除した現在価値の限度でしか相殺できません。業界裏話ヒント:利息付きの債権ならこの割引はかからないため、同じ金額でも利息の有無で相殺できる額が変わります。契約段階で無利息にするか少額でも利息を付けるかが、いざ相手が倒産したときの回収力に効いてくる、というのは弁護士が好んで使う設計です
預金(あなたの債権)と借入金(あなたの債務)は相殺の対象になり、相殺後の残った預金が預金保険の保護や配当の対象になります。借入金がある人は相殺で実質的に守られる部分が出てきます(破産法67条、68条)。業界裏話ヒント:相殺するかしないかで保護される額や手取りが変わる場面があり、必ずしも相殺するのが得とは限りません。預金保険で全額守られる範囲なら相殺しない方が有利なこともある。破綻時に金融機関や弁護士へ早めに確認するのが分かれ道です
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 破産法 68 条:相殺に供せる破産債権の額(上限の計算) | — |
| 適用の前提 | 67 条により相殺が許されることが前提。額の問題 | — |
| 結論の効果 | 無利息・定期金債権は中間利息控除後の現在価値まで | — |
| 管財人側の武器 | 額面相殺の主張に対し超過分を否認する | — |
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