不動産登記法 第106条(仮登記に基づく本登記の順位)
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仮登記に基づいて本登記(仮登記がされた後、これと同一の不動産についてされる同一の権利についての権利に関する登記であって、当該不動産に係る登記記録に当該仮登記に基づく登記であることが記録されているものをいう。以下同じ。)をした場合は、当該本登記の順位は、当該仮登記の順位による。
この条文の基本情報
仮登記に基づく本登記の順位とは何ですか?
定義仮登記に基づく本登記の順位とは、不動産登記法第106条に定められた規定で、「仮登記に基づいて本登記(仮登記がされた後、これと同一の不動産についてされる同一の権利についての権利に関する登記であって、当該不動産に係る登記記録に当該仮登記に基…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第106条(仮登記に基づく本登記の順位)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第106条の条文原文は「仮登記に基づいて本登記(仮登記がされた後、これと同一の不動産についてされる同一の権利についての権利に関する登記であって、当該不動産に係る登記記録に当該仮登記に基…」で始まります。
- 不動産登記法第106条は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第106条の前の条は不動産登記法第105条です。
- 不動産登記法第106条の次の条は不動産登記法第107条です。
- 不動産登記法第106条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第106条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第106条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/106
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法106条は、仮登記に基づいて本登記をした場合、その本登記の順位は仮登記の順位によると定める。仮登記自体に対抗力はなく、遡るのは順位だけである。
Q · 仮登記を入れておけば、後から割り込んできた他人の登記に勝てるんですか?
本登記を打てば勝てるが、仮登記のままでは勝てない
不動産登記法106条により、仮登記に基づいて本登記をした場合、その本登記の順位は仮登記の順位によります。したがって仮登記後に入った第三者の所有権移転登記や抵当権設定登記は、本登記を打った時点で後順位に落ちます。ただし仮登記のままでは対抗力がなく、第三者に権利を主張することはできません。また本登記の申請には、登記上の利害関係を有する第三者の承諾または承諾に代わる確定判決が必要です(同法109条1項)。順位は保全されていても、それを現実化する手続の壁が残ります。
解説
決済の当日、売主が登記識別情報を紛失していた、あるいは農地の許可がまだ下りていない。本登記が打てないその瞬間に司法書士が勧めてくるのが仮登記である。ここで多くの人が誤解する。仮登記そのものに対抗力はない。つまり仮登記のままでは、第三者に「この不動産は私のものだ」と主張できない。ではなぜやるのか。答えが106条にある。後日きちんと本登記をすれば、その本登記の順位は仮登記をした日の順位まで遡る。あなたが仮登記を入れた後に売主が二重譲渡し、別人が所有権移転登記を済ませていたとしても、あなたが本登記を打った瞬間、その別人はあなたより後順位に落ち、権利を失う。仮登記は権利の予約ではなく、順番の予約である。この一語の違いを分かっているかどうかで、危ない取引に踏み込めるか、逃げるべきかの判断が変わる。
法的な位置づけ
不動産登記法106条は、仮登記に基づく本登記の順位効を定める規定である。仮登記がされた後、同一の不動産について同一の権利に関する登記がされ、登記記録に当該仮登記に基づく登記である旨が記録されている場合、その本登記の順位は仮登記の順位による。受付番号の先後により順位を決する原則(同法4条)に対する順位保全の特則として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.仮登記の受付年月日と受付番号を確認する 登記事項証明書を取得し、仮登記の順位番号・受付年月日・受付番号を控える。この受付番号が本登記後に確保される順位の位置であり、以後のすべての判断の基準になる
- 2.本登記の要件が整ったか点検する 1号仮登記なら登記識別情報など欠けていた手続要件、2号仮登記なら請求権の行使や条件の成就を確認する。農地法の許可、代金完済、予約完結権の行使通知など、原因ごとに必要な証明情報を洗い出す
- 3.登記上の利害関係を有する第三者の承諾を取得する 仮登記より後順位に入った所有権移転登記や抵当権の名義人から、本登記についての承諾を書面で得る。承諾証明情報は本登記申請の添付情報となる(109条1項、不動産登記令7条)
- 4.承諾が得られなければ承諾に代わる判決を求める 後順位者が承諾を拒む場合、承諾に代わる確定判決を得れば足りる。訴訟提起の準備段階で承諾料交渉に移行することも多いが、判決確定まで年単位を要する前提で工程を組む
- 5.仮登記に基づく本登記を申請する 承諾証明情報を添えて本登記を申請すると、登記記録に当該仮登記に基づく登記である旨が記録され、本登記の順位が仮登記の順位に遡る。承諾された後順位登記は職権で抹消される(109条2項)
よくある質問 AI による整理
Q1仮登記とは何ですか?
本登記に必要な要件がまだ整わない段階で、将来の本登記のために登記の順位だけを確保しておく登記です。不動産登記法105条が要件を、106条が順位の効力を定めています。
Q21号仮登記と2号仮登記の違いは何ですか?
1号は権利変動は生じているが登記識別情報など手続要件が欠ける場合、2号は請求権や条件付権利を保全する場合です(105条1号・2号)。順位保全効はどちらも106条が根拠です。
Q3仮登記は単独で申請できますか?
仮登記義務者の承諾があるとき、または仮登記を命ずる処分があるときは、仮登記権利者が単独で申請できます(107条1項)。共同申請が原則である本登記との大きな違いです。
Q4仮登記の順位保全効はいつから発生しますか?
仮登記が受け付けられた時点です。順位は日付単位ではなく受付番号順に決まるため、同じ日でも受付が先か後かで優劣が変わります(4条、106条)。
Q5仮登記を抹消する方法は?
仮登記名義人は単独で抹消申請でき、登記上の利害関係人も仮登記名義人の承諾または承諾に代わる判決があれば単独申請できます(110条)。相手方が所在不明でも訴訟による道があります。
Q6仮登記が付いている不動産に住宅ローンは付きますか?
実務上ほぼ通りません。仮登記権利者が本登記を打つと後順位の抵当権が職権抹消されうるため(109条2項)、金融機関は担保価値をゼロと評価します。決済前の抹消が条件になります。
Q7登記事項証明書で仮登記はどう見分けますか?
権利部の順位番号欄に登記の目的として「所有権移転仮登記」「条件付所有権移転仮登記」などと記載され、その下に本登記用の余白行が確保されています。受付年月日と受付番号が順位の位置です。
Q8農地の売買でなぜ仮登記を使うのですか?
農地法の許可が下りるまで所有権移転の効力が生じず本登記ができないためです。条件付所有権移転仮登記を入れておけば、許可後の本登記の順位が仮登記の日に遡ります(106条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1仮登記さえ入れておけば、その家は自分のものになるんですか?
なりません。仮登記には対抗力がなく、売主は仮登記付きのまま第三者に売却も抵当権設定もできる。あなたが得るのは、後日本登記をしたときに順位が仮登記の日まで遡るという効力だけである(106条)。実務のポイント:司法書士が「とりあえず仮登記で」と言うとき、本登記までのスケジュールと必要書類の期限を同時に確認すること。宙に浮いたまま数年放置された仮登記は、被保全請求権の時効で無価値になる
Q2自分の仮登記より後に入った他人の抵当権は、勝手に消えるんですか?
自動では消えない。本登記を申請する際、登記上の利害関係を有する第三者の承諾を得る必要があり(109条1項)、承諾があって初めてその登記が職権で抹消される(同条2項)。実務のポイント:承諾が得られない場合は承諾に代わる確定判決で足りる。実務では訴訟提起の準備を見せた段階で相手が折れることが多く、承諾料の相場交渉はここから始まる
Q3仮登記って、いつまで放っておいても大丈夫なんですか?
仮登記自体に有効期間はないが、保全している請求権が時効消滅すれば仮登記は無意味になる(民法166条)。義務者側は承諾または判決を得て抹消を申請できる(不動産登記法110条)。実務のポイント:長期放置された仮登記は、物件を売る際に必ず問題化する。相手方が所在不明でも、公示送達を使った抹消手続の道はある。売却を決めてから動くと半年は遅れる
Q4仮登記が付いた物件を買ったら、どうなりますか?
買えるし所有権移転登記もできるが、仮登記権利者が本登記を打った瞬間、あなたの登記は後順位となり職権で抹消されうる(106条、109条)。代金は売主への損害賠償請求で追うしかない。実務のポイント:仮登記付き物件は相場より明確に安い。その差額は、仮登記が実行されるリスクの値段である。買う前に仮登記の原因日付と被保全請求権の内容を登記記録から読み解けるかどうかが分かれ目になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「仮登記を入れたから、もうこの物件は自分のもの」と安心する人が多いが、仮登記には対抗力も処分制限効もない。売主は仮登記が付いたままでも第三者に売れるし、抵当権も設定できる。あなたが持っているのは所有権ではなく、本登記を打ったときに順位が遡るという一点の効力だけである
- 順位保全効があることまでは知っている人でも、その効力を現実化する手続の壁を知らないことが多い。仮登記に基づく本登記には、登記上の利害関係を有する第三者の承諾が必要である(109条1項)。承諾が取れなければ、承諾に代わる確定判決を取るしかない。順位は保全されていても、そこに至るまでに訴訟が一本挟まる
- あなたから見れば、仮登記は「とりあえず打っておく保険」に見える。しかし登記記録を見る金融機関や買主から見れば、仮登記が一本入った瞬間、その不動産は融資も転売も止まる凍結物件になる。売主に仮登記を承諾させる交渉が難航する本当の理由は、この落差にある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文が定める内容 | 106条:仮登記に基づく本登記の順位は仮登記の順位による | 105条:どのような場合に仮登記ができるか(1号・2号) 109条:本登記に必要な第三者の承諾と後順位登記の職権抹消 |
| 働く場面 | 本登記を打った後、他人の登記との優劣を決めるとき | 仮登記を入れられるかどうかを判断するとき 仮登記を本登記に切り替える手続をするとき |
| 第三者への影響 | 順位が遡ることで後順位の第三者が劣後する結果を生む | 直接の影響なし(仮登記自体に対抗力・処分制限効はない) 承諾した第三者の登記が職権で抹消される |
| 見落としたときの損失 | 取得したはずの権利が受付番号の先後で丸ごと覆る | そもそも仮登記が却下され順位を確保できない 順位は保全されていても本登記に到達できず塩漬けになる |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾は移転・処分の請求権を保全するため預告登記を認め、預告登記後にされた登記のうち保全された請求権に反するものは対抗できないとする。順位を遡らせる日本型より、抵触登記の効力を否定する構成に近い
韓国は日本法を経由して仮登記制度を継受しており、가등기(仮登記)に基づく본등기(本登記)の順位は가등기の順位によると定める。条文構造は日本の106条とほぼ同型である
中国は予告登記後に登記権利者の同意なくされた不動産の処分について物権的効力を否定する構成をとる。順位を遡らせるのではなく処分の効力そのものを封じる点で日本と設計思想が異なる
ドイツの Vormerkung は、保全された請求権に抵触する処分を相対的に無効とし(§ 883 Abs. 2)、本登記の順位は Vormerkung の順位によるとする(§ 883 Abs. 3)。抵触処分の無効と順位保全を同時に備える点で日本の仮登記より強力である
フランスは仮登記に直接対応する制度を持たず、公示(publication)の先後によって優劣が決まる。売買予約等の保全は公正証書と公示、あるいは訴訟の公示によって行われる
米国には仮登記制度がなく、係争中の不動産については lis pendens の登録により以後の取得者に係属の通知効を及ぼす。優劣は各州の recording act(race / notice / race-notice)によって決まる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが二番抵当のつもりで事業資金を融資したら、登記記録の甲区に何年も前の所有権移転請求権仮登記が眠っていたとしたら、どうなる? その仮登記権利者が本登記を打った瞬間、あなたの抵当権は109条2項で職権抹消される可能性がある。融資審査で仮登記の行を見落とすことが、担保をゼロにする
- 農地を買ったが、農地法5条の許可がまだ下りていない。所有権移転の効力自体が発生していないので本登記はできない。ここで条件付所有権移転仮登記を入れておけば、許可が下りて本登記した日ではなく、仮登記を入れた日の順位で権利が確定する。許可待ちの数か月が、そのまま無防備な空白期間になるかどうかの分かれ目
- あなたは中間で買った側だった。売主から正規に買い、代金も全額払い、所有権移転登記も済ませた。ところが登記記録には自分より前の受付番号で仮登記があった。あなたの登記は109条により抹消される
- 相続した実家に、亡父が30年前に借金の担保として入れた代物弁済予約の仮登記が残っていた。相手方が本登記手続を求めてきて、応じるかどうかの回答期限まであと10日。ここで確認すべきは、被担保債権が既に時効消滅していないか、仮登記担保契約に関する法律に基づく清算金の支払いが済んでいるかの二点である
- 離婚の財産分与で、夫名義の自宅を妻に渡す合意をしたが、住宅ローンが残っていて金融機関が名義変更に応じない。合意書だけでは、夫が第三者に売り飛ばした瞬間に妻は何も言えなくなる。財産分与請求権を保全する仮登記を入れておけば、後で本登記した日ではなく仮登記の日の順位で対抗できる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 仮登記の受付年月日と受付番号を登記事項証明書で確認、これがあなたの行列の位置である2. 本登記の要件(登記識別情報、許可、条件成就)が整った時点で直ちに本登記を申請3. 自分より後順位に第三者の登記が入っていれば、109条1項の承諾を書面で取りに行く。拒否されたら承諾に代わる判決を求める訴訟を提起4. 被保全請求権の消滅時効を管理、時効にかかれば仮登記は抹消される側に回る
訴えられた側:1. まず自分の登記が仮登記より前か後かを受付番号で確認、前なら106条の遡及は及ばない2. 後順位であれば、仮登記の被保全請求権が既に時効消滅していないか、仮登記担保であれば清算金の支払いが済んでいるかを検証3. 承諾を求められたら即答しない。承諾すればあなたの登記は職権抹消される(109条2項) 4. 争う余地があるなら不動産登記法110条に基づく仮登記抹消の交渉、または本登記手続請求訴訟で争う
時効(請求できる期限):仮登記に基づく本登記そのものに法定の期間制限はない。ただし保全される請求権は消滅時効にかかり、債権は権利を行使できることを知った時から5年または行使できる時から10年(民法166条)、売買予約完結権は10年で消滅する(最新の改正状況をご確認ください)。登記上の利害関係人は、仮登記名義人の承諾または承諾に代わる判決を得れば、不動産登記法110条により仮登記の抹消を単独で申請できる
学説
通説:仮登記の効力は順位保全効に尽き、対抗力も処分制限効も有しないと解される。106条は本登記の順位のみを仮登記時に遡らせる規定であり、権利変動そのものの効力発生時期を遡らせるものではない。したがって仮登記のままの状態で第三者に権利を主張することはできない。
実務(登記実務の運用):本登記の順位が遡る結果として後順位登記が失効することから、109条1項は利害関係人の承諾を本登記の要件とし、不動産登記令7条が承諾証明情報の添付を求める。順位保全効は自動的に実現されるのではなく、承諾または判決という手続を経てはじめて現実化するのが実務の理解である。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正 旧不動産登記法(明治32年法律第24号)第7条第2項にあった順位保全の規定が、全部改正により現行106条へ移された。あわせて現代語化され、仮登記に基づく本登記の定義が括弧書きで明文化された
改正の年表
- 1.明治32年(1899年) 新設:旧不動産登記法(明治32年法律第24号)第7条第2項に、仮登記に基づく本登記の順位は仮登記の順位によるとの規定が置かれた。ドイツの登記法制を参照した順位保全の発想が日本法に導入された
- 2.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正により、旧法7条2項の順位保全規定が現行106条へ移された。あわせて現代語化され、仮登記に基づく本登記の定義が括弧書きで明文化された
- 不動産登記法 第4条登記の順位を受付番号で決する原則
- 不動産登記法 第105条仮登記をすることができる場合の定義
- 不動産登記法 第107条仮登記の単独申請の要件
- 不動産登記法 第109条本登記に必要な第三者の承諾と職権抹消
- 不動産登記法 第110条仮登記の抹消の申請人
- 民法 第177条順位保全効が意味を持つ対抗要件主義の前提
- 仮登記担保契約に関する法律 第2条担保目的の仮登記に清算義務を課す特則
- 民事保全法 第53条処分禁止仮処分の登記による順位保全の別経路
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