要点不動産登記法 107 条は、登記義務者の承諾または裁判所の仮登記を命ずる処分があるとき、登記権利者が単独で仮登記を申請できると定める。共同申請では登記識別情報の提供も不要。
Q · 売主が登記に協力してくれない場合、買主だけで仮登記を入れられますか?
承諾書か裁判所の処分があれば単独で申請できます
不動産登記法 107 条 1 項により、登記義務者(多くは売主・所有者)の承諾があるとき、または 108 条の仮登記を命ずる処分があるときは、60 条の共同申請主義にかかわらず登記権利者が単独で仮登記を申請できます。承諾が得られない場合は、不動産所在地を管轄する地方裁判所に仮登記を命ずる処分を申し立てる道があり、疎明で足りるため本訴より短期間で結論が出ます。また 2 項により、共同して仮登記を申請する場合には 22 条本文の登記識別情報(権利証)の提供義務が適用されません。ただし仮登記の効果は順位保全(106 条)にとどまり、対抗力そのものは生じません。
不動産の登記は、原則として売主と買主が二人そろって法務局に申請しなければならない(不動産登記法 60 条、共同申請主義)。ところが仮登記だけは、この鉄則に穴が開いている。107 条 1 項は、登記義務者(多くの場合は売主・所有者)の承諾書があるとき、または裁判所の仮登記を命ずる処分があるときは、権利者があなた一人で仮登記を申請できると定める。ここがあなたにとって決定的な意味を持つ。売買代金を払ったのに相手が本登記に協力してくれない、決済は先だが順位だけ今日押さえたい、そういう場面で、相手の協力を待たずに順位を確保する手が打てるということだ。しかも 2 項で、共同申請の場合には 22 条本文(登記識別情報、いわゆる権利証の提供義務)が適用されない。仮登記は「順位を仮に押さえる」だけの制度なので、本登記ほど厳格な本人確認を要求しない設計になっている。この二つの緩和が、仮登記を実務で使える武器にしている。
不動産登記法 107 条は、仮登記の申請方法に関する特則である。1 項は、登記義務者の承諾があるとき、または同法 108 条の仮登記を命ずる処分があるときに、60 条の共同申請主義にかかわらず登記権利者が単独で仮登記を申請できる旨を定める。2 項は、登記権利者と登記義務者が共同して仮登記を申請する場合について、22 条本文の登記識別情報の提供義務を適用しないと規定する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
本登記に必要な要件がまだ整わない段階で、将来の本登記の順位だけを確保しておく登記です。不動産登記法 105 条が要件を、106 条が順位保全効を定めます。仮登記のままでは所有者にはなりません。
仮登記自体に法定の存続期間はなく、放置しても自動的に消えません。ただし保全している請求権には民法 166 条の消滅時効が及ぶため、時効完成後は抹消を求められる余地があります。
登記義務者が誰に対しどの不動産について、いかなる登記原因で仮登記を承諾するかを特定して記載します。実務では印鑑証明書を添え、申請情報と併せて提供します(不動産登記令 7 条)。
本人申請は可能です。ただし添付情報の特定や登記原因の記載を誤ると補正・却下となり、順位確保が遅れます。順位が一日の差で入れ替わる場面では司法書士への依頼が安全です。
売却自体は可能ですが、仮登記に基づく本登記がされると、その後に入った買主の登記は順位で劣後します。実務では決済条件として仮登記の抹消を求められるのが通常です。
原則は共同申請ですが、不動産登記法 110 条により仮登記名義人が単独で抹消でき、また仮登記名義人の承諾があれば登記上の利害関係人も単独で抹消を申請できます。
条件成就や代金完済など本登記の要件が整った後、本登記を申請します。所有権に関する仮登記の本登記には、登記上の利害関係を有する第三者の承諾が必要です(109 条)。
1 号は権利変動は生じているが手続要件が欠ける場合、2 号は請求権や条件付権利を保全する場合の仮登記です(105 条)。売買代金決済前は 2 号が使われることが多いです。
仮登記自体に対抗力はなく、効果は順位保全のみです(106 条)。後に本登記をしたとき、その順位が仮登記の日付に遡ります。つまり仮登記後に入った第三者の登記は、あなたの本登記に順位で負けます。業界裏話ヒント:仮登記の登録免許税は本登記より大幅に安く、所有権移転請求権保全なら不動産価額の 1000 分の 10。本登記時に差額を納めるので総額は変わりませんが、決済前の負担を抑えられる(最新の税率は要確認)
108 条の仮登記を命ずる処分があります。仮登記の原因となる権利変動を疎明して裁判所に申し立て、処分が出れば 107 条 1 項後段により単独申請できます。本訴と違い疎明で足り、期間も短い。業界裏話ヒント:この処分は不動産所在地の地方裁判所の管轄で、実務では申立てから発令まで数日から数週間。売主に「申し立てる」と伝えた段階で承諾書が出てくるケースが実際に多い
共同申請の場合、22 条本文(登記識別情報の提供義務)が適用されません(107 条 2 項)。仮登記は順位保全にとどまり、実体的な権利を確定させないため、要件が緩和されています。ただし本登記の段階では登記識別情報が必要になります。業界裏話ヒント:権利証を紛失した売主が「本登記は事前通知制度で対応、まず仮登記で押さえる」という二段構えを提案してくることがある。その場合、本登記時に事前通知の手続コストと時間が別途かかることを最初に確認する
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 107 条:仮登記の申請方法(単独申請と識別情報不要) | — |
| 単独申請できる者 | 登記権利者(承諾または処分がある場合) | — |
| 必要な要件 | 登記義務者の承諾を証する情報、または 108 条の処分 | — |
| 登記識別情報 | 共同申請の場合、22 条本文の適用なし(提供不要) | — |
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