不動産登記法 第107条(仮登記の申請方法)
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- 仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるとき及び次条に規定する仮登記を命ずる処分があるときは、第六十条の規定にかかわらず、当該仮登記の登記権利者が単独で申請することができる。
- 2.仮登記の登記権利者及び登記義務者が共同して仮登記を申請する場合については、第二十二条本文の規定は、適用しない。
この条文の基本情報
仮登記の申請方法とは何ですか?
定義仮登記の申請方法とは、不動産登記法第107条に定められた規定で、「仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるとき及び次条に規定する仮登記を命ずる処分があるときは、第六十条の規定にかかわらず、当該仮登記の登記権利者が単独で申請する…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第107条(仮登記の申請方法)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第107条の条文原文は「仮登記は、仮登記の登記義務者の承諾があるとき及び次条に規定する仮登記を命ずる処分があるときは、第六十条の規定にかかわらず、当該仮登記の登記権利者が単独で申請する…」で始まります。
- 不動産登記法第107条は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第107条の前の条は不動産登記法第106条です。
- 不動産登記法第107条の次の条は不動産登記法第108条です。
- 不動産登記法第107条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第107条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第107条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/107
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法107条は、登記義務者の承諾または裁判所の仮登記を命ずる処分があるとき、登記権利者が単独で仮登記を申請できると定める。共同申請では登記識別情報の提供も不要。
Q · 売主が登記に協力してくれない場合、買主だけで仮登記を入れられますか?
承諾書か裁判所の処分があれば単独で申請できます
不動産登記法107条1項により、登記義務者(多くは売主・所有者)の承諾があるとき、または108条の仮登記を命ずる処分があるときは、60条の共同申請主義にかかわらず登記権利者が単独で仮登記を申請できます。承諾が得られない場合は、不動産所在地を管轄する地方裁判所に仮登記を命ずる処分を申し立てる道があり、疎明で足りるため本訴より短期間で結論が出ます。また2項により、共同して仮登記を申請する場合には22条本文の登記識別情報(権利証)の提供義務が適用されません。ただし仮登記の効果は順位保全(106条)にとどまり、対抗力そのものは生じません。
解説
不動産の登記は、原則として売主と買主が二人そろって法務局に申請しなければならない(不動産登記法60条、共同申請主義)。ところが仮登記だけは、この鉄則に穴が開いている。107条1項は、登記義務者(多くの場合は売主・所有者)の承諾書があるとき、または裁判所の仮登記を命ずる処分があるときは、権利者があなた一人で仮登記を申請できると定める。ここがあなたにとって決定的な意味を持つ。売買代金を払ったのに相手が本登記に協力してくれない、決済は先だが順位だけ今日押さえたい、そういう場面で、相手の協力を待たずに順位を確保する手が打てるということだ。しかも2項で、共同申請の場合には22条本文(登記識別情報、いわゆる権利証の提供義務)が適用されない。仮登記は「順位を仮に押さえる」だけの制度なので、本登記ほど厳格な本人確認を要求しない設計になっている。この二つの緩和が、仮登記を実務で使える武器にしている。
法的な位置づけ
不動産登記法107条は、仮登記の申請方法に関する特則である。1項は、登記義務者の承諾があるとき、または同法108条の仮登記を命ずる処分があるときに、60条の共同申請主義にかかわらず登記権利者が単独で仮登記を申請できる旨を定める。2項は、登記権利者と登記義務者が共同して仮登記を申請する場合について、22条本文の登記識別情報の提供義務を適用しないと規定する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.仮登記の必要性と種類を判定する 決済日までの空白期間、農地法や開発許可の許可待ち期間、財産分与の名義変更待ち期間など、権利がまだ確定しないのに第三者に先を越されうる状態かを確認する。105条の1号仮登記か2号仮登記かを特定する
- 2.登記義務者から承諾を証する情報を取得する 契約締結の場など関係が良好な段階で、仮登記を承諾する旨の書面と印鑑証明書を受け取る。承諾書には不動産の表示、登記の目的、登記原因、登記権利者を特定して記載する(107条1項前段、不動産登記令7条)
- 3.承諾が得られない場合は仮登記を命ずる処分を申し立てる 不動産所在地を管轄する地方裁判所に、108条の仮登記を命ずる処分を申し立てる。仮登記の原因となる権利変動を疎明すれば足り、本訴より短期間で発令される。発令されれば107条1項後段により単独申請が可能になる
- 4.管轄法務局へ仮登記を申請する 不動産所在地を管轄する法務局に、申請情報と承諾を証する情報(または処分の決定書)を添付して申請する。共同申請の場合は107条2項により登記識別情報の提供は不要。登録免許税は本登記より低額に設定されている(最新の税率は要確認)
- 5.本登記に向けて条件成就を管理する 仮登記の順位保全効(106条)は本登記をして初めて実益が出る。代金完済、許可取得、条件成就の時点で速やかに本登記を申請する。所有権に関する仮登記の本登記には、登記上の利害関係を有する第三者の承諾が必要となる(109条)
よくある質問 AI による整理
Q1仮登記とは何ですか?
本登記に必要な要件がまだ整わない段階で、将来の本登記の順位だけを確保しておく登記です。不動産登記法105条が要件を、106条が順位保全効を定めます。仮登記のままでは所有者にはなりません。
Q2仮登記に有効期限はありますか?
仮登記自体に法定の存続期間はなく、放置しても自動的に消えません。ただし保全している請求権には民法166条の消滅時効が及ぶため、時効完成後は抹消を求められる余地があります。
Q3仮登記の承諾書には何を書きますか?
登記義務者が誰に対しどの不動産について、いかなる登記原因で仮登記を承諾するかを特定して記載します。実務では印鑑証明書を添え、申請情報と併せて提供します(不動産登記令7条)。
Q4仮登記は自分で申請できますか?
本人申請は可能です。ただし添付情報の特定や登記原因の記載を誤ると補正・却下となり、順位確保が遅れます。順位が一日の差で入れ替わる場面では司法書士への依頼が安全です。
Q5仮登記が付いた不動産は売却できますか?
売却自体は可能ですが、仮登記に基づく本登記がされると、その後に入った買主の登記は順位で劣後します。実務では決済条件として仮登記の抹消を求められるのが通常です。
Q6仮登記の抹消はどうすればいいですか?
原則は共同申請ですが、不動産登記法110条により仮登記名義人が単独で抹消でき、また仮登記名義人の承諾があれば登記上の利害関係人も単独で抹消を申請できます。
Q7仮登記を本登記にするにはどうしますか?
条件成就や代金完済など本登記の要件が整った後、本登記を申請します。所有権に関する仮登記の本登記には、登記上の利害関係を有する第三者の承諾が必要です(109条)。
Q81号仮登記と2号仮登記の違いは何ですか?
1号は権利変動は生じているが手続要件が欠ける場合、2号は請求権や条件付権利を保全する場合の仮登記です(105条)。売買代金決済前は2号が使われることが多いです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1仮登記って結局、どのくらい効くんですか? 本登記と何が違うんですか
仮登記自体に対抗力はなく、効果は順位保全のみです(106条)。後に本登記をしたとき、その順位が仮登記の日付に遡ります。つまり仮登記後に入った第三者の登記は、あなたの本登記に順位で負けます。実務のポイント:仮登記の登録免許税は本登記より大幅に安く、所有権移転請求権保全なら不動産価額の1000分の10。本登記時に差額を納めるので総額は変わりませんが、決済前の負担を抑えられる(最新の税率は要確認)
Q2売主が承諾書を書いてくれません。もう打つ手なしですか
108条の仮登記を命ずる処分があります。仮登記の原因となる権利変動を疎明して裁判所に申し立て、処分が出れば107条1項後段により単独申請できます。本訴と違い疎明で足り、期間も短い。実務のポイント:この処分は不動産所在地の地方裁判所の管轄で、実務では申立てから発令まで数日から数週間。売主に「申し立てる」と伝えた段階で承諾書が出てくるケースが実際に多い
Q3権利証がなくても仮登記できるって本当ですか
共同申請の場合、22条本文(登記識別情報の提供義務)が適用されません(107条2項)。仮登記は順位保全にとどまり、実体的な権利を確定させないため、要件が緩和されています。ただし本登記の段階では登記識別情報が必要になります。実務のポイント:権利証を紛失した売主が「本登記は事前通知制度で対応、まず仮登記で押さえる」という二段構えを提案してくることがある。その場合、本登記時に事前通知の手続コストと時間が別途かかることを最初に確認する
間違えやすい点 AI による整理
- 「仮登記があれば所有権を主張できる」と考える人がいるが、これは問いの立て方から間違っている。仮登記それ自体には対抗力がない。仮登記が持つのは順位保全効(106条)だけで、後で本登記をしたときに順位が仮登記の日付まで遡る、という効果である。仮登記のまま放置していても、あなたは所有者ではない
- 単独申請ができると聞くと「相手の同意なしで勝手にできる」と誤解されがちだが、107条1項が要求しているのは義務者の承諾(=相手の意思)か、裁判所の処分である。相手の意思を完全に迂回できるルートは、裁判所を通す108条しかない。「単独申請」は「手続として一人で窓口に行ける」という意味であって、「相手の関与が不要」という意味ではない
- 登記識別情報が不要と聞いて「本人確認が緩いなら乗っ取られる危険もあるのでは」と不安になる人がいるが、その心配の深刻度は実は逆方向にある。危ないのはあなたが承諾書に軽く押印する側になったときだ。承諾書と印鑑証明があれば相手は単独で仮登記を入れられる。押印の瞬間に、あなたは自分の不動産の登記簿を相手に開放している
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 107条:仮登記の申請方法(単独申請と識別情報不要) | 108条:裁判所による仮登記を命ずる処分 110条:仮登記の抹消の申請方法 |
| 単独申請できる者 | 登記権利者(承諾または処分がある場合) | 申立ては登記権利者、発令主体は地方裁判所 仮登記名義人、および仮登記名義人の承諾を得た利害関係人 |
| 必要な要件 | 登記義務者の承諾を証する情報、または108条の処分 | 仮登記の原因となる権利変動の疎明 仮登記名義人の意思、または承諾を証する情報 |
| 登記識別情報 | 共同申請の場合、22条本文の適用なし(提供不要) | 処分の決定書が承諾に代わる添付情報となる 抹消の局面では別途要件判断が必要 |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は請求権保全のための預告登記を用意し、登記名義人の同意書または裁判所の假処分裁定を要件とする点で日本の仮登記と機能的に対応する。ただし台湾の預告登記は後続処分に対する制限として構成され、順位保全という日本型の説明とは理論構成が異なる
韓国は、가등기권리자が가등기의무자の승낙 또는 법원의 가등기가처분명령이 있을 때 단독으로 가등기를 신청할 수 있ると定め、日本の107条1項とほぼ同一の構造をとる。日本法の強い影響が残る典型例
中国は不動産売買等の契約について当事者の約定により予告登記を申請でき、予告登記後の処分は登記権利者の同意なしには物権効力を生じないと定める。効力の構成は日本の順位保全より強い禁止型
ドイツの Vormerkung は、登記義務者の承諾(Bewilligung)または裁判所の仮処分(einstweilige Verfügung)により登記され、これに反する処分は仮登記権利者との関係で無効となる。日本107条1項の二つの入口はこの構造と対応する
米国には仮登記に相当する統一制度はなく、係争中の不動産について lis pendens を記録し、以後の取得者に通知の効果を及ぼす方法や、Race-Notice 型の記録法制による優劣決定に委ねられる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 中古マンションの売買で手付金300万円を払った。残金決済は3か月後。その間に売主が二重売買したら、あなたの権利は後から来た第三者に負ける(177条、対抗要件)。売主から承諾書をもらって所有権移転請求権の仮登記を入れておけば、順位は今日の日付で確保される。手付金の額を考えれば、登録免許税と司法書士報酬は保険料として安い
- 友人から相談された。「知り合いに500万円貸すんだけど、担保に不動産をとりたい。でも抵当権設定登記は相手が嫌がる」。仮登記担保という選択肢がある。ただし仮登記担保契約に関する法律により、清算義務や実行手続が厳格に規制されているので、うっかり丸取りはできない
- もし売主が承諾書へのハンコを拒んだら、どうなる? 諦める必要はない。108条の仮登記を命ずる処分を裁判所に申し立てる道がある。仮処分に近い簡易な手続で、疎明があれば発令される。相手の協力なしで単独申請ができる状態を、裁判所に作ってもらう
- あなたが売主側で、買主から「仮登記を入れさせてほしい」と承諾書への押印を求められている。安易に押すと、その不動産に仮登記が付いたまま、取引が破談になっても抹消に相手の協力が必要になる。押す前に、解除時の抹消手続と抹消費用の負担を書面で取り決めておく
- 住宅ローンの本審査が通るまであと10日。売主は他にも内見希望者を入れ続けている。決済までの空白期間、あなたの立場を守るものは契約書だけで、それは登記簿に一行も現れない。仮登記を入れるかどうかは、今週中に決めるしかない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 売主が本登記に応じない場合、まず契約書・振込記録・LINE のやり取りを保全2. 承諾書をもらえるなら、承諾書と印鑑証明書(作成後3か月以内)を添えて権利者単独で仮登記を申請(107条1項前段) 3. 承諾が得られなければ、不動産所在地を管轄する地方裁判所に仮登記を命ずる処分を申し立てる(108条)。保全処分に準じた疎明で足り、本訴より圧倒的に速い4. 仮登記を入れたうえで、本登記手続請求訴訟または所有権移転登記手続の訴えへ進む。仮登記の順位は判決確定後の本登記に遡って効く
訴えられた側:1. 身に覚えのない仮登記が入っていたら、まず登記事項証明書を取得し、登記原因と申請日、添付書類を確認2. 承諾書が偽造されている疑いがあれば、刑事(有印私文書偽造)と並行して、仮登記抹消登記手続請求の訴えを検討3. 裁判所の処分(108条)を根拠に入れられた場合は、その処分自体への不服申立てを検討4. 取引が解除された場合の抹消は、原則として仮登記名義人の承諾または判決が必要(110条)。解除合意書に抹消義務と費用負担を明記させる
時効(請求できる期限):仮登記の申請自体に法定の期限はない。ただし仮登記で保全する権利(売買代金返還請求権、所有権移転登記請求権など)には一般消滅時効が及ぶ(民法166条、権利行使できると知った時から5年または権利行使可能時から10年)。実務上の本当の期限は法定期間ではなく、第三者が先に登記を入れた瞬間である。順位保全は早い者勝ちであり、一日の遅れが権利の順序を入れ替える
学説
通説:107条1項の単独申請は、登記義務者の承諾または裁判所の処分という代替的な真正担保があることを前提とする。仮登記が実体的権利を確定させず順位保全にとどまる点が、共同申請主義および登記識別情報提供義務の緩和を正当化する根拠と解される。
実務通説:107条1項にいう「承諾」は登記義務者の意思に基づく必要があり、単独申請とは手続上一人で申請できるという意味にとどまる。義務者の意思を完全に迂回できるルートは108条の裁判所の処分のみであると整理される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.明治32年(1899年) 新設:旧不動産登記法が制定され、仮登記制度および仮登記に関する申請手続の特則が置かれた。共同申請主義を原則としつつ、順位保全のための例外的な単独申請が認められる構造が形成された
- 2.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正。オンライン申請への対応とともに、登記済証(権利証)に代わる登記識別情報制度が導入され、仮登記の申請方法に関する規律が現行107条として整理された
- 不動産登記法 第60条共同申請主義の原則、本条が定める例外の対象
- 不動産登記法 第22条登記識別情報の提供義務、2項で適用除外
- 不動産登記法 第105条仮登記ができる場合(1号・2号仮登記)
- 不動産登記法 第106条仮登記に基づく本登記の順位保全効
- 不動産登記法 第108条仮登記を命ずる処分、単独申請の根拠
- 不動産登記法 第110条仮登記の抹消における単独申請の要件
- 民法 第177条不動産物権変動の対抗要件、順位保全の実益の根拠
- 仮登記担保契約に関する法律 第3条担保目的の仮登記における清算義務の特則
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