不動産登記法 第110条(仮登記の抹消)
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仮登記の抹消は、第六十条の規定にかかわらず、仮登記の登記名義人が単独で申請することができる。仮登記の登記名義人の承諾がある場合における当該仮登記の登記上の利害関係人も、同様とする。
この条文の基本情報
仮登記の抹消とは何ですか?
定義仮登記の抹消とは、不動産登記法第110条に定められた規定で、「仮登記の抹消は、第六十条の規定にかかわらず、仮登記の登記名義人が単独で申請することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第110条(仮登記の抹消)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第110条の条文原文は「仮登記の抹消は、第六十条の規定にかかわらず、仮登記の登記名義人が単独で申請することができる。」で始まります。
- 不動産登記法第110条は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第110条の前の条は不動産登記法第109条です。
- 不動産登記法第110条の次の条は不動産登記法第111条です。
- 不動産登記法第110条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第110条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第110条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/110
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法110条は、仮登記の抹消を仮登記の登記名義人が単独で申請できると定める。仮登記名義人の承諾があれば、登記上の利害関係人も単独で抹消を申請できる。
Q · 他人が付けた仮登記、自分だけで消せますか?
仮登記名義人は単独で抹消できます。承諾書があれば利害関係人も可能です。
不動産登記法110条により、仮登記の抹消は仮登記の登記名義人が単独で申請できます(同法60条の共同申請原則の例外)。後段では、仮登記名義人の承諾がある場合、その仮登記の登記上の利害関係人(現在の所有者、後順位の抵当権者、買主など)も単独で抹消を申請できます。必要なのは相手の同行ではなく、実印を押した承諾書と印鑑証明書です。承諾が得られない場合は、同法70条の除権決定や抹消登記請求訴訟の確定判決による単独申請という別ルートがあります。
解説
登記の世界には「共同申請」という重い原則がある。不動産登記法60条により、登記は原則として登記権利者と登記義務者が二人そろって申請しなければならない。相手が協力しなければ、訴訟で判決を取るまで登記は動かない。ところが110条は、仮登記の抹消についてだけ、この原則を正面から外している。仮登記の登記名義人、つまり仮登記によって将来の権利を確保している当人は、単独で自分の仮登記を消せる。さらに重要なのは後段だ。仮登記名義人の承諾書さえあれば、その仮登記の存在によって不利益を受けている利害関係人(後順位の抵当権者、その不動産を買った人など)も、自分の名前で抹消申請ができる。あなたが買おうとしている土地に古い仮登記がぶら下がっているとき、仮登記名義人を登記所に連れて行く必要はない。承諾書一枚を取れば、あなた自身が申請人として動ける。決済当日、相手が現れなくても登記が完了するかどうかは、この一条を知っているかで決まる。
法的な位置づけ
不動産登記法110条は、仮登記の抹消における申請人の特則を定める規定であり、共同申請主義(同法60条)の例外として、仮登記の登記名義人による単独申請を認める。加えて、仮登記名義人の承諾がある場合には、当該仮登記の登記上の利害関係人も単独で抹消を申請することができる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登記事項証明書で仮登記の内容を特定する 法務局または登記情報提供サービスで登記事項証明書を取得し、仮登記の種類(所有権移転請求権仮登記・条件付所有権移転仮登記・仮登記担保など)、登記名義人、登記原因と日付、順位番号を書き出す。抹消の申請人が誰になるかはここで決まる
- 2.仮登記名義人の現在の所在・相続関係を調べる 登記簿上の住所と現住所が一致するとは限らないため、住民票の除票・戸籍の附票・商業登記簿で追跡する。死亡していれば相続人全員を戸籍で確定させる。承諾書は相続人全員から取る必要がある
- 3.承諾書と印鑑証明書を取得する 仮登記名義人(または相続人全員)に、抹消についての承諾書へ実印を押してもらい、印鑑証明書を添えて交付を受ける。郵送でよく、登記所への同行は不要。印鑑証明書の取得費用と郵送費をこちらが負担すると申し出ると成立率が上がる
- 4.抹消登記を単独で申請する 不動産所在地を管轄する法務局に、登記申請書・承諾書・印鑑証明書等を添えて申請する。登録免許税は不動産1個につき1,000円(上限あり)。オンライン申請も可能。補正連絡に備え、平日日中に連絡が取れる体制にしておく
- 5.承諾が取れない場合は別ルートへ切り替える 仮登記名義人が所在不明・相続人多数・非協力の場合、110条は使えない。不動産登記法70条の除権決定(公示催告手続)や、抹消登記請求訴訟の確定判決による単独申請へ早期に切り替える。決済期日を先に固定しないことが重要
よくある質問 AI による整理
Q1仮登記とは何ですか?
将来の本登記の順位をあらかじめ確保しておく予備的な登記です。所有権移転請求権仮登記や条件付所有権移転仮登記などの類型があり、本登記をすると仮登記の順位で対抗力が認められます(不動産登記法105条・106条)。
Q2仮登記の抹消登記に必要な書類は?
仮登記名義人が単独で申請する場合は登記識別情報等と本人確認書類、利害関係人が申請する場合は仮登記名義人の承諾書(実印押印)と印鑑証明書が中心です。具体的な添付情報は事案により異なります。
Q3仮登記の抹消 登録免許税はいくら?
抹消登記の登録免許税は不動産1個につき1,000円で、同一申請で20個以上の不動産をまとめる場合は2万円が上限とされています。最新の税率は登録免許税法をご確認ください。
Q4仮登記があると家は売れない?
法律上は売却できますが、本登記されると買主の所有権が覆るおそれがあるため、実務では買主も金融機関も抹消を条件にします。事実上、抹消しなければ決済が進まないと考えたほうが安全です。
Q5仮登記の抹消は自分でできる?
110条は申請人の資格を定めるだけなので、本人申請は可能です。ただし添付情報の判断や登記識別情報の扱いを誤ると補正・却下になるため、承諾書ルートでも司法書士に依頼する例が多数です。
Q6古い仮登記が残っているのはなぜ?
債務の完済や取引の破談で仮登記の目的が消えても、抹消は自動では行われないためです。当事者が手続を放置したまま数十年経過し、相続や売却の場面で初めて発覚するケースが典型です。
Q7仮登記の抹消に相手の実印は必要?
利害関係人が110条後段で申請する場合、承諾書には仮登記名義人の実印押印と印鑑証明書(または電子署名)が必要です。口頭の同意やメールだけでは登記所は受け付けません。
Q8仮登記を放置するとどうなる?
登記簿に残り続け、売却時や融資審査で必ず問題になります。年月が経つほど仮登記名義人の死亡・移転・法人解散が重なり、承諾書を集める難度と費用が上がっていきます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1うちの土地に付いてる仮登記、相手が「消していい」って言ってるんですが、何を用意すればいいですか?
仮登記名義人の承諾書(実印押印)と印鑑証明書があれば、110条後段により所有者であるあなたが単独で抹消申請できます。相手を登記所に連れて行く必要はありません。実務のポイント:口頭で「消していい」と言われた段階で安心する人が多いが、承諾書に押す実印と印鑑証明書の取得は相手にとって手間で、そこで止まる案件が非常に多い。印鑑証明書の発行手数料と郵送費をこちらが負担すると申し出るだけで、成立率が目に見えて上がる
Q2仮登記した本人がもう亡くなってるんですが、どうすればいいですか?
仮登記名義人の相続人全員から承諾書を得れば110条後段で抹消できます。相続人が多数・所在不明の場合は、不動産登記法70条の除権決定(公示催告手続を経る)や、抹消登記請求訴訟の確定判決による単独申請という別ルートがあります。実務のポイント:戦後間もない頃の担保目的の仮登記は、被担保債権が時効消滅していることがほとんど。訴訟になっても勝訴の見込みが高い類型なので、相続人が数十人に散っているなら承諾書集めより訴訟の方が早く安いことがある
Q3自分がした仮登記を自分で消したいだけなんですが、相手の同意は要りますか?
要りません。110条前段により、仮登記の登記名義人は単独で抹消申請できます。60条の共同申請原則の例外です。ただし抹消すれば順位保全の効力(同法106条)は完全に失われ、復活しません。実務のポイント:取引条件を巡って揉めている最中に、感情的に「もう要らない」と仮登記を抹消してしまう人がいる。抹消した瞬間、あなたはその不動産に対する優先的地位を失い、相手は第三者に自由に売れる。抹消は交渉カードを捨てる行為だと理解した上で判断する
間違えやすい点 AI による整理
- 仮登記を消すには仮登記名義人と現在の所有者が一緒に申請する必要がある、と思われている。だが110条前段は真逆で、仮登記名義人は単独で申請できる。むしろ所有者側が単独では消せない、という非対称の方が実務上の壁になる
- 「承諾書があれば利害関係人が消せる」という条文は知っていても、その承諾書が持つ重みを軽く見ている人が多い。承諾書には仮登記名義人の実印と印鑑証明書(または電子署名)が必要で、事実上、相手の完全な協力なしには成立しない。条文が単独申請を認めているのは手続の形式であって、相手との交渉が要らなくなるわけではない。ここを取り違えると、承諾を得る前から決済日を確定させてしまう
- 「仮登記名義人が行方不明・死亡なら打つ手なし」と諦める人が多いが、問いの立て方が違う。承諾が取れないなら、不動産登記法70条の除権決定による単独抹消や、仮登記抹消請求訴訟の判決による単独申請(60条の例外)というルートが別に用意されている。110条が使えないことは、抹消できないことを意味しない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 申請人になれる者 | 110条:仮登記名義人が単独。承諾があれば登記上の利害関係人も単独 | 60条:登記権利者と登記義務者の共同申請が原則 70条:除権決定を得た登記権利者が単独申請 |
| 相手方の関与 | 同行不要。承諾書(実印+印鑑証明書)という書面だけで足りる | 登記義務者の申請行為そのものが必要 相手方の関与は不要。裁判所の公示催告手続で代替する |
| 使う場面 | 仮登記名義人と連絡が取れ、抹消に同意している場面 | 通常の売買・抵当権設定など当事者双方が協力する場面 仮登記名義人が所在不明・協力を得られない場面 |
| 所要時間とコスト | 承諾書の取得次第で数日〜数週間。登録免許税は不動産1個1,000円 | 当事者が揃えば即日〜数日 公示催告の期間があり数か月。裁判所手続費用が別途必要 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は予告登記の塗消に原申請人(請求権者)の同意書を求める。書面による意思確認を要件とする点で、日本の110条後段と機能的に同じ構造を採る
仮登記名義人の単独申請と、承諾書を添付した利害関係人の単独申請という二段構えが日本法とほぼ同文。日本法継受の痕跡が最も明確に残る条文の一つ
ドイツは形式的合意主義(Bewilligungsgrundsatz)を採り、抹消は原則として Löschungsbewilligung(抹消承諾)に基づく。日本のような共同申請主義の例外という構成をとらず、承諾書中心の設計が制度の原則そのものになっている
米国には順位保全のための仮登記制度がなく、記録された lis pendens や契約覚書の解除・抹消が機能的に近い。統一法はなく州ごとに手続が分かれる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 相続した土地の登記簿を取ったら、昭和50年代の所有権移転請求権仮登記が残っていた。仮登記名義人はとうに死亡し、相続人は全国に散っている。売却の話が来ているのに、この仮登記があるだけで買主も銀行も引く。110条後段のルートを知っていれば、相続人全員の承諾書を集めるという道筋が最初から見える。知らなければ、いきなり訴訟の見積もりを取ることになる
- 決済まであと3日。買主側の司法書士から「登記簿に仮登記が付いています、抹消してから決済してください」と連絡が入る。仮登記名義人は連絡がつくが遠方在住で、登記所には来られない。ここで必要なのは同行ではなく、承諾書と印鑑証明書の郵送。単独申請の構造を理解しているかどうかで、決済が飛ぶか間に合うかが分かれる
- あなたが仮登記名義人の側だったら? 取引が破談になり、もう権利を主張するつもりはない。相手から「早く消してくれ」と言われている。あなたは一人で登記所に行けば抹消できる。相手の協力も、相手の実印も要らない。逆に言えば、消す気がないなら誰もあなたの意思なしには消せない、その非対称性があなたの交渉材料になる
- 後順位で抵当権を設定した金融機関の担当者。先順位に他人の仮登記があると、本登記されたときに自分の抵当権が職権抹消される危険がある(不動産登記法109条)。この危険を消すには仮登記の抹消しかない。110条後段の「利害関係人」に自分が該当することを理解している担当者は、承諾書の取得交渉から入る。していない担当者は、貸出稟議を止める
取るべき行動
被害を受けた側:1. 登記事項証明書を取得し、仮登記の種類(所有権移転請求権仮登記か、条件付所有権移転仮登記か等)と登記名義人、登記原因を特定する2. 仮登記名義人が特定できれば、抹消の承諾書(実印押印+印鑑証明書)の交付を交渉。あなたが後順位抵当権者や現所有者なら110条後段の利害関係人に当たる3. 承諾が取れれば、あなたが単独で抹消登記を申請できる。登録免許税は不動産1個につき1,000円(上限あり、最新の税率をご確認ください) 4. 相手が死亡・所在不明で承諾が取れない場合は、不動産登記法70条の除権決定または抹消請求訴訟へ切り替える
訴えられた側:1. あなたが仮登記名義人で抹消を求められている側なら、まず自分の仮登記が保全している権利(売買予約完結権、代物弁済予約等)が現時点で存続しているかを確認する2. 予約完結権には除斥期間・時効の問題があり、既に消滅していれば抹消に応じるほかない場合が多い3. 権利が存続しているなら、承諾書の交付は清算金の支払や本登記手続と引き換えにする。承諾書を先に渡すと相手が単独で抹消でき、こちらの登記上の地位が消える4. 交渉が決裂した場合、相手は訴訟で抹消判決を取りに来る。応訴の準備として仮登記の原因証書を保全する
時効(請求できる期限):110条の申請自体に期限はない。ただし仮登記が保全している権利の側に期限がある。売買予約完結権は形成権として10年の除斥期間(判例)、被担保債権は民法166条の消滅時効(権利行使できることを知った時から5年、権利行使できる時から10年)にかかる。仮登記名義人側は、この期間が経過すると抹消を拒む法的根拠を失う(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(登記実務の一般的理解):110条前段が単独申請を認めるのは、仮登記の抹消が申請人である仮登記名義人自身の権利を失わせる方向にしか働かず、虚偽の登記が入り込むおそれが類型的に小さいためである。手続の重さを、失われる利益の大きさに比例させた設計と説明される。
通説(後段の位置づけ):後段が利害関係人の単独申請を認めても真正担保は損なわれない、と解される。承諾書という書面によって仮登記名義人本人の意思確認が残されているためであり、承諾の方式要件(実印・印鑑証明書等)はこの意思確認機能を担保する要件と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)。オンライン申請の導入と条文の現代語化にあわせ、仮登記の抹消における申請人の特則が第110条として整理された。
- 2.令和3年(2021年) 改正:民法等の一部を改正する法律(令和3年法律第24号)により相続登記の申請義務化等が導入され、放置された古い登記の解消が政策課題として前面に出た。本条の文言そのものに直接の変更はないが、休眠仮登記の抹消需要は実務上増加している。
- 不動産登記法 第60条共同申請の原則、本条が外す一般則
- 不動産登記法 第105条仮登記の要件、抹消対象たる仮登記の類型
- 不動産登記法 第106条仮登記に基づく本登記の順位保全効、抹消で失う利益
- 不動産登記法 第109条本登記時の利害関係人の登記の職権抹消、後段の利害関係人概念と連動
- 不動産登記法 第70条除権決定による単独抹消、承諾が得られない場合の代替経路
- 民法 第166条被担保債権の消滅時効、抹消請求の実体的根拠
- 仮登記担保契約に関する法律 第1条代物弁済予約型仮登記への清算義務等の特則
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