不動産登記法 第109条(仮登記に基づく本登記)
クイックジャンプ
- 所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者(本登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。以下この条において同じ。)がある場合には、当該第三者の承諾があるときに限り、申請することができる。
- 2.登記官は、前項の規定による申請に基づいて登記をするときは、職権で、同項の第三者の権利に関する登記を抹消しなければならない。
この条文の基本情報
仮登記に基づく本登記とは何ですか?
定義仮登記に基づく本登記とは、不動産登記法第109条に定められた規定で、「所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者(本登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第109条(仮登記に基づく本登記)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第109条の条文原文は「所有権に関する仮登記に基づく本登記は、登記上の利害関係を有する第三者(本登記につき利害関係を有する抵当証券の所持人又は裏書人を含む。」で始まります。
- 不動産登記法第109条は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第109条の前の条は不動産登記法第108条です。
- 不動産登記法第109条の次の条は不動産登記法第110条です。
- 不動産登記法第109条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第109条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第109条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/109
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法109条は、所有権の仮登記に基づく本登記は登記上の利害関係人の承諾があるときに限り申請でき、本登記をすると登記官が職権でその第三者の登記を抹消すると定める。
Q · 仮登記に基づいて本登記をすると、後から入った抵当権はどうなるの?
登記官が職権で抹消します。ただし本登記には承諾が必要です
不動産登記法109条2項により、所有権の仮登記に基づく本登記がされると、登記官は職権でその第三者の権利に関する登記を抹消しなければなりません。裁判所の判断を待つ必要はなく、後順位の抵当権はそのまま登記簿から消えます。ただし同条1項により、本登記の申請自体が「登記上の利害関係を有する第三者の承諾があるとき」に限られます。承諾を証する情報が添付できなければ申請は受理されず、実務では承諾に代わる裁判があったことを証する情報(確定判決の謄本等)を得る道を選びます。
解説
仮登記という制度を、順番待ちの整理券だと思っている人は多い。だが不動産登記法109条が扱っているのは、その整理券を本物の権利に化けさせる瞬間、つまり第三者の登記が消える瞬間である。あなたが所有権移転請求権の仮登記を打っておいた土地に、後から他人の抵当権が入ったとする。あなたが本登記をすると、その抵当権は登記官の職権で抹消される。裁判も訴訟も要らない。ただし条件が一つ、その抵当権者の承諾書(または承諾に代わる裁判の謄本)を添えなければ、本登記の申請そのものが受理されない。ここに実務の急所がある。承諾を取れるかどうかで、あなたの仮登記は最強の切り札にも、紙切れ同然の飾りにもなる。しかも承諾の交渉力は、相手が自分の登記が消える運命だと理解しているかどうかで、まるで違ってくる。
法的な位置づけ
不動産登記法109条は、所有権に関する仮登記に基づく本登記の申請要件と、その効果としての職権抹消を定める規定である。登記上の利害関係を有する第三者が存在する場合、本登記の申請は当該第三者の承諾があるときに限られ、本登記がされたときは登記官が職権でその第三者の権利に関する登記を抹消する。仮登記の順位保全効を登記手続の上で現実化する条文である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登記事項証明書で利害関係人を全員洗い出す 対象不動産の登記事項証明書を取得し、自分の仮登記の受付番号より後に入った登記をすべて特定する。抵当権者だけでなく、後順位の所有権取得者、差押債権者、抵当証券の所持人・裏書人も109条1項の第三者に含まれる
- 2.仮登記の原因である権利が存続しているか自己点検 売買予約完結権や所有権移転請求権が時効等で消滅していないかを、登記原因証明情報と契約書で確認する。ここが崩れていると本登記の前提そのものが失われるため、承諾交渉より先に着手する
- 3.各利害関係人に承諾を求める 本登記により登記が職権抹消される旨を正確に伝えたうえで、承諾書への実印押印と印鑑証明書の交付を求める。法人の場合は代表者事項証明書も併せて依頼する
- 4.拒否されたら承諾に代わる裁判を求める 任意の承諾が得られない場合、承諾を求める訴えを提起して確定判決を得る。判決の謄本は承諾を証する情報の代わりとして添付できるため、交渉決裂=本登記断念ではない
- 5.本登記を申請し、職権抹消の結果を確認する 承諾を証する情報または判決謄本を添付して本登記を申請する。完了後に登記事項証明書を再取得し、後順位の第三者の登記が109条2項に基づき職権抹消されているかを目視で確認する
よくある質問 AI による整理
Q1仮登記とは何ですか?
将来の本登記のために順位を確保しておく登記です。それ自体に対抗力はありませんが、本登記をすると順位が仮登記の順位に遡り、後から入った権利を排除できます。
Q2職権抹消とは何ですか?
当事者の申請を待たず、登記官が自らの判断で登記を消すことです。不動産登記法109条2項の場合、仮登記に基づく本登記をするときに後順位の第三者の登記が対象になります。
Q3登記上の利害関係を有する第三者とは誰ですか?
仮登記の後に登記され、本登記により登記簿上の権利を失う者です。後順位の抵当権者や所有権取得者のほか、条文は抵当証券の所持人・裏書人を明示的に含めています。
Q4仮登記の本登記に承諾書は必ず必要ですか?
登記上の利害関係を有する第三者がいる場合は必要です。第三者が一人もいなければ承諾は不要で、仮登記権利者と登記義務者の共同申請で本登記ができます。
Q5承諾書に印鑑証明書は必要ですか?
実務では承諾書に実印を押印し、作成後3か月以内の印鑑証明書を添えるのが標準です。法人の場合は登記事項証明書も求められるため、事前に法務局へ確認してください。
Q6承諾を拒否されたらどうすればいいですか?
承諾に代わる裁判を求める訴えを提起し、確定判決の謄本を承諾を証する情報の代わりに添付します。拒否されただけで本登記が永久に止まるわけではありません。
Q7仮登記の本登記に費用はいくらかかりますか?
登録免許税と司法書士報酬がかかります。本登記の登録免許税は仮登記時に納付した分を考慮して算出されるため、税率と軽減措置の最新状況を法務局または税理士に確認してください。
Q8仮登記を消したいときはどうしますか?
不動産登記法110条の抹消手続によります。仮登記名義人の承諾または判決を得て申請するのが原則で、名義人が死亡していれば相続人全員の関与が必要になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1承諾しろって言われたんですが、ハンコ代っていくらくらい取れるものなんですか?
法律上の定額はなく、実務では当事者間の交渉次第である。ただし本登記が実行されれば不動産登記法109条2項により登記は職権抹消されるため、承諾を拒み続けても承諾に代わる判決で押し切られる構造にある。実務のポイント:交渉力の実質は「承諾するか否か」ではなく、あなたの権利が仮登記より先か後かで決まる。後順位であることが確定した時点で、要求できる金額の天井は一気に下がる。
Q2登記官が勝手に自分の抵当権を消せるって、本当ですか?
本当である。不動産登記法109条2項は、仮登記に基づく本登記をするとき、登記官が職権で第三者の権利に関する登記を抹消しなければならないと定める。裁判所の判断を待つ必要はない。実務のポイント:ただしその前提として1項の承諾書または承諾に代わる判決の添付が必須である。つまり「知らないうちに消される」ケースは、あなたが承諾書を出した場合か、訴訟の被告になっていた場合に限られる。訴状を放置することが最大のリスクになる。
Q3登記簿に古い仮登記が残ってる土地、買っても大丈夫ですか?
そのまま買うのは危険である。あなたの所有権移転登記は仮登記より後順位となり、将来その仮登記が本登記されれば職権抹消の対象になりうる。決済前に仮登記の抹消登記を条件にするのが実務の標準である。実務のポイント:仮登記権利者が行方不明や死亡のケースでは、抹消に相続人全員の関与が必要となり数か月かかる。融資承認の有効期限から逆算すると、契約前に着手していないと間に合わない。
Q4仮登記のままだと、権利としては何の意味もないんですか?
対抗力はないが順位保全効はある。本登記をした時点で順位が仮登記の順位に遡るため、後から入った権利を排除できる。この効力の実現手続を定めるのが109条である。実務のポイント:順位保全効があっても、本登記の申請には登記義務者の協力または判決が要る。仮登記を入れて安心してしまい、相手が音信不通になってから慌てる例が最も多い。
間違えやすい点 AI による整理
- 仮登記は「順位を確保するだけの予約」であり、後から入った抵当権とは共存できると思われがちである。実際には本登記がなされた時点で、順位保全の効力が遡り、後順位の第三者の登記は登記官の職権で抹消される。共存ではなく消滅であり、その落差が担保評価を丸ごと狂わせる。
- 「承諾を拒めば本登記を止められる」という理解は、問いの立て方そのものがずれている。本当の争点は承諾の可否ではなく、仮登記の原因である権利(売買予約完結権や請求権)が現在も有効に存続しているかである。そこが崩れていれば承諾は不要になり、逆に有効であれば承諾に代わる判決で押し切られる。
- 職権抹消される第三者は「抵当権者だけ」と思われているが、条文は登記上の利害関係を有する第三者と広く定めており、抵当証券の所持人・裏書人まで明示的に含む。差押債権者、後順位の所有権取得者も対象になりうる。自分が利害関係人に当たるかどうかを誤認したまま放置すると、通知を受けた時には既に抹消の射程内にいる。
- 「登記官が職権で抹消するのだから、消される側には何も届かない」と考えるのは危険である。抹消された第三者は登記官から通知を受け、実体上の権利を失ったわけではない場合には別途争う余地が残る。ただし登記簿上の対抗力を失った状態からの巻き返しは、圧倒的に不利な位置からの戦いになる。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 109条:仮登記に基づく本登記の申請要件と職権抹消 | 106条:仮登記の順位保全効そのものの根拠 110条:仮登記の抹消手続(本条の裏面) |
| 第三者の関与 | 利害関係人の承諾が申請要件、承諾なしでは受理されない | 第三者の関与は不要(効力規定) 仮登記名義人の承諾または判決が必要 |
| 登記官の職権 | 後順位第三者の登記を職権で抹消する義務あり | 職権処理なし 職権抹消ではなく申請による抹消が原則 |
| 使う場面 | 仮登記権利者が権利を確定させたいとき | 仮登記の効力を主張・説明するとき 不要になった仮登記を登記簿から消したいとき |
他国ではどう定めているか 6 か国
台湾の預告登記も請求権保全を目的とし、預告登記に抵触する処分は登記名義人に対抗できない構成をとる。日本のような登記官による一括職権抹消の明文はなく、効力面での処理が中心となる点が異なる
韓国は、가등기に基づく본등기をしたとき、가등기により保全される権利を侵害する後順位の登記を登記官が職権で抹消すると明文で定める。日本109条2項ときわめて近い構造である
中国の予告登記は、登記後に不動産を処分しても物権的効力を生じないという形で保全する。また、債権消滅後または本登記可能となった日から3か月以内に登記を申請しないと失効する期間制限が置かれている点が特徴
ドイツは Vormerkung に抵触する処分を仮登記権利者との関係でのみ無効とする「相対的無効」構成をとり、抹消は § 888の同意請求権を通じて実現する。日本が手続法で職権抹消を用意したのに対し、実体法で処理する設計
フランス一般法(publicité foncière)には Vormerkung 型の順位保全制度がなく、地域法が適用されるアルザス・モーゼル圏の土地帳簿制度に prénotation が残る。対抗要件の優劣は原則として公示の先後で処理される
米国は訴訟係属の登録(lis pendens)により、以後の譲受人・担保権者を判決に拘束させる。登記官が第三者の登記を職権で消す制度はなく、権利の優劣は記録法と訴訟で決まる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 売買代金を分割で払う約束で、土地の所有権移転請求権仮登記だけ先に入れておいた。残代金を払い終える前に、売主が資金繰りに詰まって同じ土地に銀行の抵当権を設定してしまう。あなたが本登記をすれば、その銀行の抵当権は職権で抹消される。ただし銀行の承諾書がなければ、本登記の申請書は法務局の窓口で止まる。
- あなたが融資担当で、担保に取ろうとしている土地の登記簿に見慣れない仮登記が残っている。数年前の日付、登記名義人は個人。この一行を見落として抵当権を設定すれば、いつか誰かの本登記であなたの抵当権は消える。稟議に判を押す前に、その仮登記の原因と現在の効力を確認する義務があなたにはある。
- もし、あなたが承諾を求められた側だったら? 「承諾しなければ本登記されない」と考えて突っぱねるのは半分正しく、半分危険である。相手は承諾に代わる確定判決を取る道を持っており(不動産登記法109条1項)、判決が出れば承諾なしで本登記される。交渉のカードにはなるが、無限に粘れるカードではない。
- 住宅ローン完済後の抵当権抹消と、古い仮登記の抹消を同時に頼まれた司法書士。仮登記権利者が既に死亡し、相続人が全国に散っている。本登記も抹消もできないまま、その土地は売れない。あと3週間で買主の融資承認期限が切れる。
- 相続した実家の登記簿を初めて取り寄せたら、祖父の代の「代物弁済予約」による仮登記が付いていた。担保仮登記であれば仮登記担保契約に関する法律の清算手続が必要で、いきなり本登記されるわけではない。だが登記簿の見た目だけでは、その仮登記が売買予約なのか担保なのか判別しづらい。
取るべき行動
被害を受けた側:仮登記権利者として本登記を実現したい場合、まず登記事項証明書で自分の仮登記より後に入った第三者を全員洗い出す。次に各人へ承諾書(実印押印+印鑑証明書)を求め、拒否されたら承諾請求訴訟を提起して確定判決を得る。判決の謄本は承諾書の代わりになる。並行して仮登記の原因である権利が時効消滅していないかを自ら点検すること、そこが崩れると全て前提から覆る。
訴えられた側:承諾を求められた第三者の立場なら、即答しない。仮登記の受付日付、原因、権利の内容を登記事項証明書と登記原因証明情報で確認し、自分の権利設定時にその仮登記が既に存在していたかを特定する。存在していたなら遮断は原則避けられないため、承諾と引き換えの実体的な清算交渉に集中する。仮登記が担保目的なら仮登記担保契約に関する法律の清算義務を突く余地がある。
時効(請求できる期限):本条自体に固有の期間制限はない。ただし仮登記の原因である売買予約完結権等は権利行使可能時から一定期間で消滅時効にかかり、金銭債権であれば民法166条(知った時から5年、権利行使可能時から10年)が基準になる。承諾請求訴訟の提起にも実体権の存続が前提となるため、実質的な時間制限は原因権利の時効で決まる(最新の改正状況をご確認ください)。
学説
通説:109条1項の承諾要件は、仮登記の順位保全効を貫徹しつつ、無審理で登記を失う第三者に最小限の手続保障を与えるための関門と解される。承諾は登記手続上の要件であり、承諾によって第三者が実体上の権利まで放棄したことにはならないとするのが一般的な理解である。
実務通説:職権抹消の対象となる「登記上の利害関係を有する第三者」は、本登記により登記簿上の権利が両立しなくなる者を指すと解され、後順位抵当権者・後順位の所有権取得者・差押債権者などが含まれる。仮登記より先順位の権利者は対象外である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.明治32年(1899年) 新設:旧不動産登記法(明治32年法律第24号)が制定され、仮登記制度とその本登記に伴う処理の枠組みが置かれた
- 2.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)。オンライン申請と登記識別情報を導入し、条文を現代語化して整理。仮登記に基づく本登記の要件と職権抹消は現行109条に整理された
- 不動産登記法 第105条仮登記が認められる二類型の定義
- 不動産登記法 第106条仮登記の順位保全効の根拠
- 不動産登記法 第107条仮登記の申請方法、単独申請の要件
- 不動産登記法 第110条仮登記の抹消手続、本条の裏面
- 不動産登記法 第68条登記の抹消における第三者の承諾要件
- 仮登記担保契約に関する法律 第3条担保目的仮登記における清算義務の特則
- 民法 第177条不動産物権変動の対抗要件の基本原則
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める