要点不動産登記法108条は、裁判所が仮登記の登記権利者の申立てにより仮登記を命ずる処分をできると定める。原因事実の疎明で足り、この決定を得れば登記義務者の協力なく単独で仮登記を申請できる。
Q · 売主が実印を押してくれないとき、自分だけで仮登記を入れる方法はありますか?
裁判所の決定を得れば、相手の同意なく単独で仮登記を申請できます
不動産登記法108条1項により、仮登記の登記権利者は裁判所に「仮登記を命ずる処分」を申し立てることができます。申立てでは仮登記の原因となる事実を疎明すれば足り(同条2項)、証明までは要求されません。事件は不動産の所在地を管轄する地方裁判所の専属管轄です(同条3項)。この決定を得れば、共同申請の原則(同法60条)の例外として、登記権利者が単独で仮登記を申請できます(同法107条1項)。却下決定には即時抗告ができます(同条4項)。
「売主が実印を押してくれない。だから登記できない」。不動産取引で最も多い行き詰まりが、この一点だ。登記は原則として登記権利者と登記義務者の共同申請(不動産登記法60条)だから、相手が協力を拒めば、代金を払ったあなたでも順位を確保できない。そこで108条が効く。裁判所に申し立てて「仮登記を命ずる処分」を得れば、相手の承諾がなくても、あなた一人で仮登記を入れられる(107条1項)。しかも求められるのは「証明」ではなく「疎明」、つまり一応確からしいと裁判官に思わせる程度でよい。申立先は不動産の所在地を管轄する地方裁判所の専属管轄。本訴の判決を待つ間に、相手はもう一人の買主に売り、先に登記を入れてしまう。その競走に割り込むための通路が、この一条である。
不動産登記法108条は、裁判所による仮登記を命ずる処分を定める規定である。仮登記の登記権利者は、仮登記の原因となる事実を疎明して、不動産の所在地を管轄する地方裁判所に申立てをすることができる。共同申請主義(同法60条)の例外として、この処分を得た登記権利者による単独申請(同法107条1項)を可能にする手続的根拠であり、申立てを却下する決定に対しては即時抗告が認められる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
裁判所が仮登記の登記権利者の申立てにより発する決定です(不動産登記法108条1項)。この決定があれば、登記義務者の協力がなくても仮登記を単独で申請できるようになります。
原則は共同申請ですが、108条の処分を得た場合または登記義務者の承諾がある場合は、登記権利者が単独で申請できます(不動産登記法107条1項)。
不動産の所在地を管轄する地方裁判所です(不動産登記法108条3項)。専属管轄なので、自分の住所地や相手の住所地の裁判所には申し立てられません。
一応確からしいと裁判官に思わせる程度の心証をつけることです。厳格な証明より低い水準で、即時に取り調べられる資料で足ります。108条2項はこの疎明を要件としています。
却下決定に対しては即時抗告ができます(108条4項)。期間は原則として裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間とされますが、準用規定の最新状況は必ず確認してください。
移転しません。仮登記は順位を保全する登記であり、対抗力は本登記をして初めて生じます。ただし本登記の順位は仮登記の順位によります(不動産登記法106条)。
本登記の要件が整った段階で本登記を申請します。所有権に関する仮登記に基づく本登記では、登記上の利害関係を有する第三者の承諾が必要です(不動産登記法109条1項)。
仮登記の原因となる事実を疎明する資料です。売買契約書、代金の振込記録、合意の経緯が残るメール等が典型で、証明に足りる完全な証拠一式までは求められません。
別物である。民事保全法の処分禁止の仮処分(同法53条)は原則として担保金の提供を求められるが、不動産登記法108条の処分は非訟手続で、担保提供が要件とされていない。効果も違い、108条は仮登記を入れる権限を与えるだけで、相手の処分行為そのものを禁止するわけではない。業界裏話ヒント:実務では、現金が用意できないときは108条、確実に処分を止めたいときは仮処分と使い分ける。担保金を積めるかどうかで最初の一手が変わる
通りうる。108条2項が求めるのは疎明であり、相手の言い分を排斥するだけの証明までは要らない。本案の勝敗は後で争う設計になっている。業界裏話ヒント:だからこそ決定が出ても安心はできない。相手は仮登記の抹消を求める訴えで反撃してくる。決定を得た直後に、所有権に関する仮登記に基づく本登記で必要となる登記上の利害関係人の承諾(109条1項)まで並行して固めておくと、反撃が来ても崩れない
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 108条:裁判所が仮登記を命ずる処分をする場面 | — |
| 誰が判断・関与するか | 不動産所在地を管轄する地方裁判所(専属管轄) | — |
| 必要な心証・要件 | 仮登記の原因となる事実の疎明で足りる | — |
| 不服申立て | 却下決定に対して即時抗告ができる(4項) | — |
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