不動産登記法 第111条(仮処分の登記に後れる登記の抹消)
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- 所有権について民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十三条第一項の規定による処分禁止の登記(同条第二項に規定する保全仮登記(以下「保全仮登記」という。)とともにしたものを除く。以下この条において同じ。)がされた後、当該処分禁止の登記に係る仮処分の債権者が当該仮処分の債務者を登記義務者とする所有権の登記(仮登記を除く。)を申請する場合においては、当該債権者は、当該処分禁止の登記に後れる登記の抹消を単独で申請することができる。
- 2.前項の規定は、所有権以外の権利について民事保全法第五十三条第一項の規定による処分禁止の登記がされた後、当該処分禁止の登記に係る仮処分の債権者が当該仮処分の債務者を登記義務者とする当該権利の移転又は消滅に関し登記(仮登記を除く。)を申請する場合について準用する。
- 3.登記官は、第一項(前項において準用する場合を含む。)の申請に基づいて当該処分禁止の登記に後れる登記を抹消するときは、職権で、当該処分禁止の登記も抹消しなければならない。
この条文の基本情報
仮処分の登記に後れる登記の抹消とは何ですか?
定義仮処分の登記に後れる登記の抹消とは、不動産登記法第111条に定められた規定で、「所有権について民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十三条第一項の規定による処分禁止の登記(同条第二項に規定する保全仮登記(以下「保全仮登記」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第111条(仮処分の登記に後れる登記の抹消)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第111条の条文原文は「所有権について民事保全法(平成元年法律第九十一号)第五十三条第一項の規定による処分禁止の登記(同条第二項に規定する保全仮登記(以下「保全仮登記」という。」で始まります。
- 不動産登記法第111条は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第111条の前の条は不動産登記法第110条です。
- 不動産登記法第111条の次の条は不動産登記法第112条です。
- 不動産登記法第111条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第111条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第111条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/111
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法111条は、処分禁止の仮処分の債権者が、その登記に後れる登記の抹消を単独で申請できると定める。登記官は職権で処分禁止の登記も抹消する。
Q · 仮処分の後に割り込んできた第三者の登記は、その第三者の協力なしで消せますか?
消せる。相手の判子なしで債権者一人で抹消申請できる
不動産登記法111条により、処分禁止の仮処分の債権者は、本案勝訴後に所有権移転登記を申請する際、その仮処分の登記に後れる第三者の登記の抹消を単独で申請できます。第三者の承諾書も印鑑証明書も、第三者を相手取った別訴も不要です。ただし抹消される登記の権利者へのあらかじめの通知が必要とされます(民事保全法59条関係)。さらに登記官は、その抹消をするとき職権で処分禁止の登記自体も抹消します(同条3項)。所有権以外の権利の移転・消滅についても2項が準用します。
解説
不動産の売買や登記名義をめぐって争いになり、相手が勝手に第三者へ売り飛ばすのを止めるため、処分禁止の仮処分をかけたとする。その後あなたが本案訴訟で勝ち、所有権移転登記を申請する段階になって初めて、多くの人が真の関門に気付く。仮処分の登記より後に、債務者が第三者へ売った登記や抵当権設定の登記が並んでいるのだ。これらの登記は仮処分の効力で債権者に対抗できないが、登記簿から自動的に消えるわけではない。通常の登記抹消は登記権利者と登記義務者の共同申請が原則であり、第三者が協力するはずもない。本条はここを突破する。処分禁止の登記に後れる登記は、あなたが単独で抹消申請できる。第三者の判子も、第三者を相手取った別訴も要らない。しかも登記官は、その抹消をするとき職権で処分禁止の登記自体も消す。あなたの手元にある勝訴判決を、きれいな登記簿に変換する最後の一手が、この一条に凝縮されている。
法的な位置づけ
不動産登記法111条は、処分禁止の仮処分の債権者による単独抹消申請を定める規定である。民事保全法53条1項の処分禁止の登記後、仮処分債務者を登記義務者とする所有権の登記(1項)または所有権以外の権利の移転・消滅の登記(2項)を申請する場合に、処分禁止の登記に後れる登記の抹消を単独で申請でき、登記官は職権で処分禁止の登記も抹消する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.本案訴訟より先に処分禁止の仮処分を申し立てる 争いが見えた時点で、訴状を書くより先に処分禁止の仮処分(民事保全法53条1項)を申し立て、担保金の準備を並行して進める。この順序を守った瞬間に、将来登場するすべての第三者に対する単独抹消の可能性を確保できる
- 2.処分禁止の登記の受付年月日・受付番号を記録する 裁判所の嘱託で入った処分禁止の登記について、登記事項証明書を取得し受付年月日と受付番号を控える。後れる登記かどうかは日付ではなく受付の前後が唯一の基準になる
- 3.本案訴訟で勝訴し、判決を確定させる 被保全権利について本案で勝訴判決を得る。起訴命令が出された場合は指定期間内に本案を提起しないと仮処分が取り消される(民事保全法37条)ため、期間管理を怠らない
- 4.抹消される登記の権利者へあらかじめ通知する 後れる登記の抹消を申請する前に、その登記の権利者へあらかじめ通知する必要があるとされている(民事保全法59条関係)。内容証明郵便で送付し、発送記録と配達証明を保管する
- 5.移転登記と同時に、後れる登記の抹消を単独申請する 被保全権利を実現する所有権移転登記(または所有権以外の権利の移転・消滅の登記)の申請と同時に、処分禁止の登記に後れる登記の抹消を単独で申請する。第三者の承諾書・印鑑証明書は不要
- 6.完了後に登記事項証明書で結果を検証する 登記完了後、登記事項証明書を再取得し、後れる登記が抹消され、かつ処分禁止の登記自体も職権で抹消されているか(同条3項)を目で確認する。抹消漏れがあれば直ちに法務局へ照会する
よくある質問 AI による整理
Q1処分禁止の仮処分とは?
不動産の登記請求権を保全するため、債務者の処分を登記簿上に公示する保全処分です。民事保全法53条1項が根拠で、売買自体を物理的に止めるものではありません。
Q2不動産登記法111条は何を定めている?
処分禁止の登記に後れる登記の抹消を、仮処分債権者が単独で申請できることと、登記官が職権で処分禁止の登記も抹消することを定めています。
Q3後れる登記の抹消はいつ申請するの?
被保全権利を実現する所有権移転登記などの申請と同時に申請するのが実務の基本形です。順序を誤ると補正を求められ、登記完了まで日数を失います。
Q4処分禁止の仮処分はどこに申し立てる?
本案の管轄裁判所または目的物の所在地を管轄する地方裁判所です。決定後は裁判所の嘱託により登記所で処分禁止の登記がされます。
Q5仮処分の登記より前の抵当権も消せる?
消せません。111条の対象は処分禁止の登記に後れる登記のみです。先行する抵当権や差押えには一切効力が及ばず、仮処分をどれだけ早く打てたかで結論が決まります。
Q6単独抹消申請に必要な書類は?
抹消される登記の権利者へあらかじめ通知したことを証する情報など(民事保全法59条関係)が必要とされます。具体的な添付情報は管轄法務局の取扱いを確認してください。
Q7登記を抹消された第三者に残る手段は?
登記手続内では争えず、保全異議・保全取消し(民事保全法26条、37条以下)、本案への補助参加、売主への代金返還・損害賠償請求に振り分けられます。
Q8不動産購入前に登記簿のどこを確認すべき?
甲区・乙区を最後まで読み、処分禁止の仮処分の登記があるかを受付年月日と受付番号で確認します。見落とすと決済後に自分の登記が単独申請で抹消されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1仮処分を打っておけば、相手が勝手に売っても登記は通らないんですよね?
通ってしまう。処分禁止の仮処分は売買や登記を物理的に阻止する装置ではなく、後から登場した登記を債権者に対抗させないための仕掛けである。効き目が出るのは本条による単独抹消の段階だ。実務のポイント:仮処分後に登記簿が動いたのを見て「仮処分が効いていない」と慌て、第三者を相手取った別訴を検討する依頼者は多い。その別訴はほぼ不要であり、弁護士費用を数十万円節約できる。動いた登記を見ても慌てず、受付番号の前後だけを確認すればよい
Q2抹消される第三者に、事前に話を通す必要はないんですか?
不要である。本条は共同申請主義の例外として、仮処分債権者の単独申請を認めている。第三者の承諾書も印鑑証明書も要らない。登記官が職権で処分禁止の登記も併せて抹消する(3項)。実務のポイント:実務では抹消申請の前に登記官から第三者へ通知が行くため、そこで第三者が争ってくることがある。だがそれは登記手続を止める効力を持たず、第三者の対抗手段は保全異議か本案への補助参加に限られる。この構造を知っていると、第三者から届く内容証明に動じずに済む
Q3所有権以外の権利、例えば抵当権の争いでも同じことができますか?
できる。2項が所有権以外の権利について1項を準用しており、当該権利の移転または消滅に関する登記を申請する場合が対象になる。ただし新たに用益権を設定する類型は保全仮登記を用いる別の枠組み(不動産登記法113条以下)で処理される。実務のポイント:どちらの枠組みで仮処分を申し立てるかを保全の段階で誤ると、勝訴しても想定した登記が実現できない。申立書の書き方が半年後の登記の可否を決めるため、保全申立ての段階で登記手続に強い専門家を入れる価値がある
間違えやすい点 AI による整理
- 「仮処分に後れる登記は無効だから、登記簿からも当然に消える」と考えられがちだが、正確には無効ではなく債権者に対抗できないだけであり、登記簿上は生き続ける。誰かが積極的に抹消を申請しなければ、あなたの名義は第三者の登記と同居したままになる。対抗不能と登記の存否は別の次元の話である
- 処分禁止の仮処分の意味を「相手が売れなくなる措置」と理解している人は多い。だが仮処分は物理的に売却を止めるものではなく、売買自体は有効に成立し、登記も通ってしまう。仮処分が本当に効くのはその後、つまり本条による単独抹消の局面である。効き目が現れる時点を誤解していると、仮処分後に登記簿が動いたのを見て慌てて別の訴訟を検討し、無駄な費用を積み上げる
- 「仮処分さえ打てば、後から現れた第三者を全部片付けられる」と考えるのは問いの立て方が誤っている。本条が扱うのは処分禁止の登記に後れる登記だけであり、仮処分より先に存在した抵当権や差押えには一切効かない。勝負は仮処分をどれだけ早く打てたかで既に決着しており、本条はその結果を執行する装置にすぎない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 申請の構造 | 111条:仮処分債権者の単独申請(共同申請主義の例外) | 60条:登記権利者と登記義務者の共同申請が原則 113条:保全仮登記に基づく本登記の申請 |
| 前提となる仮処分の型 | 処分禁止の登記のみ(保全仮登記を伴わない型、民事保全法53条1項) | 仮処分を前提としない通常の登記全般 処分禁止の登記+保全仮登記(民事保全法53条2項、用益権設定型) |
| 対象となる登記 | 処分禁止の登記に後れる登記(所有権移転・抵当権設定・賃借権など) | 申請対象の登記そのもの 保全仮登記に係る権利の本登記および表示の変更等(114条と連動) |
| 処分禁止の登記の帰趨 | 登記官が職権で抹消する(3項)ため、債権者の追加申請は不要 | そもそも処分禁止の登記が存在しない 本登記の実行に伴い別の枠組みで処理される |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では假處分登記も塗銷も法院の囑託で行われるのが基本形であり、債権者が登記機関へ単独で塗銷を申請する日本型の構造とは入口が異なる
韓国も処分禁止仮処分の登記後に登場した権利は債権者に対抗できない構造をとる。後行登記の整理を登記手続内で行う点は日本に近い
ドイツは Vormerkung(仮登記的保全)を用い、後順位取得者に対して抹消への同意を請求する実体法上の請求権(§ 888)で処理する。日本のような登記法上の単独申請ではなく、請求権構成をとる点が対照的
米国は訴訟係属の公示(lis pendens)により、以後の譲受人が判決の結果に拘束される。抹消は判決の効力と記録手続の中で処理され、州ごとに要件と失効期間が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 二重譲渡された土地の買主として売主を訴え、その前に処分禁止の仮処分を打っておいた。勝訴判決を得て移転登記を申請したところ、登記簿には仮処分後に登場した別の買主の所有権移転登記が居座っている。本条により、その第三者に一切連絡することなく単独で抹消申請ができる。仮処分を打っていなければ、第三者相手にもう一本訴訟を起こす羽目になっていた
- 所有権以外でも動く。地上権や賃借権の移転を求めて仮処分を打った場合、2項がこの仕組みを準用する。抵当権の抹消を求める争いでも同じ。ただし「移転又は消滅」に関する登記が対象であり、保全仮登記を伴う類型(新たな用益権の設定など、113条以下)とは処理が分かれる
- 第三者側に立ってみるとどうか。あなたは何も知らずに不動産を買い、代金も払い、所有権移転登記も済ませた。ところが登記簿の一つ上に処分禁止の仮処分の登記があった。数か月後、見知らぬ人物の単独申請だけであなたの登記が消える。登記官はあなたの同意を求めない。決済前に登記簿の甲区・乙区を最後まで読まなかった代償が、ここで現実化する
- もし仮処分の登記に後れる登記が賃借権だったら? 建物の賃借人が引渡しを受けて対抗要件を備えていても、仮処分に後れる限り債権者には対抗できず、抹消の対象になりうる。賃貸物件を借りる前に登記簿を見る人はほとんどいないが、その一手間が住まいを守ることがある
- 本案勝訴から登記完了まで、あなたに与えられた時間は無限ではない。仮処分の被保全権利を実現する登記の申請と同時に抹消を申請するのが実務の基本形であり、順序を誤ると登記官から補正を求められて日数を失う。司法書士に依頼するなら、判決確定の連絡と同じ日に「後れる登記の抹消も併せて」と伝えること
取るべき行動
被害を受けた側:1. 争いが見えた時点で、本案訴訟より先に処分禁止の仮処分(民事保全法53条1項)を申し立て、担保金の準備を進める2. 仮処分の登記日を必ず控える、これが後れる登記かどうかの唯一の基準になる3. 本案で勝訴し判決が確定したら、被保全権利を実現する所有権移転登記の申請と同時に、後れる登記の抹消を単独で申請する4. 抹消される第三者への通知は登記官が行う(不動産登記法111条関連の実務)ため、あなたが第三者と交渉する必要はない
訴えられた側:1. 自分の登記が処分禁止の登記に後れているかを甲区・乙区の受付番号で確認する、日付ではなく受付の前後が基準2. 仮処分自体の有効性を争う道がある、保全異議・保全取消し(民事保全法26条、37条以下)で仮処分が取り消されれば抹消の前提が崩れる3. 本案訴訟に補助参加し、債権者の被保全権利そのものを争う4. 抹消が避けられない場合は、あなたに不動産を売った相手方への損害賠償・代金返還請求(民法561条、415条、709条)に軸足を移す、こちらは別途の時効管理が必要
時効(請求できる期限):本条の抹消申請自体に固有の期間制限はないが、前提となる仮処分には期間の縛りがある。仮処分決定後、債務者の申立てにより起訴命令が出された場合、指定された期間(通常2週間以上)内に本案訴訟を提起しないと仮処分は取り消される(民事保全法37条)。また本案の請求権自体には一般の消滅時効(民法166条、権利行使可能を知った時から5年または権利行使可能時から10年)が及ぶ
学説
通説・登記実務:111条は処分禁止の登記のみを行う類型(民事保全法53条1項)を対象とし、保全仮登記を伴う用益権設定型(同条2項、不動産登記法113条以下)とは処理が分かれると理解されている。保全申立ての段階でどちらの型を選ぶかが、勝訴後に実現できる登記を決める
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:明治32年不動産登記法を全部改正し、オンライン申請に対応した現行法を制定。その際、処分禁止の登記に後れる登記の単独抹消と処分禁止の登記の職権抹消が本条として整理・明文化された
- 不動産登記法 第60条共同申請主義の原則、本条はその例外
- 不動産登記法 第63条判決による登記の単独申請
- 不動産登記法 第113条保全仮登記に基づく用益権設定の登記、本条と別枠組み
- 不動産登記法 第114条保全仮登記に係る権利の表示変更等
- 民事保全法 第53条処分禁止の登記の根拠規定
- 民事保全法 第58条処分禁止の登記に後れる登記の対抗不能
- 民法 第177条不動産物権変動の対抗要件、後れる登記の劣後の前提
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