要点不動産登記法 111 条は、処分禁止の仮処分の債権者が、その登記に後れる登記の抹消を単独で申請できると定める。登記官は職権で処分禁止の登記も抹消する。
Q · 仮処分の後に割り込んできた第三者の登記は、その第三者の協力なしで消せますか?
消せる。相手の判子なしで債権者一人で抹消申請できる
不動産登記法 111 条により、処分禁止の仮処分の債権者は、本案勝訴後に所有権移転登記を申請する際、その仮処分の登記に後れる第三者の登記の抹消を単独で申請できます。第三者の承諾書も印鑑証明書も、第三者を相手取った別訴も不要です。ただし抹消される登記の権利者へのあらかじめの通知が必要とされます(民事保全法 59 条関係)。さらに登記官は、その抹消をするとき職権で処分禁止の登記自体も抹消します(同条 3 項)。所有権以外の権利の移転・消滅についても 2 項が準用します。
不動産の売買や登記名義をめぐって争いになり、相手が勝手に第三者へ売り飛ばすのを止めるため、処分禁止の仮処分をかけたとする。その後あなたが本案訴訟で勝ち、所有権移転登記を申請する段階になって初めて、多くの人が真の関門に気付く。仮処分の登記より後に、債務者が第三者へ売った登記や抵当権設定の登記が並んでいるのだ。これらの登記は仮処分の効力で債権者に対抗できないが、登記簿から自動的に消えるわけではない。通常の登記抹消は登記権利者と登記義務者の共同申請が原則であり、第三者が協力するはずもない。本条はここを突破する。処分禁止の登記に後れる登記は、あなたが単独で抹消申請できる。第三者の判子も、第三者を相手取った別訴も要らない。しかも登記官は、その抹消をするとき職権で処分禁止の登記自体も消す。あなたの手元にある勝訴判決を、きれいな登記簿に変換する最後の一手が、この一条に凝縮されている。
不動産登記法 111 条は、処分禁止の仮処分の債権者による単独抹消申請を定める規定である。民事保全法 53 条 1 項の処分禁止の登記後、仮処分債務者を登記義務者とする所有権の登記(1 項)または所有権以外の権利の移転・消滅の登記(2 項)を申請する場合に、処分禁止の登記に後れる登記の抹消を単独で申請でき、登記官は職権で処分禁止の登記も抹消する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
不動産の登記請求権を保全するため、債務者の処分を登記簿上に公示する保全処分です。民事保全法 53 条 1 項が根拠で、売買自体を物理的に止めるものではありません。
処分禁止の登記に後れる登記の抹消を、仮処分債権者が単独で申請できることと、登記官が職権で処分禁止の登記も抹消することを定めています。
被保全権利を実現する所有権移転登記などの申請と同時に申請するのが実務の基本形です。順序を誤ると補正を求められ、登記完了まで日数を失います。
本案の管轄裁判所または目的物の所在地を管轄する地方裁判所です。決定後は裁判所の嘱託により登記所で処分禁止の登記がされます。
消せません。111 条の対象は処分禁止の登記に後れる登記のみです。先行する抵当権や差押えには一切効力が及ばず、仮処分をどれだけ早く打てたかで結論が決まります。
抹消される登記の権利者へあらかじめ通知したことを証する情報など(民事保全法 59 条関係)が必要とされます。具体的な添付情報は管轄法務局の取扱いを確認してください。
登記手続内では争えず、保全異議・保全取消し(民事保全法 26 条、37 条以下)、本案への補助参加、売主への代金返還・損害賠償請求に振り分けられます。
甲区・乙区を最後まで読み、処分禁止の仮処分の登記があるかを受付年月日と受付番号で確認します。見落とすと決済後に自分の登記が単独申請で抹消されます。
通ってしまう。処分禁止の仮処分は売買や登記を物理的に阻止する装置ではなく、後から登場した登記を債権者に対抗させないための仕掛けである。効き目が出るのは本条による単独抹消の段階だ。業界裏話ヒント:仮処分後に登記簿が動いたのを見て「仮処分が効いていない」と慌て、第三者を相手取った別訴を検討する依頼者は多い。その別訴はほぼ不要であり、弁護士費用を数十万円節約できる。動いた登記を見ても慌てず、受付番号の前後だけを確認すればよい
不要である。本条は共同申請主義の例外として、仮処分債権者の単独申請を認めている。第三者の承諾書も印鑑証明書も要らない。登記官が職権で処分禁止の登記も併せて抹消する(3 項)。業界裏話ヒント:実務では抹消申請の前に登記官から第三者へ通知が行くため、そこで第三者が争ってくることがある。だがそれは登記手続を止める効力を持たず、第三者の対抗手段は保全異議か本案への補助参加に限られる。この構造を知っていると、第三者から届く内容証明に動じずに済む
できる。2 項が所有権以外の権利について 1 項を準用しており、当該権利の移転または消滅に関する登記を申請する場合が対象になる。ただし新たに用益権を設定する類型は保全仮登記を用いる別の枠組み(不動産登記法 113 条以下)で処理される。業界裏話ヒント:どちらの枠組みで仮処分を申し立てるかを保全の段階で誤ると、勝訴しても想定した登記が実現できない。申立書の書き方が半年後の登記の可否を決めるため、保全申立ての段階で登記手続に強い専門家を入れる価値がある
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 申請の構造 | 111 条:仮処分債権者の単独申請(共同申請主義の例外) | — |
| 前提となる仮処分の型 | 処分禁止の登記のみ(保全仮登記を伴わない型、民事保全法 53 条 1 項) | — |
| 対象となる登記 | 処分禁止の登記に後れる登記(所有権移転・抵当権設定・賃借権など) | — |
| 処分禁止の登記の帰趨 | 登記官が職権で抹消する(3 項)ため、債権者の追加申請は不要 | — |
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