保全仮登記に基づいて本登記をした場合は、当該本登記の順位は、当該保全仮登記の順位による。
要点不動産登記法112条は、保全仮登記に基づいて本登記をした場合、その順位は保全仮登記の順位によると定める。本訴の途中に入った後発の登記は順位で劣後する。
Q · 仮処分と一緒に入った保全仮登記って、順位のうえで何の意味があるんですか?
順位は本登記の日ではなく、保全仮登記の日に遡ります
不動産登記法112条により、保全仮登記に基づいて本登記をしたときは、その本登記の順位は保全仮登記の順位によります。つまり本案訴訟に1年半かかっても、本登記が入った瞬間に順位は保全仮登記の受付年月日・受付番号まで戻ります。その間に登記された後発の抵当権や用益権は劣後し、本登記に係る権利と両立しないものは113条により単独で抹消を申請できます。前提として、民事保全法43条2項の2週間以内に保全執行(登記)を完了させている必要があります。
勝訴判決を手にした日が、あなたの権利の順位を決めるわけではない。不動産登記法112条は、保全仮登記に基づいて本登記をしたとき、その本登記の順位は保全仮登記の順位によると定める。抵当権や地上権を設定させる請求権を持っているのに相手が登記申請に来ない、そこで民事保全法53条2項の処分禁止の仮処分を打つと、処分禁止の登記と並んで保全仮登記(将来の本登記のために順位だけ先に確保しておく登記)が入る。本訴に2年かかっても、その間に他人の抵当権が3本割り込んでも、あなたが本登記を入れた瞬間、順位は2年前の受付番号に戻る。時間を巻き戻す条文だと考えていい。逆に、仮処分を打たずに本訴だけ始めた債権者は、判決を得た時点で後順位に沈む。同じ請求権、同じ判決文、順位だけが天と地ほど違う。
不動産登記法112条は、保全仮登記に基づく本登記の順位を定める規定である。保全仮登記とは、民事保全法53条2項の処分禁止の仮処分の執行方法として、処分禁止の登記とともに裁判所の嘱託により記録される仮登記をいい、これに基づく本登記がされた場合、その順位は保全仮登記の受付の順位による。受付の先後で優劣を決する登記制度における順位保全の仕組みとして機能する。
本登記の日でも判決確定の日でもなく、保全仮登記が受け付けられた時点です(不動産登記法112条)。確認すべきは登記事項証明書の受付年月日と受付番号の列です。
当事者の申請ではなく、民事保全法53条2項の処分禁止の仮処分の執行として、裁判所書記官の嘱託により処分禁止の登記とともに記録されます。債権者が単独で登記所に持ち込むものではありません。
保全執行は仮処分命令が債権者に送達された日から2週間以内です(民事保全法43条2項)。この期間内に登記が入らなければ保全仮登記は存在せず、112条の順位保全も得られません。
法律上は禁止されませんが、実務では金融機関がほぼ止めます。将来の本登記で順位が遡り自行の担保順位が下がるためで、登記簿上の見かけの順位は当てになりません。
被保全権利について本案の勝訴判決が確定した後、または和解・調停等で登記手続をすべき義務が確定した後に申請します。申請自体に固有の期間制限はありません。
登記請求権を保全する類型では両者がセットで嘱託されます。処分禁止の登記が後発処分の対抗力を否認し(民事保全法58条)、保全仮登記が112条で順位を確保する役割分担です。
被保全権利を争うなら保全異議(民事保全法26条)、債権者が提訴しないなら起訴命令(同37条)、事情変更や特別の事情があれば同38条・39条による保全取消しを申し立てます。
所有権移転登記は受理されますが、債権者が本案に勝って本登記をすると順位で押し負けます。両立しない権利であれば113条により抹消され、買主は権利を失うおそれがあります。
消えません。112条が与えるのは順位であって抹消権ではなく、単独で抹消できるのは本登記に係る権利と両立しない登記に限られます(113条)。抵当権を保全した場合、後発の抵当権は残り順位が下がるだけです。業界裏話ヒント:この違いは配当計算で効いてくる。後順位者が残るなら、和解交渉で相手方の他の債権者が口を挟む余地が残り、決着が長引く。抹消できる類型かどうかを最初に見極めるのが実務の分かれ道
普通の仮登記(105条)は当事者の申請や仮登記仮処分命令で入りますが、保全仮登記は民事保全法53条2項の処分禁止の仮処分の執行方法として、処分禁止の登記とセットで裁判所の嘱託により入ります。順位が遡る効果(112条)は共通ですが、後発の登記への攻撃力が違う。業界裏話ヒント:相手方が任意に仮登記に協力してくれる関係なら仮登記で足りる。協力が望めない局面でも順位だけは取れる、そこが保全仮登記の存在理由である
法律上は売却も登記も可能です。処分禁止の登記は取引を物理的に禁じるものではなく、仮処分債権者に対抗できなくなるだけです(民事保全法58条)。ただし実務では買主も融資銀行も、まず降ります。業界裏話ヒント:買い手がつかない期間が長引くほど債務者側の体力が削れる。だからこそ起訴命令(同37条)で相手に提訴期限を強制し、動かないなら取り消させる、この一手を早く打てるかが勝負を分ける
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 登記が入る経路 | 112条(保全仮登記):民事保全法53条2項の仮処分執行として裁判所の嘱託で記録 | — |
| 条文が与える効果 | 本登記の順位を保全仮登記の順位まで遡らせる(順位保全効のみ) | — |
| 後発登記の運命 | 劣後する。抹消できるかは113条の判断に委ねられる | — |
| 期間の縛り | 保全執行は送達日から2週間以内(民事保全法43条2項) | — |
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