不動産登記法 第112条(保全仮登記に基づく本登記の順位)
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保全仮登記に基づいて本登記をした場合は、当該本登記の順位は、当該保全仮登記の順位による。
この条文の基本情報
保全仮登記に基づく本登記の順位とは何ですか?
定義保全仮登記に基づく本登記の順位とは、不動産登記法第112条に定められた規定で、「保全仮登記に基づいて本登記をした場合は、当該本登記の順位は、当該保全仮登記の順位による。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第112条(保全仮登記に基づく本登記の順位)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第112条の条文原文は「保全仮登記に基づいて本登記をした場合は、当該本登記の順位は、当該保全仮登記の順位による。」で始まります。
- 不動産登記法第112条は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第112条の前の条は不動産登記法第111条です。
- 不動産登記法第112条の次の条は不動産登記法第113条です。
- 不動産登記法第112条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第112条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第112条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/112
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法112条は、保全仮登記に基づいて本登記をした場合、その順位は保全仮登記の順位によると定める。本訴の途中に入った後発の登記は順位で劣後する。
Q · 仮処分と一緒に入った保全仮登記って、順位のうえで何の意味があるんですか?
順位は本登記の日ではなく、保全仮登記の日に遡ります
不動産登記法112条により、保全仮登記に基づいて本登記をしたときは、その本登記の順位は保全仮登記の順位によります。つまり本案訴訟に1年半かかっても、本登記が入った瞬間に順位は保全仮登記の受付年月日・受付番号まで戻ります。その間に登記された後発の抵当権や用益権は劣後し、本登記に係る権利と両立しないものは113条により単独で抹消を申請できます。前提として、民事保全法43条2項の2週間以内に保全執行(登記)を完了させている必要があります。
解説
勝訴判決を手にした日が、あなたの権利の順位を決めるわけではない。不動産登記法112条は、保全仮登記に基づいて本登記をしたとき、その本登記の順位は保全仮登記の順位によると定める。抵当権や地上権を設定させる請求権を持っているのに相手が登記申請に来ない、そこで民事保全法53条2項の処分禁止の仮処分を打つと、処分禁止の登記と並んで保全仮登記(将来の本登記のために順位だけ先に確保しておく登記)が入る。本訴に2年かかっても、その間に他人の抵当権が3本割り込んでも、あなたが本登記を入れた瞬間、順位は2年前の受付番号に戻る。時間を巻き戻す条文だと考えていい。逆に、仮処分を打たずに本訴だけ始めた債権者は、判決を得た時点で後順位に沈む。同じ請求権、同じ判決文、順位だけが天と地ほど違う。
法的な位置づけ
不動産登記法112条は、保全仮登記に基づく本登記の順位を定める規定である。保全仮登記とは、民事保全法53条2項の処分禁止の仮処分の執行方法として、処分禁止の登記とともに裁判所の嘱託により記録される仮登記をいい、これに基づく本登記がされた場合、その順位は保全仮登記の受付の順位による。受付の先後で優劣を決する登記制度における順位保全の仕組みとして機能する。
手順
- 1.本訴より先に処分禁止の仮処分を検討する 抵当権設定登記請求権や地上権設定登記請求権を持ちながら相手が登記申請に応じないと分かった時点で、本案提起より先に民事保全法53条2項の処分禁止の仮処分(保全仮登記を伴うもの)を申し立てる。順位は申立ての早さで決まる
- 2.担保金(立担保)を発令と同時に供託できるよう準備する 裁判所と担保額を事前に詰め、発令直後に供託できる資金を確保しておく。担保の準備が遅れると、その分だけ保全執行(登記嘱託)が後ろにずれ、2週間の枠を自ら食い潰すことになる
- 3.送達日から2週間以内に登記まで完了させる 仮処分命令が債権者に送達された日から2週間を経過すると保全執行ができない(民事保全法43条2項)。処分禁止の登記と保全仮登記が登記簿に入って初めて112条の順位保全が成立するため、嘱託と登記完了までを期間内に収める
- 4.本案の決着後に保全仮登記に基づく本登記を申請する 勝訴判決の確定または和解成立後、保全仮登記に基づく本登記を申請する。本登記が入った瞬間、順位は保全仮登記の受付番号に遡る(112条)
- 5.両立しない後発登記の単独抹消を申し立てる 本登記に係る権利と両立しない後発の登記があれば、113条により単独で抹消を申請する。抵当権のように両立する権利は抹消できず順位が下がるだけなので、抹消可能な類型かどうかを申請前に切り分ける
よくある質問 AI による整理
Q1本登記の順位はいつの時点で決まりますか?
本登記の日でも判決確定の日でもなく、保全仮登記が受け付けられた時点です(不動産登記法112条)。確認すべきは登記事項証明書の受付年月日と受付番号の列です。
Q2保全仮登記は誰が申請するのですか?
当事者の申請ではなく、民事保全法53条2項の処分禁止の仮処分の執行として、裁判所書記官の嘱託により処分禁止の登記とともに記録されます。債権者が単独で登記所に持ち込むものではありません。
Q3保全仮登記はいつまでに入れないといけませんか?
保全執行は仮処分命令が債権者に送達された日から2週間以内です(民事保全法43条2項)。この期間内に登記が入らなければ保全仮登記は存在せず、112条の順位保全も得られません。
Q4保全仮登記がある不動産でも融資は受けられますか?
法律上は禁止されませんが、実務では金融機関がほぼ止めます。将来の本登記で順位が遡り自行の担保順位が下がるためで、登記簿上の見かけの順位は当てになりません。
Q5保全仮登記に基づく本登記はいつ申請できますか?
被保全権利について本案の勝訴判決が確定した後、または和解・調停等で登記手続をすべき義務が確定した後に申請します。申請自体に固有の期間制限はありません。
Q6処分禁止の登記と保全仮登記はどういう関係ですか?
登記請求権を保全する類型では両者がセットで嘱託されます。処分禁止の登記が後発処分の対抗力を否認し(民事保全法58条)、保全仮登記が112条で順位を確保する役割分担です。
Q7保全仮登記を外させる方法はありますか?
被保全権利を争うなら保全異議(民事保全法26条)、債権者が提訴しないなら起訴命令(同37条)、事情変更や特別の事情があれば同38条・39条による保全取消しを申し立てます。
Q8保全仮登記が付いた不動産を買ったらどうなりますか?
所有権移転登記は受理されますが、債権者が本案に勝って本登記をすると順位で押し負けます。両立しない権利であれば113条により抹消され、買主は権利を失うおそれがあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1仮処分を入れておけば、後から入った抵当権は全部消えるんですか?
消えません。112条が与えるのは順位であって抹消権ではなく、単独で抹消できるのは本登記に係る権利と両立しない登記に限られます(113条)。抵当権を保全した場合、後発の抵当権は残り順位が下がるだけです。実務のポイント:この違いは配当計算で効いてくる。後順位者が残るなら、和解交渉で相手方の他の債権者が口を挟む余地が残り、決着が長引く。抹消できる類型かどうかを最初に見極めるのが実務の分かれ道
Q2保全仮登記って、普通の仮登記と何が違うんですか?
普通の仮登記(105条)は当事者の申請や仮登記仮処分命令で入りますが、保全仮登記は民事保全法53条2項の処分禁止の仮処分の執行方法として、処分禁止の登記とセットで裁判所の嘱託により入ります。順位が遡る効果(112条)は共通ですが、後発の登記への攻撃力が違う。実務のポイント:相手方が任意に仮登記に協力してくれる関係なら仮登記で足りる。協力が望めない局面でも順位だけは取れる、そこが保全仮登記の存在理由である
Q3相手が仮処分をかけてきました。この不動産、もう売れないんですか?
法律上は売却も登記も可能です。処分禁止の登記は取引を物理的に禁じるものではなく、仮処分債権者に対抗できなくなるだけです(民事保全法58条)。ただし実務では買主も融資銀行も、まず降ります。実務のポイント:買い手がつかない期間が長引くほど債務者側の体力が削れる。だからこそ起訴命令(同37条)で相手に提訴期限を強制し、動かないなら取り消させる、この一手を早く打てるかが勝負を分ける
間違えやすい点 AI による整理
- 仮処分をかければ相手は処分できなくなる、そこまでは多くの人が知っている。だが知られていないのは、処分禁止の登記が物理的に他人の登記を止めるわけではないという点だ。仮処分後に入る売買や抵当権の登記も、登記所は普通に受理する。効き目が現れるのは本登記をした瞬間で、そこで112条の順位と113条の抹消権が発動して初めて後発の登記が無力化される。それまで登記簿上のあなたは、ずっと後順位に見えたままである
- 「順位はいつ確定するのか」という問いの立て方自体がずれている。順位は本登記の日でも判決確定の日でもなく、保全仮登記が受け付けられた瞬間に押さえられている。あなたが手帳に記録すべきは判決期日ではなく、登記所の受付年月日と受付番号だ
- 保全仮登記さえ入れておけば後から入った登記は全部消せる、と思われがちだが、単独申請で抹消できるのは本登記に係る権利と両立しないものに限られる(113条)。抵当権を保全した場合、後順位の抵当権は消えず、順位が下がるだけである。消えるのと劣後するのとでは、他の債権者が絡んだときの配当額が変わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 登記が入る経路 | 112条(保全仮登記):民事保全法53条2項の仮処分執行として裁判所の嘱託で記録 | 106条(通常の仮登記に基づく本登記):当事者の共同申請または仮登記仮処分命令 113条(両立しない登記の抹消):本登記後に債権者が単独で申請 |
| 条文が与える効果 | 本登記の順位を保全仮登記の順位まで遡らせる(順位保全効のみ) | 本登記の順位を仮登記の順位による点は同じ、一般型の規律 順位ではなく、後発登記の抹消請求権(単独申請権) |
| 後発登記の運命 | 劣後する。抹消できるかは113条の判断に委ねられる | 劣後する。仮登記の類型により処理が分かれる 本登記に係る権利と両立しないものだけが抹消される(抵当権は残り順位が下がる) |
| 期間の縛り | 保全執行は送達日から2週間以内(民事保全法43条2項) | 本登記申請自体に固有の期間制限なし 本登記が前提。本登記前は抹消申請できない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は預告登記により請求権を保全し、預告登記の抹消前に登記名義人がした処分のうち、登記された請求権を妨げるものは無効となる。順位を遡らせる日本型ではなく、妨害処分を無効とする構成をとる点が異なる
韓国も、仮登記に基づく本登記の順位は仮登記の順位によるとする規律を持ち、日本法と構造がほぼ一致する
ドイツの仮登記(Vormerkung)では、権利の順位は仮登記の登記時により定まる。日本の順位保全効の淵源にあたる規定
米国は係属通知の登録により、以後の譲受人・担保権者を訴訟の結果に拘束する(relation back)。順位そのものを遡らせる登記制度ではなく、通知による拘束という別構成をとる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、融資の見返りに抵当権を設定させる約束を取り付けたのに、相手が登記申請の場に現れないまま連絡を絶ったら? 本訴の決着まで1年半。その間に相手が別の金融機関から借りて抵当権を2本設定すれば、判決後のあなたは3番抵当で、競売配当ではほぼ回収不能。だが先に処分禁止の仮処分と保全仮登記を入れておけば、本登記の順位はあの日に戻り、あなたが1番で配当を取る
- 借地の設定登記を約束した地主が、別の事業者に先に地上権を登記した。あなたの保全仮登記が先なら、112条で本登記の順位が勝つ。さらに113条により、両立しない後発の地上権登記の抹消を単独で申請できる。
- あなたが不動産のオーナー側で、資金繰りのために急いで売却をまとめようとしたところ、登記簿に見慣れない「処分禁止の仮処分」と「保全仮登記」が並んでいた。買主側の銀行は融資を止める。この二つが入った時点で、あなたが後から誰に何を登記させても、相手が本訴に勝てば順位で押し負ける。反撃するなら起訴命令(民事保全法37条)を申し立て、相手に本案訴訟提起の期限を突きつける手がある
- 仮処分命令が発令された。だが債権者に送達された日から2週間を過ぎると保全執行ができなくなる(民事保全法43条2項)。登記が入らなければ保全仮登記は存在せず、112条の順位保全は永久に手に入らない。担保金の供託と登記の嘱託を同時並行で走らせないと、実質的に残された日数は10日を切る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 登記請求権を持ちながら相手が応じないと分かった時点で、本訴より先に民事保全法53条2項の処分禁止の仮処分を検討する2. 担保金(立担保)の額を裁判所と事前に詰め、発令と同時に供託できるよう資金を確保3. 発令後は送達日から2週間以内に必ず登記まで完了させる4. 本訴で勝訴または和解が成立したら、保全仮登記に基づく本登記を申請し、両立しない後発の登記は113条で単独抹消を申し立てる
訴えられた側:1. まず被保全権利が本当に存在するかを精査し、争えるなら保全異議(民事保全法26条)を申し立てる2. 相手が本案訴訟を起こさないまま登記を寝かせているなら、起訴命令(同37条)を申し立て、期限内に提訴しなければ保全取消しを得る3. 事情変更があれば38条、特別の事情があれば39条による取消しを検討4. 並行して、本登記されたときに自分の登記が抹消される類型(両立しない用益権)か、順位が下がるだけの類型(担保権)かを確認し、売却や借換えの説明資料を作り直す
時効(請求できる期限):保全執行は仮処分命令が債権者に送達された日から2週間以内(民事保全法43条2項)。この期間を過ぎると保全仮登記自体が入れられず、112条の順位保全は失われる。本登記の申請そのものに特定の期間制限はないが、その前提となる登記請求権には一般消滅時効(民法166条、権利行使できると知った時から5年または権利行使できる時から10年)が働く。債務者側が起訴命令を得た場合、債権者は裁判所の定める2週間以上の期間内に本案訴訟提起を証明しなければ保全命令が取り消される(民事保全法37条)
学説
通説:保全仮登記が有するのは順位保全効にとどまり、対抗力は本登記によって初めて生じる。したがって本登記前は後発の登記が有効に受理され、本登記の時点で112条の順位と113条の抹消権が作用して後発登記が無力化されると解されている
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正 オンライン申請導入を伴う全部改正により、保全仮登記に基づく本登記の順位に関する規律が現行112条として整理された。実体的な効果(順位は保全仮登記の順位による)は、民事保全法の制定に伴い旧法下で設けられた規律を引き継いでいる
改正の年表
- 1.平成元年(1989年) 改正:民事保全法の制定に伴い、処分禁止の仮処分の執行方法として保全仮登記が位置づけられ、旧不動産登記法の関連規定が整備された
- 2.平成16年(2004年) 改正:オンライン申請の導入を伴う不動産登記法の全部改正により、保全仮登記に基づく本登記の順位に関する規律が現行112条として整理された。実体的効果は旧法下の規律を引き継いでいる
- 不動産登記法 第105条仮登記の類型、保全仮登記の制度的前提
- 不動産登記法 第106条通常の仮登記に基づく本登記の順位、本条の一般型
- 不動産登記法 第111条処分禁止の登記に後れる登記の単独抹消申請
- 不動産登記法 第113条本登記に係る権利と両立しない後発登記の抹消
- 不動産登記法 第114条職権による処分禁止の登記の抹消
- 民事保全法 第53条保全仮登記を伴う処分禁止の仮処分の執行方法
- 民事保全法 第58条処分禁止の登記の対抗力、後発処分の効力否認
- 民事保全法 第43条送達から2週間の保全執行期間制限
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