不動産登記法 第114条(処分禁止の登記の抹消)
クイックジャンプ
登記官は、保全仮登記に基づく本登記をするときは、職権で、当該保全仮登記とともにした処分禁止の登記を抹消しなければならない。
この条文の基本情報
処分禁止の登記の抹消とは何ですか?
定義処分禁止の登記の抹消とは、不動産登記法第114条に定められた規定で、「登記官は、保全仮登記に基づく本登記をするときは、職権で、当該保全仮登記とともにした処分禁止の登記を抹消しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第114条(処分禁止の登記の抹消)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第114条の条文原文は「登記官は、保全仮登記に基づく本登記をするときは、職権で、当該保全仮登記とともにした処分禁止の登記を抹消しなければならない。」で始まります。
- 不動産登記法第114条は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第114条の前の条は不動産登記法第113条です。
- 不動産登記法第114条の次の条は不動産登記法第115条です。
- 不動産登記法第114条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第114条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第114条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/114
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法114条は、登記官が保全仮登記に基づく本登記をするとき、職権で処分禁止の登記を抹消しなければならないと定める。申請も登録免許税も不要だが、後れる登記の抹消は別手続となる。
Q · 本登記をしたあと、処分禁止の登記は自分で抹消申請しないといけないの?
不要です。登記官が職権で抹消する義務を負います
不動産登記法114条により、登記官は保全仮登記に基づく本登記をするときは、職権で当該保全仮登記とともにした処分禁止の登記を抹消しなければなりません。「できる」ではなく義務規定であり、抹消の申請書も登録免許税も不要です。ただし職権で消えるのは仮処分自体の登記だけで、仮処分に後れてされた第三者の登記は債権者の単独申請(同法111条2項、112条)で別に抹消する必要があります。本登記に至らず和解や取下げで終わった場合、114条は発動しません。
解説
勝訴判決を手にして、保全仮登記をようやく本登記に格上げした。ここで多くの人が、登記簿に残った「処分禁止の登記」をどう消すかで身構える。司法書士報酬がまた乗るのか、登録免許税はいくらか。だが不動産登記法114条は、その心配を丸ごと不要にする。登記官は職権で、つまりあなたの申請なしに、保全仮登記とともにした処分禁止の登記を抹消しなければならない。「できる」ではなく「しなければならない」である。裏を返せば、この職権抹消を起動するスイッチはただ一つ、保全仮登記に基づく本登記をすること。和解で決着した、本案を取り下げた、そういうルートを選んだ瞬間に114条は眠ったままになり、処分禁止の登記は別の手続を経なければ消えない。あなたが管理すべきなのは抹消の手続ではなく、本登記まで到達するかどうかという分岐そのものである。
法的な位置づけ
不動産登記法114条は、保全仮登記に基づく本登記がされた場合における処分禁止の登記の職権抹消を定める規定である。登記官は当事者の申請を待たず、職権で当該登記を抹消する義務を負う。当事者申請主義の例外として、保全の目的を終えた登記が登記簿に残り公示を歪めることを防ぐ機能をもつ。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.保全仮登記に基づく本登記の申請を整える 114条を起動する唯一のスイッチは本登記への到達である。勝訴判決や和解調書など登記原因を証する情報を揃え、保全仮登記に基づく本登記として申請する
- 2.処分禁止の登記の抹消は申請しない 処分禁止の登記の抹消は職権事項であり、申請しても受理されず時間を失う。見積り段階で司法書士に「114条の職権抹消ですね」と確認し、報酬項目から外す
- 3.仮処分に後れる登記の抹消を別途検討する 職権で消えるのは仮処分自体の登記だけ。後れてされた第三者の登記は、不動産登記法111条2項・112条に基づき債権者が単独申請で抹消する。通知の要否も併せて確認する
- 4.完了後に登記事項証明書で目視確認する 本登記完了後に登記事項証明書を取得し、処分禁止の登記に抹消の下線が入っているか、後れる登記が残っていないかを確認する。決済日の3日前までに済ませる
よくある質問 AI による整理
Q1処分禁止の登記とは何ですか?
処分禁止の仮処分が発令されたときに、目的不動産の登記簿に記入される登記です。以後にされた登記は債権者に対抗できず、債権者の権利保全の足場になります。
Q2保全仮登記とは何ですか?
所有権以外の権利の保存・設定・変更の登記請求権を保全する場合に、処分禁止の登記とともにされる仮登記です。後に本登記されると順位が仮登記時に遡ります。
Q3処分禁止の登記の抹消に登録免許税はかかりますか?
本登記に伴う職権抹消であれば、抹消の申請自体が存在しないため申請人が負担する登録免許税は生じません。見積書に計上されていたら根拠を確認してください。
Q4仮処分に後れる登記は自動で消えますか?
消えません。114条の職権抹消は仮処分自体の登記に限られます。後れてされた第三者の登記は、債権者が単独申請(111条2項、112条)で抹消する必要があります。
Q5本登記したのに処分禁止の登記が残っているのはなぜ?
多くは本登記の処理が完了していないためです。職権抹消は本登記の処理と一体で行われるので、まず登記所に処理状況を照会するのが先決です。
Q6和解で終わった場合、処分禁止の登記はどうなりますか?
114条は発動しません。本登記に到達しないため、保全執行の取消しなど別ルートを経て抹消することになり、手間も費用も別建てになります。
Q7処分禁止の登記があると融資は受けられませんか?
実務上、登記事項証明書に残っていると金融機関の稟議が止まる例が多いです。抹消漏れではなく本登記未了のことがあるため、処理状況の確認が先です。
Q8職権抹消は登記官の裁量ですか?
裁量ではありません。条文は「抹消しなければならない」と定める義務規定で、要件を満たせば登記官は必ず抹消します。当事者が促す必要はありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1処分禁止の登記って、自分で抹消申請しないと消えないんですか?
保全仮登記に基づく本登記をする場合は不要である。不動産登記法114条により、登記官が職権で抹消しなければならない。申請書も登録免許税も要らない。実務のポイント:本登記に至らず、和解や取下げで仮処分を終わらせた場合は114条は発動しない。この場合は保全執行の取消しを経た別ルートの抹消となり、手間も費用も別建てになる。出口の選択が後始末の重さを決めている。
Q2所有権を移す仮処分でも、同じように職権で消えるんですか?
枠組みが違う。保全仮登記が付くのは所有権以外の権利の保存、設定、変更の登記請求権を保全する場合に限られる(民事保全法53条2項)。所有権移転請求権の保全は処分禁止の登記のみで、後れる登記の抹消と処分禁止の登記の職権抹消は不動産登記法111条のルートを通る。実務のポイント:どちらのルートでも「後れる登記の抹消」は債権者の単独申請であって職権ではない。職権で消えるのは仮処分自体の登記だけ、という線引きを実務家は真っ先に確認する。
間違えやすい点 AI による整理
- 「処分禁止の登記はどうやって抹消申請するのか」という問いの立て方自体が誤っている。保全仮登記に基づく本登記まで到達すれば、抹消という申請行為は存在しない。問うべきは手続の書き方ではなく、いつ本登記まで到達できるか、その一点である。
- あなたの側から見れば、処分禁止の登記が消えて一件落着に見える。だが登記簿の側から見ると、消えたのは仮処分そのものの登記だけで、仮処分に後れてされた他人の登記は自動では消えない。これは債権者の単独申請(不動産登記法111条2項、112条)で外す作業であり、放置すれば順位は保全されても現実の登記簿は他人の権利で汚れたままになる。この落差が決済直前に露見する。
- 職権抹消の存在を知っている実務家でも、それが「本登記をするとき」限定であることの重さを見落としがちである。本案で和解して仮処分を取り下げるルートを選ぶと114条は発動せず、保全執行の取消しに基づく登記の抹消という別ルートを踏む必要が出る。出口の選び方が、そのまま登記簿の後始末の手間を決めている。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 抹消の主体 | 114条:登記官の職権(義務) | 111条:債権者の単独申請 112条:債権者の単独申請 |
| 対象となる登記 | 保全仮登記とともにした処分禁止の登記そのもの | 処分禁止の登記に後れる第三者の登記 保全仮登記に係る権利の登記に後れる第三者の登記 |
| 起動条件 | 保全仮登記に基づく本登記をするとき | 処分禁止の登記後の本登記を申請する場合 保全仮登記に基づく本登記をする場合 |
| 申請人の負担 | 申請書も申請人負担の登録免許税も不要 | 申請書の作成と通知等の手続が必要 申請書の作成と通知等の手続が必要 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では假處分の登記も塗銷も法院の嘱託によって行われ、当事者の申請を介さない点で日本の職権抹消と機能的に近い。ただし保全仮登記に相当する制度は置かれていない
韓国も日本法を継受した登記制度をもち、仮処分登記の抹消と後行登記の抹消を分けて規律する構造は共通するが、具体的な条番号と要件は現行法で要確認
ドイツでは einstweilige Verfügung に基づく Vormerkung や Widerspruch の抹消も、原則として同種の裁判または権利者の承諾に依拠し、登記官の職権抹消は日本より限定的である
米国では係属通知(lis pendens)の抹消は裁判所の命令または当事者の申立てによるのが基本で、登記官(recorder)が職権で消す仕組みは一般的でない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、保全仮登記に基づく本登記を入れたのに、登記事項証明書にまだ処分禁止の登記が残っていたら? 決済まであと3日、慌てて抹消申請を出したくなる。だが114条の職権抹消は本登記の処理と一体で行われるため、まず登記所に処理状況を照会するのが先である。
- あなたが目的不動産の所有者で、賃借権設定登記請求権を保全する仮処分をかけられた側だとする。債権者が本案で勝ち、保全仮登記が本登記になった瞬間、あなたの土地には対抗力のある賃借権が乗る。処分禁止の登記が消えるのは、あなたが自由になったからではない。足場としての役目が終わっただけで、乗った権利は残る。
- 金融機関の担当者から電話が入る。「登記簿に処分禁止の登記が残っているので融資を実行できません」。それは抹消漏れではなく、本登記がまだ完了していない可能性が高い。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 保全仮登記に基づく本登記の申請書一式を整える。114条は本登記をするときに初めて起動するので、本登記到達が唯一のスイッチである2. 処分禁止の登記の抹消は申請しない。職権事項なので申請しても却下され、時間だけを失う3. 別作業として、仮処分に後れる登記の抹消(不動産登記法111条2項、112条)を単独申請で行うか検討する4. 完了後に登記事項証明書を取得し、処分禁止の登記が職権で抹消されているかを目視で確認する
訴えられた側:1. 処分禁止の登記が消えたことを、権利関係が元に戻った合図と読み違えない。本登記された権利は順位を保全仮登記の時点まで遡って主張できる(不動産登記法113条) 2. 本案が係属中なら、起訴命令(民事保全法37条)や事情変更による保全取消し(同38条以下)で本登記への道を先に断つ方が実効性が高い3. 目的不動産を売却予定なら、買主と金融機関に仮処分の存在と見込みを先に開示し、決済日を後ろに置く
時効(請求できる期限):114条自体に期限の定めはない。ただし前提となる処分禁止の仮処分の執行(処分禁止の登記と保全仮登記)は、保全命令が債権者に送達された日から2週間を経過するとできなくなる(民事保全法43条2項)。また債務者の申立てによる起訴命令(同法37条)で定められた期間内に本案の訴えを提起しないと保全命令は取り消され、本登記への道が閉じる。本登記の申請自体に特定の時効はないが、被保全権利には一般の消滅時効(民法166条、債権は権利行使できることを知った時から5年または権利行使可能時から10年)が進行する(最新の改正状況をご確認ください)。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 新設:不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)により現行法が制定され、旧法下の仮処分に関する登記の規律を整理して、保全仮登記に基づく本登記の際の処分禁止の登記の職権抹消が本条に置かれた(詳細な沿革は e-Gov 法令検索の改正履歴で確認)
- 不動産登記法 第111条処分禁止の登記に後れる登記の抹消
- 不動産登記法 第112条保全仮登記に係る権利の登記に後れる登記の抹消
- 不動産登記法 第113条保全仮登記に基づく本登記の順位の遡及
- 不動産登記法 第106条仮登記に基づく本登記の順位の一般原則
- 不動産登記法 第105条仮登記の類型、保全仮登記の前提概念
- 民事保全法 第53条処分禁止の登記と保全仮登記の執行方法を定める根拠法
- 民事保全法 第58条処分禁止の登記後の登記の対抗不能と抹消権
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める