不動産登記法 第115条(公売処分による登記)
クイックジャンプ
- 官庁又は公署は、公売処分をした場合において、登記権利者の請求があったときは、遅滞なく、次に掲げる事項を登記所に嘱託しなければならない。
- 一公売処分による権利の移転の登記
- 二公売処分により消滅した権利の登記の抹消
- 三滞納処分に関する差押えの登記の抹消
この条文の基本情報
公売処分による登記とは何ですか?
定義公売処分による登記とは、不動産登記法第115条に定められた規定で、「官庁又は公署は、公売処分をした場合において、登記権利者の請求があったときは、遅滞なく、次に掲げる事項を登記所に嘱託しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第115条(公売処分による登記)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第115条の条文原文は「官庁又は公署は、公売処分をした場合において、登記権利者の請求があったときは、遅滞なく、次に掲げる事項を登記所に嘱託しなければならない。」で始まります。
- 不動産登記法第115条は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第115条の前の条は不動産登記法第114条です。
- 不動産登記法第115条の次の条は不動産登記法第116条です。
- 不動産登記法第115条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第115条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第115条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/115
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法115条は、公売処分をした官庁又は公署が、登記権利者の請求があったときは、権利の移転登記と消滅した権利・差押えの登記の抹消を遅滞なく登記所に嘱託する義務を負うと定める。
Q · 公売で不動産を落札して代金を払ったら、登記は役所が勝手にやってくれるの?
いいえ。登記権利者が請求して初めて役所が嘱託します
不動産登記法115条により、公売処分をした官庁又は公署は、登記権利者すなわち買受人の請求があったときに、遅滞なく三つの登記を嘱託します。権利の移転の登記、公売処分により消滅した権利の登記の抹消、滞納処分に関する差押えの登記の抹消です。代金を納付した時点で所有権は移転しますが、登記は請求を起点とするため、黙って待っていても名義は滞納者のまま残ります。請求先は法務局ではなく、公売を実施した税務署や自治体の徴収担当部署です。
解説
税金を滞納した人の不動産が差し押さえられ、公売にかけられる。落札して代金を納めた瞬間、所有権は法律上あなたのものになる。ところが登記簿の名義は、まだ滞納者のままだ。ここで多くの買受人が固まる。売主にあたる滞納者は協力しないし、抵当権者も差押債権者も、誰一人として抹消手続に付き合ってくれない。不動産登記法115条が効くのはこの場面である。公売処分をした官庁または公署は、登記権利者すなわちあなたの請求があったときは、遅滞なく三つをまとめて登記所に嘱託しなければならない。公売処分による権利の移転の登記、公売処分により消滅した権利の登記の抹消、滞納処分に関する差押えの登記の抹消。通常の売買なら売主や抵当権者と共同で申請しなければ一つも動かない登記が、役所の嘱託という一本の経路で処理される。ただし条文をよく読むこと。起点は「請求があったとき」である。黙って待っていても、登記簿は一行も動かない。
法的な位置づけ
不動産登記法115条は、公売処分に伴う嘱託登記を定める規定である。官庁又は公署は、公売処分をした場合において登記権利者の請求があったときは、遅滞なく、権利の移転の登記、公売処分により消滅した権利の登記の抹消、滞納処分に関する差押えの登記の抹消を登記所に嘱託する義務を負う。共同申請主義(同法60条)の例外に位置づけられる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.入札前に残存権利と特記事項を確認する 公売財産の公告と見積価額公告の特記事項欄を読み、差押え登記より先に対抗要件を備えた賃借権・地上権など、公売処分によって消滅しない権利の有無を確認する。消えない権利がある物件は入札額を下げる根拠になる
- 2.買受代金を納付期限内に納付する 売却決定を受けたら、指定された納付期限内に買受代金を納付する。納付により所有権は法律上移転する。期限を徒過すると売却決定が失効し買受人の地位そのものを失うため、資金は事前に確保しておく
- 3.同日中に115条による嘱託を書面で請求する 代金納付と同じ日に、公売を実施した税務署または自治体の徴収担当部署へ、不動産登記法115条に基づく登記嘱託の請求書を提出する。請求が到達しない限り登記は一行も動かない
- 4.登録免許税相当額と添付情報をそろえる 権利移転登記の登録免許税は買受人負担であり、実務では税額相当を納めてから嘱託が出される。住所証明書類など添付情報の運用は自治体ごとに差があるため、必ず担当部署に確認してからそろえる
- 5.嘱託完了と登記識別情報の通知を確認する 嘱託が完了したら登記事項証明書を取得し、権利の移転、消滅した権利の抹消、差押えの抹消が反映されているか三点とも照合する。登記識別情報は官庁を経由して通知される(不動産登記法117条)
- 6.一か月動かなければ書面で催告する 請求後一か月経っても嘱託されない場合、担当者名と請求日を控えたうえで、115条の「遅滞なく」の義務を明示した催告書を書面で再提出し、到達記録を残す。転売や融資の予定があるなら記録が交渉材料になる
よくある質問 AI による整理
Q1嘱託登記とは何ですか?
官庁又は公署が登記所に対して単独で登記を求める手続です。当事者双方が申請する共同申請(不動産登記法60条)の例外で、公売や競売など公的手続の結果を登記に反映させる場面で使われます。
Q2公売処分の登記は誰が申請するのですか?
買受人が法務局に申請するのではなく、公売を実施した官庁又は公署が嘱託します。買受人の役割は、徴収担当部署に対して115条の請求を出し、必要書類と登録免許税相当額をそろえることです。
Q3不動産登記法115条の請求に期限はありますか?
115条自体に請求期限の定めはありません。ただし買受代金の納付期限を徒過すると売却決定が失効し、買受人の地位を失うため、公売手続内の期限は厳守が必要です。
Q4公売で買った不動産の権利証はどこから届きますか?
嘱託登記では登記識別情報が官庁又は公署を経由して通知されます(不動産登記法117条)。法務局から直接届かないため、手元に来ないと慌てず経由先に確認してください。
Q5公売の登記にかかる登録免許税は誰が負担しますか?
権利移転の登記に係る登録免許税は買受人の負担です。実務では買受人が税額相当を納めてから嘱託が出るため、落札額とは別に現金を用意しておく必要があります。
Q6インターネット公売でも115条は適用されますか?
適用されます。官公庁オークション等のインターネット公売も滞納処分としての公売処分であり、落札画面に書かれた「登記手続は買受人の請求により行う」という一文の根拠が115条です。
Q7競売と公売で登記手続は違いますか?
根拠条文が異なります。裁判所の強制競売は民事執行法82条により裁判所書記官が嘱託し、滞納処分による公売は不動産登記法115条と国税徴収法により官庁又は公署が嘱託します。
Q8請求したのに嘱託されない場合はどうすればいいですか?
115条は「遅滞なく」の嘱託義務を課しています。一か月動かなければ担当者名を控え、書面で催告して記録を残し、それでも動かない場合は上級庁への申出や不服申立ての検討に進みます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1公売で落札したんですけど、登記っていつ、どこに何をすればいいんですか?
代金を納付した時点で所有権は移りますが、登記は不動産登記法115条の請求をして初めて役所が嘱託します。請求先は法務局ではなく、公売を実施した税務署や自治体の徴収担当部署です。実務のポイント:権利移転の登記にかかる登録免許税は買受人の負担で、実務では買受人が税額相当を納めてから嘱託が出ます。落札額とは別に現金が要るので、資金繰りに入れておかないと嘱託が止まったまま month 単位で放置されます
Q2公売で買えば抵当権も差押えも全部消えるって聞いたんですが、本当ですか?
115条2号と3号により、公売処分で消滅した権利と滞納処分に関する差押えの登記は嘱託で抹消されます。ただし消えるのは「公売処分により消滅した」権利だけです。差押えより先に対抗要件を備えた賃借権や地上権は残り、買受人が引き継ぎます。実務のポイント:登記簿が一見きれいになるため、残存する用益権は登記だけ見ても気付きにくい。入札前に現地の占有状況と公告の特記事項欄を読む人と読まない人で、落札後の回収計画がまるごと変わります
間違えやすい点 AI による整理
- 代金を納付すれば登記も自動的に終わると思われているが、115条の起点は「登記権利者の請求があったとき」である。実務でも、買受人が必要書類を提出し登録免許税相当額を納めてから嘱託が出される。請求しない限り、登記簿の名義は滞納者のまま残り続ける
- 公売では抵当権が消えることは、そこそこ知られている。知られていないのはその裏側の深刻度だ。差押えの登記より先に対抗要件を備えた賃借権や地上権は消えずに買受人へ引き継がれ、土地と建物が別々の所有者になれば法定地上権が生じる場合もある(国税徴収法に定めがある)。登記簿が真っ白になった物件に、退去させられない居住者が住み続けている事態は現実に起きている
- 「どの司法書士に頼めばいいか」という問いの立て方が、すでにずれている。115条の登記は申請ではなく嘱託であり、手続の主体は官庁または公署である。あなたが最初に向き合う窓口は法務局ではなく、公売を実施した税務署や自治体の徴収担当部署だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 登記を動かす主体 | 115条:公売処分をした官庁又は公署が嘱託 | 60条:登記権利者と登記義務者が共同で申請 116条:官庁又は公署による嘱託登記の一般規定 |
| 起点となる行為 | 登記権利者(買受人)の請求が官庁に到達した時 | 当事者双方の申請意思の合致 各根拠法令に定められた官庁の職務執行 |
| 一度に処理される登記 | 権利移転・消滅した権利の抹消・差押えの抹消の三件 | 申請した登記一件ごと 根拠法令が定める範囲 |
| 登記識別情報の通知経路 | 117条により官庁又は公署を経由して通知 | 申請人に直接通知 117条により官庁又は公署を経由して通知 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も執行機関が地政事務所へ登記を囑託する構造をとる。ただし台湾では執行法院の職権による囑託色が強く、日本の115条のように買受人の請求を起点とする明文の設計とは重心が異なる
韓国も滞納処分による公売後、세무서장(税務署長)等が登記촉탁を行う構造を採る。買受人の負担で登録免許税相当を先に納付する実務運用も日本と近い
ドイツは Zuschlag(競落許可)後に執行裁判所が登記所へ Ersuchen(嘱託)を出す。裁判所主導の職権処理であり、買受人の請求を条文上の起点としない点が日本と対照的
米国は登記所への Recording が権利対抗の中心で、Tax Deed の取得者自身が郡登記所へ記録する。役所が代わって嘱託する制度ではなく、買受人の自己責任の度合いが日本より高い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし落札後に融資を受けて改装しようとしたとき、銀行から「登記簿が滞納者名義のままでは抵当権を設定できません」と言われたら? 所有権はすでにあなたにあるのに、登記が動いていないという一点だけで資金計画全体が止まる。115条の請求は、代金納付と同じ日に窓口へ出しておくべき書類である
- 滞納者の側に立ったとき。自宅が公売されたあとも、抹消の嘱託を請求できるのは買受人であって、名義を失うあなたではない。差押えの登記が消えるタイミングすら、自分では動かせない
- あなたが公売物件に抵当権を持つ債権者だった場合。買受人の代金納付で担保権は消滅し、115条2号の嘱託で登記からも消える。配当計算書に対する異議は謄本の発送から一週間程度という短さで締め切られるため(最新の改正状況をご確認ください)、登記が消えてから気付いたのでは巻き戻せない。公売の進行日程は自分で追う以外にない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 買受代金を納付したら、その場で公売を実施した官庁または公署の徴収担当へ115条による嘱託を書面で請求する2. 請求書のほか、住所証明書類と登録免許税相当額の準備が要る(自治体ごとに運用差がある) 3. 嘱託が完了すると登記識別情報は官庁を経由して通知されるので(不動産登記法117条)、権利証が手元に来ないと慌てないこと4. 一か月動かなければ担当者名を控え、再度書面で催告して記録を残す
訴えられた側:1. 差押え・公売を受ける側なら、公売公告から売却決定までが実質的な最終局面。換価の猶予や分割納付の協議は、売却決定が下りる前でなければ意味を失う2. 抵当権者など消滅する権利の側は、配当計算書に対する異議の期間が極めて短いため、公売の進行を自分で追う(最新の改正状況をご確認ください) 3. 115条の嘱託で登記が抹消されたあとに争っても、原状回復は極めて困難になる。動くなら抹消前しかない
時効(請求できる期限):115条自体に請求の期限は定められておらず、嘱託義務の履行時期は「遅滞なく」、その起算点は登記権利者の請求が官庁に届いた時である。一方、公売手続内の期限は別物で、買受代金の納付期限を徒過すると売却決定は失効し、買受人の地位そのものを失う。請求権について特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が背景にある
学説
通説:登記の真正は本来、登記権利者と登記義務者の共同申請(不動産登記法60条)によって担保されるが、公売では登記義務者にあたる滞納者の協力を期待できない。115条は公売処分という公的手続の存在自体を真正の担保に置き換えた共同申請主義の例外と理解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)により現行法が制定され、公売処分に伴う嘱託登記が115条として整備された。オンライン申請制度の導入に合わせ、嘱託手続の位置づけも現行の条文構成に再編された。
- 不動産登記法 第16条申請又は嘱託によるという登記の原則
- 不動産登記法 第60条共同申請主義、嘱託登記はその例外
- 不動産登記法 第68条権利消滅時の登記抹消の原則的手続
- 不動産登記法 第116条官庁又は公署の嘱託による登記の一般規定
- 不動産登記法 第117条嘱託登記における登記識別情報の通知経路
- 国税徴収法 第121条換価財産の権利移転登記の嘱託義務
- 国税徴収法 第94条差押財産の換価は公売によるとの定め
- 民事執行法 第82条強制競売における裁判所書記官の嘱託の対応規定
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