不動産登記法 第113条(保全仮登記に係る仮処分の登記に後れる登記の抹消)
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不動産の使用又は収益をする権利について保全仮登記がされた後、当該保全仮登記に係る仮処分の債権者が本登記を申請する場合においては、当該債権者は、所有権以外の不動産の使用若しくは収益をする権利又は当該権利を目的とする権利に関する登記であって当該保全仮登記とともにした処分禁止の登記に後れるものの抹消を単独で申請することができる。
この条文の基本情報
保全仮登記に係る仮処分の登記に後れる登記の抹消とは何ですか?
定義保全仮登記に係る仮処分の登記に後れる登記の抹消とは、不動産登記法第113条に定められた規定で、「不動産の使用又は収益をする権利について保全仮登記がされた後、当該保全仮登記に係る仮処分の債権者が本登記を申請する場合においては、当該債権者は、所有権以外の不動産…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不動産登記法第113条(保全仮登記に係る仮処分の登記に後れる登記の抹消)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
- 不動産登記法第113条の条文原文は「不動産の使用又は収益をする権利について保全仮登記がされた後、当該保全仮登記に係る仮処分の債権者が本登記を申請する場合においては、当該債権者は、所有権以外の不動産…」で始まります。
- 不動産登記法第113条は第三節 権利に関する登記に置かれています。
- 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
- 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 不動産登記法第113条の前の条は不動産登記法第112条です。
- 不動産登記法第113条の次の条は不動産登記法第114条です。
- 不動産登記法第113条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第113条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123 - 本サイト収録
不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第113条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/113
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不動産登記法113条は、保全仮登記に基づく本登記を申請する債権者が、処分禁止の登記に後れる用益権の登記を単独で抹消申請できると定める。抵当権など所有権を目的とする権利は対象外。
Q · 保全仮登記を付けた仮処分で勝訴したら、後から入った賃借権の登記は相手の承諾なしで消せるの?
はい、用益権の登記なら承諾書なしで単独で消せます
不動産登記法113条により、保全仮登記に係る仮処分の債権者は、本登記の申請と併せて、処分禁止の登記に後れる所有権以外の使用収益権(地上権・賃借権・地役権など)およびその権利を目的とする権利の登記の抹消を、単独で申請できます。後順位者の承諾書は不要です。ただし民事保全法59条により、抹消申請日の1週間前までに、抹消される登記の名義人へ通知を発する必要があります。後れる所有権移転登記や抵当権は対象外ですが、112条の順位遡及により対抗できるため抹消の実益がありません。
解説
地上権や賃借権を登記させろという請求権を守るために打つ仮処分には、他の仮処分にはない特典が付いてくる。民事保全法53条2項により処分禁止の登記と一緒に「保全仮登記」が打たれている場合、勝訴して本登記を入れる段になったとき、あなたは自分より後に割り込んだ邪魔な登記を、相手の承諾書なしで、自分ひとりの申請で消せる。それが113条である。ただし消せる範囲は狭い。所有権以外の「不動産の使用又は収益をする権利」(地上権、永小作権、賃借権、地役権など)と、その権利を目的とする権利(例:地上権を目的とする抵当権)だけ。後から入った所有権移転登記や、所有権を目的とする抵当権は消せない。消す必要がないからだ。112条により本登記の順位は保全仮登記の順位まで遡り、後順位の担保権者も新所有者もあなたの用益権を甘受するしかない。両立できないものだけを外科的に切除する、それが113条の設計思想である。
法的な位置づけ
不動産登記法113条は、保全仮登記に基づく本登記の申請に伴う後れる登記の単独抹消を定める規定である。抹消の対象は、処分禁止の登記に後れる所有権以外の不動産の使用又は収益をする権利に関する登記および当該権利を目的とする権利に関する登記に限られ、後順位の所有権移転登記や所有権を目的とする抵当権の登記は含まれない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登記事項証明書で後れる登記を洗い出す 処分禁止の登記と保全仮登記の受付年月日・受付番号を確定し、それより後の受付番号の登記を機械的に一覧化する。順位の判定は主観ではなく受付番号で行う
- 2.抹消できる登記とできない登記に仕分ける 所有権以外の使用収益権(地上権・賃借権・地役権など)およびその権利を目的とする権利だけが113条の対象。後れる所有権移転登記や所有権を目的とする抵当権は対象外で、112条の順位遡及により対抗する
- 3.民事保全法59条の通知を発信する 抹消される登記の名義人全員へ、抹消申請日の1週間前までに通知を発する。発信主義であるため発した事実が要件だが、発送記録と控えを必ず保管する
- 4.本登記と併せて抹消を単独申請する 本案の勝訴判決に基づく本登記の申請と併せ、後れる登記の抹消を単独で申請する。登記原因は実務上「仮処分による失効」とし日付は記載しない。通知を発したことを証する書面を添付する
- 5.処分禁止の登記は申請しない 処分禁止の登記そのものは、不動産登記法114条により登記官が職権で抹消する。重ねて申請すると却下や補正の原因になるため、申請対象に含めない
よくある質問 AI による整理
Q1保全仮登記とは何ですか?
用益権の登記請求権を保全する仮処分で、処分禁止の登記とともにされる仮登記です(民事保全法53条2項)。本登記の順位を保全仮登記の順位まで遡らせる効力を持ちます。
Q2不動産登記法113条で消せる登記はどれですか?
所有権以外の不動産の使用又は収益をする権利(地上権・永小作権・賃借権・地役権など)と、その権利を目的とする権利の登記だけです。後れる所有権移転登記や抵当権は消せません。
Q3後れる登記の抹消に相手の承諾書は必要ですか?
不要です。113条が「単独で申請することができる」と明文で定めています。仮登記に基づく本登記の109条と異なり、利害関係人の承諾情報を集める必要はありません。
Q4抹消の申請はいつからできますか?
民事保全法59条2項により、抹消される登記の名義人へ申請日の1週間前までに通知を発する必要があります。起算点は判決確定日ではなく通知の発信日です。
Q5自分の賃借権の登記が勝手に消されたらどうすればいい?
まず自分の登記が処分禁止の登記より後か受付番号で確認します。対象外の権利なら登記官の処分への審査請求(不動産登記法156条)と、実体関係を争う訴訟を検討します。
Q6不動産登記法111条と113条の違いは?
111条は所有権等の移転登記請求権を保全する仮処分に基づき後れる登記を抹消する規定、113条は用益権の保全仮登記が付いた場合の規定です。抹消できる範囲が異なります。
Q7配偶者居住権も113条の対象になりますか?
配偶者居住権は登記できる用益権(不動産登記法81条の2)であるため、その登記請求権を保全仮登記付き仮処分で保全した場合は、理屈の上で113条の射程に入りえます。
Q8保全仮登記を付けてもらうにはどうすればいい?
仮処分の申立ての段階で、民事保全法53条2項に基づき保全仮登記を伴う処分禁止の仮処分として申し立てます。単なる処分禁止の登記だけでは113条は使えません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1処分禁止の登記より後に入った抵当権も、ついでに消せないんですか?
消せません。113条の対象は所有権以外の使用収益権と、その権利を目的とする権利に限られます。ただし不動産登記法112条により本登記の順位は保全仮登記の順位まで遡るため、後順位の抵当権はあなたの用益権に対抗できません。実務のポイント:抹消できない=負けている、ではない。競売で用益権が引受けになるか消除されるかは受付番号の前後で決まるので、抹消の可否を争う前に順位関係を先に確認する。
Q2この抹消って、登記原因は何て書けばいいんですか?
実務上は「仮処分による失効」と記載し、日付は書きません。抹消は本登記の申請と併せて行い、処分禁止の登記そのものは登記官が職権で抹消します(不動産登記法114条)。実務のポイント:添付情報として民事保全法59条の通知を発したことを証する書面が要る。同条は発信主義なので、宛先不明で返送されても発した事実があれば足りる建て付けだが、扱いは事案により微妙なので管轄登記所への事前照会が定石。
間違えやすい点 AI による整理
- 「後れる登記は全部消せるのか」という問いの立て方自体がずれている。113条が消せるのは使用収益権とその上の権利だけで、所有権移転登記や所有権を目的とする抵当権は対象外。だがそれは負けているからではなく、112条の順位遡及によって既に自動的に勝っており、消す実益がないからだ。問うべきは「どれを消せるか」ではなく「どれが自分と両立しないか」である。
- 仮登記に基づく本登記には登記上の利害関係人の承諾が要る(不動産登記法109条)ので、保全仮登記でも同じだと思われがちだが、113条は「単独で申請することができる」と明文で書いている。後順位者を探し出して承諾書に判をもらう作業は、そもそも発生しない。
- 単独申請できることまでは知られていても、それが無条件ではないことは知られていない。民事保全法59条により、抹消される登記の権利者へ、申請日の1週間前までに通知を発する必要がある。通知を証する書面がなければ、単独申請の権限があっても登記所は受け付けない。権限の有無ではなく、段取りの有無で止まる。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用場面 | 113条:用益権の保全仮登記に基づく本登記 | 111条:所有権等の移転・抹消請求権を保全する処分禁止の仮処分 109条:一般の仮登記に基づく本登記 |
| 後順位者の承諾 | 不要(単独申請できる) | 不要(単独申請できる) 必要(登記上の利害関係人の承諾情報が要る) |
| 抹消できる範囲 | 所有権以外の使用収益権とその権利を目的とする権利のみ | 保全された請求権の実現を妨げる後れる登記 承諾を得た利害関係人の登記 |
| 事前手続 | 民事保全法59条:申請日の1週間前までに通知を発する | 民事保全法59条:同じく事前通知が必要 通知義務なし(承諾情報の取得で代替) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は請求権保全のため予告登記を用い、これに妨害する処分を請求権との関係で無効とする構成。後順位登記を債権者が単独で抹消する明文の手続規定という形は取らない。
韓国は仮処分債権者が本案勝訴により登記を申請する場合、仮処分登記後の登記の抹消を単独で申請できると定める。日本の111条・113条と極めて近い構造を持つ。
ドイツは仮登記(Vormerkung)に反する処分を相対的に無効としつつ、抹消には第三者の承諾請求権(§888)を訴求する構成を取る。承諾不要の単独抹消を認める日本と手続設計が異なる。
米国は訴訟係属の公示により、以後の権利取得者を判決の効力に服させる。個別の後順位登記を消すのではなく、権利取得者が判決に拘束される構成である。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 土地所有者があなたに地上権を設定する契約を交わした直後、資金繰りのために別の業者へ貸し付け、先に賃借権の登記を入れてしまったとしたら? 本案で勝訴しても、登記簿にはその賃借権が居座り続ける。保全仮登記付きの仮処分を打ってあれば、本登記と併せて単独申請でその賃借権を消せる。打っていなければ、業者に頭を下げて承諾を買い取るしかない。
- あなたは倉庫を借り、賃借権の登記まで済ませた側だ。ある日、見知らぬ会社名義の地上権の本登記が入り、あなたの登記は自分の関与なしに抹消されていた。乙区に残るのは「仮処分による失効」の六文字だけである。
- 本案の勝訴判決が確定し、依頼者は今週中の本登記を望んでいる。だが民事保全法59条の通知は、抹消を申請する日の1週間前までに発しなければならない。今日発送しても、抹消が可能になるのは来週である。逆算の起点は判決確定日ではなく、通知の発信日だ。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 登記簿を取得し、処分禁止の登記と保全仮登記の受付年月日・受付番号を確定、後れる登記を一覧化する2. 後れる登記を「使用収益権とその上の権利」と「それ以外」に仕分ける。前者だけが113条で消せる3. 民事保全法59条の通知を、抹消申請日の1週間前までに各名義人へ発送し、控えと発送記録を保管4. 本登記の申請と併せて抹消を申請、登記原因は実務上「仮処分による失効」で日付は記載しない5. 処分禁止の登記自体は登記官が職権で抹消する(不動産登記法114条)ので、申請しない
訴えられた側:1. 通知が届いたら、まず自分の登記が「不動産の使用又は収益をする権利」またはその上の権利かを確認。抵当権など対象外の権利なら、113条では消せないと反論できる2. 自分の登記が処分禁止の登記より先か後か、受付番号で機械的に判定3. 仮処分自体を叩く選択肢を検討、債務者側と連携して起訴命令(民事保全法37条)や事情変更による保全取消し(同38条)を狙う4. 既に抹消された場合、登記官の処分への審査請求(不動産登記法156条)と、実体関係を争う訴訟の二本立てで検討する
時効(請求できる期限):113条自体に固有の期間制限はない。実務上の最短日程を決めるのは民事保全法59条2項で、抹消の申請日の1週間前までに通知を発する必要がある。基礎となる仮処分は、債務者の申立てによる起訴命令(民事保全法37条)や事情変更等による保全取消し(同38条)で失効しうるため、本案の追行を止めないこと。本案の登記請求権自体は一般の消滅時効(民法166条、権利行使できることを知った時から5年または権利行使できる時から10年)に服する(最新の改正状況をご確認ください)。
学説
通説・登記実務:113条が抹消対象を用益権とその上の権利に限定するのは、後れる所有権移転登記や抵当権が仮処分債権者に劣後するからではなく、112条の順位遡及により既に対抗できず抹消の実益がないためと解される。抹消の可否は優劣の帰結ではなく、権利の両立可能性の問題である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:不動産登記法の全部改正(平成16年法律第123号)により、保全仮登記に基づく本登記に伴う後れる登記の単独抹消が現行113条として整備された。
- 不動産登記法 第111条処分禁止の登記に後れる登記の単独抹消、本条の原型規定
- 不動産登記法 第112条保全仮登記に基づく本登記の順位遡及
- 不動産登記法 第114条抹消後の処分禁止の登記の職権抹消
- 不動産登記法 第109条仮登記に基づく本登記における第三者承諾要件との対比
- 不動産登記法 第105条仮登記の類型、保全仮登記の位置付けの前提
- 民事保全法 第53条保全仮登記を伴う処分禁止の仮処分の執行方法
- 民事保全法 第58条処分禁止の登記の効力と後れる登記の抹消権限の実体的根拠
- 民事保全法 第59条抹消前の事前通知義務、申請日の1週間前までの発信
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