不動産の使用又は収益をする権利について保全仮登記がされた後、当該保全仮登記に係る仮処分の債権者が本登記を申請する場合においては、当該債権者は、所有権以外の不動産の使用若しくは収益をする権利又は当該権利を目的とする権利に関する登記であって当該保全仮登記とともにした処分禁止の登記に後れるものの抹消を単独で申請することができる。
要点不動産登記法113条は、保全仮登記に基づく本登記を申請する債権者が、処分禁止の登記に後れる用益権の登記を単独で抹消申請できると定める。抵当権など所有権を目的とする権利は対象外。
Q · 保全仮登記を付けた仮処分で勝訴したら、後から入った賃借権の登記は相手の承諾なしで消せるの?
はい、用益権の登記なら承諾書なしで単独で消せます
不動産登記法113条により、保全仮登記に係る仮処分の債権者は、本登記の申請と併せて、処分禁止の登記に後れる所有権以外の使用収益権(地上権・賃借権・地役権など)およびその権利を目的とする権利の登記の抹消を、単独で申請できます。後順位者の承諾書は不要です。ただし民事保全法59条により、抹消申請日の1週間前までに、抹消される登記の名義人へ通知を発する必要があります。後れる所有権移転登記や抵当権は対象外ですが、112条の順位遡及により対抗できるため抹消の実益がありません。
地上権や賃借権を登記させろという請求権を守るために打つ仮処分には、他の仮処分にはない特典が付いてくる。民事保全法53条2項により処分禁止の登記と一緒に「保全仮登記」が打たれている場合、勝訴して本登記を入れる段になったとき、あなたは自分より後に割り込んだ邪魔な登記を、相手の承諾書なしで、自分ひとりの申請で消せる。それが113条である。ただし消せる範囲は狭い。所有権以外の「不動産の使用又は収益をする権利」(地上権、永小作権、賃借権、地役権など)と、その権利を目的とする権利(例:地上権を目的とする抵当権)だけ。後から入った所有権移転登記や、所有権を目的とする抵当権は消せない。消す必要がないからだ。112条により本登記の順位は保全仮登記の順位まで遡り、後順位の担保権者も新所有者もあなたの用益権を甘受するしかない。両立できないものだけを外科的に切除する、それが113条の設計思想である。
不動産登記法113条は、保全仮登記に基づく本登記の申請に伴う後れる登記の単独抹消を定める規定である。抹消の対象は、処分禁止の登記に後れる所有権以外の不動産の使用又は収益をする権利に関する登記および当該権利を目的とする権利に関する登記に限られ、後順位の所有権移転登記や所有権を目的とする抵当権の登記は含まれない。
AI 輔助整理,以條文原文為準
用益権の登記請求権を保全する仮処分で、処分禁止の登記とともにされる仮登記です(民事保全法53条2項)。本登記の順位を保全仮登記の順位まで遡らせる効力を持ちます。
所有権以外の不動産の使用又は収益をする権利(地上権・永小作権・賃借権・地役権など)と、その権利を目的とする権利の登記だけです。後れる所有権移転登記や抵当権は消せません。
不要です。113条が「単独で申請することができる」と明文で定めています。仮登記に基づく本登記の109条と異なり、利害関係人の承諾情報を集める必要はありません。
民事保全法59条2項により、抹消される登記の名義人へ申請日の1週間前までに通知を発する必要があります。起算点は判決確定日ではなく通知の発信日です。
まず自分の登記が処分禁止の登記より後か受付番号で確認します。対象外の権利なら登記官の処分への審査請求(不動産登記法156条)と、実体関係を争う訴訟を検討します。
111条は所有権等の移転登記請求権を保全する仮処分に基づき後れる登記を抹消する規定、113条は用益権の保全仮登記が付いた場合の規定です。抹消できる範囲が異なります。
配偶者居住権は登記できる用益権(不動産登記法81条の2)であるため、その登記請求権を保全仮登記付き仮処分で保全した場合は、理屈の上で113条の射程に入りえます。
仮処分の申立ての段階で、民事保全法53条2項に基づき保全仮登記を伴う処分禁止の仮処分として申し立てます。単なる処分禁止の登記だけでは113条は使えません。
消せません。113条の対象は所有権以外の使用収益権と、その権利を目的とする権利に限られます。ただし不動産登記法112条により本登記の順位は保全仮登記の順位まで遡るため、後順位の抵当権はあなたの用益権に対抗できません。業界裏話ヒント:抹消できない=負けている、ではない。競売で用益権が引受けになるか消除されるかは受付番号の前後で決まるので、抹消の可否を争う前に順位関係を先に確認する。
実務上は「仮処分による失効」と記載し、日付は書きません。抹消は本登記の申請と併せて行い、処分禁止の登記そのものは登記官が職権で抹消します(不動産登記法114条)。業界裏話ヒント:添付情報として民事保全法59条の通知を発したことを証する書面が要る。同条は発信主義なので、宛先不明で返送されても発した事実があれば足りる建て付けだが、扱いは事案により微妙なので管轄登記所への事前照会が定石。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 適用場面 | 113条:用益権の保全仮登記に基づく本登記 | — |
| 後順位者の承諾 | 不要(単独申請できる) | — |
| 抹消できる範囲 | 所有権以外の使用収益権とその権利を目的とする権利のみ | — |
| 事前手続 | 民事保全法59条:申請日の1週間前までに通知を発する | — |
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