要点不動産登記法 118 条により、収用による所有権移転の登記は起業者が単独で申請でき、収用で消滅した権利や失効した差押えの登記は登記官が職権で抹消する。
Q · 土地が収用されたら、そこに付いている抵当権や差押えの登記はどうなりますか?
登記官が職権で抹消します。権利者の同意は不要です
不動産登記法 118 条 4 項により、土地の収用による権利移転の登記を申請するときは、収用で消滅した権利や失効した差押え・仮差押え・仮処分の登記を指定し、登記官が職権でこれを抹消します。建物の場合は 5 項により所有権等以外の権利に関する登記が職権抹消され、6 項では裁決手続開始の登記も職権で消えます。担保権者の同意も申請も要件ではありません。担保価値は補償金へ物上代位(民法 304 条、372 条)で追及できますが、補償金が払い渡される前に差し押さえる必要があります。
道路拡幅やダム建設で土地を強制的に取られる、いわゆる土地収用。そのとき登記実務は普段のルールを丸ごと捨てる。通常、所有権移転の登記は売主と買主が二人一組で申請する(不動産登記法 60 条の共同申請主義)。だが収用の場合、あなたの署名も押印も委任状もいらない。起業者(道路を作る事業者や自治体)が単独で申請でき、国や自治体なら官公署が登記所に嘱託するだけで登記が動く。さらに恐ろしいのは 4 項から 6 項だ。あなたが設定していた抵当権、あなたが差し押さえた仮差押え、それらは登記官が職権で消す。誰も同意を求めてこない。つまりあなたが土地の担保を取っていた債権者だった場合、ある日突然、自分の抵当権が登記簿から消えている。収用は所有者だけの話ではなく、その土地に権利を持つ全員の権利を一斉に切断する制度であり、登記法 118 条はその切断を実行する刃である。
不動産登記法 118 条は、収用に伴う登記手続の特則を定める規定である。収用による所有権移転の登記は起業者の単独申請(1 項)又は官公署の嘱託(2 項)により行われ、所有権以外の権利の消滅登記にも準用される(3 項)。収用により消滅した権利、失効した差押え・仮差押え・仮処分の登記、及び裁決手続開始の登記は、登記官の職権で抹消される(4 項から 6 項)。
AI 輔助整理,以條文原文為準
土地収用の裁決により所有権等が移転・消滅した場合に行う登記です。不動産登記法 118 条により、共同申請主義(60 条)の例外として起業者の単独申請または官公署の嘱託で行われます。
起業者が単独で申請します(118 条 1 項)。国又は地方公共団体が起業者のときは、官公署が遅滞なく登記所に嘱託しなければなりません(2 項)。所有者の申請も押印も不要です。
収用により消滅し、その登記は 118 条 4 項の指定に基づき登記官が職権で抹消します。担保権者は補償金に物上代位(民法 304 条、372 条)できますが、払渡し前の差押えが必要です。
118 条 6 項により、収用による所有権移転の登記をするときに登記官が職権で抹消します。この登記は、その不動産が収用手続の対象となっていることを公示するものです。
登記の時点ではなく、権利取得裁決で定められた権利取得の時期に法律上移転します(土地収用法)。118 条の登記は、その移転を登記簿に反映させる手続にすぎません。
所有権以外の権利の消滅登記にも 1 項・2 項が準用され(3 項)、建物では 5 項により所有権等以外の権利に関する登記が職権抹消されます。賃借人は収用手続内で補償を主張すべきです。
できません。単独申請・嘱託で進むため、登記手続の場で争う余地はありません。争うべきは裁決の効力や損失補償の額であり、審査請求や訴訟という別の土俵になります。
補償金が債務者(従前の所有者)に払い渡される前です(民法 304 条ただし書)。裁決から支払までの期間は短いため、裁決が出た直後に差押えの準備を始める必要があります。
動きます。不動産登記法 118 条 1 項は 60 条の共同申請主義を明文で外し、起業者の単独申請を認めています。国や自治体が起業者なら 2 項の嘱託で登記所に直接手続が入ります。業界裏話ヒント:登記を止めることで補償交渉を有利にしようとする発想は、収用手続では機能しません。抵抗の場を登記から裁決・補償金の争いへ移した方が実益がある、と実務家は最初に判断します
登記官が職権で抹消する仕組みであり、担保権者の同意も申請も要りません(118 条 4 項、5 項)。銀行は収用手続の関係人として扱われますが、あなたが期待するほど手厚い個別通知が制度上保証されているわけではありません。業界裏話ヒント:金融機関は補償金への物上代位に慣れています。あなたが先に相談すれば、一括返済でなく残債の付け替えで話がまとまることもある。黙っていると一括返済の通知が先に来ます
その土地は収用手続の射程内にあるという公示です。取得しても収用裁決が出れば所有権は起業者へ移り、6 項によりこの登記自体が職権抹消されます。業界裏話ヒント:この登記を見落として売買契約を結ぶと、買主は補償金を受け取る立場にはなれても、当初の利用目的は完全に失われます。決済前の登記簿再取得を省略しない、それだけで防げる事故です
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 申請の構造 | 118 条:起業者の単独申請、又は官公署の嘱託 | — |
| 相手方の関与 | 登記名義人の承諾・押印・委任状は一切不要 | — |
| 他人の権利の登記の処理 | 4 項・5 項・6 項により登記官が職権で抹消(同意不要) | — |
| 登記が動く原因 | 収用裁決という行政処分(土地収用法) | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。