受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 7 分7 分7 分

不動産登記法 第76条(所有権の保存の登記の登記事項等)

クイックジャンプ
  1. 所有権の保存の登記においては、第五十九条第三号の規定にかかわらず、登記原因及びその日付を登記することを要しない。ただし、敷地権付き区分建物について第七十四条第二項の規定により所有権の保存の登記をする場合は、この限りでない。
  2. 2.登記官は、所有権の登記がない不動産について嘱託により所有権の処分の制限の登記をするときは、職権で、所有権の保存の登記をしなければならない。
  3. 3.前条の規定は、表題登記がない不動産について嘱託により所有権の処分の制限の登記をする場合について準用する。

この条文の基本情報

所有権の保存の登記の登記事項等とは何ですか?

定義所有権の保存の登記の登記事項等とは、不動産登記法第76条に定められた規定で、「所有権の保存の登記においては、第五十九条第三号の規定にかかわらず、登記原因及びその日付を登記することを要しない。ただし、敷地権付き区分建物について第七十四条第二…」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 不動産登記法第76条(所有権の保存の登記の登記事項等)は、日本の不動産登記法に含まれる条文です。
  2. 不動産登記法第76条の条文原文は「所有権の保存の登記においては、第五十九条第三号の規定にかかわらず、登記原因及びその日付を登記することを要しない。ただし、敷地権付き区分建物について第七十四条第二…」で始まります。
  3. 不動産登記法第76条は第二款 所有権に関する登記に置かれています。
  4. 不動産登記法の公布日は平成16年6月18日です。
  5. 不動産登記法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 不動産登記法第76条の前の条は不動産登記法第75条です。
  7. 不動産登記法第76条の次の条は不動産登記法第76条の2です。
  8. 不動産登記法第76条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第76条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123
  • 本サイト収録不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第76条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/416AC0000000123/76

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点不動産登記法76条は、所有権保存登記に登記原因と日付を記録しないと定める。ただし敷地権付き区分建物は例外で、未登記不動産に処分制限が嘱託されれば登記官が職権で保存登記をする。

Q · 登記していない建物でも、勝手に自分名義の登記がされることってあるんですか?

原因日付は載らないが、未登記でも職権で保存登記される

不動産登記法76条1項は、所有権の保存の登記に登記原因及びその日付を記録しないと定めます(59条3号の適用除外)。例外は、敷地権付き区分建物について74条2項により保存登記をする場合だけで、このときは「何年何月何日売買」が記録されます。さらに2項は、所有権の登記がない不動産に差押えなど処分の制限の登記が嘱託されたとき、登記官が職権で所有権保存登記をしなければならないと定め、3項は表題登記すらない不動産について75条を準用します。所有者の申請も押印もないまま、登記簿の一行目が生まれる仕組みです。

解説

登記簿の甲区、その一行目に置かれるのが所有権保存の登記である。ところがこの一行だけは、他の登記と決定的に違う。売買や相続といった登記原因も、その日付も記録されない。76条1項が59条3号の適用を外しているからだ。新築の一戸建てを建てたあなたの登記簿には、いつどうやって手に入れたかが書かれない。だがただし書は、敷地権付きの区分建物だけを例外にする。分譲業者から買った買主が74条2項で自分名義の保存登記をするとき、そこには「何年何月何日売買」と原因日付が刻まれる。土地の持分である敷地権の移転も同時に公示しなければならないからだ。そして2項は、あなたが一度も申請していない不動産でも、裁判所からの嘱託があれば登記官が職権であなた名義の保存登記を作ると定める。未登記だから差し押さえられない、という理屈はここで折れる。

法的な位置づけ

不動産登記法76条は、所有権の保存の登記の登記事項と職権発動を定める規定である。1項は登記原因及びその日付の登記を不要とし、敷地権付き区分建物について74条2項により保存登記をする場合のみを例外とする。2項及び3項は、所有権の登記又は表題登記がない不動産に処分の制限の登記が嘱託された場合に、登記官が職権で保存登記をすべきことを定める。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.未登記の建物を洗い出す 権利証も登記事項証明書も出てこない建物は、市区町村の固定資産課税台帳(名寄帳)を取得し、家屋番号が付いていない家屋を特定する。課税されているのに登記だけない納屋・車庫・増築部分がここで見つかる
  2. 2.土地家屋調査士に建物表題登記を依頼 登記簿の表題部を作る手続で、現地調査・建物図面・各階平面図の作成を伴う。所有権を証する書面(建築確認済証、検査済証、工事完了引渡証明書、固定資産税の課税証明など)を揃える。ここが終わらないと保存登記に進めない
  3. 3.司法書士に所有権保存登記を依頼 74条1項1号により表題部所有者またはその相続人が申請する。76条1項が働くため申請書に登記原因と日付は書かない。敷地権付き区分建物を74条2項で申請する場合だけ、原因日付を記載する
  4. 4.登録免許税を納付し完了後の登記事項証明書で確認 納付後に登記が実行され、甲区の一行目に所有者が記録される。完了したら登記事項証明書を取得し、甲区一行目に登記原因と日付がないこと(区分建物なら記載があること)を自分の目で確認する
  5. 5.登記が済んでから遺産分割協議・売却交渉に入る 登記簿が存在して初めて、協議書の文言がそのまま登記申請書になり、抵当権設定も売買も可能になる。順番を逆にすると合意しても登記に落とせず、手戻りと紛争の再燃を招く

よくある質問 AI による整理

Q1所有権保存登記とは何ですか?

登記簿の甲区に初めて所有者を記録する登記です。不動産登記法74条の申請適格者が申請し、76条1項により登記原因と日付は原則として記録されません。

Q2所有権保存登記をしないとどうなりますか?

売却も抵当権設定も住宅ローンの借換えもできません。一方で差押えは止められず、76条2項により登記官が職権で保存登記をしたうえで差押えが記録されます。

Q3所有権保存登記は自分でできますか?

本人申請は可能です。ただし前提となる建物表題登記は土地家屋調査士の領域で、住所証明書や住宅用家屋証明書の取得も必要なため、実務では司法書士に委任するのが一般的です。

Q4所有権保存登記に必要な書類は何ですか?

表題登記済みであることを前提に、申請人の住所証明書(住民票)、登録免許税の納付、軽減税率を使うなら市区町村発行の住宅用家屋証明書が必要です。相続なら戸籍一式も要ります。

Q5未登記の建物は相続できますか?

相続自体はできますが、登記簿に存在しないため第三者に対抗できません(民法177条)。遺産分割協議の前に表題登記と保存登記を済ませておくと、協議書がそのまま登記申請に使えます。

Q6敷地権付き区分建物とは何ですか?

専有部分と土地の利用権が分離処分できない形で一体化したマンションの住戸です。73条により建物の登記が土地持分にも及ぶため、76条1項ただし書で登記原因と日付が記録されます。

Q7職権保存登記とは何ですか?

76条2項に基づき、差押えなど処分の制限の登記が嘱託された未登記不動産について、登記官が申請を待たずに所有権保存登記をする扱いです。名義人の同意も押印も不要です。

Q8所有権保存登記に期限はありますか?

76条自体に期限の定めはありません。ただし前提の建物表題登記は所有権取得から1か月以内が義務で(47条1項)、怠ると10万円以下の過料の対象になります(164条)。

この条文についての質問 AI による整理

Q1マンションの登記には売買の日付が入ってるのに、一戸建ての友達のには入ってないんですけど、なんでですか?

76条1項の本文が保存登記の登記原因と日付を不要としつつ、ただし書が敷地権付き区分建物について74条2項で保存登記する場合だけを例外にしているためだ。区分建物の所有権の登記は敷地権についてもされた登記としての効力を持つ(73条1項)ので、土地持分の移転原因を公示する必要がある。実務のポイント:中古マンションの売買では、買主側の仲介業者は先に登記簿を取っている。売主が何年保有したかを相手だけが知っている状態で交渉が始まる

Q2登記していない建物なら、差し押さえられないって聞いたんですが本当ですか?

逆である。76条2項により、所有権の登記がない不動産に処分の制限の登記が嘱託されると、登記官は職権で所有権保存登記をしなければならない。表題登記すらない場合も3項が75条を準用し、不動産の表示まで職権で登記される。実務のポイント:未登記のままだと売却も担保設定も住宅ローンの借換えもできない一方、差押えだけは止められない。守れるものが何もない状態を、費用を惜しんで維持していることになる

Q3家を建てたけどまだ登記していません。急いだほうがいいですか?

建物の表題登記は所有権取得から1か月以内が義務で(47条1項)、怠れば10万円以下の過料の対象になる(164条)。その上に74条の保存登記をして初めて甲区が生まれ、抵当権設定も売却も可能になる。実務のポイント:実際に過料が科される例は多くない。だからこそ問題になるのは、住宅ローンを使わずに現金で建てた小屋や増築部分だ。銀行が登記を強制しない分だけ未登記が残り、数十年後の相続で親族間の火種になる

間違えやすい点 AI による整理

  • 「未登記の建物をどうやって表に出さずに済ませるか」という問いの立て方そのものが誤っている。76条2項と3項は、登記がないことを前提に、登記官が職権で登記簿を作り上げる仕組みだ。隠せるかどうかではなく、いつ誰の手で登記簿に姿を現すかしか選べない
  • 保存登記に登記原因が載らないことを知っている人でも、その例外が生む情報格差までは知らない。敷地権付き区分建物だけは原因日付が刻まれるため、中古マンションの登記簿からは売主がいつ新築で取得したかが読める。売る側は、自分の登記簿が買主に何を語っているかに気付いていない
  • 所有権保存登記は自分の意思で申請するもの、と思われているが、76条2項のルートに申請人は登場しない。申請書も添付書類もなく、名義人になるあなたの署名も要らないまま、登記簿の一行目が完成する
比較の観点この条文ほかの条文
規律の対象76条:保存登記の登記事項と登記官の職権発動74条:保存登記を申請できる者の限定列挙
59条:権利に関する登記の一般的登記事項
登記原因と日付原則として記録しない。敷地権付き区分建物を74条2項で保存する場合のみ記録する規定なし(誰が申請できるかの問題)
3号で登記原因及びその日付を原則的な登記事項とする
申請人の要否2項・3項は職権登記のため申請人・押印とも不要表題部所有者、その相続人、確定判決を得た者、収用者に限定
申請による登記全般を前提とする
発動の引き金所有権の登記または表題登記がない不動産への処分の制限の登記の嘱託所有者側の自発的な申請
各種登記を実行する場面全般

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
土地法第37条・土地登記規則第79条(建物所有權第一次登記)

台湾も建物の第一次登記を所有権登記の起点とし、使用執照など所有権を証する書面を要求する点で日本の表題登記+保存登記の二段構えに近い。ただし日本のような表題部と権利部の分離は採らない

韓国
부동산등기법 제64조・제65조

韓国も소유권보존등기について登記原因及びその年月日を記録しないと明文で定め、申請人を限定列挙する構造を採る。日本法の影響が条文レベルで最も濃く残る例のひとつ

ドイツ
GBO § 3、§ 14

ドイツは Grundbuch への編入自体を制度の出発点とし、§ 14は執行名義を有する債権者が債務者名義の登記を申請できると定める。日本76条2項が登記官の職権としているのに対し、ドイツは債権者の申請権として構成する点が異なる

アメリカ
各州 Recording Acts、一部州の Torrens Title System

米国の主流は権利登記ではなく証書(deed)の記録制度で、記録の有無が優先関係を決める。国家が登記簿を職権で創設する発想はなく、未記録不動産に対する執行は title search と lien 制度で処理される

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 亡くなった父の実家に、登記されていない納屋と後から建て増した部分が残っていたとしたら? 遺産分割協議書に「納屋は長男が取得」と書いても、登記簿に存在しない建物では第三者に対抗できない。相続登記の申請義務は知った日から3年以内(76条の2)で、その起算点はすでに動き出している。土地家屋調査士による表題登記、司法書士による保存登記の二段構えで、実務上は最低でも一か月かかる
  • 保証人になった知人の借金が焦げ付き、あなた名義の未登記の作業小屋に競売開始決定が出た。申請した覚えのない所有権保存登記が突然甲区に現れ、その真下に差押えが記録される。これは76条2項の職権登記であり、あなたの同意も押印も要らない。争うべき相手は登記官ではなく、差押えという執行手続そのものである
  • 新築マンションの引渡し当日。司法書士が渡した登記事項証明書の甲区一行目に「令和何年何月何日売買」と原因日付が入っている。同じ月に一戸建てを買った同僚の証明書には、その一行がない
  • 債権回収の担当者として、債務者の資産一覧に「未登記の倉庫」と書かれているのを見つけた。登記簿がないから回収不能だと諦める同僚の横で、あなたは76条2項と3項を知っている。嘱託まで持ち込めば、登記簿はその場で生まれる

取るべき行動

被害を受けた側:1. 権利証も登記事項証明書も出てこない建物があれば、市区町村の固定資産課税台帳(名寄帳)で家屋番号のない家屋を洗い出す2. 土地家屋調査士に建物表題登記を依頼し、完了後に司法書士へ所有権保存登記(74条1項1号)を回す3. 相続が絡むなら戸籍一式と遺産分割協議書を先に整える4. 新築なら所有権取得から1か月以内の表題登記義務(47条1項)を落とさない

訴えられた側:1. 申請した覚えのない自分名義の保存登記と差押えが登記簿に現れても、それ自体は76条2項の職権登記であり違法ではない2. 攻撃すべきは保存登記ではなく原因である執行手続(執行異議、執行抗告、請求異議の訴え) 3. その建物が本当に自分の所有か(他人が建てた増築部分、共有)を確認し、第三者の所有なら第三者異議の訴えを検討4. 競売開始決定の送達を受けたその日に弁護士へ、期間が短い

時効(請求できる期限):76条自体に期間の定めはない。関連する期限として、建物の表題登記は所有権取得から1か月以内(47条1項、怠ると10万円以下の過料、164条)、相続による所有権移転登記は自己のために相続の開始があったことを知りかつ所有権を取得したと知った日から3年以内(76条の2、令和6年4月1日施行)。執行抗告は裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間(民事執行法10条2項)。特定の時効はないが、権利関係の争いには一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が及ぶ

学説

通説:保存登記に登記原因を要しないのは、新築による原始取得のように原因を観念しにくい場面を含み、また保存登記が権利変動ではなく登記簿上の権利の始点を作る手続であるためと説明される。敷地権付き区分建物の例外は、土地持分の物権変動を公示する必要から正当化される。

通説(職権主義の位置づけ):76条2項・3項は、申請主義(16条)の例外として、執行の実効性確保のために登記官の職権発動を認めたものと理解される。職権保存登記は名義人の実体的所有権を確定する効力を持たず、争うべきは登記ではなく原因となる執行手続であるとされる。

改正沿革 AI による整理

  • 平成16年(2004年)不動産登記法全部改正 旧不動産登記法を全部改正して現行法が制定された際に置かれた規定。オンライン申請の導入と登記事項の整理に伴い、保存登記における登記原因の省略と職権保存の規律が現行の条文構成に整えられた。旧法下の対応条文との異同は人的検証を要する
  • 令和3年(2021年)改正(要検証) 相続登記の申請義務化に伴い第76条の2以下が新設されたが、第76条本体の文言に変更があったか否かは確認を要する

改正の年表

  1. 1.平成16年(2004年) 新設:明治32年以来の旧不動産登記法を全部改正し、平成16年法律第123号として現行法が制定された。オンライン申請の導入と登記事項の整理に伴い、保存登記における登記原因の省略、敷地権付き区分建物の例外、職権保存の規律が現行の三項構成に整理された。旧法下の対応条文との細部の異同は人的検証を要する。

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

不動産登記法の全文を見る所属する編章節を開く:第二款 所有権に関する登記

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›