要点不動産登記法 76 条は、所有権保存登記に登記原因と日付を記録しないと定める。ただし敷地権付き区分建物は例外で、未登記不動産に処分制限が嘱託されれば登記官が職権で保存登記をする。
Q · 登記していない建物でも、勝手に自分名義の登記がされることってあるんですか?
原因日付は載らないが、未登記でも職権で保存登記される
不動産登記法 76 条 1 項は、所有権の保存の登記に登記原因及びその日付を記録しないと定めます(59 条 3 号の適用除外)。例外は、敷地権付き区分建物について 74 条 2 項により保存登記をする場合だけで、このときは「何年何月何日売買」が記録されます。さらに 2 項は、所有権の登記がない不動産に差押えなど処分の制限の登記が嘱託されたとき、登記官が職権で所有権保存登記をしなければならないと定め、3 項は表題登記すらない不動産について 75 条を準用します。所有者の申請も押印もないまま、登記簿の一行目が生まれる仕組みです。
登記簿の甲区、その一行目に置かれるのが所有権保存の登記である。ところがこの一行だけは、他の登記と決定的に違う。売買や相続といった登記原因も、その日付も記録されない。76条1項が59条3号の適用を外しているからだ。新築の一戸建てを建てたあなたの登記簿には、いつどうやって手に入れたかが書かれない。だがただし書は、敷地権付きの区分建物だけを例外にする。分譲業者から買った買主が74条2項で自分名義の保存登記をするとき、そこには「何年何月何日売買」と原因日付が刻まれる。土地の持分である敷地権の移転も同時に公示しなければならないからだ。そして2項は、あなたが一度も申請していない不動産でも、裁判所からの嘱託があれば登記官が職権であなた名義の保存登記を作ると定める。未登記だから差し押さえられない、という理屈はここで折れる。
不動産登記法 76 条は、所有権の保存の登記の登記事項と職権発動を定める規定である。1 項は登記原因及びその日付の登記を不要とし、敷地権付き区分建物について 74 条 2 項により保存登記をする場合のみを例外とする。2 項及び 3 項は、所有権の登記又は表題登記がない不動産に処分の制限の登記が嘱託された場合に、登記官が職権で保存登記をすべきことを定める。
AI 輔助整理,以條文原文為準
登記簿の甲区に初めて所有者を記録する登記です。不動産登記法 74 条の申請適格者が申請し、76 条 1 項により登記原因と日付は原則として記録されません。
売却も抵当権設定も住宅ローンの借換えもできません。一方で差押えは止められず、76 条 2 項により登記官が職権で保存登記をしたうえで差押えが記録されます。
本人申請は可能です。ただし前提となる建物表題登記は土地家屋調査士の領域で、住所証明書や住宅用家屋証明書の取得も必要なため、実務では司法書士に委任するのが一般的です。
表題登記済みであることを前提に、申請人の住所証明書(住民票)、登録免許税の納付、軽減税率を使うなら市区町村発行の住宅用家屋証明書が必要です。相続なら戸籍一式も要ります。
相続自体はできますが、登記簿に存在しないため第三者に対抗できません(民法 177 条)。遺産分割協議の前に表題登記と保存登記を済ませておくと、協議書がそのまま登記申請に使えます。
専有部分と土地の利用権が分離処分できない形で一体化したマンションの住戸です。73 条により建物の登記が土地持分にも及ぶため、76 条 1 項ただし書で登記原因と日付が記録されます。
76 条 2 項に基づき、差押えなど処分の制限の登記が嘱託された未登記不動産について、登記官が申請を待たずに所有権保存登記をする扱いです。名義人の同意も押印も不要です。
76 条自体に期限の定めはありません。ただし前提の建物表題登記は所有権取得から 1 か月以内が義務で(47 条 1 項)、怠ると 10 万円以下の過料の対象になります(164 条)。
76条1項の本文が保存登記の登記原因と日付を不要としつつ、ただし書が敷地権付き区分建物について74条2項で保存登記する場合だけを例外にしているためだ。区分建物の所有権の登記は敷地権についてもされた登記としての効力を持つ(73条1項)ので、土地持分の移転原因を公示する必要がある。業界裏話ヒント:中古マンションの売買では、買主側の仲介業者は先に登記簿を取っている。売主が何年保有したかを相手だけが知っている状態で交渉が始まる
逆である。76条2項により、所有権の登記がない不動産に処分の制限の登記が嘱託されると、登記官は職権で所有権保存登記をしなければならない。表題登記すらない場合も3項が75条を準用し、不動産の表示まで職権で登記される。業界裏話ヒント:未登記のままだと売却も担保設定も住宅ローンの借換えもできない一方、差押えだけは止められない。守れるものが何もない状態を、費用を惜しんで維持していることになる
建物の表題登記は所有権取得から1か月以内が義務で(47条1項)、怠れば10万円以下の過料の対象になる(164条)。その上に74条の保存登記をして初めて甲区が生まれ、抵当権設定も売却も可能になる。業界裏話ヒント:実際に過料が科される例は多くない。だからこそ問題になるのは、住宅ローンを使わずに現金で建てた小屋や増築部分だ。銀行が登記を強制しない分だけ未登記が残り、数十年後の相続で親族間の火種になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 76 条:保存登記の登記事項と登記官の職権発動 | — |
| 登記原因と日付 | 原則として記録しない。敷地権付き区分建物を 74 条 2 項で保存する場合のみ記録する | — |
| 申請人の要否 | 2 項・3 項は職権登記のため申請人・押印とも不要 | — |
| 発動の引き金 | 所有権の登記または表題登記がない不動産への処分の制限の登記の嘱託 | — |
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