要点不動産登記法 98 条は、信託の登記を所有権移転等の登記と同時に申請すべきものと定める。信託の登記自体は受託者が単独で申請でき、自己信託による権利の変更の登記も同様である。
Q · 家族信託で不動産を預けるとき、信託の登記はいつ出せばいいの?
同時申請が必須。信託の登記だけ後日追加はできません
不動産登記法 98 条 1 項により、信託の登記は所有権移転など当該信託に係る権利の登記と同時に申請しなければなりません。信託の登記だけを後日追加する申請は受理されず、やり直す場合は権利変動の登記から組み直すことになります。一方 2 項は信託の登記を受託者の単独申請と定め、3 項は自己信託(信託法 3 条 3 号)による権利の変更の登記も受託者が単独で申請できるとしています。ただし同時に出す所有権移転登記は共同申請が原則(同法 60 条)である点に注意が必要です。
親から相続した収益ビルを信託銀行に預ける、あるいは自分の会社の株式ではなく不動産を家族信託に組み入れる。その手続きの最後に立ちはだかるのが不動産登記法 98 条だ。ここには一般人がほぼ知らない鉄則が書かれている。信託の登記は、所有権移転などの登記と「同時に」申請しなければならない。後から思い出して「じゃあ信託の登記も追加で」とはできない。同時申請という一文が意味するのは、信託契約書を作った日ではなく、法務局の窓口に書類を出す一瞬に、すべてが揃っていなければならないということだ。一方で 2 項は救いでもある。信託の登記だけは受託者が単独で申請できる。通常の不動産登記は登記権利者と登記義務者の共同申請が原則(同法 60 条)だが、信託の登記はその例外に位置づけられている。認知症で判断能力を失った親(委託者)の協力を待たなくても、受託者一人で信託の登記部分は動かせる。この非対称を知っているかどうかで、家族信託の実務スピードが変わる。
不動産登記法 98 条は、信託の登記の申請手続を定める規定である。1 項は信託の登記を権利の保存・設定・移転・変更の登記と同時に申請すべきものとし、2 項は信託の登記を受託者の単独申請とする。3 項は信託法 3 条 3 号の方法による信託(自己信託)に基づく権利の変更の登記も受託者の単独申請と定め、共同申請の原則(同法 60 条)の例外を構成する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
その不動産が受託者の固有財産ではなく信託財産であることを登記簿上で公示する登記です。信託目録が作成され、信託の目的や受益者などが記録されます。
委託者・受託者・受益者に関する事項、信託の目的、信託財産の管理方法、信託終了の事由その他の信託の条項などが記録されます(同法 97 条、不動産登記規則 176 条)。
登記簿上は受託者個人の財産にしか見えません。信託の登記は信託財産であることの第三者対抗要件(信託法 14 条)であり、これを欠くと受託者の債権者に対して信託財産の独立性を主張しづらくなります。
所有権移転など権利変動の登記を申請するのと同じ時に申請します。98 条 1 項が同時申請を要求しているため、実質的には権利変動の登記を出す日が唯一の機会になります。
受益者は受託者に代位して信託の登記を申請することができます(同法 99 条)。受託者が登記を怠っている場面で受益者側から動かすための手当てです。
必要です。受託者の変更は信託目録の記録事項の変更にあたるため、信託の変更の登記の手続(同法 100 条)によって登記記録を現状に合わせます。
信託財産に属する不動産の権利が移転する登記と、信託の登記の抹消を同時に申請します(同法 104 条)。入口の 98 条と出口の 104 条が対になる構造です。
一般に信託契約書(登記原因証明情報)、信託目録に記録する情報、委託者の登記識別情報と印鑑証明書、受託者の住所証明情報などが必要です。具体的な組合せは事案ごとに司法書士へ確認してください。
できません。本条 1 項が同時申請を明文で要求しており、信託の登記のみを後日追加する申請は受理されません。やり直すなら権利変動の登記から組み直すことになります。業界裏話ヒント:司法書士が家族信託の見積もりで登記費用を高めに出すのは、この同時申請のやり直しリスクを織り込んでいるからです。安さで選んだ結果、一度で通らず二度手間になるケースが実務で起きている
違います。単独申請できるのは信託の登記の部分だけで、同時に出す所有権移転登記は共同申請が原則(同法 60 条)です。委託者側の登記識別情報と印鑑証明書は依然として必要になります。業界裏話ヒント:2 項の単独申請を「全部一人でできる」と誤読して書類準備を怠り、申請直前に委託者の意思確認が取れなくなって頓挫する事例が、認知症案件で繰り返されている
3 項が答えです。信託法 3 条 3 号の方法(信託宣言、いわゆる自己信託)による権利の変更の登記は、受託者が単独で申請できます。同一人物の中で財産の性質が変わるだけなので、共同申請の相手方が構造上存在しないためです。業界裏話ヒント:自己信託は公正証書等によらなければ効力が生じない(信託法 4 条 3 項)ため、登記の前段階で公証人が関与します。この順序を飛ばすと登記以前に信託自体が成立していないことになる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 申請人の構造 | 98 条:信託の登記は受託者の単独申請、自己信託による権利の変更の登記も単独申請 | — |
| タイミングの要件 | 98 条 1 項:権利の保存・設定・移転・変更の登記と同時に申請 | — |
| 登記記録への効果 | 信託目録が作成され、信託財産であることが公示される(97 条・規則 176 条) | — |
| 怠った場合のリスク | 信託の登記を欠くと信託財産の第三者対抗力(信託法 14 条)を欠く | — |
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