要点商法 18 条の 2 は、譲渡人が債権者を害すると知って営業を譲渡した場合、残存債権者が譲受人へ承継財産の価額を限度に債務の履行を直接請求できると定める。譲受人が善意なら免責される。
Q · 取引先が事業を別会社に移して資産を空にしました。借金は回収できなくなるの?
譲受人が害意を知っていれば承継財産の価額まで直接請求できる
商法 18 条の 2 第 1 項により、譲渡人が残存債権者を害すると知って営業を譲渡し、譲受人もそれを譲渡の効力発生時に知っていた場合、残存債権者は譲受人に対し、承継した財産の価額を限度として債務の履行を直接請求できます。民法 424 条の詐害行為取消訴訟は不要です。ただし譲受人が善意なら第 1 項但書で免責され、害意を知って 2 年・効力発生から 10 年で責任は消滅し、譲渡人の破産手続開始決定後は直接請求権を行使できません(第 3 項)。
取引先に 800 万円を貸していた。ある日その会社が「営業を別会社に譲渡しました」と通知してくる。気付けば工場も在庫も顧客リストも従業員も、ぜんぶ新しい会社に移っていて、あなたの債務者は空っぽの抜け殻。借金だけが置き去りにされた側に残された。2014 年までは、この「逃げ得」を止めるには民法 424 条の詐害行為取消権で裁判を起こすしかなく、立証も手続も重かった。商法 18 条の 2 はその構図を変える。譲渡人が「残存債権者を害すると知りながら」営業を譲渡したなら、あなたは譲り受けた側に対して、承継した財産の価額を上限として直接、債務の履行を請求できる。裁判で譲渡を取り消す必要はない。受け皿会社へ、あなたの請求書を直接突きつけられる。ただし、相手の破産が始まる前に動けるかどうかで、この武器は使えたり消えたりする。
商法 18 条の 2 は詐害営業譲渡に対する残存債権者保護を定める規定である。譲渡人が残存債権者を害することを知って営業を譲渡した場合、残存債権者は譲受人に対し承継財産の価額を限度に当該債務の履行を請求でき、民法 424 条の詐害行為取消権によらず譲受人へ直接請求できる特則として機能する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
債務者が残存債権者を害すると知りながら、資産を伴う営業を別の器へ譲渡し、債務だけ抜け殻に残す行為です。商法 18 条の 2 が対抗手段を定めます。
譲受人が害意を知っていれば、承継した財産の価額を限度に譲受人へ直接、債務の履行を請求できます。裁判で譲渡を取り消す必要はありません。
譲渡人の害意を知った時から 2 年以内に請求または請求の予告が必要です。営業譲渡の効力発生日から 10 年でも消滅します(第 2 項)。
規律の中身はほぼ同一の双子規定です。会社法 23 条の 2 は会社の事業譲渡、商法 18 条の 2 は個人商人を含む商法上の営業譲渡に適用されます。
譲受人が営業譲渡で実際に引き受けた積極財産の価額です。これが直接請求できる責任の上限となり、これを超える額は請求できません。
負いません。第 1 項但書により、営業譲渡の効力が生じた時に残存債権者を害することを知らなかった譲受人は免責されます。
できません。第 3 項により、譲渡人について破産手続開始決定または再生手続開始決定があると直接請求権を行使できず、否認権ルートに移ります。
適用されます。商法上の商人(個人商人を含む)の営業譲渡が対象で、のれん込みの居抜き譲渡なども射程に入ります。
回収の道はあります。譲受人が『あなたを害すると知って』譲渡を受けたなら、商法 18 条の 2 第 1 項により承継した財産の価額を限度に、新会社へ直接請求できます。裁判で譲渡を取り消す必要はありません。業界裏話ヒント:受け皿会社の役員に旧会社の親族や元役員が並ぶ、譲渡対価が不当に安い、譲渡直後に旧会社が清算へ動く、この三点が揃うと害意の認定がぐっと近づく。まず登記簿と決算書の取り寄せが一手目
あり得ます。譲渡人が債権者を害する意図で営業を譲渡し、あなたがそれを譲渡の効力発生時に知っていた場合、承継した財産の価額を上限に、引き受けていない債務の履行を請求されます(商法 18 条の 2 第 1 項)。ただし知らなかったなら但書で免責。業界裏話ヒント:買う側の防御は『知らなかった』と『相当対価を払った』の二枚。デューデリで売主の債権者状況を確認し、対価の妥当性を第三者評価で残しておくと、後で害意の認識を否定する決定的材料になる
民法 424 条は一般法で、裁判により譲渡行為そのものを取り消す重い手続です。商法 18 条の 2 は取消し不要で、譲受人へ直接、承継財産の価額まで請求できる特則。迅速性では 18 条の 2 が有利な場面が多い。業界裏話ヒント:両者は排他的ではなく事案により選択・併用できる。ただし債務者に破産手続が始まると 18 条の 2 第 3 項で直接請求は封じられ、否認権(破産法 160 条)に一本化される。破産が近いかどうかで、使う武器を切り替えるのが実務の勘所
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|---|---|---|
| 保護の発動要件 | 商法 18 条の 2:譲渡人の害意 + 譲受人の悪意(効力発生時) | — |
| 権利行使の方法 | 譲受人へ直接、債務の履行を請求(取消し不要) | — |
| 責任の範囲 | 承継した財産の価額を限度 | — |
| 期間・破産時の制限 | 害意を知って 2 年・効力発生から 10 年で消滅、破産開始後は行使不可(第 3 項) | — |
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