要点商法16条は、営業を譲渡した商人が、別段の合意がない限り、同一市町村と隣接市町村で譲渡日から20年間、同一営業を行えないと定める。特約でも禁止期間は最長30年までである。
Q · 店や事業を売ったら、契約書に書かなくても同じ商売ができなくなるんですか?
原則そうです。別段の合意がなければ20年は禁止されます
商法16条1項により、営業を譲渡した商人は当事者の別段の意思表示がない限り、同一市町村と隣接市町村の区域内で、譲渡日から20年間は同一の営業を行えません。契約書に競業禁止を書かなくても、法律が自動でこの義務をかけます。競業しない旨の特約を結んだ場合でも、その効力は最長30年です(2項)。さらに期間が経過しても、買い手の信用を害する不正競争の目的による同一営業は禁止されます(3項)。会社が事業を譲渡する場合は、ほぼ同内容の会社法21条が適用されます。
何十年も通った店を畳んで、近所のチェーンに売却した。手元には譲渡代金が入り、ひと区切りついた気分になる。ところが半年後、二駅隣で同じ味のラーメンを出す新店を準備していたら、買い手の弁護士から内容証明が届く。「商法16条違反だ」。あなたは契約書に競業しないなんて一言も書いていないと反論する。だが16条はこう定める。営業を譲渡した商人は、別段の合意がない限り、同じ市町村と隣接する市町村の中では、譲渡の日から20年間、同一の営業をしてはならない。契約に何も書かなくても、法律が自動で20年の足かせをはめる。あなたが売ったのは設備や客だけではない。その地域で同じ商売をしない自由まで、20年分まとめて引き渡していたのだ。逆にあなたが買い手なら、競業禁止条項を入れ忘れたと青ざめる必要はない。法律があらかじめ守ってくれている。
商法16条は営業譲渡人の競業避止義務を定める規定である。営業を譲渡した商人は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村および隣接する市町村の区域内において、譲渡日から20年間は同一の営業を行ってはならない。競業しない旨の特約は最長30年に限り効力を有し、期間が経過した後も不正競争の目的による同一の営業は禁止される。
AI 輔助整理,以條文原文為準
営業を譲渡した商人が、一定期間・一定地域で同じ商売をしてはならない法律上の義務です。商法16条が根拠で、契約に書かなくても別段の合意がない限り自動で適用されます。
原則は譲渡日から20年間です(商法16条1項)。当事者が競業しない旨の特約を結んだ場合でも、その効力は最長30年に制限されます(同2項)。
刑事罰はありませんが、譲受人は営業の差止めと損害賠償(民法709条)を請求できます。実務では民事保全法の仮処分で迅速に営業停止を求めるのが定石です。
同一市町村と、これに隣接する市町村の区域です。政令指定都市では区(または総合区)単位で判定されるため、地方の小さな市より範囲が狭くなります。
屋号や名義ではなく、業種・客層・商圏の重なりで実質的に判断されます。寿司屋を売って隣町で別名義の寿司屋を出せば、同一の営業として差止め対象になり得ます。
営業を譲渡した日が起算点です。20年や30年の期間はこの譲渡日から数えるため、契約上の譲渡日の特定が重要になります。
営業の同一性・地域・期間を確認したうえで、内容証明で違反を通告し、営業差止めの仮処分と損害賠償を準備します。本訴を待つと顧客が流出しきるため迅速な対応が必要です。
原則かかりません。株式譲渡では営業の主体(会社)が変わらないため、商法16条・会社法21条の競業避止義務は働かず、創業者を縛るには別途競業避止特約が必要です。
同一市町村と「隣接する市町村」の外であれば、原則1項の20年制限はかかりません(商法16条1項)。ただし隣接の判定は地図上の境界で見るので、思ったより広いエリアが対象になります。業界裏話ヒント:政令指定都市では「区」単位で判定されるため(同項括弧書き)、大都市なら隣の区はセーフでも、地方の小さな市なら隣町まで丸ごとアウトになる。同じ「隣接」でも、街の規模で実際の射程がまるで違う
止められます。16条1項は契約に書かなくても自動適用され、「別段の意思表示がない限り」20年間の競業禁止がデフォルトでかかります(商法16条1項)。書き忘れても法律が守ってくれる稀なケースです。業界裏話ヒント:逆に売り手側の弁護士は、この自動適用を外すために「本譲渡は商法16条の競業避止義務を排除する」と一文を入れてくる。買い手がこの一文を見落とすと、20年の保護を自分から手放すことになる。競業条項は「ある」より「どう書いてあるか」を読む
会社が事業を譲渡する場合は商法16条ではなく、ほぼ同内容の会社法21条が適用されます。20年・隣接市町村・30年特約・不正競争禁止の枠組みは同じです。業界裏話ヒント:ただし「株式譲渡」で会社ごと売る場合は、譲渡されるのは株式で営業の主体は変わらないため、この競業禁止は働きません。創業者を競業から縛りたい買い手は、株式譲渡でも別途、創業者個人と競業避止特約を結ぶのが実務の鉄則。スキーム次第で守りの厚さが変わる
言えます。16条3項は期間や地域に関係なく、「不正の競争の目的」での同一営業を禁じています(商法16条3項)。20年経過後でも、買い手の信用を害する目的なら差止め対象です。業界裏話ヒント:3項の不正競争目的は立証が難しく、単に同業を再開しただけでは足りない。紛らわしい屋号、買い手の元従業員の引き抜き、顧客への中傷など、害意を示す客観証拠の積み上げが要る。期間満了後の争いは、証拠を集めた側が勝つ
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 適用主体 | 商法16条:個人商人(自然人)の営業譲渡 | — |
| 禁止期間 | 原則20年、特約でも最長30年 | — |
| 発動の前提 | 別段の意思表示がなければ自動適用、地域は同一・隣接市町村 | — |
| 救済手段 | 差止め・損害賠償(民法709条)、3項は期間後も不正競争目的を禁止 | — |
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