航海中の船舶を譲渡したときは、その航海によって生ずる損益は、譲受人に帰属する。
要点商法688条は、航海中の船舶を譲渡すると、その航海で生ずる損益が買主(譲受人)に帰属すると定める。所有日数で日割りはされず、別段の定めで変更できる任意規定である。
Q · 航海中の船を買ったら、自分が買う前に始まった航海の赤字まで背負うの?
原則そうなる。ただし契約で変更できる
商法688条により、航海中の船舶を譲渡すると、その航海によって生ずる損益は譲受人(買主)に帰属します。航海開始時から引渡し前までに発生した損失も含まれ、所有期間で日割りはされません。利益だけ拾い損失を置いていくことはできず、その航海の運賃収入も海難損害もまとめて買主に移ります。ただしこれは任意規定なので、売買契約で「損益は引渡し時を基準に区切る」と明記すれば原則をひっくり返せます。航海中の船を買うなら、署名前にその航海が赤字を抱えていないか確認すべきです。
民法の世界では、果実は原則としてその時点の所有者のものだ。畑のリンゴは、収穫したときの地主のものになる。ところが船の世界は違う。航海の途中で船舶を売ったとき、その一航海で生まれる利益も損失も、まるごと買主(譲受人)へ移る。たとえ航海の大半が売主の所有期間中に進んでいたとしてもだ。商法688条はそう定める。なぜか。一つの航海を、途中で切り分けられない一個の経済単位として扱うからだ。運賃収入、燃料費、港費、海難による損害。これらを所有日数で日割り按分するのは現実的でない。だから法は「航海ごと」にまとめて買主へ寄せる。あなたが知っておくべきは、これが任意規定だという点。売買契約で別段の定めを置けば、ひっくり返せる。航海中の船を買うなら、その航海がすでに赤字を抱えていないか、契約書にサインする前に確かめる必要がある。
商法688条にいう「航海中の船舶の譲渡における損益帰属」とは、船舶を一航海の途中で譲渡した場合に、その航海によって生ずる損益を一括して譲受人に帰属させる規律をいう。民法89条の果実帰属の一般原則に対する特則であり、航海を分割不能な一個の経済単位として扱う。当事者の合意で変更しうる任意規定である。
航海中の船舶を譲渡したとき、その航海によって生ずる損益が買主(譲受人)に帰属すると定める規定です。一航海を分割不能な経済単位として扱う点が特徴です。
されません。商法688条は航海を単位とするため、買う前に始まった航海でも、その航海全体の損益が買主に帰属します。所有期間に応じた按分はしません。
任意規定です。売買契約で「損益は引渡し時を基準に区切る」「損益は売主に残す」などと定めれば、原則を変更できます。
損益の帰属としては買主に属しますが、運賃債権や保険金請求権を実際に取り立てるには、債権譲渡の対抗要件(民法467条の通知・承諾)が別途必要です。
登記と船舶国籍証書への記載です(商法687条)。688条の損益帰属とは別に、第三者対抗のために登記・証書記載を備える必要があります。
進行中の航海の運賃契約、燃料コスト、海難・保険状況を引渡し前に開示させ、赤字なら売買代金の減額材料にします。確認は署名前が鉄則です。
譲渡時点で進行している航海が対象です。その航海の開始時から終了までに生じた損益を一括して買主に寄せます。次の航海以降は当然に買主の損益です。
関係します。運用対象船が運用期間中に売買されると、その一航海の損益が誰に帰属するかで分配金が変わり、688条が基準価額の裏側で効いています。
原則そうです。商法688条は、航海中の船舶を譲渡すると「その航海によって生ずる損益」が買主に帰属すると定めます。航海開始時から引渡し前までに発生した損失も含まれ、所有期間で日割りされません。業界裏話ヒント:これは任意規定なので、売買契約で「損益は引渡し時を基準に区切る」と書けば回避できます。実務の売買契約書には損益調整条項が入っているのが普通で、その条項がない契約書を出してくる相手は、デフォルトが自分に有利だと分かっていてあえて触れていない可能性がある
できます。688条は任意規定(当事者の合意で変更できる規定)なので、契約に「進行中の航海の損益は売主に帰属する」と明記すれば原則が覆ります。当事者がどう配分しても自由です。業界裏話ヒント:損益を売主に残すなら、その分だけ船体価格を調整するのが筋。価格と損益帰属はセットで交渉するもので、片方だけ有利にしようとすると相手も気付く。プロは価格、損益、引渡時期を一体のパッケージとして交渉する
損益の帰属としては買主に属しますが、運賃債権や保険金請求権を実際に取り立てるには、債権譲渡の対抗要件(債務者への通知または承諾、民法467条)が別途必要です。業界裏話ヒント:688条で損益は自分のものと思い込んで通知を怠ると、荷主や保険会社が売主へ支払ってしまい、回収でもめる。船を引き継いだら、進行中の運賃契約や保険契約の相手方に、譲受人が新たな権利者だと通知する事務を即座に行う
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規律する対象 | 商法688条:航海中の船舶譲渡で生ずる損益の帰属 | — |
| 計算・帰属の単位 | 一航海をまるごと一単位とし買主へ一括帰属 | — |
| 規定の性質 | 任意規定(別段の定めで変更可) | — |
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