日本国憲法 第87条
クイックジャンプ
- 予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。
- 2.すべて予備費の支出については、内閣は、事後に国会の承諾を得なければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 日本国憲法第87条は、日本の日本国憲法に含まれる条文です。
- 日本国憲法第87条の条文原文は「予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基いて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出することができる。」で始まります。
- 日本国憲法第87条は第七章 財政に置かれています。
- 日本国憲法の公布日は昭和21年11月3日です。
- 日本国憲法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 日本国憲法第87条の前の条は日本国憲法第86条です。
- 日本国憲法第87条の次の条は日本国憲法第88条です。
- 日本国憲法第87条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
日本国憲法(昭和二十一年憲法)第87条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/321CONSTITUTION - 本サイト収録
日本国憲法(昭和二十一年憲法)第87条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/321CONSTITUTION/87
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点日本国憲法87条は、予見し難い予算の不足に備え、国会が議決した予備費を内閣が事後承諾を条件に事前審議なしで支出できると定める。承諾拒否でも支出は有効。
Q · 予備費って、内閣が国会の審議なしに使えるお金なんですか?
国会の事前審議なしで使えるが、事後承諾が要る
日本国憲法87条により、内閣は「予見し難い予算の不足」に充てるため、国会が議決した予備費の枠内で、事前審議を経ずに支出できます。これは事前議決を原則とする財政民主主義(83条・85条)の例外です。ただし内閣は支出後に国会の承諾を得る義務を負います(87条2項)。重要なのは、承諾が拒否されても既に行われた支出の効力は失われず、残るのは内閣の政治的責任のみという点です。コロナ禍では予備費が10兆円規模まで拡大しました。
解説
2020年のコロナ禍で、政府は10兆円規模の予備費を組んだ。この巨額の財布の根拠が、憲法87条である。通常、国の支出は事前に国会が予算を審議して決める(85条、86条)。だが「予見し難い予算の不足」に備えるため、87条は例外を認める。内閣は、国会があらかじめ枠だけ議決した予備費を、自らの責任で、事前審議なしに支出できる。あなたが知っておくべき核心はここだ。国会の関与は「事後の承諾」だけ。しかも事後に国会が承諾を拒んでも、すでに使われた支出は無効にならない。残るのは内閣の政治的責任のみで、お金は戻ってこない。つまり87条は、財政民主主義という原則に、内閣だけが通れる抜け穴を一つ用意した条文だ。その抜け穴の幅を決めるのは、毎年あなたが選ぶ国会である。
法的な位置づけ
日本国憲法87条は予備費に関する規定であり、予見し難い予算の不足に充てるため、国会の議決に基づいて予備費を設け、内閣の責任でこれを支出できる旨を定める。事前議決を原則とする財政民主主義に対する例外であり、内閣は支出後に国会の承諾を得る義務を負う。承諾の拒否は支出の効力に影響しない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.予備費の枠と計上額を予算書で確認 国の当初予算・補正予算の予算書で予備費がいくら計上されているかを確認する。憲法87条は上限を定めないため、この枠こそが事実上の歯止め。財務省の公表資料で金額を押さえる
- 2.支出の使途を閣議決定文書で追う 予備費の使用には閣議決定が必要(財政法35条)。閣議決定文書や各省庁の公表資料で具体的な使途を確認し、足りなければ情報公開法に基づき開示請求を行う
- 3.会計検査院の検査報告で指摘を確認 憲法90条に基づく会計検査院の決算検査報告で、予備費支出への指摘がないかを確認する。不適切な支出はここで明らかになることが多い
- 4.決算審査のタイミングで監視・追及する 予備費の事後承諾は決算とともに翌年度の国会で審議される。決算審査は当初予算審議より関心が薄く監視の空白が生まれるため、この時期に情報公開請求や地元議員への質問主意書依頼を集中させる
よくある質問 AI による整理
Q1予備費とは何ですか?
予見し難い予算の不足に充てるため、国会が枠だけ議決し、内閣が事前審議なしに支出できるお金です。憲法87条が根拠で、支出後に国会の承諾が必要です。
Q2予備費に上限はありますか?
憲法87条は金額の上限を定めていません。各年度の予算で国会が議決した枠が事実上の上限となり、その範囲内で内閣が支出します。コロナ禍では10兆円規模まで拡大しました。
Q3予備費は財政法の何条に定められていますか?
計上手続は財政法24条、管理・使用は35条(閣議決定が必要)、支出総調書の作成と国会承諾は36条が具体化しています。憲法87条を実務的に補う規定です。
Q4予備費と予算の違いは何ですか?
通常の予算は使途を事前に国会が審議して決めますが、予備費は使途を特定せず枠だけ議決し、不足が生じたとき内閣の判断で充当します。事前審議の有無が最大の違いです。
Q5予備費の使い道は誰が決めるのですか?
枠は国会が議決しますが、具体的な使途は内閣が閣議決定で決めます。「予見し難い」かどうかの判断も内閣に委ねられており、裁量が大きい点が論点です。
Q6予備費の国会承諾はいつ行われますか?
内閣は支出後、財政法36条に基づき支出総調書を作成し、次の常会(通常国会)で承諾を求めるのが通例です。決算とともに翌年度に審議されます。
Q7コロナの予備費はいくら使われましたか?
2020年度の補正予算で予備費は累計10兆円規模まで積み増され、給付金や事業者支援などに充てられました。使途の多くが事後に判明したことが批判されました。
Q8予備費は憲法の何条に書いてありますか?
日本国憲法第87条です。1項が予備費の設置と内閣による支出、2項が事後の国会承諾義務を定めています。財政の章(83〜91条)に位置します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1予備費って、内閣が好きなだけ使えるんですか?
枠の上限は国会が予算で議決するので無制限ではありません。ただし、その枠内であれば内閣は事前審議なしに支出できます。手続として財政法35条で財務大臣が管理し、使用には閣議決定が必要です。実務のポイント:予備費の使用は閣議決定を経るため議事録が残り、情報公開請求で使途をたどれます。「内閣の一存で密かに使える」わけではなく、紙の足跡は必ず残る。そこを押さえれば監視できる
Q2国会が後から承諾しなかったら、お金は返ってくるんですか?
戻りません。事後承諾(87条2項)は支出の効力に影響せず、承諾が拒否されても内閣の政治的責任が問われるだけです。すでに支出された金は法的には有効なまま。実務のポイント:だからこそ事後承諾の審議は形骸化しがちです。本当の統制が効くのは、予備費の枠そのものを決める当初予算・補正予算の審議の段階。事後ではなく事前に注目するのが効く
Q3コロナの10兆円予備費って、憲法的に問題なかったんですか?
87条は予備費の上限額を定めていないため、ただちに違憲とまでは言えません。ただし財政民主主義(83条)の趣旨から「白紙委任に近い」と強く批判されました。実務のポイント:巨額予備費の合憲性は学説でも評価が分かれており、実務上、解釈が分かれている論点です。違憲とは断定できないが、国会の事前統制を薄める点で問題含み、という両論を押さえておくと議論で足をすくわれない
間違えやすい点 AI による整理
- 「国の支出はすべて国会が事前に審議して決める」と思われているが、予備費は例外。内閣は事前審議なしに支出でき、国会の出番は使った後の承諾だけだ
- 予備費に国会の事後承諾が要ること自体は知られているが、その承諾が拒否されても支出は有効なまま、という深刻さはほとんど知られていない。事後承諾は支出の効力を左右しない、内閣の政治責任を問うだけの儀式に近い
- 「予備費は災害など本当の緊急時だけ」と考えがちだが、問いの立て方が違う。憲法は「予見し難い予算の不足」としか書いておらず、何が予見し難いかを判断するのは内閣自身。緊急性の線引きそのものが政権の裁量に委ねられている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 国会の関与のタイミング | 87条:枠は事前議決、使途は事後承諾(事前審議なし) | 85条:国費支出は国会の事前議決が必要 86条:予算は内閣が作成し国会の事前審議・議決を受ける |
| 使途の特定 | 87条:使途を特定せず枠だけ議決、内閣が後で充当先を決定 | 85条:個別の支出が議決の対象 86条:費目ごとに使途を特定して審議 |
| 承諾拒否の効果 | 87条:拒否されても支出は有効、内閣の政治責任のみ | 85条:議決なき支出は許されない 86条:議決なき予算執行はできない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は憲法ではなく予算法レベルで予備金を規律。第一・第二予備金に分け、立法院の事後報告を求める点で日本の事後承諾と類似。
韓国は憲法上に予備費(예비비)を明記し、国会の事前議決と次年度国会の事後承認を要求。日本とほぼ同型の事前枠+事後承認構造。
ドイツは予備費という包括枠ではなく、予算超過・予算外支出を財務相の事前同意にかからしめる方式。緊急時にも個別統制を残す点で日本より事前統制が厚い。
米国は議会の事前歳出授権を厳格な原則とし、予備費型の包括的裁量支出は限定的。緊急時は補正・緊急歳出立法で対応するのが基本。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし大地震が起きて、政府が翌日には「予備費から復旧費を出す」と発表したら? その初動の速さの裏には87条がある。国会を開いて予算を通す数週間を待たずに金を動かせるのは、この条文が事前審議を免除しているからだ
- あなたが確定申告で納めた税金。その一部が、あなたの知らないうちに国会の事前審議を経ず、内閣の判断だけで支出されている。コロナ予備費10兆円のときも、使途の多くは後から明らかになった
- あなたが自治体や事業者として国の支援金を申請する。財源が予備費なら、支給判断は通常より速い。事前審議がない分、機動的に動けるからだ。
- 国会の決算審査まであと数週間。予備費の使途に疑問を持つあなたが情報公開請求を出すなら、今が分水嶺。検査報告と審査のタイミングを逃すと、追及の熱は急速に冷める
取るべき行動
被害を受けた側:1. 予備費の使途を知りたいなら、まず財務省や各省庁の公表資料と閣議決定文書を確認、足りなければ情報公開法に基づき開示請求2. 会計検査院の決算検査報告(憲法90条)で予備費支出への指摘がないか確認3. 国会の決算審査の議事録を追い、与野党の追及内容を把握4. 納得できなければ、地元選出の国会議員に質問主意書の提出を依頼する経路もある
訴えられた側:1. 予備費を支出する立場なら、財政法35条に従い財務大臣の管理下で閣議決定を経ること、手続を飛ばせば後の決算審査で致命的になる2.「予見し難い予算の不足」(87条1項)の要件を満たす根拠を文書で残す3. 財政法36条に基づき支出総調書を作成し、事後に国会の承諾を求める4. 承諾が得られなくても支出は有効だが、政治責任は残る。説明可能性を最優先に記録を整える
時効(請求できる期限):予備費の支出について内閣は「事後に」国会の承諾を得る義務がある(87条2項)。実務上は支出総調書を作成し、次の常会(通常国会)に提出して承諾を求める(財政法36条)。承諾を得る明確な期限の定めはないが、決算とともに翌年度の国会で審議されるのが通例
学説
通説:憲法87条は予備費の金額に上限を定めていないため、巨額予備費がただちに違憲とまではいえない。もっとも財政民主主義(83条)の趣旨から、白紙委任に近い過大な予備費は国会の事前統制を実質的に空洞化させるとして強く批判され、評価は学説上分かれている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和21年(1946年) 新設:日本国憲法の制定により財政の章(83〜91条)の一部として87条を新設。明治憲法下の予算・予備費制度を継承しつつ、事前議決原則を強化した上で予備費を例外として明文化。以後、改正なし。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める