日本国憲法 第88条
クイックジャンプ
すべて皇室財産は、国に属する。すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 日本国憲法第88条は、日本の日本国憲法に含まれる条文です。
- 日本国憲法第88条の条文原文は「すべて皇室財産は、国に属する。」で始まります。
- 日本国憲法第88条は第七章 財政に置かれています。
- 日本国憲法の公布日は昭和21年11月3日です。
- 日本国憲法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 日本国憲法第88条の前の条は日本国憲法第87条です。
- 日本国憲法第88条の次の条は日本国憲法第89条です。
- 日本国憲法第88条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
日本国憲法(昭和二十一年憲法)第88条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/321CONSTITUTION - 本サイト収録
日本国憲法(昭和二十一年憲法)第88条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/321CONSTITUTION/88
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点日本国憲法88条は、すべての皇室財産を国に帰属させ、皇室の費用を予算に計上して国会の議決を経ると定める。皇室財政を国民の代表機関の統制下に置く規定である。
Q · 天皇陛下の生活費って、国会が決めてるんですか?
はい。皇室の費用は全額が予算に計上され、国会の議決で決まります。
日本国憲法88条後段は「すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない」と定めます。天皇の生活費も宮中行事の費用も、すべて国の予算に組み込まれ、国会が議決します。費用は皇室経済法により内廷費・宮廷費・皇族費の三つに区分されます。さらに前段で皇室財産はすべて国に属するとされ、明治憲法下の皇室独立財産は否定されました。皇室財政は神聖な例外ではなく、主権者である国民の財政統制に服する対象です。
解説
戦前、天皇家は国民の手の届かない金庫を持っていた。御料地と呼ばれる広大な土地や山林、巨額の財産が皇室の名義で独立して管理され、その費用は国会の審議を一切経ずに支出されていた。今は違う。日本国憲法88条は、皇室財産をすべて国の所有とし、皇室の費用はすべて予算に計上して国会の議決を経なければならないと定める。つまり、天皇陛下の生活費も、宮中行事の費用も、女性皇族が結婚で皇室を離れるときの一時金も、あなたが納めた税金から出て、あなたが選んだ国会議員の議決で決まる。皇室は国家の象徴として別格の存在に見えるが、お金の流れだけを見れば、その財布の紐を握っているのは主権者である国民の代表機関だ。この一点に、戦前と戦後で主権が誰に移ったかが凝縮されている。
法的な位置づけ
日本国憲法88条は皇室財政の国家統制を定める規定である。前段はすべての皇室財産を国の所有とし、後段はすべての皇室の費用を予算に計上して国会の議決に服させる。明治憲法下の皇室独立財産制を否定し、財政民主主義を皇室にも例外なく貫徹させる構造を採る点に本条の核心がある。
よくある質問 AI による整理
Q1内廷費と宮廷費の違いは何ですか?
内廷費は天皇・内廷皇族の日常費用で御手元金として私的に扱われ細目は非公開。宮廷費は即位儀礼や外国賓客接遇など公的活動の費用で宮内庁が経理し、より透明性が高いのが違いです。
Q2皇族費とは何ですか?
皇族としての品位保持のために各宮家へ支出される費用です。皇室経済法が定額の算出基準を定め、予算に計上して国会の議決を経ます。88条の財政統制の枠内にあります。
Q3女性皇族の結婚一時金は税金から出るのですか?
出ます。皇室を離れる際の一時金も皇族費として予算に計上され国会の議決を経ます。原資が国民の税金であるため、辞退するかどうかが報道で論点になります。
Q4御料地とは何だったのですか?
戦前に皇室名義で独立管理された広大な土地・山林・財産の総称です。日本国憲法88条前段により、これらは原則すべて国の所有に移り、皇室独立財産は否定されました。
Q5皇室経済法とはどんな法律ですか?
憲法88条・8条を受け、内廷費・宮廷費・皇族費の区分や算出基準、皇室への財産授受の手続を具体化する実施法です。皇室財政の実務はこの法律で運用されます。
Q6明治憲法では皇室財政はどう違ったのですか?
明治憲法下は皇室自律主義がとられ、皇室財政は帝国議会の統制の外にありました。日本国憲法88条はこの構造を廃し、皇室費用を国会の議決下に置きました。
Q7皇室への寄付や贈与は誰が決めるのですか?
88条と8条により、皇室が財産を譲り受けたり賜与したりするには原則として国会の議決が必要です。天皇や皇族の一存では決められません。
Q8御手元金とは何ですか?
内廷費として支出され、天皇・内廷皇族の私的なお金として扱われる費用です。宮内庁の経理に組み込まれず、使途の細目までは公開されない点が特徴です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1皇室の生活費って、結局は私たちの税金から出てるんですか?
そのとおり。88条が「すべて皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない」と定めており、皇室の費用は国の予算、つまり税金から支出される。費用は皇室経済法によって内廷費、宮廷費、皇族費の三つに区分され、それぞれ予算として国会で審議・議決される。実務のポイント:内廷費(天皇と内廷にある皇族の日常費用)は『御手元金』として私的なお金の扱いになり、宮内庁の経理に組み込まれず、使い道の細目までは公開されない。同じ税金でも、宮廷費(公的行事費)と内廷費では透明性のレベルが違う。皇室予算を語るなら、この区分の違いをまず押さえる
Q2天皇陛下には、個人の財産は一切ないということですか?
原則として、皇室財産はすべて国に属する(88条前段)ので、戦前のような皇室独立の巨大財産は存在しない。ただし純然たる私物(御手元金から購入した日用品など)まで否定する趣旨ではなく、皇室への財産の譲渡・賜与は8条により国会の議決を要する。実務のポイント:相続の場面が分かりやすい。天皇が崩御して皇位を継承する際、由緒物(三種の神器など皇位とともに伝わる物)は相続税が非課税とされる一方、純粋な私的財産には相続税がかかる。皇室にも相続税の問題が現実に存在することは、意外と知られていない
間違えやすい点 AI による整理
- 「皇室は別格の存在だから、財政も国の予算とは切り離されている」と思っている人が多いが、実は逆。皇室の費用は一円残らず国の予算に計上され、国会の議決を経る。皇室財政は国民の財政統制の例外ではなく、むしろその統制下にあることを明示した条文がこれである
- 「皇室財産は天皇個人の私有財産だ」という思い込みは根強いが、原則としてすべての皇室財産は国に属する。天皇や皇族が自由に処分できる固有財産ではない。明治憲法下の皇室自律主義を、日本国憲法は意図的に廃止した
- 国民の視点では「皇室の予算は神聖でアンタッチャブル」と映りがちだが、憲法の視点では『国費の一部であり、国会のコントロールに服する対象』である。この落差を理解していないと、皇室予算をめぐる議論の本質を見誤る。問題は金額の多寡ではなく、誰がそれを決める権限を持つかにある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 88条:皇室財産と皇室の費用 | 83条:国の財政処理全般 85条:国費の支出・国の債務負担 |
| 統制の方法 | 財産の国有化 + 費用の予算計上・国会議決 | 財政処理の国会議決主義(財政民主主義の総則) 国費支出・債務負担への国会議決 |
| 位置づけ | 特別扱いされがちな皇室にも例外なく財政民主主義を適用 | 財政の章(83条以下)の出発点となる原則 支出面における財政民主主義の具体化 |
他国ではどう定めているか 4 か国
君主制を採らないため皇室財政の直接の対応物はないが、予算案・決算を立法院の議決に服させる点で国費の立法統制という思想を共有する。
共和制で皇室は存在しないが、国会が国家予算を審議・確定する権限を持ち、国家財政全般が国民代表機関の統制に服する。
共和制で君主財政は存在しない。連邦の歳入歳出は予算法律により議会の統制に服し、財政の議会優位が貫かれる。
共和制。国庫からの支出は法律の定める歳出予算によらねばならず、議会が『財布の権限』を握る点で財政民主主義の思想を共有する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- ニュースで「皇室費が前年比で増えた」と報じられたとき、なぜ増えたのか、誰が決めたのか気になったことはないか。答えは88条にある。皇室の費用は予算に組み込まれ、国会の予算審議で議決される。あなたは納税者として、その内訳を見る権利を持っている
- もし、皇室財産の一部を特定の団体に贈与する話が持ち上がったら、それは天皇の一存で決まるのか。決まらない。88条と8条により、皇室への財産の出入りは国会の議決を要する。皇室財政は『国民のチェックを通る』という前提で動く
- 歴史の授業で明治憲法を学ぶ高校生。旧体制では皇室財政は議会の外にあり、軍部の暴走を支えた一因にもなった。日本国憲法はその構造を88条で根こそぎ変えた。たった二文の条文が、国家のかたちを書き換えた証拠だ
学説
通説:88条は財政民主主義(83条)を皇室財政に貫徹させた規定と解される。前段の財産国有化により明治憲法の皇室自律主義を否定し、後段の予算計上・国会議決により皇室費用を国民の財政統制下に置く。8条と一体で皇室財政の例外を排する構造をなす。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和21年(1946年) 新設:日本国憲法の制定により新設。明治憲法下の皇室自律主義(皇室財政は帝国議会の統制外)を廃し、皇室財産の国有化と皇室費用の国会議決主義を確立した。
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める