職業安定法 第29条の3(名義貸しの禁止)
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特定地方公共団体は、自己の名義をもつて、他人に無料の職業紹介事業を行わせてはならない。
この条文の基本情報
名義貸しの禁止とは何ですか?
定義名義貸しの禁止とは、職業安定法第29条の3に定められた規定で、「特定地方公共団体は、自己の名義をもつて、他人に無料の職業紹介事業を行わせてはならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 職業安定法第29条の3(名義貸しの禁止)は、日本の職業安定法に含まれる条文です。
- 職業安定法第29条の3の条文原文は「特定地方公共団体は、自己の名義をもつて、他人に無料の職業紹介事業を行わせてはならない。」で始まります。
- 職業安定法第29条の3は第二章の二 地方公共団体の行う職業紹介に置かれています。
- 職業安定法の公布日は昭和22年11月30日です。
- 職業安定法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 職業安定法第29条の3の前の条は職業安定法第29条の2です。
- 職業安定法第29条の3の次の条は職業安定法第29条の4です。
- 職業安定法第29条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第29条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141 - 本サイト収録
職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)第29条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000141/29_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点職業安定法29条の3は、特定地方公共団体が自己の名義を他人に貸し、無料の職業紹介事業を行わせることを禁止する。窓口業務の委託自体は直ちに違法とはならない。
Q · 市の無料職業紹介所を民間業者が運営していたら、違法なの?
委託は可能だが、看板だけ貸して丸投げすると違法になりうる
職業安定法29条の3は、特定地方公共団体が自己の名義で他人に無料の職業紹介事業を行わせることを禁じています。自治体が事業主体として指揮監督し、紹介の判断と責任を保持したまま窓口業務の一部を委託するのは適法となりうる一方、事業の実質を民間が握り自治体が名義だけを貸す状態は本条違反と評価されます。名義を借りた業者側も、無許可の職業紹介事業(30条・33条)として責任を問われるおそれがあります。
解説
市役所のロゴが入った「しごとセンター」で面談を受け、紹介状をもらう。多くの人は、それを市そのものが責任を持つ紹介だと信じる。法律もその信頼を前提にしている。2016年の改正で、地方公共団体は国(ハローワーク)とは別に、届出なしで無料の職業紹介を行えるようになった。職業紹介を自ら行う自治体を、法律は「特定地方公共団体」と呼ぶ。29条の3は、この特定地方公共団体が自分の名義を他人に貸し、その他人に無料の職業紹介事業をさせることを禁じている。ここで押さえるべきなのは、「委託」と「名義貸し」は別物だという点だ。自治体が事業の主体として運営を指揮し、窓口業務の一部を民間に委託するのは適法な場合がある。違法になるのは、事業の実質を民間が握り、自治体は看板だけを貸している状態である。あなたが窓口で受け取る「市の紹介」が本物かどうかは、誰が求人を選び、誰があなたの個人情報を管理し、トラブルのとき誰が責任を負うかで決まる。看板の名前だけでは判断できない。
法的な位置づけ
職業安定法29条の3は、職業紹介を行う地方公共団体である特定地方公共団体について、名義貸しを禁止する規定である。特定地方公共団体が自己の名義を他人に使用させ、その他人に無料の職業紹介事業を実質的に営ませることを禁じ、公的名義と事業主体の一致を確保することで、求職者が公的機関の名義に寄せる信頼と責任の所在を保護する。
手順
- 1.委託の業務範囲を洗い出す 求人の受理、求職者の受付、職業相談、紹介の可否判断、個人情報の管理の各業務について、自治体と受託業者のどちらが担うかを一覧表にする。
- 2.紹介判断と最終責任を自治体側に残す 紹介の可否判断と求人受理の最終決定、苦情対応の責任主体を自治体と明記し、受託業者の業務を窓口補助・事務作業に限定する条項に書き直す。
- 3.指揮監督の体制を整える 自治体職員による定期的な報告受領・業務確認の頻度と方法を定め、記録を残す。職員が一度も関与しない運営は名義貸しの疑いを招く。
- 4.個人情報の管理責任を明確にする 求職者の個人情報の管理者を自治体とし、受託業者による目的外利用・第三者提供を禁止する条項と監査の仕組みを設ける。
よくある質問 AI による整理
Q1特定地方公共団体とは何ですか?
職業安定法29条に基づき、無料の職業紹介を自ら行う都道府県・市町村のことです。国のハローワークとは別に、届出なしで職業紹介を行えます。
Q2自治体の職業紹介 名義貸しとは?
自治体が自分の名前だけを貸し、求人の受理や紹介判断など事業の実質を民間業者に行わせることです。職業安定法29条の3で禁止されています。
Q3自治体の職業紹介を民間に委託できる?
できる場合があります。自治体が事業主体として指揮監督し、紹介の判断と最終責任を保持したまま、窓口業務の一部を委託する形なら名義貸しとは評価されにくいです。
Q4自治体の無料職業紹介に届出は必要?
2016年の改正以降、地方公共団体は届出なしで無料の職業紹介を行えます。その分、名義の実質性が29条の3で担保される仕組みになっています。
Q5自治体の名義を借りた人材会社は違法?
紹介事業の実質を担っていれば、自社の職業紹介事業として厚生労働大臣の許可が必要と評価されえます。無許可なら罰則の対象になりうるため注意が必要です。
Q6市の就労支援窓口で個人情報は誰が管理する?
本来は事業主体である自治体が管理責任を負います。受託業者が独自に利用・提供していれば問題となるため、登録時に管理者を確認しておくと安全です。
Q7名義貸しが疑われる職業紹介所はどこに通報する?
都道府県労働局の需給調整事業担当部署へ情報提供できます。紹介先の労働条件の食い違いは、別途労働基準監督署にも相談できます。
Q8有料職業紹介の名義貸しとの違いは?
有料職業紹介事業者の名義貸しは32条の10が禁止し、本条は特定地方公共団体の名義貸しを禁止します。主体は違いますが、名義と実質の一致を求める趣旨は共通です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1市の職業紹介所って、窓口に市の職員がいないとダメなんですか?
職員が常駐していること自体は要件ではない。29条の3が問うのは、事業の主体が実質的に市かどうかである。窓口業務を委託しても、市が紹介事業を指揮し責任を負っていれば名義貸しとは評価されにくい。実務のポイント:判断の決め手になりやすいのは、求人を受理するか、誰を紹介するかの最終判断を誰がしているかである。委託契約書の業務範囲欄を見れば、外部からでもかなりの程度見当がつく
Q2市の紹介で入った会社がブラックだった。市に責任を取ってもらえますか?
紹介先の労働条件そのものの責任は原則として雇用主にある。ただし市が紹介事業の主体である以上、求人の受理や紹介の過程に違法な落ち度があれば、国家賠償法1条に基づく請求が問題になる余地はある。実務のポイント:実際に責任追及の入口になるのは、求人票と実際の条件が食い違っていた証拠である。紹介時の求人票を必ず手元に残しておくこと。後から市に提出を求めても、受託業者の管理下にあって出てこない場合がある
Q3うちは人材会社で、自治体から名前を使っていいと言われています。それなら許可なしでも大丈夫ですよね?
大丈夫ではない。自治体の名義を借りても、紹介事業の実質を貴社が担っていれば、貴社自身の職業紹介事業として厚生労働大臣の許可(30条、無料なら33条)が必要と評価されうる。無許可の職業紹介事業は罰則の対象になりうる(64条、最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:自治体側の担当者は職業安定法の細部に詳しくないことが多い。「自治体がいいと言った」は抗弁にならないので、受託前に自社の弁護士か社会保険労務士に契約スキームを見てもらうのが安い保険になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「民間に委託したら名義貸しになる」と身構える自治体職員がいるが、委託そのものが禁止されているわけではない。問題になるのは、事業の主体性、つまり紹介の判断と最終責任を自治体が手放しているかどうかである。窓口運営を委託しても、自治体が指揮監督し、紹介事業の責任主体であり続けるなら、名義貸しとは評価されにくい。ただし委託と名義貸しの境界は個別事情で判断され、実務上の線引きは一律ではない
- 求職者の側から見れば「市の名前が付いている=市が責任を持つ」だが、法律から見れば、責任は名義ではなく事業の実質で決まる。この落差に気付かないまま紹介先とトラブルになると、市は「運営は受託業者」と言い、業者は「市の事業」と言う。互いに押し付け合う間に、あなたの時間だけが溶けていく
- 名義貸しの禁止は自治体だけの話だと思われがちだが、看板を借りた側こそ深刻なリスクを抱える。自治体の名義があっても、自ら職業紹介事業を行っていると評価されれば、厚生労働大臣の許可(30条・33条)のない事業として罰則の射程に入りうる。貸した側の違反と借りた側の無許可営業は、別々に問われる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 29条の3:特定地方公共団体の名義貸しを禁止 | 29条:地方公共団体による無料職業紹介の根拠 32条の10:有料職業紹介事業者の名義貸しを禁止 |
| 事業開始の要件 | 名義と事業主体の一致が前提 | 届出不要で無料職業紹介を実施可能 厚生労働大臣の許可を得た事業者が対象 |
| 民間が関与する場合 | 自治体主体の委託は可、看板貸しは不可 | 自治体自身が紹介を行う主体となる 許可を受けた事業者自身が事業を行う必要 |
| 名義を借りた側のリスク | 無許可の職業紹介事業と評価されうる(33条・30条) | — 借りた側も無許可事業として問われうる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では公立就業服務機構が公的職業紹介を担い、私立就業服務機構には許可証の貸与禁止などの禁止行為が定められている。公的機関の名義貸しを直接禁ずる条文構造は日本と異なる
韓国は職業紹介事業者の名義貸しを明文で禁止しており、名義と事業主体の一致を求める点で日本と共通する
ドイツでは連邦雇用エージェンシーが公的職業紹介を担い、民間職業紹介は許可制を廃止済み。自治体名義の貸与という問題設定は日本ほど前面に出ない
米国は州の公的雇用サービスを連邦法で枠付けし、運営委託も広く行われる。名義貸しを個別に禁ずる日本型規定とは発想が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- ある町が移住促進の一環として「町の無料職業紹介所」を開設した。実際には地元の人材会社が求人の選別から面談まで全部を回しており、町の職員は一度も来ない。紹介された先で労働条件が求人票と違っていたとき、あなたは誰に責任を問えばいいのか? 名義貸しにあたる構造なら、責任の所在そのものが法の想定から外れている
- あなたは人材会社の営業担当だ。自治体から「うちの名前でやってもらって構わない、職員は出せないから」と打診され、許可を取らずに看板だけ借りて紹介業務を始めた。自治体の名義があっても、実質があなたの会社の事業なら、無許可の職業紹介として扱われる危険を負うのはあなたの会社である
- 市の就労支援窓口で登録した翌週から、見知らぬ派遣会社の営業電話が鳴りやまない。市に渡したはずの個人情報は、どこへ流れたのか
- 来年度予算の締切まであと2週間。担当課長は「委託契約で民間に丸ごと任せれば職員を割かずに済む」と考えている。仕様書に「求人開拓・職業相談・紹介判断のすべてを受託者が行う」と書いた瞬間、委託の皮をかぶった名義貸しに近づく。決裁前のいま、業務の線引きを書き直せるかが分かれ目になる
- UIJ ターンで地方に移住した友人が、自治体名義の紹介で入った会社を3か月で辞めた。「市の紹介だから安心だと思った」と言う。あなたは、その安心が法的にどこまで裏付けられていたのかを一緒に確認することになる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 紹介状、求人票、窓口でもらった案内文書、担当者の名刺をすべて保管する。名刺の所属が市か受託業者かは重要な証拠になる2. 自治体の担当課に、紹介事業の主体と委託の範囲を書面で照会する3. 個人情報の不正な流出が疑われる場合は、利用目的外の提供がなかったか、事業主体に開示と説明を求める4. 名義貸しが疑われる場合は、都道府県労働局(需給調整事業担当)へ情報提供する。紹介先との労働条件の食い違いは、別途労働基準監督署にも相談できる
訴えられた側:1. 自治体職員の立場なら、委託契約書と仕様書を見直し、紹介の判断と最終責任が自治体側に残っているかを確認する。丸投げ状態なら、指揮監督の体制を早急に整える2. 受託業者の立場なら、自社が独自に職業紹介事業を行っていると評価されない業務範囲か点検する。疑いがあれば、自社で許可を取得するか、業務範囲を窓口補助に絞る3. 是正の経緯を記録として残し、労働局の照会に説明できる状態にしておく
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。紹介に伴う損害の請求には、一般消滅時効(民法166条、知った時から5年、権利を行使できる時から10年)または不法行為の時効(民法724条、知った時から3年)が適用される。受託業者側が無許可の職業紹介事業として刑事責任を問われる場合、公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号、最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成28年(2016年) 新設:雇用保険法等の一部を改正する法律により、地方公共団体が届出なしで無料職業紹介を行える仕組み(特定地方公共団体)が整備され、あわせて名義貸しの禁止が規定された
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