児童福祉法 第33条の12
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- 被措置児童等虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを都道府県知事又は市町村長に通告しなければならない。
- 2.前項の規定による通告(以下この節において「一般通告」という。)は、児童委員を介して行うことができる。
- 3.被措置児童等虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、当該被措置児童等虐待を受けたと思われる児童が、児童虐待を受けたと思われる児童にも該当する場合において、一般通告をしたときは、児童虐待の防止等に関する法律第六条第一項の規定による通告(第三十三条の十四第一項及び第二項第三号において「児童虐待通告」という。)をすることを要しない。
- 4.被措置児童等は、被措置児童等虐待を受けたときは、その旨を都道府県知事又は市町村長に届け出ることができる。
- 5.刑法の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、一般通告(虚偽であるもの及び過失によるものを除く。次項において同じ。)をすることを妨げるものと解釈してはならない。
- 6.施設職員等は、一般通告をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを受けない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 児童福祉法第33条の12は、日本の児童福祉法に含まれる条文です。
- 児童福祉法第33条の12の条文原文は「被措置児童等虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを都道府県知事又は市町村長に通告しなければならない。」で始まります。
- 児童福祉法第33条の12は第七節 被措置児童等虐待の防止等に置かれています。
- 児童福祉法の公布日は昭和22年12月12日です。
- 児童福祉法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 児童福祉法第33条の12の前の条は児童福祉法第33条の11です。
- 児童福祉法第33条の12の次の条は児童福祉法第33条の13です。
- 児童福祉法第33条の12には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第33条の12 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000164 - 本サイト収録
児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第33条の12(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/322AC0000000164/33_12
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点児童福祉法33条の12は、施設や里親のもとの児童への虐待を発見した者に都道府県知事又は市町村長への通告を義務付け、通告した施設職員の解雇等を禁じる。
Q · 児童養護施設や里親家庭で子どもへの虐待に気付いたら、どこに言えばいいの?
都道府県知事か市町村長へ直接通告。施設長経由は不要
児童福祉法33条の12第1項により、被措置児童等虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに都道府県知事又は市町村長に通告しなければなりません。児童委員を介することもできます(第2項)。確証は不要で、虚偽・過失によらない通告は守秘義務に妨げられず(第5項)、施設職員等は通告を理由に解雇その他の不利益な取扱いを受けません(第6項)。
解説
児童養護施設や里親家庭で暮らす子どもが職員や里親から虐待を受けている、それに気付いたとき、あなたはどこへ言えばいいのか。答えは施設長ではない。都道府県知事または市町村長である。児童福祉法33条の12は「被措置児童等虐待」、つまり社会的養護のもとにいる子どもへの虐待について、発見した者全員に通告義務を課す。ここで押さえるべきは第5項と第6項だ。第5項は、刑法の秘密漏示罪も、その他の守秘義務も、通告を妨げないと明言する。医師も、施設の心理職も、守秘義務を盾に黙る理由を法律上失っている。第6項はさらに強い。施設職員が通告したことを理由に解雇その他の不利益な取扱いを受けないと定める。つまりこの条文は、内部告発者を法的に保護する装置として組み込まれている。施設の中で「言えば自分の職が危ない」と思っている職員に対し、法律は先回りして盾を用意している。
法的な位置づけ
被措置児童等虐待の通告義務とは、児童養護施設、里親、一時保護所等で社会的養護を受ける児童が施設職員等から虐待を受けたと思われる場合に、発見者が都道府県知事又は市町村長へ速やかに通告すべき法的義務をいう。児童福祉法第33条の12が定め、守秘義務の解除と通告者への不利益取扱いの禁止を伴う。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.見た事実を日時つきで記録する いつ、どこで、誰が、どの子どもに、何をしたかを、評価を交えず事実だけで書き留める。確証は不要で「虐待を受けたと思われる」段階で通告義務が生じる
- 2.自分宛てに通告前の記録を残す 通告する事実と予定日時を自分宛てのメール等で送信し、第三者が改ざんできない形で時系列を固定する。第6項の不利益取扱いを争う場面で重要な証拠になる
- 3.都道府県又は市町村の窓口へ通告する 施設長を経由せず、都道府県知事又は市町村長(自治体の児童福祉担当課等の受付窓口)へ速やかに通告する。窓口が分からなければ地域の児童委員を介してもよい(第2項)。通告者の秘匿を希望する旨を明示する
- 4.不利益取扱いを受けたら速やかに相談する 通告後に雇止め、配置転換、減給等を告げられた場合、通知書面を保存し、通告日との時系列を整理したうえで労働局の総合労働相談コーナーや弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1被措置児童等虐待とは何ですか?
児童養護施設、里親、一時保護所などに措置・委託された児童に対し、施設職員や里親等が行う身体的虐待、わいせつ行為、ネグレクト、心理的虐待をいいます(児童福祉法33条の10)。
Q2被措置児童等虐待の通告先はどこですか?
都道府県知事又は市町村長です(33条の12第1項)。実際の受付窓口は各自治体の児童福祉担当課や児童相談所等に設けられているため、自治体サイトで確認します。
Q3施設内虐待の通告は匿名でもできますか?
通告を受けた自治体職員には、通告者を特定させる情報を漏らさない秘密保持義務があります(33条の13)。名乗ったうえで秘匿を希望する旨を伝える方法もあります。
Q4施設内虐待を通告しなかったら罰則はありますか?
本条自体に通告しなかった者への罰則規定はありません。ただし法的義務であることに変わりはなく、職員の場合は懲戒や事後の責任追及で問題とされる余地があります。
Q5里親による虐待も通報の対象ですか?
対象です。里親やその同居人、ファミリーホームの養育者も施設職員等に含まれ、委託された子どもへの虐待は被措置児童等虐待として通告の対象になります。
Q6施設で暮らす子ども本人が相談できますか?
できます。第4項により、被措置児童等本人は都道府県知事又は市町村長に直接届け出ることができ、職員や施設長を経由する必要はありません。
Q7施設内虐待を通告した後はどうなりますか?
都道府県等が事実確認を行い、虐待が認められれば児童の保護や施設への指導等の措置がとられます(33条の14以下)。都道府県知事は状況を公表する仕組みもあります。
Q8施設内虐待の通告で解雇されたら違法ですか?
虚偽・過失によらない通告を理由とする解雇その他の不利益取扱いは、第6項で禁じられています。通告日と処分日の時系列を記録し、労働相談窓口や弁護士に相談します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1確証がないのに通告して、もし違ってたら訴えられませんか?
条文の要件は「被措置児童等虐待を受けたと思われる児童を発見した者」であり、確証は求められていません。第5項が保護の対象外とするのは虚偽であるものと過失によるものだけで、誠実な判断に基づく通告は守秘義務違反になりません。実務のポイント:実務では、通告の有無より「気付いていたのに通告しなかった」ことが後に問題化するケースの方が圧倒的に多い。迷ったら通告する方が、事後の立場は守られやすい
Q2施設長に先に報告してからでないとダメですよね?
不要です。第1項の通告先は都道府県知事または市町村長であり、施設内部の報告ラインを経由する義務はありません。むしろ加害者側が施設内部の人間である場合、内部報告は情報の遮断を招きます。実務のポイント:施設の就業規則に「対外的な連絡は施設長の許可を得ること」とある場合がありますが、法定の通告義務は就業規則に優先します。その規則を理由とする処分は第6項に抵触する
Q3通告したら誰がやったかバレますよね? 報復が怖いです
第6項は施設職員等が通告を理由に解雇その他の不利益な取扱いを受けないと定めています。また被措置児童等虐待の対応では、通告者を特定させる情報の取扱いに配慮する運用が求められています(33条の14以下の調査手続)。実務のポイント:通告の際、都道府県の担当者に「通告者の秘匿を希望する」と明示的に伝えておく。口頭で伝えるのと伝えないのとでは、その後の調査での情報の扱われ方が実際に変わる
Q4児童虐待防止法の通告とは別に、二重に通告が必要ですか?
不要です。第3項により、被措置児童等虐待でありかつ児童虐待にも該当する場合、一般通告をすれば児童虐待の防止等に関する法律6条1項の通告は要しません。手続の二重化を避ける設計です。実務のポイント:どちらの類型か判断がつかないときは、まず被措置児童等虐待として通告してよい。行政側で適切な手続に振り分けられるため、通告者が法令の振り分けを悩む必要はない
間違えやすい点 AI による整理
- 「虐待の通告は児童相談所へ」と広く知られているが、被措置児童等虐待の通告先は都道府県知事または市町村長である。施設や里親を監督する立場の行政庁に直接届ける設計になっている。なぜなら、施設を指導監督する権限を持つ主体こそが、この類型では動く必要があるからだ
- 通告義務の存在自体は知っていても、その深刻度が理解されていない。守秘義務と通告義務が衝突したとき、法律は通告を優先すると明文で宣言している(第5項)。つまり医師や心理職が「守秘義務があるので言えない」と述べた場合、それは法的に成り立たない弁明になる
- 「確証がないのに通告したら、間違いだったとき責任を問われる」という問いの立て方そのものがずれている。条文の要件は「受けたと思われる児童を発見した」であり、真実であることを要求していない。第5項が除外するのは虚偽と過失によるものだけで、誠実に判断した通告は保護される
- 施設職員から見れば「内部告発」に見えるが、法律から見れば「法定義務の履行」である。この落差が職員を萎縮させる。告発者として孤立するのではなく、義務を果たしただけの者として扱われる、それが第6項の設計思想だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる虐待 | 児福法33条の12:施設職員・里親等による被措置児童等への虐待 | 児福法25条:要保護児童全般(保護者のない児童等) 児童虐待防止法6条:保護者による児童虐待 |
| 通告先 | 都道府県知事又は市町村長(児童委員を介することも可) | 市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所(児童委員を介することも可) 市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所 |
| 子ども本人の届出 | 第4項で明文化 | 明文規定なし 明文規定なし |
| 通告者の保護 | 守秘義務の解除(第5項)+施設職員等の不利益取扱い禁止(第6項) | 守秘義務解除の明文規定あり(25条2項) 守秘義務解除(6条3項)、不利益取扱い禁止の明文なし |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は医療・社工・教育・保育等の職業従事者に、知り得た時から24時間以内の主管機関への通報を義務付ける。職業ごとの責任通報制で、施設内虐待に特化した規定ではない
韓国は児童福祉施設従事者等を申告義務者として列挙し、申告義務違反に過料を科す。日本の本条に罰則がない点と対照的
ドイツは医師・心理職等の秘密保持者が児童の福祉危険を少年局へ伝達できる要件を定め、守秘義務との調整を明文化している点で本条第5項と共通する
米国は連邦補助金の条件として各州に mandatory reporting 法と善意の通報者の免責を求め、具体的な通報義務者の範囲は州法に委ねる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは児童養護施設の非常勤職員。ベテラン職員が特定の子どもだけを長時間立たせ、食事を抜いている場面を二度見た。施設長に言えば握りつぶされそうで怖い。だが33条の12第1項の通告先は施設長ではなく都道府県知事。組織のラインを飛び越えて直接届ける経路が、法律上最初から用意されている
- もし、通告した翌月に「契約更新はしない」と告げられたら? 第6項は通告を理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁じている。雇止めの理由が通告であることを示す証拠、通告日と告知日の時系列、それを残しておけるかどうかで結論が変わる
- 里親として預かっている子どもが、前の里親宅での出来事を話し始めた。あなたは「もう終わったことだし」と思うかもしれない。だが被措置児童等虐待の通告に、あなたが確証を持っている必要はない。条文は「受けたと思われる児童を発見した者」と書いている。確信ではなく、そう思われる段階で義務が発生する
- 施設で暮らす高校生のあなた自身が被害を受けている。第4項はあなた本人が都道府県知事または市町村長に直接届け出ることを認めている。大人を経由しなくてよい。職員も、施設長も、通さなくてよい
- 近所の里親宅から子どもの悲鳴が聞こえる。あなたは民生委員でも児童委員でもないただの隣人。それでも通告義務の対象者だ。第2項により児童委員を介して行うこともできる。誰に言えばいいか分からない場合、地域の児童委員が中継点になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 施設で暮らす本人であれば、第4項により都道府県知事または市町村長へ直接届け出られる。職員を経由する必要はない2. 何がいつ起きたか、日付と内容をメモや音声で残す。記憶は必ず薄れる3. 誰に言えばよいか分からない場合、地域の児童委員を介する経路が第2項で認められている4. 子どもの権利擁護に取り組む弁護士会の窓口や、各都道府県の児童福祉担当課に相談する。施設内の職員だけに相談先を限定しない
訴えられた側:1. 通告があった段階では事実認定は終わっていない。都道府県による事実確認と調査の対象になる(33条の14以下) 2. 記録、勤務シフト、日誌など、当時の状況を示す客観資料を保全する。記憶に頼る反論は弱い3. 子どもへの指導と虐待の境界は、行為の態様、継続性、子どもへの影響で判断される。自己判断で結論を出さず、施設の顧問弁護士または個人で弁護士に相談する4. 調査への非協力は、それ自体が不利に働く
時効(請求できる期限):通告義務は「速やかに」であり、特定の期間制限はない。発見した時点で直ちに履行すべき義務である。なお、第6項の不利益取扱いを争う場合、解雇無効を主張する労働審判・訴訟には別途の時的制約があり、民法166条の一般消滅時効(債権は知った時から5年、権利行使可能時から10年)が関係する。不利益処分を受けたら放置せず速やかに労働相談へ(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成20年(2008年) 新設:児童福祉法等の一部を改正する法律により、被措置児童等虐待の防止等に関する節(33条の10以下)が設けられ、本条の通告義務、本人の届出、守秘義務の解除、通告者の不利益取扱い禁止が規定された。平成21年4月施行
- 児童福祉法 第33条の10被措置児童等虐待の定義、本条の適用範囲を画定
- 児童福祉法 第33条の11施設職員等による虐待の禁止規定
- 児童福祉法 第33条の13通告を受けた場合の秘密保持義務
- 児童福祉法 第33条の14通告後の都道府県による事実確認と措置
- 児童福祉法 第25条要保護児童発見者の一般的通告義務
- 児童虐待の防止等に関する法律 第6条家庭内虐待の通告義務、第3項で重複を調整
- 刑法 第134条秘密漏示罪、第5項が適用を明文で排除
- 公益通報者保護法 第3条通報者の解雇無効、本条6項と並行する保護
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