公認会計士法 第27条(秘密を守る義務)
クイックジャンプ
公認会計士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。公認会計士でなくなつた後であつても、同様とする。
この条文の基本情報
秘密を守る義務とは何ですか?
定義秘密を守る義務とは、公認会計士法第27条に定められた規定で、「公認会計士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 公認会計士法第27条(秘密を守る義務)は、日本の公認会計士法に含まれる条文です。
- 公認会計士法第27条の条文原文は「公認会計士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。」で始まります。
- 公認会計士法第27条は第四章に置かれています。
- 公認会計士法の公布日は昭和23年7月6日です。
- 公認会計士法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 公認会計士法第27条の前の条は公認会計士法第26条です。
- 公認会計士法第27条の次の条は公認会計士法第28条です。
- 公認会計士法第27条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第27条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000103 - 本サイト収録
公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第27条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000103/27
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点公認会計士法27条は、公認会計士が正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らし、又は盗用することを禁じる。この義務は公認会計士でなくなった後も続く。
Q · 監査法人を辞めたら、前のクライアントの話をしても大丈夫?
退職後も義務は続き、話せば違反になりえます
公認会計士法27条は、業務上知り得た秘密を正当な理由なく漏らすことと、自分のために盗用することを禁じ、後段で「公認会計士でなくなつた後であつても、同様とする」と定めています。監査法人を退職した後も、登録を抹消した後も義務は消えません。転職面接や講演で過去の案件を具体的に話すと、同法52条の罰則、懲戒処分、民法709条に基づく損害賠償の対象になりえます。
解説
公認会計士の守秘義務には、弁護士や医師にない特徴がある。刑法134条の秘密漏示罪は医師・薬剤師・弁護士などを列挙しているが、公認会計士はそこに含まれていない。そのため、本条と罰則規定である公認会計士法52条が会計士独自の歯止めになっている。守秘の対象は「業務上取り扱つたことについて知り得た秘密」で、決算書の数字に限らない。監査中に耳にした役員の不祥事、取引先との値決め、検討中の M&A まで広く含まれる。禁止される行為は二つで、外に「漏らす」ことと、自分のために「盗用」することである。誰にも話さず、監査先の未公表情報で自分が株を売買するだけでも盗用にあたる。さらにこの義務は、登録を抹消しても、監査法人を辞めて事業会社の CFO に転じても消えない。会計士の側から見れば、転職先での何気ない一言が刑事罰と損害賠償のきっかけになりうる。監査を受ける会社の側から見れば、会計士に打ち明けた内情が外に漏れたとき、責任を追及する根拠がこの一文になる。
法的な位置づけ
公認会計士法27条は公認会計士の守秘義務を定める規定であり、正当な理由なく、業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らす行為と、これを盗用する行為の双方を禁止する。義務は資格喪失後も存続し、違反は同法52条の刑事罰および懲戒処分の対象となる。法令に基づく開示や本人の同意は正当な理由にあたる。
手順
- 1.漏洩の事実と経路を示す証拠を確保する 漏れた情報の内容、その情報を知りえた人の範囲、メールや SNS のスクリーンショット、話を聞いた人の証言を時系列で整理し保存する
- 2.監査契約の守秘条項と賠償条項を確認する 監査契約書・業務委託契約書の守秘条項、退任後の取扱い、損害賠償条項を確認し、会計士個人と監査法人のどちらに責任を追及できるかを整理する
- 3.刑事告訴の要否を期限内に判断する 公認会計士法52条の罪について告訴を検討する。親告罪とされる場合、犯人を知った日から6か月以内に告訴する必要があるため(刑事訴訟法235条)、早めに弁護士へ相談する
- 4.懲戒の申出と損害賠償請求を並行して進める 金融庁に懲戒処分を求める申出を行い、同時に民法709条または契約責任に基づく損害賠償請求を準備する。三つの手続を同時に動かすことで時期を逃さない
よくある質問 AI による整理
Q1公認会計士の守秘義務とは?
公認会計士法27条が定める義務で、業務上知り得た秘密を正当な理由なく他人に漏らすことと、自分のために盗用することの両方を禁じています。
Q2公認会計士 守秘義務 いつまで続く?
期限はありません。27条後段により、監査法人を退職しても、登録を抹消しても、引退した後も同じ義務が続きます。
Q3公認会計士 守秘義務違反 罰則は?
公認会計士法52条により刑事罰の対象となるほか、金融庁による懲戒処分、民法709条に基づく損害賠償請求も問題になります。法定刑は最新の条文で確認が必要です。
Q4会計士が監査先の株を売買したら違法?
未公表情報を使えば27条の「盗用」にあたりえます。同時に金融商品取引法166条のインサイダー取引規制にも触れるおそれがあります。
Q5会計士は粉飾を見つけたら通報できる?
できます。金融商品取引法193条の3に基づき、監査役等への通知を経て当局へ意見を申し出る手続は、守秘義務の「正当な理由」にあたります。
Q6会計士の守秘義務と弁護士の守秘義務の違いは?
弁護士は刑法134条の秘密漏示罪の対象ですが、会計士は対象外です。会計士は公認会計士法27条と52条で別に規律されています。
Q7税務調査で監査調書の提出を求められたら?
法令に基づく提出義務があるか、任意の協力依頼かをまず確認します。法令上の義務に基づく提出は正当な理由にあたりうる一方、任意なら慎重な判断が必要です。
Q8会計士に情報を漏らされた会社は何ができる?
刑事告訴、金融庁への懲戒処分を求める申出、民法709条に基づく損害賠償請求の三つを並行して検討できます。所属監査法人への契約責任追及も選択肢です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1監査法人を辞めたら、もう前のクライアントの話をしても大丈夫ですよね?
大丈夫ではありません。本条の後段は「公認会計士でなくなつた後であつても、同様とする」と定めており、退職しても登録を抹消しても義務は残ります。実務のポイント:退職するときに監査法人と結ぶ誓約書は、本条よりさらに広い範囲を対象にしていることが多いです。トラブルになると法律と契約の両方で責任を問われるので、誓約書の写しは必ず手元に残しておきましょう
Q2監査中に粉飾を見つけたら、守秘義務があるから黙っているしかないんですか?
黙っている必要はありません。金融商品取引法193条の3は、法令違反を見つけた監査人に対し、監査役等へ通知し、是正されなければ当局に意見を申し出る手続を定めています。法律に基づくこの申出は、本条の「正当な理由」にあたります。実務のポイント:手順を飛ばして先にマスコミや SNS に告発すると、正当な理由と認められにくくなります。告発の中身よりも、どの順番で動いたかが問われます
Q3担当の会計士がうちの内部情報を漏らしたみたいです。何ができますか?
主な手段は三つです。刑事告訴(本条違反は52条で処罰)、金融庁への懲戒処分を求める申出(公認会計士法31条)、民法709条に基づく損害賠償請求です。実務のポイント:会計士個人だけでなく、所属する監査法人を相手に契約責任を追及できる場合もあります。賠償金を実際に回収できる見込みは、監査法人を相手にした方が高くなります
Q4会計士の守秘義務って、弁護士の守秘義務と同じくらい強いんですか?
強さの種類が違います。弁護士は刑法134条の秘密漏示罪の対象で、民事訴訟法197条により証言を拒む権利もあります。会計士は刑法134条の対象ではなく、本条と公認会計士法52条で別に処罰されます。実務のポイント:民事訴訟での証言拒絶権が会計士に及ぶかは、条文上はっきりしません(実務上、解釈が分かれています)。訴訟が見えてきたら、会計士より先に弁護士に相談しましょう
間違えやすい点 AI による整理
- 「誰にも話していないから守秘義務違反ではない」と考えがちだが、本条は「漏らす」ことと並べて「盗用」することも禁じている。監査先の未公表情報で自分が株を売買すれば、第三者に一言も話していなくても違反になる
- 会計士本人は守秘義務を知っている。見落とされやすいのは、その義務に期限がないことだ。登録を抹消した後も、監査法人を退職して事業会社に移った後も、引退した後も続く。転職面接や講演で過去の案件を「事例」として話す場面が、いちばん危ない
- 会社側は「守秘義務があるから、会計士には不正を知られても大丈夫」と考えがちだが、その前提が誤っている。法令違反を見つけた会計士は、金融商品取引法193条の3により監査役等へ通知し、是正されなければ内閣総理大臣(実務上は金融庁)に意見を申し出ることができる。守秘義務は、不正を隠すための盾にはならない
- 被害を受けた会社から見ると、これは「刑事事件にすれば片付く話」に見える。しかし刑事罰は罰金や拘禁刑で終わり、会社が受けた損害の穴埋めにはならない。賠償は民法709条に基づく民事の請求、資格への処分は金融庁の懲戒と、手続がそれぞれ分かれている。どれか一つだけを動かすと、ほかの二つの時期を逃す
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 義務の主体 | 公認会計士法27条:公認会計士個人(資格喪失後も含む) | 公認会計士法49条の2:監査法人の社員(現行条文で要確認) 公認会計士法52条:27条等の違反者に対する罰則 |
| 禁止される行為 | 業務上知り得た秘密の漏洩と盗用 | 監査法人の業務で知り得た秘密の漏洩と盗用(同種の規律) 行為規範ではなく、違反に対する刑事罰を定める |
| 違反の効果 | 刑事罰(52条)、懲戒処分(29条・31条)、民事賠償の根拠 | 監査法人社員としての責任追及の根拠 法定刑の内容は最新の改正状況で要確認 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も会計師に業務上の秘密の洩漏と不正利用を禁じる規定を置く。条番号と罰則の内容は最新の條文で要確認
韓国も公認会計士の秘密厳守義務を個別法で定め、退任後の扱いを含めて職業法で規律する
ドイツでは Wirtschaftsprüfer が刑法203条の職業秘密漏示罪の対象に含まれる点で、刑法134条の対象外である日本と異なる
米国は職業団体の倫理規程と州会計士法で守秘を規律し、召喚令状や職業規制上の調査への協力は例外とされる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 監査法人を辞めて上場準備中のベンチャーに CFO として転職した。面接で「前の監査先の X 社は、あの減損をこうやって処理していた」と具体的に話してしまった。退職後も本条の義務は続くため、この一言が守秘義務違反の入口になる
- 監査チームの一員として、クライアントが来月に下方修正を出す予定だと知った。その晩、あなたは自分の証券口座で同社株を売ろうか迷っている。この売却は本条の「盗用」にあたり、同時に金融商品取引法のインサイダー取引規制にも触れうる。迷った時点でやめるべき取引だ
- 顧問先の社長から「担当の会計士が、うちの資金繰りの話を同業他社との飲み会で話していたらしい」と相談された。あなたが社長なら、懲戒の申出、刑事告訴、民事の損害賠償という三つの手を同時に考えられる
- もし監査中に経営陣の粉飾を見つけたら、会計士は守秘義務を理由に黙っていなければならないのか? そうではない。金融商品取引法193条の3に基づく意見の申出は、法律が用意した「正当な理由」の典型である
- 税務調査官から、監査で作成した調書を出すよう求められた。法令に基づく提出義務があるのか、任意の協力依頼なのかで、答え方は変わる
- クライアントの経理部長から、元社員が「会計士から聞いた」と言って社内の不正の噂を広めていると連絡があった。告訴するなら、犯人を知った日から6か月の告訴期間が過ぎる前に動く必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 漏洩の経路を特定する証拠を確保する:漏れた情報の内容、それを知りえた人の範囲、メールや SNS のスクリーンショット、聞いた人の証言2. 監査契約書の守秘条項と損害賠償条項を確認する3. 刑事告訴を検討する場合は、犯人を知った日から6か月以内に行う(52条の罪が親告罪かどうかは最新の条文で要確認) 4. 金融庁に懲戒処分を求める申出をし、民法709条に基づく損害賠償請求と並行して進める
訴えられた側:1. まず、開示に正当な理由があったかを整理する:法令に基づく開示(金融商品取引法193条の3、裁判所の命令など)、クライアントの同意、監査法人内での必要な共有2. 開示した情報が既に公知だったかを確認する(公知の情報は秘密にあたらない) 3. 監査法人の品質管理部門と、日本公認会計士協会の倫理相談窓口に早めに相談する4. 懲戒手続では弁明の機会があるため、弁護士をつけて事実関係を書面にまとめる
時効(請求できる期限):刑事:52条の法定刑(2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、最新の改正状況をご確認ください)を前提にすると、公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号)。親告罪であれば、告訴期間は犯人を知った日から6か月(刑事訴訟法235条)。民事:損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年(民法724条)
学説
一般的理解:本条の「秘密」は、一般に知られておらず、本人が秘匿を望み、かつ秘匿することに客観的な利益がある事実と解されている。既に公知となった情報は秘密にあたらない
- 公認会計士法 第52条本条違反に対する刑事罰(現行効力を要確認)
- 公認会計士法 第49条の2監査法人社員の同種守秘義務(現行効力を要確認)
- 公認会計士法 第31条法令違反に対する懲戒処分
- 公認会計士法 第29条戒告・業務停止・登録抹消の懲戒種類
- 金融商品取引法 第193条の3法令違反発見時の申出、正当理由の典型
- 金融商品取引法 第166条会社関係者のインサイダー取引規制
- 刑法 第134条秘密漏示罪、会計士は対象外
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める