公認会計士法 第34条の11(特定の事項についての業務の制限)
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- 監査法人は、財務書類のうち、次の各号のいずれかに該当するものについては、第二条第一項の業務を行つてはならない。
- 一監査法人が株式を所有し、又は出資している会社その他の者の財務書類
- 二監査法人の社員のうちに会社その他の者と第二十四条第一項第一号に規定する関係を有する者(その配偶者のみが当該関係を有する場合にあつては、当該会社その他の者の財務書類について当該監査法人の行う第二条第一項の業務に関与する者その他の政令で定める者に限る。)がある場合における当該会社その他の者の財務書類
- 三会社その他の者の財務書類について監査法人の行う第二条第一項の業務にその社員として関与した者が、当該財務書類に係る会計期間又はその翌会計期間(以下この号において「関与社員会計期間」という。)内に当該会社その他の者又はその連結会社等の役員又はこれに準ずる者となつた場合における当該関与社員会計期間に係る当該会社その他の者又はその連結会社等の財務書類
- 四前三号に定めるもののほか、監査法人が著しい利害関係を有する会社その他の者の財務書類
- 2.前項第四号の著しい利害関係とは、監査法人又はその社員が会社その他の者との間にその者の営業、経理その他に関して有する関係で、監査法人の行う第二条第一項の業務の公正を確保するため業務の制限をすることが必要かつ適当であるとして政令で定めるものをいう。
- 3.監査法人の社員のうち会社その他の者と第二十四条第一項又は第三項に規定する関係を有する者は、当該監査法人が行う第二条第一項の業務で当該会社その他の者の財務書類に係るものには関与してはならない。
この条文の基本情報
特定の事項についての業務の制限とは何ですか?
定義特定の事項についての業務の制限とは、公認会計士法第34条の11に定められた規定で、「監査法人は、財務書類のうち、次の各号のいずれかに該当するものについては、第二条第一項の業務を行つてはならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 公認会計士法第34条の11(特定の事項についての業務の制限)は、日本の公認会計士法に含まれる条文です。
- 公認会計士法第34条の11の条文原文は「監査法人は、財務書類のうち、次の各号のいずれかに該当するものについては、第二条第一項の業務を行つてはならない。」で始まります。
- 公認会計士法第34条の11は第三節に置かれています。
- 公認会計士法の公布日は昭和23年7月6日です。
- 公認会計士法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 公認会計士法第34条の11の前の条は公認会計士法第34条の10の17です。
- 公認会計士法第34条の11の次の条は公認会計士法第34条の11の2です。
- 公認会計士法第34条の11には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第34条の11 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000103 - 本サイト収録
公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第34条の11(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000103/34_11
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点公認会計士法34条の11は、監査法人が株式を持つ会社や社員が役員等である会社の監査を禁じる。関与社員が当期・翌期に顧客役員となれば、その期の監査も禁止対象となる。
Q · 監査を担当してくれた会計士を自社の CFO に迎えたら、監査に影響するの?
就任時期次第で、その期の監査が法人ごと禁止対象になる
公認会計士法34条の11第1項第3号により、監査法人の社員として監査に関与した者が、その財務書類に係る会計期間またはその翌会計期間内に被監査会社やその連結会社等の役員等に就任すると、当該期間の財務書類について監査法人は監査証明業務を行えなくなります。個人側にも28条の2の就任制限があるため、内定前に担当期と就任日を照合することが不可欠です。
解説
監査報告書には監査法人の名前と、担当した社員の署名が載る。投資家はこの数行を「第三者が中立の立場で数字を確かめた」証拠として信じ、株を買う。その信頼を支えているのが本条である。まず監査法人そのものが株を持っている会社や出資している先は、監査できない。次に、社員の誰か一人でもその会社の役員や財務責任者であるか、過去1年以内にそうだった場合(第24条第1項第1号の関係)、法人全体がその会社を監査できなくなる。ここでの「監査」とは第2条第1項の監査証明業務を指す。注意すべきなのは第3号である。監査を担当した社員が、その会計期間中か翌期に顧客の役員などへ転職すると、その期間の監査はさかのぼって禁止対象になる。転職する本人ではなく、法人の監査そのものが成り立たなくなるのである。あなたが上場準備企業の経営者なら、担当パートナーを CFO に引き抜く前に、この条文を読まなければならない
法的な位置づけ
公認会計士法第34条の11は、監査法人の業務制限を定める規定であり、監査法人自身の株式保有・出資、社員と被監査会社との役員等の関係、関与社員の被監査会社役員等への就任、その他政令で定める著しい利害関係がある場合に、当該会社等の財務書類について監査証明業務を行うことを禁止する。
よくある質問 AI による整理
Q1監査法人の独立性とは何ですか?
監査法人が被監査会社から資本・人事・取引の面で十分に離れていることです。公認会計士法34条の11は、株式保有や役員兼任など外形で判断できる関係を監査禁止の基準にしています。
Q2監査法人が監査先の株を持つのは違法?
監査法人自身が株式を所有・出資している会社の財務書類は、34条の11第1項第1号により監査証明業務の対象にできません。取得した時点で監査できない状態になります。
Q3監査法人の社員が監査先の役員だったら監査できる?
社員の中に被監査会社の役員等である者、または過去1年以内に役員等だった者がいる場合、24条1項1号の関係として法人全体がその会社を監査できなくなります。
Q4会計士の配偶者が監査先の役員になったらどうなる?
配偶者だけが関係を持つ場合、法人全体の監査禁止は、その社員が当該監査に関与する場合など政令で定める場合に限られます。関与から外す手続を早めに行うことが重要です。
Q5著しい利害関係とは何ですか?
監査法人またはその社員が会社との間で営業・経理などに関して持つ関係のうち、監査の公正確保のため業務制限が必要として政令で定めるものです(34条の11第2項)。
Q634条の11に違反した監査法人はどうなる?
金融庁による処分の対象となり、34条の21に基づき戒告、業務の全部または一部の停止、解散命令などが行われ得ます。被監査会社の開示にも影響が及びます。
Q7監査法人の利害関係はいつまでに解消すべき?
条文上の猶予期間はなく、関係があれば監査証明業務を行えません。監査契約の締結・更新前、会計監査人選任議案の作成前に確認・解消しておくのが実務上の基本です。
Q8監査法人と会計監査人の資格の関係は?
会社法337条により、公認会計士法の規定で計算書類の監査ができない者は会計監査人になれません。本条に該当する監査法人は会計監査人に選任できないことになります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1担当してたパートナーをうちの CFO に迎えたいんですが、ダメなんですか?
一律に禁止されているわけではない。問題は時期である。その人が社員として監査に関与した会計期間か、その翌期に役員などに就くと、その期間の財務書類について監査法人は監査できなくなる(第34条の11第1項第3号)。実務のポイント:本人個人にも第28条の2の就任制限がある。法人側の第3号と個人側の制限を、同じカレンダーで確認すること
Q2監査法人のパートナーが、うちの株をちょっと持ってたらアウトですか?
社員個人の株式保有は、通常、第24条第3項の「著しい利害関係」の問題として扱われ、本条第3項により本人がその監査に関与できなくなる。法人全体が監査できなくなるのは、法人自身が株を持つ場合(第1項第1号)や政令で定める著しい利害関係がある場合などである。実務のポイント:大手監査法人は全社員の保有銘柄を独立性システムで管理しており、顧客になった時点で売却を求められる
Q3監査人側の違反なのに、なんで会社側まで困るんですか?
法律で禁じられた監査証明では、開示書類に必要な適法な監査を受けたことにならない可能性があるからである。再監査や監査人の交代が必要になれば、決算発表や上場審査が遅れる。実務のポイント:監査人の交代は臨時報告書の提出事由にもなり、市場は理由を詮索する。不正がなくても株価に響くことがある
間違えやすい点 AI による整理
- 「利害関係のある社員を担当から外せば済む」と考えがちである。だが第1項第2号に当たる場合(社員本人が役員や財務責任者であるか、過去1年以内にそうだった場合)、外れるのは個人ではなく、監査法人全体の監査資格である。個人の関与禁止で済むのは第3項の場面であり、両者は効果の大きさがまったく違う
- 問題は本条に違反した監査法人がどう罰されるかだけではない。監査を受けた会社の側にも、本条に違反した監査証明は監査として有効なのかという問題が跳ね返ってくる。有価証券報告書の監査報告書が使えなくなれば、訂正、再監査、上場審査への影響まで連鎖する。会社にとっては他人事ではなく、自社の開示が崩れるリスクである
- 「監査人の独立性」というと、会計士の倫理や心構えの話だと思われやすい。しかし本条は、株の保有、役職、就任時期という外から見える形式で線を引いている。会計士本人が公正なつもりでいても、外形上の関係があれば業務はできない。投資家が確かめられるのは外形だけだからである
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規制の対象 | 公認会計士法34条の11:監査法人(法人単位) | 公認会計士法24条:個人の公認会計士 公認会計士法28条の2:監査に関与した公認会計士個人 |
| 禁止される行為 | 利害関係のある会社等の財務書類について監査証明業務を行うこと | 利害関係のある会社等の財務書類について監査証明業務を行うこと 一定期間内に被監査会社等の役員等に就任すること |
| 転職・就任との関係 | 関与社員が当期または翌期に役員等となれば、その期間の監査が法人ごと禁止対象(1項3号) | 本人が役員等であるか過去1年以内にそうだった場合に業務制限 就任する本人の側を制限する(法人側の34条の11第1項3号と表裏) |
| 効果の範囲 | 1項は法人全体の監査禁止、3項は該当社員個人の関与禁止 | 当該会計士個人の業務禁止 当該会計士個人の就任禁止 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も會計師と被查核公司の利害關係がある場合の簽證回避を定め、上場会社の財務報告は會計師の查核簽證を要する。独立性の詳細は職業道德規範公報で具体化される
韓国も会計法人について、株式保有や役員関係のある会社の監査を制限する職務制限規定を置く
ドイツは決算監査人の選任除外事由として、出資関係や被監査会社での役職などを列挙し、外観的独立性を担保する
米国は監査チームの一員が被監査会社の CEO・CFO 等に就任した場合、一定期間(1年の cooling-off)その会社の監査を禁じる。本条1項3号と発想が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- IPO 準備中の社長が、決算をよく知っている監査法人の担当パートナーを「うちの CFO に来てくれ」と口説いた。本人も乗り気である。だが就任のタイミングによっては、その期の監査証明が第3号に触れる。上場申請の書類に必要な監査意見が使えなくなるおそれがある
- 監査法人の社員であるあなたの配偶者が、来月から監査先企業の経理部長に就く。配偶者だけがこの関係を持つ場合、法人全体が監査できなくなるのは、あなたがその監査に関与しているときなど政令で定める場合に限られる(第1項第2号括弧書き)。それでも関与から外れる手続は、就任前に終えておく必要がある
- 監査先企業の株を、もし監査法人が取引の流れで取得してしまったらどうなるか? 第1項第1号により、その時点で監査証明業務はできなくなる。期末まであと2か月。株を処分するか監査契約を降りるか、四半期レビューの日程を考えると、残された時間は数週間しかない
- 監査法人の社員が、監査先企業の株を個人で少しだけ持っていた。このとき法人全体が監査できなくなるとは限らない。ただし本人は第3項によりその監査に関与できない
- あなたは会社の監査役である。会計監査人を選び直す議案を作る際、候補の監査法人と自社の間に本条の利害関係がないか、確認書を取っているか。会社法第337条第3項第1号により、本条で監査ができない法人は会計監査人の資格を欠く
取るべき行動
被害を受けた側:監査報告書を信頼して投資し、後から監査人と会社の利害関係が発覚した投資家の場合を想定する。1. 有価証券報告書と監査報告書を保存し、発覚した日付を記録する2. 金融庁や監査法人の公表資料で処分の有無を確認する3. 虚偽記載で損害が出た場合、金融商品取引法第21条などで監査証明をした監査法人の責任を追及できる場合がある。証券訴訟に強い弁護士に相談する
訴えられた側:監査法人や社員として違反を指摘された場合を想定する。1. 対象の関係(株式保有、役職、就任時期)を日付つきで特定し、第1項のどの号か、第3項の個人関与の問題かを切り分ける2. 関係の解消や関与者の交代をただちに行い、記録を残す3. 監査を受けた会社への影響を評価し、監査役や監査等委員会へ速やかに報告する4. 金融庁による処分(第34条の21)に備え、品質管理部門と弁護士で事実関係をまとめる
時効(請求できる期限):本条そのものに時効はない。監査人に対する損害賠償の消滅時効は、一般に民法第166条(権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)による。金融商品取引法上の請求は同法第22条の準用する第20条の期間制限(知った時などから3年、提出から7年)に注意する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:監査人の独立性は精神的独立性と外観的独立性からなり、投資家が検証できるのは外観のみであるため、本条は株式保有・役員関係・就任時期という外形基準で業務を制限していると解される
- 公認会計士法 第2条第1項で監査証明業務を定義
- 公認会計士法 第24条個人会計士の業務制限、関係類型の参照元
- 公認会計士法 第28条の2関与会計士個人の役員就任制限
- 公認会計士法 第34条の11の2大会社等への非監査業務同時提供の禁止
- 公認会計士法 第34条の21違反した監査法人への処分の根拠
- 会社法 第337条監査禁止者を会計監査人の資格から除外
- 金融商品取引法 第193条の2上場会社等の財務書類に監査証明を義務化
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