公認会計士法 第55条の4
クイックジャンプ
- 次の各号のいずれかに該当する場合には、公認会計士、外国公認会計士、監査法人の社員若しくは清算人又は協会の役員は、三十万円以下の過料に処する。
- 一この法律に基づく政令の規定に違反して登記をすることを怠つたとき。
- 二定款又は第三十四条の十五の三第一項の会計帳簿若しくは第三十四条の十六第一項の貸借対照表に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、又は虚偽の記載若しくは記録をしたとき。
- 三第三十四条の十六第二項又は第三項の規定に違反して書類若しくは電磁的記録の提出を怠り、又はこれに虚偽の記載若しくは記録をして提出したとき。
- 四第三十四条の二十第二項又は第五項の規定に違反して合併をしたとき。
- 五第三十四条の二十第六項又は第三十四条の二十三第四項において準用する会社法第九百四十一条の規定に違反して同条の調査を求めなかつたとき。
- 六第三十四条の二十二第二項において準用する会社法第六百五十六条第一項の規定に違反して破産手続開始の申立てを怠つたとき。
- 七第三十四条の二十二第二項において準用する会社法第六百六十四条の規定に違反して財産を分配したとき。
- 八第三十四条の二十二第三項において準用する会社法第六百七十条第二項若しくは第五項又は第三十四条の二十三第一項において準用する同法第六百二十七条第二項若しくは第五項、第六百三十五条第二項若しくは第五項若しくは第六百六十一条第一項の規定に違反して、財産の処分、資本金の額の減少、持分の払戻し又は債務の弁済をしたとき。
- 九第三十四条の二十八第一項又は第三十四条の三十四の八第一項の規定による申請をせず、又は虚偽の申請をしたとき。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 公認会計士法第55条の4は、日本の公認会計士法に含まれる条文です。
- 公認会計士法第55条の4の条文原文は「次の各号のいずれかに該当する場合には、公認会計士、外国公認会計士、監査法人の社員若しくは清算人又は協会の役員は、三十万円以下の過料に処する。」で始まります。
- 公認会計士法第55条の4は第八章に置かれています。
- 公認会計士法の公布日は昭和23年7月6日です。
- 公認会計士法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 公認会計士法第55条の4の前の条は公認会計士法第55条の3です。
- 公認会計士法第55条の4には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第55条の4 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000103 - 本サイト収録
公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第55条の4(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000103/55_4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点公認会計士法第55条の4は、監査法人の登記懈怠や帳簿の虚偽記載、債権者保護手続違反の合併などについて、社員等の個人に三十万円以下の過料を科す。刑罰ではなく前科はつかない。
Q · 監査法人が登記や書類提出を怠ったら、誰がどんな制裁を受けるの?
社員や清算人など個人に最大三十万円の過料、前科はつかない
公認会計士法第55条の4により、監査法人の登記懈怠、会計帳簿や貸借対照表の不記載・虚偽記載、業務報告書等の提出懈怠、債権者保護手続に違反した合併、清算時の不当な財産分配などがあった場合、行為をした公認会計士、監査法人の社員・清算人、日本公認会計士協会の役員といった個人に三十万円以下の過料が科されます。過料は刑罰ではない秩序罰で、地方裁判所が非訟事件手続により科します。前科はつきませんが、監査法人の内部管理体制の評価には影響しえます。
解説
罰金と過料は、名前が似ていても法的な性質がまったく違う。本条が定めるのは三十万円以下の「過料」で、刑罰ではなく秩序罰(行政上の義務違反に対する金銭的な制裁)である。前科はつかず、刑事裁判も開かれない。地方裁判所が非訟事件手続法に基づいて、書面中心の手続で決める。対象になるのは監査法人そのものではない。行為をした公認会計士、外国公認会計士、監査法人の社員や清算人、日本公認会計士協会の役員といった「個人」である。並んでいる九つの違反類型は、どれも監査の中身ではない。登記の放置、会計帳簿や貸借対照表への記載漏れや虚偽記載、内閣総理大臣への書類提出の怠り、債権者保護手続を飛ばした合併、清算中の不当な財産分配、資本金減少や持分払戻しの手続違反などである。監査法人の社員として就任した時点で、こうした管理部門の手続違反に自分の名前で責任を負う立場になる。大手法人なら事務局が処理する、という感覚は通用しない。中小の監査法人や共同事務所から法人化したばかりのパートナーほど、この条文に近い位置にいる。
法的な位置づけ
公認会計士法第55条の4は、監査法人の登記、会計帳簿・貸借対照表への記載、業務報告書等の提出、合併・清算時の債権者保護手続など管理面の義務違反について、行為者である公認会計士、監査法人の社員若しくは清算人又は協会の役員個人に三十万円以下の過料を科す秩序罰規定である。刑罰ではなく、非訟事件手続法に基づき地方裁判所が科す。
よくある質問 AI による整理
Q1公認会計士法の過料とは?
公認会計士法第55条の4などが定める、監査法人の登記や帳簿、提出書類などの手続違反に対する金銭制裁です。刑罰ではなく秩序罰で、上限は三十万円です。
Q2監査法人の変更登記はいつまでにすればいい?
社員の就任・退任など登記事項に変更が生じたときは、原則として変更から二週間以内に変更登記が必要です(組合等登記令第3条)。放置すると本条第1号の過料対象になります。
Q3監査法人の業務報告書を提出しないとどうなる?
第34条の16第2項・第3項に基づく書類の提出を怠ったり虚偽記載をして提出したりすると、本条第3号により社員等の個人に三十万円以下の過料が科されえます。
Q4監査法人の合併で債権者保護手続は省略できる?
省略できません。第34条の20第2項又は第5項の規定に違反して合併をした場合、本条第4号の過料対象になり、合併の効力自体も争われる余地が残ります。
Q5清算中の監査法人は社員にいつ財産を分配できる?
準用される会社法第664条により、原則として債務を弁済した後でなければ財産を分配できません。これに違反した分配は本条第7号の過料対象です。
Q6公認会計士法の過料はいくらまで?
本条の過料は三十万円以下です。上限の範囲内で、違反の内容や是正状況などを踏まえて裁判所が金額を決めます。
Q7日本公認会計士協会の役員も過料の対象になる?
なります。本条は公認会計士や監査法人の社員・清算人と並んで「協会の役員」を名宛人に挙げており、定款の記載漏れなどが対象になりえます。
Q8過料を払わないとどうなる?
過料の裁判は検察官の命令で執行され、その命令は執行力のある債務名義と同一の効力を持ちます(非訟事件手続法第121条)。放置すれば財産の強制執行に進みえます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1過料って、前科がついたり会計士の登録を抹消されたりしますか?
前科はつかない。過料は刑罰ではなく秩序罰で、公認会計士法の欠格事由(第四条)が問題にするのは禁錮以上の刑などであり、過料は含まれない。ただし本条の違反事実は、監査法人に対する行政処分(第三十四条の二十一)の判断で内部管理体制の不備として評価されうる。実務のポイント:問題になるのは過料の金額より、検査で「管理体制の不備」として指摘されることの方だ
Q2登記の遅れって、誰が裁判所に知らせるんですか?
多くの場合、登記所(法務局)が登記の申請を受けたときに懈怠に気付き、管轄の地方裁判所に通知する。そこから非訟事件手続法に基づく過料の手続が始まる。実務のポイント:遅れて登記したことで逆に発覚する仕組みのため、変更から長く放置した登記ほど、後から申請した瞬間に過料通知の可能性が高まる。発生日管理の徹底が唯一の予防策になる
Q3事務局のミスでも、パートナー個人が払うんですか?
条文上、過料の対象は公認会計士、監査法人の社員、清算人などの個人である。登記懈怠では、実務上、代表権を持つ社員が対象になることが多い。法人が立て替えるかどうかは内部の問題で、法律上の名宛人は個人だ。実務のポイント:社員間の取決めで、過料負担と管理責任者をあらかじめ明記しておく法人は少ない。いざ通知が届いてから揉める原因になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「過料は罰金の軽い版だから前科がつく」と考えられがちだが、実際は逆である。過料は刑罰ではないため前科にはならず、刑事手続も通らない。ただし、前科がつかないから軽いとは限らない。過料の事実は登記懈怠などの事実とともに残り、金融庁や公認会計士・監査審査会が監査法人の内部管理体制を見るときの材料になりうる
- 監査法人の社員の多くは、自分の責任は監査意見の品質だけだと考えている。しかし本条が並べるのは、すべて管理部門の手続違反である。法人化した瞬間から、会社の取締役に近い形式的な義務を個人で負う。この落差に気付かないまま、事務局任せで社員になる人が多い
- 「三十万円なら払えば済む」という発想そのものが論点をずらしている。本当に問題なのは、合併時の債権者保護手続違反や清算時の不当分配のように、過料とは別に、行為の効力そのものや民事責任が争われる類型が含まれていることだ。過料はその入口にある警報にすぎない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制裁の性質 | 公認会計士法第55条の4:秩序罰としての過料(刑罰ではない) | 公認会計士法第34条の21:内閣総理大臣による監査法人への行政処分 会社法第976条:会社役員等に対する過料(秩序罰) |
| 名宛人 | 公認会計士、外国公認会計士、監査法人の社員・清算人、協会の役員(個人) | 監査法人(法人) 取締役・執行役・清算人などの会社役員等(個人) |
| 上限・内容 | 三十万円以下の過料 | 戒告、業務の全部又は一部の停止、解散命令など 百万円以下の過料 |
| 判断する機関 | 地方裁判所(非訟事件手続法) | 内閣総理大臣(金融庁) 地方裁判所(非訟事件手続法) |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も法人會計師事務所の制度を設け、事務所の管理義務違反に罰鍰(行政罰)を定める。ただし科す主体は主管機関であり、裁判所が非訟手続で科す日本の過料とは手続が異なる
韓国も公認会計士法に과태료(過怠料)規定を置き、刑罰とは区別された行政上の金銭制裁として運用する
米国では PCAOB が登録監査事務所と関係者に対し調査・懲戒手続で制裁金を科す。日本の過料のような裁判所による秩序罰制度とは構造が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- パートナーが一人退任したのに、事務局の引継ぎ漏れで社員変更の登記が二か月放置されていた。登記を怠った場合の過料は、実務上は代表権を持つ社員個人に科される。通知は裁判所から自宅宛てに届くこともある
- 小規模監査法人の合併で、債権者への公告と催告を済ませないまま効力発生日を迎えたらどうなるか。本条第四号の対象になるうえ、合併の有効性そのものについて、後から債権者に争われる余地も残る
- 清算中の監査法人で、清算人のあなたが「どうせ債務は少ない」と考え、債権申出期間が終わる前に残余財産を社員に分配してしまった。準用する会社法第六百六十四条違反として、過料の対象になる
- 内閣総理大臣に出す業務報告書の提出期限まであと三日。担当者が退職し、誰も作業を進めていない。提出の遅れも内容の水増しも、本条第三号で社員個人の責任になる
- 協会の役員として、定款に記載すべき事項の変更を反映しないまま放置した。小さな事務ミスに見えても、条文上は監査法人の社員と同じ過料の射程に入っている
取るべき行動
被害を受けた側:監査法人の債権者や退任社員として不当な分配や合併の被害を受けた場合は、まず公告や催告の有無、日付、受領書面を保全する。過料そのものは裁判所が職権で科すものだが、違反の事実は裁判所への情報提供(過料事件の端緒)や、民事上の請求(合併無効の訴えや清算人の責任追及)の根拠になる。会社法を準用する条文番号を特定してから弁護士に相談すると話が早い
訴えられた側:裁判所から過料について陳述を求める書面が届いたら、期限内に必ず応答する。登記や提出が遅れた経緯、すでに是正済みであること、再発防止策を書面で示す。非訟事件手続法による過料の裁判には即時抗告ができるため、決定の告知を受けた日から一週間以内という期間を意識する。並行して、未了の登記や提出をただちに済ませ、懈怠状態を解消しておく
時効(請求できる期限):過料には刑事の公訴時効が適用されず、本法にも明文の時効規定はない(時効の扱いは実務上、解釈が分かれている)。登記懈怠は変更から二週間以内(組合等登記令第三条)を過ぎた時点から問題になる。過料の裁判に対する即時抗告は、告知を受けた日から一週間以内(非訟事件手続法第百二十条、第六十七条。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:過料は行政上の秩序維持を目的とする秩序罰であり、刑罰ではない。そのため刑法総則や刑事訴訟法は適用されず、裁判所が非訟事件手続法に基づいて科す。
- 公認会計士法 第34条の16財務書類・業務報告書の作成と提出義務
- 公認会計士法 第34条の15の3会計帳簿の作成義務、第二号の前提
- 公認会計士法 第34条の20合併時の債権者保護手続、第四号の前提
- 公認会計士法 第34条の22清算への会社法準用、第六号から第八号の前提
- 公認会計士法 第34条の21監査法人への行政処分、過料とは別系統
- 非訟事件手続法 第119条過料事件の管轄と裁判手続
- 会社法 第976条会社役員等への同種過料規定の対比
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める