刑事訴訟法 第157条の3
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- 検察官は、証人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある事項について証言を拒んだと認める場合であつて、当該事項についての証言の重要性、関係する犯罪の軽重及び情状その他の事情を考慮し、必要と認めるときは、裁判所に対し、それ以後の当該証人尋問を前条第一項各号に掲げる条件により行うことを請求することができる。
- 2.裁判所は、前項の請求を受けたときは、その証人が証言を拒んでいないと認められる場合又はその証人に尋問すべき事項に証人が刑事訴追を受け、若しくは有罪判決を受けるおそれのある事項が含まれないと明らかに認められる場合を除き、それ以後の当該証人尋問を前条第一項各号に掲げる条件により行う旨の決定をするものとする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第157条の3は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第157条の3の条文原文は「検察官は、証人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある事項について証言を拒んだと認める場合であつて、当該事項についての証言の重要性、関係する犯罪の軽重…」で始まります。
- 刑事訴訟法第157条の3は第十一章 証人尋問に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第157条の3の前の条は刑事訴訟法第157条の2です。
- 刑事訴訟法第157条の3の次の条は刑事訴訟法第157条の4です。
- 刑事訴訟法第157条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第157条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第157条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/157_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法157条の3は、証人が自己負罪を理由に証言を拒んだ場合、検察官の請求で裁判所が使用免責を付し証言を続行させる制度を定める。免責後も別証拠による起訴は妨げられない。
Q · 証人尋問で「答えると自分が罪に問われる」と黙ったのに、なぜ答えさせられることがあるの?
検察官が刑事免責を請求し裁判所が決定すると証言義務が生じます
刑事訴訟法157条の3により、証人が自己負罪を理由に証言を拒んだ場合、検察官は裁判所に刑事免責を請求できます。裁判所が免責決定を出すと、証言拒絶権は消滅し答える義務が生じます。その代わり、証言とそこから得られた派生証拠は本人の刑事事件で不利益に使えません(使用免責)。ただし起訴自体を防ぐものではなく、検察官が別ルートで集めた独立証拠による訴追は依然として可能です。
解説
法廷で証人が「それは答えると自分が罪に問われるので、答えられません」と口を閉ざす。憲法38条1項と刑訴法146条が保障する証言拒絶権だ。多くの人はそこで話が終わると思っている。ところが検察官には、その盾を外すカードがある。157条の3は、証人が自己負罪を理由に証言を拒んだとき、検察官が裁判所に「刑事免責」を請求できると定める。裁判所が免責決定を出した瞬間、あなたの証言拒絶権は消える。もう黙れない、答える義務が生じる。その代わり、あなたが話した内容と、そこから芋づる式に得られた証拠は、あなた自身を裁く刑事裁判で不利な証拠に使えない。これを「使用免責」と呼ぶ。ここが落とし穴だ。免責されても、あなたが起訴されない保証はない。検察官が別ルートで集めた証拠であなたを訴えることは、依然として可能なのだ。2018年に導入されたばかりのこの制度は、共犯事件で末端を証言台に立たせ、上位者を崩すために使われている。
法的な位置づけ
刑事訴訟法157条の3は、証人が刑事訴追や有罪判決を受けるおそれを理由に証言を拒んだ場合、検察官の請求に基づき裁判所が使用免責を付して以後の証人尋問を続行する旨を決定できる制度を定める。免責決定により証言拒絶権は消滅し証言義務が生じるが、その証言および派生証拠は当該証人の刑事事件で不利益に用いることができない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.出廷前に証言が自分の罪に触れるか棚卸し 証人として呼ばれたら、出廷前に弁護人と「証言が自分の刑事責任に触れないか」を確認する。触れる可能性があれば、刑訴法146条の証言拒絶権を行使する準備をする
- 2.免責の範囲を弁護人と確認 検察官が157条の3で免責を請求してきたら、それが使用免責にとどまり行為免責ではないこと、別ルートの証拠で訴追されるリスクが残ることを弁護人に確認する
- 3.免責決定前におそれを裁判所へ明確化 免責決定が出る前に、弁護人を通じて「証言予定事項に自己負罪のおそれが含まれる」ことを裁判所に明確に伝える。決定が出るまでのその場の数分が唯一の機会である
- 4.免責後は真実のみを述べ偽証を避ける 免責決定が出れば証言義務が生じる。免責は偽証罪(刑法169条)と正当な理由なき証言拒絶罪(刑訴法161条)には及ばないため、真実のみを述べることが唯一の安全策となる
よくある質問 AI による整理
Q1刑事免責とは何ですか?
証人の証言と派生証拠を本人の刑事事件で不利益に使わない代わりに、証言拒絶権を消して証言を義務づける制度です。刑訴法157条の3と157条の2が根拠で、2018年から運用されています。
Q2使用免責と行為免責の違いは何ですか?
使用免責は証言と派生証拠を本人に不利に使えないだけで、犯罪自体は免れません。行為免責は罪そのものを免除します。日本が採るのは使用免責です。
Q3刑事免責はどんな事件で使われますか?
共犯事件で末端の者に免責を与えて証言させ、上位者を立証するために使われます。特殊詐欺や談合・カルテルなど組織的犯罪が典型例です。
Q4刑訴法157条の2と157条の3の違いは?
157条の2は証人尋問を始める前にあらかじめ免責を付す事前型、157条の3は証言拒絶があってから免責を付して尋問を続行する続行型です。
Q5証言拒絶権はどんなときに認められますか?
刑訴法146条により、自己が刑事訴追や有罪判決を受けるおそれのある事項については証言を拒めます。憲法38条1項の自己負罪拒否特権が根拠です。
Q6刑事免責は司法取引と同じですか?
違います。刑事免責は裁判所の決定で証言を強制する制度、司法取引(協議・合意制度、刑訴法350条の2)は検察官と被疑者・被告人の合意による制度です。
Q7免責証言だけで有罪にできますか?
免責証言は罪を逃れるための引っ張り込みの動機を伴うため、信用性が慎重に審査されます。補強証拠なしに免責証言のみで有罪を組み立てることには問題があります。
Q8刑事免責はいつから導入されましたか?
平成28年(2016年)の刑事訴訟法等改正で新設され、平成30年(2018年6月1日)から施行されました。比較的新しい制度です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1証人として呼ばれて、答えると自分の罪がバレそうなときは、黙っていれば大丈夫ですよね?
原則は黙れます。刑訴法146条で、自己が刑事訴追や有罪判決を受けるおそれのある証言は拒めます。ただし検察官が157条の3で免責を請求し、裁判所が決定を出すと、その拒絶権は消え、答える義務が生じます。実務のポイント:免責は「あなたを守る制度」のように聞こえますが、実態は「あなたの口を開かせる制度」です。検察官が免責を出すのは、あなたの証言で別の誰かを落としたいときだけ。自分のための免責だと勘違いしないこと
Q2免責されたら、もう自分は起訴されないんですか?
そうとは限りません。157条の3が与えるのは「使用免責」で、あなたの証言と、それを手がかりに得られた証拠を、あなたに不利に使えないだけです。検察官が独立した別ルートで集めた証拠で起訴することは可能です。実務のポイント:日本の免責は米国型の使用免責であり、罪そのものを免除する行為免責ではありません。免責証言をしたから安心と油断した供述が、別証拠と組み合わさって自分の首を絞めることもある。免責の範囲は弁護人と一文字ずつ確認する
Q3免責されたあとに嘘の証言をしたらどうなりますか?
偽証罪(刑法169条)で3月以上10年以下の拘禁刑の対象です。免責はこの偽証罪と、正当な理由なき証言拒絶罪(刑訴法161条)には及びません。つまり免責されたから何を言ってもいいわけではなく、嘘をつけば別の罪になります。実務のポイント:免責下の証言は、真実を話す限り自分に跳ね返らない設計です。だからこそ嘘の動機が生まれやすく、検察官も裁判所もそこを警戒している。中途半端な嘘は偽証罪のリスクだけ負って何も得ない、最悪の選択です(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「自己負罪に触れる証言は拒めるから安全」と思っているが、検察官が免責を請求し裁判所が決定を出せば、その拒絶権は消滅し、証言が強制される。証言拒絶という盾は永久ではない、外せる仕組みが法律に組み込まれている
- 免責という言葉は知っていても、それが「使用免責」にとどまり「行為免責」ではないことの重さを知らない人が多い。免責証言をしても、別ルートの証拠で起訴される道は閉じていない。免責された安心感そのものが、油断を生む危険を抱えている
- 「自分のような末端が証人に呼ばれるはずがない」と問いを立てているが、共犯事件では末端ほど上位者を崩す証言を免責付きで求められる。誰が呼ばれるかという問いの立て方そのものが逆になっている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発動のタイミング | 157条の3:証言拒絶があった後、尋問を続行するため免責を付す(続行型) | 157条の2:尋問開始前にあらかじめ免責を付す(事前型) 146条:免責なし、証人が自ら証言拒絶権を行使 |
| 証言の強制力 | 免責決定で証言拒絶権が消滅し証言義務が生じる | 免責決定で証言拒絶権が消滅し証言義務が生じる 証言を拒否でき、証言義務は生じない |
| 本人への効果 | 使用免責(証言と派生証拠を本人に不利に使えない、起訴は防げない) | 使用免責(同左) 免責なし(自己負罪を避けるため沈黙できる) |
| 違反時の制裁 | 虚偽供述は偽証罪(刑法169条)、免責は及ばない | 虚偽供述は偽証罪(刑法169条)、免責は及ばない 正当な理由なき拒絶は証言拒絶罪(刑訴法161条) |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は証人保護法で協力証人の刑を減免する制度を持つが、これは訴追協力への減免(行為免責に近い)であり、日本の使用免責とは構造が異なる
ドイツは自己負罪のおそれがある証人に包括的な証言拒絶権を認めるが、免責と引き換えに証言を強制する制度は一般に持たない
米国の use immunity が日本の使用免責のモデル。Kastigar 判決は使用・派生使用免責があれば証言強制が修正5条に反しないとした
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたが知人の会社の脱税にほんの少し手を貸していて、その刑事裁判に証人として呼ばれたら? 正直に話せば自分の関与も露わになる。証言を拒もうとした瞬間、検察官が立ち上がって免責を請求するかもしれない。そうなれば、あなたは自分の関与を法廷で語る義務を負う
- 特殊詐欺グループの末端で「受け子」をしていたあなた。検察官は上位者を崩すため、あなたに免責を与えて証言させようとする。あなたの証言は自分の裁判には不利に使われないが、引き換えに仲間の名を法廷で口にすることになる。沈黙という選択肢は、免責決定とともに奪われる
- 法廷で「それは答えられません」と口を閉ざした。検察官が席を立ち、免責を請求する。次の質問に、もう黙る権利はない
- 証人尋問の最中、検察官が免責請求の意向を示した。裁判所が決定を出すまでの数分が、あなたの今後を左右する。弁護人に相談できるのは、まさにその場の数分だけだ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 証人として呼ばれたら、出廷前に「証言が自分の刑事責任に触れないか」を弁護人と棚卸しする2. 触れるなら、まず刑訴法146条の証言拒絶を行使する準備をする3. 検察官が157条の3で免責を請求してきたら、免責の範囲(使用免責にとどまり行為免責ではないこと)を弁護人に確認、別ルート訴追のリスクを把握する4. 免責決定が出れば証言義務が生じる、その上で偽証罪を避けつつ真実のみを述べる、それが唯一の安全策
訴えられた側:1. 共犯者があなたに不利な免責付き証言をしたら、まずその証言が免責と引き換えのものかを確認する2. 免責証人は罪を逃れる動機から引っ張り込みをしやすい、その構造を反対尋問で明らかにする3. 免責証言のみで有罪が組み立てられていないか、補強証拠の有無を精査する4. 証言の信用性を争う弁論を、証言直後のタイミングで組み立てる
時効(請求できる期限):この手続自体に時効はない。検察官の免責請求から裁判所の決定までは証人尋問の場で即座に進行する。異議や弁護人との相談をするなら、決定が出る前のその場の数分が唯一の機会。なお、あなた自身が訴追されるかは、対象犯罪の公訴時効(刑事訴訟法250条、罪により異なる)に従う(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:157条の3が与えるのは使用免責であり、罪そのものを免れる行為免責ではない。免責証言と派生証拠の不利益使用を禁じることで自己負罪拒否特権の核を守りつつ、別証拠による訴追余地を残して処罰の正義も維持する均衡的制度と理解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成28年(2016年)公布、平成30年(2018年6月1日)施行 刑事訴訟法等の一部を改正する法律により新設。証人が自己負罪を理由に証言を拒んだ後、検察官の請求により使用免責を付して以後の証人尋問を続行できる制度を導入。157条の2(尋問開始前の事前型)と対をなす続行型として設けられた
改正の年表
- 1.平成28年(2016年) 新設:刑事訴訟法等の一部を改正する法律により新設、公布。証人が自己負罪を理由に証言を拒んだ後、検察官の請求により使用免責を付して証人尋問を続行できる続行型の制度を導入。事前型の157条の2と対をなす。
- 2.平成30年(2018年6月1日) 改正:上記改正規定が施行され、刑事免責制度の運用が開始。共犯事件で末端の証人に免責を付して上位者の立証に用いる運用が始まった。
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