刑事訴訟法 第146条
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何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第146条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第146条の条文原文は「何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第146条は第十一章 証人尋問に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第146条の前の条は刑事訴訟法第145条です。
- 刑事訴訟法第146条の次の条は刑事訴訟法第147条です。
- 刑事訴訟法第146条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第146条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第146条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/146
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法146条は、何人も自己が刑事訴追又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒めると定める。拒めるのは自己負罪につながる個別の質問に限られ、出頭と宣誓の義務は残る。
Q · 証人として呼ばれたら、聞かれたことは全部正直に答えないといけないの?
いいえ。自分が罪に問われる質問だけは拒否できます
刑事訴訟法146条により、証人は自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができます。これは憲法38条の自己負罪拒否特権を証人尋問の場面に具体化したものです。被告人の黙秘権とは異なり、証人は出頭と宣誓の義務を負い、拒めるのは自己負罪につながる個別の質問への回答だけです。正当な理由のない証言拒絶は証言拒絶罪(刑訴161条)の対象ですが、146条に基づく拒否はまさに『正当な理由』に当たるため処罰されません。
解説
友人の裁判に証人として呼ばれた。宣誓させられ、検察官や弁護人から次々と質問が飛んでくる。あなたは「証人なんだから全部正直に答えないと偽証罪になる」と思い込んでいる。だがそこに落とし穴がある。刑事訴訟法146条は、何人も、自分が刑事訴追を受け、または有罪判決を受ける虞(おそれ、つまり現実的な可能性)のある証言は拒める、と定める。ある質問に正直に答えると、今度はあなた自身が捜査や起訴の対象になりかねないとき、その質問だけは「答えません」と言えるのだ。重要なのは、これが被告人の黙秘権(憲法38条、刑訴311条)とは別物だという点である。被告人は最初から何も話さなくてよいが、証人であるあなたは法廷に出て宣誓する義務は残る。拒めるのは「自己負罪につながる個別の質問」だけ。この線引きを知らないまま正直に全部しゃべると、人助けのつもりが自分の自白調書を作る作業になってしまう。
法的な位置づけ
刑事訴訟法146条が定める証言拒絶権とは、証人が、自己に対する刑事訴追又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒むことができる権利をいう。憲法38条の自己負罪拒否特権を手続上具体化したもので、出頭・宣誓義務を残したまま、自己負罪につながる個別の質問への回答のみを拒否できる点に特徴がある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.召喚状が来たら自己負罪につながる質問を洗い出す 証人尋問の召喚状を受け取ったら、聞かれそうな事項を書き出し、その中で正直に答えると自分の刑事責任に触れる質問を特定する。どの質問が自己負罪に当たるかを事前に把握しておく
- 2.弁護士に相談して拒否範囲を確定する どこまでが自己負罪につながるかは裁判官と争いになることがあるため、事前に弁護士へ相談し、拒否できる質問と答えるべき質問の線引きを詰めておく。免責の可能性も併せて確認する
- 3.出頭・宣誓はした上で個別質問だけ拒否する 出頭と宣誓は義務なので法廷には行く。自己負罪につながる質問が来たら、その場で『刑事訴訟法146条により証言を拒否します』と明言し、なぜ自己負罪につながるかを疎明できるよう準備しておく
- 4.刑事免責の提案があれば条件を慎重に検討する 検察官から刑事免責(刑訴157条の2)の提案があった場合、免責が決定されると146条での拒否はできなくなる。免責の範囲と引き換えに何を証言するのかを弁護士と慎重に検討してから応じる
よくある質問 AI による整理
Q1証言拒絶権とは何ですか?
証人が、自己に対する刑事訴追や有罪判決を受ける虞のある証言を拒める権利です。刑事訴訟法146条が根拠で、憲法38条の自己負罪拒否特権を手続上具体化したものです。
Q2証人は出頭を拒否できますか?
できません。146条で拒めるのは個別の質問への回答だけで、出頭と宣誓の義務は残ります。正当な理由なく出頭しないと勾引(刑訴152条)や過料の対象になります。
Q3自己負罪拒否特権はどの条文ですか?
憲法38条1項が大本の根拠で、証人については刑事訴訟法146条、被告人については黙秘権として311条が具体化しています。民事訴訟では民訴196条が対応します。
Q4証言拒絶罪になるのはどんな場合ですか?
正当な理由なく宣誓や証言を拒んだ場合に証言拒絶罪(刑訴161条)が成立します。146条の自己負罪はこの『正当な理由』に当たるため、これに基づく拒否は処罰されません。
Q5証人尋問で答えたくない質問は拒めますか?
単に答えたくないだけでは拒めません。拒めるのは、答えると自分が刑事訴追や有罪判決を受ける虞がある質問に限られます。それ以外は原則として答える義務があります。
Q6国会の証人喚問でも証言を拒否できますか?
できます。議院証言法でも自己負罪につながる証言は拒否でき、憲法38条に基づく同じ権利の行使です。テレビで見る『証言を拒否します』は逃げではなく権利行使です。
Q7共犯者の証言は証拠になりますか?
なります。ただし共犯者の証言は信用性が争われやすく、実務では裏付け証拠とセットで評価されます。自己負罪を理由に証言が拒まれることもあります。
Q8証言拒絶するとき理由を説明する必要はありますか?
なぜ自己負罪につながるのかを一応説明(疎明)する必要があります。裁判官が自己負罪に当たらないと判断すれば拒否は認められないため、事前に弁護士と整理しておくと安全です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1証人として呼ばれて「答えません」なんて言ったら、罰せられないんですか?
自己負罪につながる質問を146条に基づいて拒否するのは『正当な理由』がある行為なので、証言拒絶罪(刑訴161条、刑罰の対象)にはなりません。罰せられるのは正当な理由なく拒んだ場合だけです。実務のポイント:実務では、どの質問が自己負罪に当たるかを巡って裁判官と争いになることがある。裁判官が「その質問は自己負罪に当たらない」と判断すれば拒否は認められない。だから事前に弁護士と『どこまでが自己負罪か』を詰めておく証人ほど、法廷で強い
Q2黙秘権と証言拒絶権って、同じものじゃないんですか?
別物です。黙秘権(憲法38条、刑訴311条)は被告人が最初から一切話さなくてよい権利。証言拒絶権(146条)は証人が、出頭と宣誓はした上で、自己負罪につながる個別の質問だけ拒める権利です。実務のポイント:共犯者の裁判で立場が被告人から証人へ変わると、使える権利も黙秘権から証言拒絶権に切り替わる。この切替を理解していないと、本来は答える必要のないことまで答えてしまう
Q3免責ってドラマで聞きますけど、日本にもあるんですか?
あります。2016年(平成28年)導入の刑事免責制度(刑訴157条の2、157条の3)です。検察官の請求で裁判所が免責決定をすると、その証言は本人の処罰に使えなくなり、その代わり146条での拒否はできなくなります。実務のポイント:免責は『あなたを訴えない代わりに、より大物を有罪にする証言を引き出す』運用に近い。あなたが末端で、上にもっと大きな標的がいる場合、検察官は免責カードを切ってくる。免責が出た瞬間、あなたの沈黙の盾は消える
間違えやすい点 AI による整理
- 「証人は聞かれたことに全部答える義務がある、拒めば証言拒絶罪だ」という前提そのものが誤っている。証言拒絶罪(刑訴161条)は『正当な理由なく』拒んだ場合の話。146条の自己負罪はまさにその『正当な理由』そのものだから、これに基づく拒否は罪にならない
- 自己負罪拒否権があることは知っていても、それを『法廷に出なくてよい権利』だと誤解している人が多い。実際は出頭と宣誓の義務は残り、拒めるのは個別の質問への回答だけ。出頭そのものを拒むと、勾引(強制的に法廷へ連れて行かれる手続、刑訴152条)や過料の対象になる
- あなたから見れば「友人を助けるために正直に証言している」だけ。だが法律から見れば、その同じ証言があなた自身の犯罪の自白になりうる。この視点の落差こそが、善意の証人を被告人席へ送り込む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 権利の主体 | 146条:証人(自己負罪証言拒絶権) | 311条:被告人(黙秘権) 147条:証人(近親者の刑事責任に関する拒絶権) |
| 拒否できる範囲 | 自己負罪につながる個別の質問への回答 | 一切の供述(包括的に黙秘可能) 近親者の刑事責任に触れる証言 |
| 出頭・宣誓の義務 | あり(出頭・宣誓は免れない) | なし(被告人として在廷、宣誓不要) あり(出頭・宣誓は免れない) |
| 根拠・趣旨 | 憲法38条の自己負罪拒否特権 | 憲法38条の自己負罪拒否特権 近親者間の情義保護 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も証人が自己の刑事訴追・処罰を招く虞のある証言を拒否できる点で日本と同趣旨。実務上どの質問が自己負罪に当たるかが争点になる構造も共通する
韓国は自己だけでなく近親者の刑事責任に関する証言まで一括して拒否権を定める点で、日本の146条+147条を統合した構造に近い
ドイツは証人が自己負罪につながる個別の質問への回答を拒める Auskunftsverweigerungsrecht を定め、日本146条と機能的にほぼ一致する
米国は憲法修正5条が証人の自己負罪拒否特権(plead the Fifth)の直接の根拠。日本38条・146条はこの英米法の系譜を戦後に継受したもの
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 友人が脱税で起訴され、あなたは証人席に立つ。検察官が「あなたも一緒に経費を水増ししましたね」と切り込んでくる。正直に頷けば、次に起訴されるのはあなた自身だ。146条で「答えません」と言える、その一言が証人と被告人を分ける境界線になる
- もし、あなたが交通事故の目撃証人として呼ばれたが、実はその時あなた自身も無免許で運転していたとしたら。「どうやって現場まで来たのか」という何気ない質問が、あなたの無免許運転の証拠になる。その質問は拒否できる
- 証人尋問は明後日。あなたは法廷で何を聞かれるか分からず眠れない。だが拒否できる範囲を今夜のうちに整理しておけば、出頭はもう怖くなくなる
- 取引先のカルテル事件で、あなたが証人に指定された。「御社も価格調整の会合に出ていましたね」と問われる。答えれば自社の独占禁止法違反を認めることになる。146条で拒否できるが、拒否したこと自体が新たな捜査の端緒になりうる現実も、頭に入れておく
取るべき行動
被害を受けた側:1. 召喚状が来たら、まず聞かれそうな事項を洗い出し、自分の刑事責任に触れる質問を特定する2. 出頭と宣誓は義務なので法廷には行く。ただし自己負罪につながる個別の質問には「刑訴146条により証言を拒否します」と明言する3. 拒否理由は疎明(一応の説明)が求められるので、なぜ自己負罪につながるかを言える準備をしておく4. 検察官から刑事免責(157条の2)の提案があれば、免責後は拒否できなくなるので、その条件と引き換えを弁護士と慎重に検討する
訴えられた側:1. あなたに有利な証言をしてほしい証人が自己負罪を理由に黙ってしまった場合、その拒否が『正当な理由』に当たるかは裁判所が判断する2. 弁護人を通じて、証人への刑事免責付与を検察官に求めることを検討する(免責されれば証人はもう拒否できない) 3. 証人が拒否した事実そのものから不利な推認をされないよう、別の証拠で立証を組み立てる4. 共犯者の証言は信用性が争点になりやすいので、必ず裏付け証拠とセットで使う
時効(請求できる期限):証言拒絶は、各質問に対しその場で主張する性質のもので、消滅時効のような期間制限はない。ただし一度答えてしまった事項は、後から「あれは拒否したかった」と撤回できない。答える前のその一瞬が、唯一のタイミングである
学説
通説:146条の証言拒絶権は憲法38条1項の自己負罪拒否特権を証人尋問の場面で具体化したものと解される。出頭・宣誓・原則的証言義務を維持しつつ、自己負罪につながる個別の質問への回答のみを拒否できる点で、被告人の包括的黙秘権(311条)と区別される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定により、当事者主義の導入とともに証人の自己負罪証言拒絶権として規定された。憲法38条1項の自己負罪拒否特権を手続上具体化したもの。
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