刑事訴訟法 第176条
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耳の聞えない者又は口のきけない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせることができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第176条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第176条の条文原文は「耳の聞えない者又は口のきけない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせることができる。」で始まります。
- 刑事訴訟法第176条は第十三章 通訳及び翻訳に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第176条の前の条は刑事訴訟法第175条です。
- 刑事訴訟法第176条の次の条は刑事訴訟法第177条です。
- 刑事訴訟法第176条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第176条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第176条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/176
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法176条は、耳の聞こえない者・口のきけない者に陳述させる場合、通訳人に通訳させることができると定める裁量規定。外国人向けの必要的通訳(175条)と異なり義務ではない。
Q · 耳の聞こえない人に裁判で通訳をつけるのは、法律上の義務なんですか?
つけられるが、175条と違い義務ではない裁量規定です
刑事訴訟法176条により、耳の聞こえない者又は口のきけない者に陳述をさせる場合、通訳人に通訳をさせることができます。ただし外国人など国語に通じない者への必要的通訳(175条)と異なり、本条は「できる」という裁量規定で、通訳をつけるか否か、どの手段(手話・筆談・要約筆記)を用いるかは裁判所の判断に委ねられます。もっとも、憲法37条の公正な裁判を受ける権利と障害者差別解消法の合理的配慮義務により、実務では資格ある通訳をつけないことはほぼ許されません。
解説
「耳の聞えない者又は口のきけない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせることができる」。一見、聴覚や言語に障害のある人への優しい配慮を定めた条文に見える。だが本当に効いてくるのは、すぐ前の175条との一語の違いだ。外国人など「国語に通じない者」には、通訳を「させなければならない」。義務である。ところが耳の聞こえない人には、「させることができる」。裁量である。同じ「言葉が通じない」状況で、なぜ片方は義務で片方は任意なのか。この一語が、聴覚障害のあるあなたや家族が取調べや法廷に立つとき、手話通訳が確実につく保証はないという現実を生んでいる。ただし今は障害者差別解消法の「合理的配慮」義務が、この隙間を急速に埋めつつある。条文が「できる」でも、通訳をつけない判断は実務上ほぼ許されない。知っておくべきは、だからこそ「資格ある通訳を求める」のは恩恵ではなく権利だということだ。
法的な位置づけ
刑事訴訟法176条は、耳の聞こえない者又は口のきけない者に陳述をさせる場合に、裁判所が通訳人に通訳をさせることができる旨を定める規定である。国語に通じない者への必要的通訳を定める同法175条が義務規定であるのに対し、本条は裁量規定として構成され、手話・筆談・要約筆記等の通訳手段の選択を含めて裁判所の判断に委ねられる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.普段使う意思疎通手段を事前に明確に伝える 事情聴取や尋問の前に、自分(または支援対象者)が普段使う意思疎通手段(手話・筆談・要約筆記)を捜査機関や裁判所に明確に伝え、それに対応できる資格ある通訳人の手配を求める
- 2.資格ある法廷手話通訳人を名指しで要求し記録に残す 取調べや公判の早い段階で「資格ある法廷手話通訳人」を求める旨を明確に意思表示し、その手配状況を調書や記録に残させる。一般の手話通訳と法廷通訳は別物であることを前提に交渉する
- 3.通訳の正確性に疑問があればその場で異議を述べる 通訳人の専門性や訳語に疑問を感じたら、その場で通訳の正確性に異議を述べ、調書に残させる。手続終了後に「あの訳は違った」と言っても記録がなければ誤訳の立証は事実上不可能になる
- 4.弁護人に通訳の質の確認を別途依頼する 自分の弁解が正確に訳されているかを、通訳人とは別に弁護人にも確認してもらう。聴覚障害事案の経験がある弁護士・被害者支援窓口を事前に選ぶことで通訳の質を二重にチェックできる
よくある質問 AI による整理
Q1刑事訴訟法176条とは何ですか?
耳の聞こえない者又は口のきけない者に陳述をさせる場合、通訳人に通訳をさせることができると定めた規定です。手話・筆談・要約筆記などを通じた手続参加を裁判所の裁量で認めます。
Q2刑訴法175条と176条はどう違うのですか?
175条は国語に通じない者への通訳を「させなければならない」義務規定、176条は聴覚・言語障害者への通訳を「させることができる」裁量規定です。同じ言葉が通じない状況でも条文上の強さが異なります。
Q3取調べで手話通訳を断られたらどうすればいいですか?
資格ある手話通訳を求める旨を明確に意思表示し、その要求と手配状況を記録に残させます。筆談だけで進めようとされても応じる義務はなく、弁護人に通訳手配を依頼できます。
Q4法廷手話通訳人はどうやって手配するのですか?
弁護人を通じて裁判所に資格ある法廷手話通訳人の選任を求めます。一般の手話通訳と法律概念に習熟した法廷通訳は別物のため、専門通訳を名指しで要求した記録が後の争いで重要になります。
Q5筆談だけで取調べを進められても応じる必要はありますか?
応じる義務はありません。筆談では「故意」「過失」「正当防衛」などの法律概念が正確に伝わらない恐れがあり、資格ある手話通訳を求める旨をその場で述べて記録に残すことが重要です。
Q6要約筆記は刑事手続の通訳として認められますか?
176条の「通訳」には手話のほか筆談や要約筆記も含まれます。ただし手段によって伝達の精度が異なるため、本人が普段使う意思疎通手段を事前に明確に伝えることが大切です。
Q7障害者差別解消法は刑事手続にどう影響しますか?
障害者差別解消法の合理的配慮義務が176条の「できる」を実質的に「しなければならない」へ近づけています。通訳をつけない判断は実務上ほぼ許されなくなっています。
Q8聴覚障害のある被疑者を支援するとき何を確認すべきですか?
資格ある法廷手話通訳がついたか、本人が普段使う意思疎通手段に対応しているか、通訳の正確性に異議を述べた記録が残っているか、弁護士に聴覚障害事案の経験があるかを確認します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1耳の聞こえない人が裁判を受けるとき、手話通訳は必ずつけてもらえるんですか?
条文(176条)は「できる」と書くだけで、外国人向けの175条のような義務ではありません。ただし憲法37条の公正な裁判を受ける権利と障害者差別解消法の合理的配慮により、実務では資格ある通訳をつけないことはほぼ許されません。実務のポイント:重要なのは「通訳がついたか」ではなく「その通訳が法廷手話に習熟していたか」。一般の手話通訳と法廷通訳は別物で、専門通訳を名指しで要求した記録の有無が、後の争いの分かれ目になります
Q2通訳がいい加減で、言いたいことが伝わらないまま判決が出たら、覆せますか?
通訳の不備が手続の公正を損なったといえる場合、訴訟手続の法令違反として控訴理由になりえます(刑事訴訟法379条)。ただし「誤訳があった」ことの立証が大きな壁です。実務のポイント:だからこそ、その場で通訳の正確性に異議を述べ調書に残すことが決定的になります。手続が終わってから「あの訳は違った」と訴えても、記録がなければ立証は事実上不可能です(最新の運用状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「聴覚障害のある人の裁判には当然手話通訳がつく」と思われているが、176条は「できる」という裁量規定で、外国人向けの175条のような義務ではない。何もしなければ「つかない」側に倒れる余地が、条文上は残っている
- あなたから見れば「通訳がついた=ちゃんと理解できた」だが、法廷から見れば「通訳人が訳した=手続は適法に進んだ」。通訳の質が低くても手続は形式的に成立してしまう。この落差に気づかないまま「伝わったはず」と安心することが、一番危ない
- 「障害者への通訳=手話」と思い込みがちだが、176条の「通訳」には筆談や要約筆記も含まれる。問題は、筆談だけで「故意」「過失」「正当防衛」といった法律概念を本当に伝えきれるのか。その伝達の薄さの深刻さに、当事者も周囲も気づいていない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 通訳の法的性質 | 176条:通訳をさせることが「できる」裁量規定 | 175条:通訳をさせ「なければならない」必要的(義務)規定 379条:通訳不備は訴訟手続の法令違反として控訴理由になりうる |
| 対象者 | 耳の聞こえない者・口のきけない者(聴覚・言語障害者) | 国語に通じない者(外国人等) 通訳の不備により不利益を受けた被告人 |
| 保護の条文上の強さ | 裁量だが合理的配慮義務で実質的に強化 | 明文の義務で最も強い 事後救済(控訴審で誤訳を立証する必要) |
| 実効性を高める手段 | 資格通訳の名指し要求+手配状況の記録化 | 通訳不選任は手続違反として直接争える 誤訳への即時異議+調書への記録化 |
他国ではどう定めているか 4 か国
聾・啞・言語不通の被告には通訳を用いることができ、文字による訊問・陳述も認める。日本と同様に通訳手段の柔軟性を認める構造。
聴覚・言語障害者の尋問について通訳を介する旨を定める。日本と類似し、障害者差別禁止法による配慮の補完も及ぶ。
聴覚・言語に障害のある者との意思疎通について、手話通訳その他適切な手段の使用を定める。本人の選択を尊重する点で配慮が手厚い。
連邦裁判所での通訳人提供を制度化し、ADA により聴覚障害者への手話通訳が公的サービスとして保障される。義務性が条文上明確。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 聴覚障害のある知人が万引きを疑われ、取調室で筆談だけのやり取りの末に「認めます」と書かされた。手話なら言えたはずの弁解が、筆談では削ぎ落とされていく。176条が「できる」止まりであることが、この取りこぼしの温床になっている
- もし、あなたの親が高齢で耳が遠くなり、詐欺被害の証人として法廷に立つことになったら? 手話も筆談も中途半端なまま尋問が進み、答えたい内容が調書に残らなかったとき、誰がその責任を取るのか
- あなたは法廷手話通訳人として呼ばれた。だが「未必の故意」に正確に対応する定まった手話表現がない。あなたの訳語の選び方一つが、有罪と無罪の境界を動かす
- 聴覚障害のある被疑者が逮捕され、勾留質問まで残り数時間。資格ある手話通訳の手配が間に合わなければ、本人が意味を理解しないまま身柄拘束の手続だけが回り始める
取るべき行動
被害を受けた側:聴覚障害のある証人や被害者として。1. 事情聴取や証人尋問の前に、自分が普段使う意思疎通手段(手話、筆談、要約筆記)を明確に伝え、それに対応できる資格ある通訳人の手配を求める2. 通訳の方式が自分に合わないと感じたら、その場で遠慮なく申し出る。我慢は記録に残らない3. 重要な質疑では訳された内容を確認し、ずれがあれば訂正を求める4. 相談する弁護士や被害者支援窓口に、聴覚障害事案の経験があるか事前に確かめる
訴えられた側:聴覚障害のある被疑者や被告人として。1. 取調べの冒頭で「資格ある手話通訳を求める」と明確に意思表示する。筆談だけで進めようとされたら応じなくてよい2. 弁護人に法廷手話通訳の手配と質の確認を依頼する3. 取調べや公判で通訳に疑問を感じたら、その都度異議を述べ調書に残させる4. 自分の弁解が正確に訳されているか、通訳人とは別に弁護人にも確認してもらう
時効(請求できる期限):通訳の不備を理由とする控訴は、判決宣告日の翌日から14日以内(刑事訴訟法373条)。取調べや勾留段階での通訳要求に明文の期限はないが、各手続が進む前に求めるほど実効性が高い。誤訳への異議は、その場で述べなければ事実上手遅れになる
学説
有力説(合理的配慮による補完説):176条は文言上「できる」とする裁量規定だが、憲法37条の公正な裁判を受ける権利と障害者差別解消法の合理的配慮義務により、聴覚・言語障害者への通訳の不選任や不十分な通訳は実務上ほぼ許されず、裁量は実質的に「しなければならない」に近づくと解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定に伴い、耳の聞こえない者・口のきけない者への通訳に関する規定として置かれた。国語に通じない者への必要的通訳(175条)と対をなす裁量規定として構成された。
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