刑事訴訟法 第379条
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前二条の場合を除いて、訴訟手続に法令の違反があつてその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠に現われている事実であつて明らかに判決に影響を及ぼすべき法令の違反があることを信ずるに足りるものを援用しなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第379条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第379条の条文原文は「前二条の場合を除いて、訴訟手続に法令の違反があつてその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、訴訟記録…」で始まります。
- 刑事訴訟法第379条は第二章に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第379条の前の条は刑事訴訟法第378条です。
- 刑事訴訟法第379条の次の条は刑事訴訟法第380条です。
- 刑事訴訟法第379条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第379条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第379条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/379
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法379条は、訴訟手続に法令違反があり、その違反が判決に影響を及ぼすことが明らかな場合に控訴できると定める相対的控訴理由の規定である。
Q · 一審の手続にミスがあったら、それを理由に控訴で判決を覆せるの?
手続違反が判決に影響したと言えれば控訴できます
刑事訴訟法379条により、訴訟手続に法令違反があり、かつその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかな場合、これを理由に控訴できます(相対的控訴理由)。ただし二段階の立証が必要です。第一に手続違反が現に存在したこと、第二にその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかであること。さらに控訴趣意書では、訴訟記録や原審で取り調べた証拠に現れた事実を援用しなければなりません。一審の法廷で異議(309条)を述べず記録に残らなかった違反は、援用する材料そのものが消えます。
解説
一審で有罪判決を受けた。証拠調べの過程で、あなたの弁護人が請求した重要証人の尋問が、裁判所に却下されていた。その却下が間違っていたなら、判決を覆せる。刑訴法379条が定めるのは、訴訟手続に法令の違反があり、その違反が判決に影響を及ぼすことが明らかなとき、それを理由に控訴できるという道だ。ただし条件が厳しい。第一に、377条・378条の絶対的控訴理由に当たらない場合に限る。第二に、控訴趣意書の中で、訴訟記録や原審で取り調べた証拠に現れている事実を「援用」しなければならない。つまり、新しい証拠を持ち出すのではなく、すでに記録に残っている手続の傷を指し示す作業だ。ここが分かれ目になる。一審の法廷で異議を述べておかなかった手続違反は、記録に残らず、援用する材料そのものが消える。控訴の勝敗は、判決が出た後ではなく、一審の法廷で異議を述べた瞬間に半分決まっている。
法的な位置づけ
刑事訴訟法379条は、相対的控訴理由のうち訴訟手続の法令違反を定める規定である。第377条・第378条の絶対的控訴理由に該当しない場合に、訴訟手続に法令違反があり、かつその違反が判決に影響を及ぼすことが明らかなときに限り控訴理由となる。控訴趣意書では、訴訟記録および原裁判所で取り調べた証拠に現れた事実を援用することが要件とされる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.控訴期間を死守する 判決言渡しの日の翌日から14日以内に、控訴申立書を原裁判所へ提出する(刑訴法373条、初日不算入)。まず期間の確保を最優先する
- 2.訴訟記録を謄写し精読する 速やかに訴訟記録の謄写を申請し、公判調書・証拠決定・尋問調書を一行ずつ点検して、援用できる手続の法令違反の箇所を特定する
- 3.一審の異議が記録に残っているか確認する 証拠採用や訴訟指揮に対し一審で異議(刑訴法309条)を述べ、それが公判調書に記録されているかを確認する。記録に残った事実が援用の材料になる
- 4.控訴趣意書に援用事実を明示して提出する 指定された控訴趣意書提出最終日までに、どの手続違反が、なぜ判決に影響を及ぼすことが明らかなのかを、記録上の事実を援用して論証した控訴趣意書を提出する
よくある質問 AI による整理
Q1相対的控訴理由とは何ですか?
違反が判決に影響を及ぼすことが明らかな場合に限って控訴理由となるものです。刑訴法379条の訴訟手続の法令違反や380条の法令適用の誤りがこれにあたります。
Q2絶対的控訴理由と相対的控訴理由の違いは?
絶対的控訴理由(377・378条)は判決への影響を問わず控訴理由になります。相対的控訴理由(379・380条)は『判決に影響を及ぼすことが明らか』であって初めて理由になります。
Q3控訴趣意書の提出期限はいつまでですか?
控訴裁判所が指定する最終日までです(刑訴規則236条)。徒過すると控訴が棄却されうるため(刑訴法386条)、指定日は厳守する必要があります。
Q4訴訟手続の法令違反とは具体的に何ですか?
証拠調べ請求の不当な却下、違法収集証拠の採用、公判手続の方式違反、裁判員裁判の評議・説示の誤りなど、判決に至る手続の過程の法令違反を指します。
Q5控訴の期限は何日ですか?
控訴申立は判決言渡しの日の翌日から14日以内です(刑訴法373条、初日不算入)。控訴趣意書の提出はこれとは別に指定される最終日までとなります。
Q6控訴審で新しい証拠は出せますか?
原則として制限されます。やむを得ない事由がある場合に限り取調べを請求できます(刑訴法382条の2)。379条は新証拠ではなく記録に残る手続の傷を突く理由です。
Q7『判決に影響を及ぼすことが明らか』とはどの程度ですか?
違反がなければ判決の結論が変わった蓋然性が認められることを指します。違反はあったが結論は変わらなかったと判断されると控訴は棄却されます。
Q8控訴が棄却されるのはどんなときですか?
手続違反が判決に影響を及ぼさないと判断されたとき、援用すべき事実が記録に存在しないとき、控訴趣意書を指定期日までに出さなかったとき等です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1控訴って、一審でダメだったことをもう一回ぜんぶ争えるんですよね?
いいえ、そこが誤解の多い点です。控訴審は一審のやり直しではなく、一審に法令違反や事実誤認がなかったかを審査する『事後審』です。379条で争えるのは訴訟手続の法令違反で、しかも判決に影響を及ぼすことが明らかな場合に限られます。実務のポイント:控訴審で新証拠を出すには382条の2で『やむを得ない事由』を示す必要があり、ハードルが高い。勝てる控訴のほとんどは、新証拠ではなく一審記録の中の傷を突く。記録精読こそ弁護人の腕の見せ所です
Q2一審の裁判官が証人申請を却下したんですが、これって控訴の理由になりますか?
なりえます。証拠調べ請求の不当な却下は訴訟手続の法令違反にあたり、その却下がなければ判決が変わった可能性が明らかなら、379条の控訴理由になります。ただし一審の法廷で異議(刑訴法309条)を述べ、記録に残しておくことが前提です。実務のポイント:却下されたその場で『異議あり』と述べて調書に残すかどうかが分水嶺。黙って引き下がると、後で『争う機会を放棄した』と評価され、控訴審での主張が一気に弱くなる
Q3弁護士をつけずに、自分で控訴趣意書を書けますか?
書けますが、379条の控訴理由は『どの手続違反が、なぜ判決に影響を及ぼすことが明らかなのか』を記録に基づいて論証する専門作業で、本人作成は極めて不利です。控訴審にも国選弁護人の制度があります(刑訴法36条以下)。実務のポイント:控訴趣意書の質が控訴審の結論をほぼ決める。392条で裁判所は趣意書記載外の事項も職権で調べられるが、それに期待するのは危険。援用すべき事実を漏れなく書き込んだ趣意書を出せるかが、すべてを左右する
間違えやすい点 AI による整理
- 「控訴すれば一審の判断をゼロからもう一度争える」と思って控訴趣意書を書き始める人が多い。だが問いの立て方そのものが誤っている。控訴審が見るのは『一審に法令違反や事実誤認があったか』であって、あなたの言い分を聞き直す場ではない。379条が要求するのは、新たな主張ではなく、記録に残る手続の傷の特定だ
- 「手続のミスがあれば自動的に判決が覆る」と思われているが、379条は『判決に影響を及ぼすことが明らか』という条件を課す。手続違反はあったが結論は変わらなかった、と判断されれば控訴は棄却される。違反の存在と、判決への影響、この二段階を両方とも立証しなければならない
- 一審で異議を述べることの大切さは知っていても、その『深刻さ』までは知らない人が多い。法廷で異議を述べなかった手続違反は、訴訟記録に残らない。援用すべき事実が記録に存在しなければ、379条の控訴理由を主張する土台そのものが消える。異議を述べ忘れた瞬間に、控訴のカードが一枚、永久に失われている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 判決への影響の要否 | 379条:影響が明らかであることが必要(相対的) | 377・378条:影響を問わない(絶対的) 380条:影響が明らかであることが必要(相対的) |
| 対象とする傷 | 379条:訴訟手続そのものの法令違反 | 377・378条:裁判所の構成・管轄・公訴受理等の重大瑕疵 380条:実体法令の適用の誤り |
| 援用の要否 | 379条:記録に現れた事実の援用が必要 | 377・378条:事由の存在で足りる 380条:法令適用の誤りを指摘 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も、訴訟程序の違法であっても判決に影響しないものは上訴理由とならないと定め、影響の明白性を要求する点で日本379条と同趣旨。
韓国も『판결에 영향을 미친』法令違反を항소理由とし、判決への影響を要件とする点で構造が近い。
ドイツは上訴のうち Revision で『判決が法令違反に基づくこと』を要件とし、影響の評価を伴う点で相対的控訴理由に類似する。
米国は手続上の誤りがあっても無害な誤り(harmless error)であれば原判決を維持し、判決への影響を問う点が『影響の明白性』要件と発想を共有する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 一審で実刑判決。控訴できるのは判決の翌日から14日(刑訴法373条)、さらに控訴趣意書の提出にも期限がある。この短い時間で、訴訟記録のどこに手続違反があるかを洗い出し、援用すべき事実を特定しなければならない。記録の取り寄せと弁護人選びを今日始めないと間に合わない
- もし一審の裁判官が、あなたの弁護人が申請した重要証人を理由もなく却下していたら? それは証拠調べに関する訴訟手続の法令違反になりうる。判決に影響を及ぼすことが明らかと言えれば、379条の控訴理由として正面から主張できる
- 違法に収集された証拠が一審で採用され、有罪認定の柱になった。本来排除されるべき証拠だった。手続の傷が、判決そのものを支えている
- 友人が痴漢事件で一審有罪、本人は冤罪を訴えている。あなたが記録を見ると、被告人の供述調書の任意性を争う手続が一審で十分に踏まれていなかった。それを記録から拾い上げて援用できれば、控訴審で勝負になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 判決言渡しの翌日から14日以内に控訴申立書を原裁判所へ提出(刑訴法373条)、まず期間を死守する2. 速やかに訴訟記録の謄写を申請し、公判調書・証拠決定・尋問調書を精読、手続違反の箇所を特定3. 一審で異議(刑訴法309条)を述べた記録があるか確認し、その違反が『判決に影響を及ぼすことが明らか』と言える論理を組む4. 控訴趣意書の提出最終日までに、援用すべき記録上の事実を明示して提出する
訴えられた側:1. 相手方(多くは検察官)が手続違反を理由に控訴してきた場合、その違反が本当に存在するか訴訟記録に照らして検証2. 違反があっても『判決に影響を及ぼすことが明らかではない』と反論できれば、379条の要件を欠くとして控訴棄却を主張できる3. 答弁書で、援用された事実が記録上どう評価されるべきかを具体的に反論4. 控訴審は書面審理が中心で口頭弁論の機会が限られるため、答弁書の完成度が勝敗を分ける
時効(請求できる期限):控訴申立は判決言渡しの日の翌日から14日以内(刑訴法373条、初日不算入)。控訴趣意書は控訴裁判所が指定する最終日までに提出しなければならず、徒過すると控訴は棄却されうる(刑訴法386条)。援用できる事実は訴訟記録に現れているものに限られ、期限後の追加は原則認められない
学説
通説:379条の訴訟手続の法令違反は相対的控訴理由であり、違反の存在に加え『判決に影響を及ぼすことが明らか』であることを要する。控訴審は事後審であるため、援用できる事実は訴訟記録および原審で取り調べた証拠に現れたものに限られる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定に伴い、相対的控訴理由としての訴訟手続の法令違反を定める規定として設けられた。控訴審を事後審と位置づける構造の一部を構成する。
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