刑事訴訟法 第380条
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法令の適用に誤があつてその誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、その誤及びその誤が明らかに判決に影響を及ぼすべきことを示さなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第380条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第380条の条文原文は「法令の適用に誤があつてその誤が判決に影響を及ぼすことが明らかであることを理由として控訴の申立をした場合には、控訴趣意書に、その誤及びその誤が明らかに判決に影響を…」で始まります。
- 刑事訴訟法第380条は第二章に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第380条の前の条は刑事訴訟法第379条です。
- 刑事訴訟法第380条の次の条は刑事訴訟法第381条です。
- 刑事訴訟法第380条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第380条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第380条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/380
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法380条は、法令適用の誤りを控訴理由とするには、その誤りと、誤りが判決に影響を及ぼすことの明白性を控訴趣意書に示すよう求める規定である。
Q · 判決理由の法律の解釈がおかしいと思ったら、控訴趣意書にどう書けばいいの?
誤りの指摘に加え、判決への影響の明白性まで書く必要があります
刑事訴訟法380条により、法令適用の誤りを控訴理由とするには二つを書かなければなりません。第一に「法令の適用にどんな誤りがあるか」、第二に「その誤りが判決に影響を及ぼすことが明らか」であることです。単に解釈が違うと指摘するだけでは足りず、誤りが正されれば主文(結論)がどう変わるかまで具体的に示す必要があります。控訴審は事後審であり、高裁は控訴趣意書に書かれた論点だけを審査するため(392条)、書き方の精度が破棄か棄却かを直接左右します。
解説
一審で有罪判決を受けた。判決理由を読むと、裁判官の法律の解釈がどう考えてもおかしい。そこであなたは14日以内に控訴を申し立てる。だが、ここで多くの人が致命的な勘違いをする。控訴を申し立てただけでは、高裁はあなたの事件記録を最初から読み返してくれない。刑事の控訴審は「事後審」であり、高裁が実際に審理するのは、あなたが控訴趣意書に書いた論点だけだ(392条)。380条が要求するのは二つ。第一に「法令の適用にどんな誤りがあるか」、第二に「その誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかである」こと。この二つをセットで具体的に書かなければ、たとえ本当に裁判官が法律を間違えていても、高裁は審理の入口でその主張を弾く。控訴趣意書の一行の精度が、あなたの有罪判決が覆るかどうかを直接決める。
法的な位置づけ
刑事訴訟法380条は、法令適用の誤りを控訴理由とする際の主張要件を定める規定である。法令の解釈・適用の誤りを指摘するだけでなく、その誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかである旨を控訴趣意書に具体的に記載することを求め、事後審における控訴審の審査対象を画する機能を持つ。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.14日以内に控訴を申し立てる 判決宣告の日から14日以内に控訴を申し立てる(373条、宣告日の翌日起算)。この期限は絶対に死守し、過ぎると判決が確定する
- 2.控訴趣意書差出最終日を確認・共有 高裁が事件記録を受理すると控訴趣意書差出最終日が指定される。その日付を即座に弁護人と共有し、逆算して作成スケジュールを組む
- 3.判決理由の「法令の適用」部分を精査 判決理由のうち法令の解釈・当てはめ部分に線を引き、どの条文のどの解釈が誤っているかを具体的に特定する
- 4.誤りと結論の変化をセットで記載 控訴趣意書に、法令適用の誤りと、その誤りが正されれば主文(結論)がどう変わるかを因果を一本の線でつないで具体的に記載する
- 5.最終日までに全論点を提出 最終日を過ぎると理由の追加は原則できないため、主張したい論点はすべて期限内に書ききって提出する
よくある質問 AI による整理
Q1法令適用の誤りとは何ですか?
裁判所が適用すべき法令を誤って解釈・適用したことを指します。刑事訴訟法380条の控訴理由で、判決への影響の明白性まで示す必要があります。
Q2控訴趣意書はいつまでに出すのですか?
高裁が事件記録を受理した後に指定する控訴趣意書差出最終日までです(376条)。この日を過ぎると控訴理由の追加は原則できません。
Q3法令適用の誤りと事実誤認は何が違いますか?
380条の法令適用の誤りは法律の解釈・当てはめの誤り、382条の事実誤認は証拠評価による事実認定の誤りで、控訴理由として条文が分かれています。
Q4解釈が間違っていれば必ず破棄されますか?
されません。誤りが判決の結論(主文)に影響を及ぼすことが明らかでなければ、380条の要件を満たさず控訴は棄却されます。
Q5控訴趣意書差出最終日を過ぎたらどうなりますか?
後から控訴理由を追加することは原則できず、書ききれなかった論点は高裁が判断しないまま判決が確定します。
Q6検察官の控訴に反論できますか?
被控訴人として答弁書を提出できます。検察の趣意書が影響の明白性を抽象的にしか示していなければ、その不備を突いて棄却を求められます。
Q7控訴審は一審をやり直してくれますか?
やり直しません。控訴審は事後審で、原則として一審の記録をもとに控訴趣意書記載の論点だけを審査します(392条)。
Q8控訴趣意書は弁護士なしでも書けますか?
書くことは可能ですが、380条の二要件を具体的に満たさないと審理されません。資力要件を満たせば控訴審でも国選弁護人が付きます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1控訴したら、一審のやり直しになるんですよね?
なりません。刑事の控訴審は「事後審」で、原則として一審の記録をもとに、控訴趣意書に書いた論点だけを審査します(392条)。新証拠や新しい主張の後出しは原則できません。実務のポイント:だからこそ一審の段階で言うべきことを全部記録に残しておくことが決定的です。弁護士が一審から「控訴を見据えて記録を作る」のはこのため。一審を軽く戦った人は、控訴で書ける材料が最初から足りない
Q2控訴趣意書って、弁護士なしで自分でも書けますか?
書くこと自体は可能ですが、380条は「法令の誤り」と「それが判決に影響を及ぼすことが明らか」の二つを具体的に示すことを求めており、ここを満たさないと高裁に審理してもらえません。実務のポイント:控訴審でも資力要件を満たせば国選弁護人が付きます。控訴趣意書の作成期限は高裁が区切るので、実刑判決を受けたら、迷わず控訴審の弁護人選任を早く動かすことが、書面の質を左右する
間違えやすい点 AI による整理
- 「控訴すれば、高裁が一審を最初から全部やり直してくれる」と思っている人が多いが、刑事の控訴審は事後審であり、原則として一審の記録に基づいて、控訴趣意書に書かれた論点だけを審査する(392条)。新しい証拠も新しい主張も、原則として後出しできない。控訴は再戦ではなく、一審の判決の当否を限定的に点検する手続だ
- 控訴趣意書を出さなければならないことは知っていても、その「書き方の精度」が結論を左右する深刻さを知らない人がほとんどだ。380条は、法令の誤りを指摘するだけでは足りず、「その誤りが判決に影響を及ぼすことが明らか」であることまで示すよう求める。ここを抽象的にしか書けないと、せっかく見抜いた誤りも、書いた意味がゼロになる
- あなたから見れば「裁判官が法律を間違えた、明らかにおかしい判決だ」。しかし高裁から見れば、問われるのは「その誤りが判決の結論に影響を及ぼすことが明らか」かどうかだ。法律の解釈に多少の誤りがあっても、結論(主文)が変わらないなら破棄されない。この「あなたの正義感」と「法が要求する影響の明白性」の落差を埋められないと、控訴は通らない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 控訴理由の性質 | 380条:法令適用の誤り(法律の解釈・当てはめの誤り) | 382条:事実誤認(証拠評価による事実認定の誤り) 381条:量刑不当(刑の重さの不当) |
| 趣意書に示すべき内容 | 誤りの特定 + 判決への影響の明白性 | 認定の誤りが判決に影響を及ぼすことが明らかな事由 刑の量定が不当であること |
| 関連する別類型 | 379条:訴訟手続の法令違反(手続面の違反) | 382条の2:やむを得ない事由による新証拠の援用 397条:控訴理由が認められる場合の原判決破棄 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も判決の法則不適用・適用不当を上訴理由とする。第三審を法律審とする構造で、法律問題への限定が日本の事後審と類似する
韓国は判決に影響を及ぼした法令違反を항소(控訴)理由として列挙。影響の有無を要件とする点で日本と近い
ドイツの Revision は法令違反(Gesetzesverletzung)のみを審査対象とし、事実審理を行わない純粋な法律審で、影響の明白性要件と機能が重なる
米国も法律問題は de novo 審査だが、harmless error 法理により、結論に影響しない誤りは破棄事由とならない点が影響の明白性要件に対応する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは執行猶予が付くと信じていたのに、一審で実刑判決。判決理由を読むと、適用された刑の加重規定の解釈が条文と食い違っている。控訴趣意書に「この条文の解釈が誤りであり、正しく解釈すれば刑の範囲が変わって執行猶予が可能になる」と、結論の変化まで具体的に書けるかどうかで、破棄されるか棄却されるかが分かれる
- もし、高裁が指定した控訴趣意書差出最終日まであと5日しかなく、あなたの弁護人がまだ「法令適用の誤り」の主張を固めきれていなかったら? この最終日を過ぎると、後から理由を追加することは原則できない。書ききれなかった論点は、高裁が一切判断しないまま判決が確定する
- 検察官が、あなたへの無罪判決に対して控訴してきた。あなたは被控訴人の立場になる。検察の控訴趣意書を読むと、「法令適用の誤り」とは書いてあるが、その誤りが判決の結論にどう影響するのかが具体的に示されていない。380条の要件を満たさない主張は、答弁書でその不備を突けば棄却に追い込める
取るべき行動
被害を受けた側:1. 判決宣告から14日以内に控訴を申し立てる(373条)、この期限は絶対に死守する2. 高裁が事件記録を受理すると、控訴趣意書差出最終日が指定される、その日付を弁護人と即共有3. 判決理由の「法令の適用」部分を精査し、どの条文の解釈・当てはめが誤っているかを特定4. 控訴趣意書には、その誤りと、誤りが正されれば主文(結論)がどう変わるかを、セットで具体的に記載する5. 最終日を過ぎると理由の追加は原則できないので、論点はすべて期限内に書ききる
訴えられた側:1. 検察官や相手方が控訴してきた場合、まず相手の控訴趣意書を入手し、380条の二要件(誤りの特定+判決への影響の明白性)を満たしているか精査2. 影響の明白性が抽象的にしか書かれていなければ、答弁書でその不備を指摘し、控訴棄却を求める3. 仮に法令の誤りが認められても、判決の結論に影響しないことを主張すれば破棄を防げる4. 控訴審は事後審なので、一審で確定した有利な事実認定を維持する方向で反論を組む
時効(請求できる期限):控訴の申立ては判決宣告の日から14日以内(刑事訴訟法373条、宣告日の翌日起算)。控訴趣意書は、高裁が指定する控訴趣意書差出最終日までに提出しなければならない(刑事訴訟法376条1項、刑事訴訟規則236条)。この最終日を経過した後の控訴理由の追加は、原則として認められない(最新の運用をご確認ください)
学説
通説:380条の法令適用の誤りは、法令の解釈・当てはめの誤りを指し、訴訟手続の法令違反(379条)や事実誤認(382条)とは類型を異にする。誤りの指摘に加え、判決の主文に影響を及ぼすことが明らかであることを要する点で、相対的控訴理由として整理される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法の制定により、控訴審を覆審から事後審に転換。法令適用の誤りを、判決への影響の明白性を要件とする相対的控訴理由として規定した。
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