刑事訴訟法 第397条
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- 第三百七十七条乃至第三百八十二条及び第三百八十三条に規定する事由があるときは、判決で原判決を破棄しなければならない。
- 2.第三百九十三条第二項の規定による取調の結果、原判決を破棄しなければ明らかに正義に反すると認めるときは、判決で原判決を破棄することができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第397条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第397条の条文原文は「第三百七十七条乃至第三百八十二条及び第三百八十三条に規定する事由があるときは、判決で原判決を破棄しなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第397条は第二章に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第397条の前の条は刑事訴訟法第396条です。
- 刑事訴訟法第397条の次の条は刑事訴訟法第398条です。
- 刑事訴訟法第397条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第397条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第397条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/397
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法397条は控訴審が原判決を破棄する要件を定める。1項は377条から383条の控訴理由がある場合の義務的破棄、2項は判決後の事情を取り調べた結果の裁量的破棄を規定する。
Q · 控訴すれば一審判決を取り消してもらえるの?
法的な誤りか判決後の事情があれば取り消せます
刑事訴訟法397条は控訴審が原判決を破棄する場合を二つ定めます。1項は377条から383条の控訴理由(法令違反・事実誤認・量刑不当など)があれば破棄しなければならない義務的破棄、2項は判決後の示談や被害弁償といった事情を393条2項で取り調べた結果、破棄しなければ明らかに正義に反すると認めれば破棄できる裁量的破棄です。つまり一審で負けても、法的な誤りを突くか、判決後に自分が動いた事実を主張するかの二本のルートが残されています。
解説
控訴して二審に持ち込めば、一審の審理をゼロからやり直してもらえる。多くの被告人がそう信じている。それは誤りだ。日本の控訴審は「事後審」であり、一審の記録を読み直して粗を探す場であって、新しく証人を呼び直す場ではない。397条はその控訴審が原判決を破棄、つまり一審判決を取り消す条件を二段構えで定める。1項は、法令違反・事実誤認・量刑不当など377条から383条の理由があれば「破棄しなければならない」とする義務的破棄。2項は、判決後の事情、たとえば一審判決後に被害者と示談した、被害弁償をしたといった新しい情状を393条2項で取り調べた結果、破棄しなければ明らかに正義に反すると認めれば破棄「できる」とする裁量的破棄。あなたが一審で負けたとして、勝負はまだ終わっていない。判決後にあなたが動いた事実が、二審で効く唯一のルートがこの2項だ。
法的な位置づけ
刑事訴訟法397条は、控訴審における原判決破棄の要件を定める規定である。1項は377条から383条所定の控訴理由がある場合の義務的破棄を、2項は393条2項による事実の取調べの結果、破棄しなければ明らかに正義に反すると認められる場合の裁量的破棄を規定し、控訴棄却(396条)の対概念をなす。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.判決宣告日の翌日から14日以内に控訴を申し立てる まず控訴申立書を第一審裁判所に提出し、原判決の確定を止める。期間は判決宣告日の翌日から14日(刑訴373条、初日不算入は358条)。1日でも過ぎると控訴は棄却され原判決が確定する
- 2.控訴趣意書で破棄理由を一点に絞って主張 控訴裁判所が指定する期限までに控訴趣意書を提出し、377条から383条のどの控訴理由に当たるかを特定。事実誤認なら、どの証拠がどの経験則にどう反するかを一点集中で具体的に書く
- 3.判決後の示談・被害弁償を趣意書提出前に済ませる 397条2項の裁量的破棄を狙うなら、控訴趣意書提出時点で示談書を添付できるよう、判決後の示談・被害弁償・贖罪寄付を先に進める。順番を逆にすると審理に乗り遅れる
- 4.新証拠を出すならやむを得ない事由を説明できるか確認 控訴審で新証拠を取り調べてもらうには、一審で取調べを請求できなかったやむを得ない事由が必要(382条の2)。事由を説明できない証拠は採用されにくい点を踏まえて取捨する
よくある質問 AI による整理
Q1控訴審の事後審とは何ですか?
事後審とは、一審をやり直すのではなく、一審の記録を読み直して誤りがないかを審査する仕組みです。新証拠は一審で請求できなかったやむを得ない事由がある場合に限り認められます(刑訴382条の2)。
Q2控訴の期間は何日ですか?
判決宣告日の翌日から14日以内です(刑訴373条、初日不算入は358条)。この期間内に控訴申立書を出さなければ原判決が確定し、控訴できなくなります。
Q3義務的破棄と裁量的破棄の違いは何ですか?
義務的破棄(397条1項)は377〜383条の控訴理由があれば必ず破棄します。裁量的破棄(2項)は判決後の事情を取り調べ、破棄しなければ明らかに正義に反する場合に破棄できる任意のものです。
Q4控訴後の示談は刑に影響しますか?
影響しえます。判決後の示談・被害弁償は397条2項の取調対象となり、破棄しなければ明らかに正義に反すると認められれば、実刑が執行猶予に変わることもあります。
Q5破棄差戻しと破棄自判の違いは何ですか?
破棄差戻しは原審にやり直しを命じ、破棄自判は控訴審が自ら判決し直すものです。いずれを選ぶかは400条が定めます。
Q6控訴棄却とは何ですか?
控訴に破棄理由がない場合に控訴を退ける判決です(刑訴396条)。397条の破棄とは正反対の結論で、原判決がそのまま維持されます。
Q7控訴趣意書はいつまでに出しますか?
控訴申立てとは別に、控訴裁判所が指定する最終日までに提出します(刑訴376条)。破棄理由を特定して具体的に主張する最重要書面です。
Q8裁判員裁判の無罪は控訴で覆りますか?
覆る余地はありますが、最高裁は一審の事実認定を覆すには論理則・経験則に照らして不合理であることを具体的に示す必要があるとしており、ハードルは高いです(最判平成24.2.13)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1控訴したら、もう一回ゼロから裁判をやり直してくれるんですか?
やり直しではありません。日本の控訴審は「事後審」で、原則として一審の記録を読み直し、誤りがないかを審査する場です(刑訴392条以下)。新しい証人や証拠は、一審で請求できなかったやむを得ない事由がある場合に限って認められます(382条の2)。実務のポイント: 控訴審で証人尋問が実際に開かれるのは全体のごく一部で、多くは1回の期日で結審します。だからこそ書面である控訴趣意書の出来が勝敗をほぼ決める。法廷での弁論より、提出する一通の書面に全力を注ぐのが実務の鉄則です
Q2一審で実刑になりました。もう打つ手はないんでしょうか?
あります。397条2項は、一審判決後の事情を393条2項で取り調べた結果、破棄しなければ明らかに正義に反すると認めれば、原判決を破棄できると定めます。判決後に被害者と示談する、被害弁償をする、贖罪寄付をするといった行動が、ここで効きます。実務のポイント: 弁護人は控訴を申し立てたら、まず示談交渉に全力を注ぎます。一審で間に合わなかった示談が控訴審で成立し、実刑が執行猶予に変わった例は珍しくない。判決が出た瞬間を終わりと思わず、控訴期間の14日で動けるかが分かれ目です
Q3無罪判決が出たのに、検察官が控訴してきました。そんなことできるんですか?
できます。検察官も397条1項の事実誤認(382条)などを理由に控訴できます。ただし最高裁は、控訴審が一審の事実認定を覆すには、論理則・経験則に照らして不合理であることを具体的に示す必要があるとしています(最判平成24.2.13)。実務のポイント: 特に裁判員裁判の無罪判決を職業裁判官が覆すハードルは高く、二審が安易に有罪へひっくり返すことは制度上抑制されています。検察官控訴の通知が来ても、一審の無罪が論理的にしっかりしていれば、必要以上に恐れることはありません
間違えやすい点 AI による整理
- 「控訴すれば一審をゼロからやり直してもらえる」と思われているが、日本の控訴審は事後審で、原則として一審の記録を審査するだけ。新証拠の提出は、一審で取調べを請求できなかったやむを得ない事由がある場合に限られる(刑訴382条の2)。法廷で証人を呼び直す場ではない
- 控訴に理由が要ることは知っていても、その理由が条文で限定列挙されている(377条から383条)ことの重みを知らない人が多い。「判決に納得いかない」「量刑が重すぎる気がする」では破棄されない。事実誤認なら、一審の認定が論理則・経験則に反するレベルまで具体的に示す必要がある
- あなたから見れば「示談は一審までに終わらせるもの」だが、法律から見れば判決後の示談も397条2項の取調対象。一審で間に合わなくても、二審で巻き返す窓がここに開いている。この落差を知らない被告人は、控訴期間という貴重な時間を呆然と過ごし、唯一の救済ルートを自ら閉じてしまう
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 結論 | 397条:原判決を破棄(取り消す) | 396条:控訴棄却(原判決を維持) 400条:破棄後の差戻し・移送・自判 |
| 破棄の性質 | 1項=義務的破棄/2項=裁量的破棄 | 破棄理由がないことの確認 破棄を前提とした事後措置 |
| 発動要件 | 1項=377〜383条の控訴理由/2項=393条2項の取調結果 | 377〜383条の控訴理由が存在しない 397条による破棄が確定したこと |
| 被告人への効果 | 原判決取消し、量刑見直しの可能性 | 原判決確定(上告しなければ) 差戻しなら審理やり直し、自判なら控訴審が判決 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の第二審は覆審制(complete retrial)で日本の事後審と異なる。上訴に理由があるか原判決が不当・違法なときは第二審法院が原判決を撤銷する。
韓国の控訴審(항소심)は続審制(속심)の性格が強く、日本より新証拠を出しやすい。同条で破棄・自判が可能。
ドイツは事実審の Berufung と法律審の Revision を区別し、Revision での原判決破棄は§353が定める。日本の控訴審は Revision に近い事後審。
米国の上訴審は法律審が原則で事実認定は陪審を尊重する。原判決の破棄は harmless error / plain error 基準で判断される。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 一審で実刑判決。控訴期間は判決宣告日の翌日から14日(刑訴373条)。この間に控訴申立書を出さなければ判決が確定する。そして控訴後、判決後に被害者と示談を成立させれば、397条2項の裁量的破棄を狙える。あなたに残された時間は14日。何を最優先に動かすかで、刑が実刑のままか執行猶予に変わるかが分かれる
- もし一審の裁判官が、決め手となる証拠もないのにあなたを有罪にしたとしたら? それは382条の事実誤認、または380条の法令適用の誤りとして397条1項の義務的破棄理由になる。二審は記録を精査し、一審の認定が論理則・経験則に反していないかを審査する
- 裁判員裁判で無罪を勝ち取ったのに、検察官が控訴してきた。二審の職業裁判官3人が、市民6人を含む一審の判断を覆せるのか。最高裁は、一審の事実認定を控訴審が覆すには、論理則・経験則に照らして不合理であることを具体的に示す必要があるとした(最判平成24.2.13)。覆しのハードルは高い
- 一審判決後、被害弁償のため親族が示談金を工面して示談が成立した。この判決後の事実は2項の取調対象。判決が出た瞬間を終わりと思うか、控訴審の窓口と捉えるか。そこが分水嶺だ
取るべき行動
被害を受けた側:あなたが被害者で、加害者が控訴してきた場合、二審で397条2項の示談を持ちかけられることがある。1. 示談に応じるかは自由、応じれば加害者の刑が軽くなりうると理解した上で判断する2. 処罰感情を維持するなら、被害者参加制度(刑訴316条の33以下)や意見陳述で二審に直接伝える3. 示談金額は弁護人を通じて交渉、安易な金額で清算条項にサインしない4. 控訴審の進行状況は担当検察官と連絡を取って把握する
訴えられた側:1. 控訴は判決宣告日の翌日から14日以内、まず控訴申立書を出して確定を止める(刑訴373条) 2. 控訴趣意書で破棄理由を特定、377条から383条のどれに当たるかを一点集中で主張3. 並行して判決後の示談・被害弁償・贖罪寄付を進め、2項の裁量的破棄を狙う4. 新証拠を出すなら、一審で請求できなかったやむを得ない事由(382条の2)を説明できるか確認5. 控訴審に強い弁護人を早期に確保する
時効(請求できる期限):控訴の提起期間は判決宣告日の翌日から14日(刑事訴訟法373条、初日不算入は刑訴358条)。控訴趣意書は控訴裁判所が指定する最終日まで(刑事訴訟法376条)。この期間を1日でも過ぎると控訴は棄却され、原判決が確定する
学説
通説:現行控訴審は事後審であり、控訴審の審査対象は原則として一審判決時を基準とする原判決の当否である。397条1項の破棄理由は377〜383条に限定列挙され、2項は判決後の情状という例外的な安全弁を担うと解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定により、控訴審を覆審制から事後審制へ転換。原判決破棄の要件を義務的破棄(1項)と裁量的破棄(2項)の二段構えで規定した。
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