刑事訴訟法 第398条
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不法に、管轄違を言い渡し、又は公訴を棄却したことを理由として原判決を破棄するときは、判決で事件を原裁判所に差し戻さなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第398条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第398条の条文原文は「不法に、管轄違を言い渡し、又は公訴を棄却したことを理由として原判決を破棄するときは、判決で事件を原裁判所に差し戻さなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第398条は第二章に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第398条の前の条は刑事訴訟法第397条です。
- 刑事訴訟法第398条の次の条は刑事訴訟法第399条です。
- 刑事訴訟法第398条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第398条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第398条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/398
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法398条は、控訴審が管轄違いや公訴棄却を不法として原判決を破棄するとき、判決で事件を原裁判所に差し戻さなければならないと定める必要的差戻しの規定である。
Q · 公訴棄却で釈放されたのに検察が控訴したら、自分はどうなるの?
無罪確定ではない。差し戻されゼロから審理される
刑事訴訟法398条により、控訴審が一審の管轄違いの判決や公訴棄却を不法として原判決を破棄する場合、控訴審はその場で結論を出さず、必ず事件を一審へ差し戻します。一審が事件の中身を審理していないため、被告人が事実審の機会を失わないようにする趣旨です。差戻し後の一審はゼロから実体審理を行うため、公訴棄却で『終わった』と思っても、確定までは仮の勝ちにすぎません。
解説
公訴棄却の判決が出て、あなたは『これで終わった』と胸をなで下ろす。だがそれは無罪ではない。検察官は刑訴378条2号を理由に控訴でき、控訴審が『一審の公訴棄却は不法だった』と判断すれば、398条が発動する。控訴審はその場で有罪・無罪を決めるのではない、事件を必ず一審の裁判所へ差し戻す。なぜ『必ず』なのか。一審は事件の中身を一度も審理していない。ここで控訴審が自分で結論を出せば、あなたは事実審理を受ける機会を一回失う。だから398条は控訴審に自判を許さず、差戻しを命じる。400条がその他の破棄で自判の余地を残すのと対照的だ。つまり手続上のミスで入口で終わった事件は、ゼロからやり直される可能性を常に抱えている。あなたの『勝ち』は、確定するまで仮のものでしかない。
法的な位置づけ
刑事訴訟法398条は、控訴審が一審の管轄違いの判決または公訴棄却を不法として原判決を破棄する場合の処理を定める規定である。この場合、控訴審は自ら有罪・無罪の判断を下すことができず、判決で事件を原裁判所に差し戻すことが義務づけられる。一審が事件の実体に踏み込んでいないため、被告人の審級の利益を保障する趣旨に基づく。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.公訴棄却・管轄違いの通知を受けたら控訴期限を確認 公訴棄却や管轄違いは無罪ではないと認識し、検察官の控訴期間(判決宣告日の翌日から14日、刑訴373条)の満了日をカレンダーに記入する。期間満了まで原判決は確定しない
- 2.検察が控訴したら差戻しを前提に弁護方針を再設計 検察官の控訴があれば、控訴審が原判決を破棄して398条で差し戻す可能性を前提に、実体審理に向けた弁護方針を組み直す。手続上の出口より、可能なら実体無罪を目指す
- 3.差戻し審を新たな一審として争点・立証を再構築 差し戻された一審は同じ裁判のやり直しではなく実体審理を初めて行う新しい一審であると捉え、争点の組み直しと証人の再尋問・証拠の再設計を行う。不利な前提を引きずらない
- 4.被害者の場合は差戻し後の手続関与を準備 被害者は差戻し後の一審で被害者参加・意見陳述を改めて行使できる。長期戦を覚悟しつつ、担当検察官と連携して実体審理に向けた準備を進める
よくある質問 AI による整理
Q1破棄差戻しとは何ですか?
控訴審が原判決を破棄し、事件を一審へ戻して審理をやり直させることです。刑訴398条では管轄違い・公訴棄却を理由とする破棄の場合、必ず差し戻すと定めています。
Q2必要的差戻しと裁量的差戻しの違いは?
398条の差戻しは控訴審に裁量がなく必ず差し戻す必要的差戻しです。これに対し400条の差戻しは事案に応じて自判か差戻しかを選べる裁量的な扱いとなります。
Q3公訴棄却と免訴は何が違いますか?
公訴棄却は手続上の要件を欠く門前払い、免訴は時効完成や恩赦など実体的に処罰できない場合の打ち切りです。いずれも有罪・無罪の判断ではありません。
Q4差戻し後の一審はやり直しになるのですか?
はい。差し戻された一審は実体について初めて審理を行う新しい審理であり、第一回公判の調整から証拠調べまでゼロから進みます。数ヶ月から一年以上かかることもあります。
Q5検察官の控訴期間は何日ですか?
判決宣告日の翌日から14日です(刑訴373条、起算は358条)。この期間が過ぎれば原判決が確定し、差戻しの可能性は消えます。
Q6管轄違いの判決とはどういう意味ですか?
その裁判所には事件を審理する権限がないとして手続を打ち切る判決です(刑訴329条)。事件の中身は判断されず、無罪を意味するものではありません。
Q7差戻し審で前の審理結果は引き継がれますか?
管轄違い・公訴棄却で終わった一審は実体審理をしていないため、引き継ぐ実体判断はありません。差戻し審は証拠調べを改めて行う新たな審理です。
Q8被害者は差戻し後にもう一度関与できますか?
できます。被害者参加(刑訴316条の33以下)や意見陳述の機会は、差し戻された一審で改めて行使できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1公訴棄却って、無罪と同じで二度と裁かれないんじゃないんですか?
違います。公訴棄却(刑訴338条)は手続上の門前払いで、無罪判決のような一事不再理(憲法39条)の効果はありません。検察官が控訴し、控訴審が『棄却は不法だった』と判断すれば、398条で事件は一審に差し戻され、改めて実体審理が始まります。実務のポイント:弁護人が手続論で公訴棄却を勝ち取っても、検察の控訴で覆りうる不安定な勝利です。だから経験豊富な弁護人は、無罪を取れる事件では手続論に逃げず、実体で勝ちにいく。確定の強さが全く違うからです
Q2控訴審で勝てば、その場で無罪にしてくれないんですか?
管轄違い・公訴棄却を理由に原判決を破棄する場合は、できません。398条は控訴審に自判を許さず、必ず一審への差戻しを命じます。一審が事件の中身を一度も審理していないため、ここで控訴審が結論を出すと被告人が事実審を一回失うからです。実務のポイント:同じ破棄でも400条但書の事件なら控訴審が自判できる。つまり破棄イコール即決着ではなく、破棄の理由が378条1号2号系か、それ以外かで、その後の展開が全く変わる。弁護人はどの破棄理由を立てるかで、差戻しか自判かを設計しています
間違えやすい点 AI による整理
- 公訴棄却イコール無罪だと思っている人が多いが、両者は全く別物。公訴棄却(刑訴338条)は手続上の門前払いで、無罪判決のような一事不再理(憲法39条)の保護は及ばない。検察官は控訴でき、398条で差し戻されれば、また実体審理が始まる
- あなたから見れば『控訴審で勝った』だが、398条の差戻しは控訴審から見れば『一審に審理させ直す』に過ぎない。勝敗の確定ではなく、戦いの場所を一審に戻しただけ。この落差を理解しないと、差戻し後の一審で足元をすくわれる
- 『控訴審が早く自分で判決を出してくれる』という前提自体が、このケースでは誤っている。管轄違い・公訴棄却を理由とする破棄は必要的差戻しで、控訴審に自判の権限がない。400条但書の事件なら自判もあり得るが、入口で終わった事件は中身を一審に戻すしかない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 破棄の理由 | 398条:管轄違い・公訴棄却が不法であること | 399条:不法に管轄を認めたこと 400条:その他の理由(事実誤認・量刑不当等) |
| 処理方法 | 原裁判所への必要的差戻し | 管轄裁判所への移送 差戻し・移送または自判 |
| 控訴審の自判 | 不可(必ず差し戻す) | 不可(移送する) 但書により自判できる場合がある |
| 趣旨 | 審級の利益の保障 | 正しい管轄裁判所での審理の確保 訴訟経済と審級の利益の調和 |
他国ではどう定めているか 4 か国
第三審が原判決を破棄する場合の差戻し規定。手続的瑕疵による破棄では下級審へ差し戻す構造が日本と類似する
公訴棄却または管轄違反を理由に原審判決を破棄するときは事件を原審裁判所に環送すると定め、398条とほぼ同一の構造をもつ
上告審(Revision)が原判決を破棄した場合の差戻し・移送を定める。手続違背の場合に下級審へ戻す点で機能的に対応する
上訴裁判所に reverse and remand の権限を与える一般規定。手続的誤りがある場合に下級審へ差し戻す運用は判例法で発展している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 公訴棄却で釈放されたあなたに、検察官が控訴を申し立てた。もしこの控訴が認められたら、あなたはどうなる? 無罪放免ではない。398条で事件は一審に差し戻され、あなたは再び被告人として、今度は事件の中身そのものを争う裁判に立たされる
- 一審が『この事件は当裁判所の管轄ではない』と管轄違いを言い渡した。検察官が控訴。控訴審が『管轄はあった』と判断すれば、398条で差し戻され、審理は振り出しに戻る
- 控訴審で逆転の差戻し判決。差戻し後の一審はゼロからの審理で、第一回公判期日の調整、証人の再尋問、ここから判決まで数ヶ月から一年以上。事件発生からすでに二年、あなたの被告人としての時計はまだ止まらない
- 被害者として『ようやく加害者が裁かれる』と思っていたのに、一審が手続上の理由で公訴棄却。検察が控訴し398条で差し戻されれば、あなたはもう一度、長い裁判の始まりに立ち会うことになる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 一審が管轄違いや公訴棄却で中身に踏み込まず終わらせたら、それは加害者の無罪ではない。担当検察官に控訴の意向を確認する2. 検察が控訴し控訴審が原判決を破棄すれば、398条で事件は一審に差し戻され、改めて実体の審理が始まる3. 被害者参加(刑訴316条の33以下)や意見陳述の機会は差戻し後の一審で改めて行使できる4. 差戻しで時間はかかるが、実体判断を受ける道は閉じていない、長期戦の覚悟で臨む
訴えられた側:1. 公訴棄却・管轄違いで終わっても無罪ではないと認識する。検察官の控訴期間(14日、刑訴373条)が満了して初めて確定する2. 検察が控訴したら、差戻しの可能性を前提に、実体審理に向けた弁護方針を今から組み直す3. 可能なら手続上の出口より実体無罪を目指す、一事不再理の保護が段違いに強い4. 差し戻された一審は新たな審理として、証拠と争点を再設計できる、不利な前提を引きずらない
時効(請求できる期限):398条自体に期限はないが、その前提となる検察官・被告人の控訴申立期間は判決宣告日の翌日から14日(刑訴373条、起算は同358条)。この期間を過ぎれば原判決が確定し、差戻しの可能性は消える。差し戻された後の一審に新たな審理期限はない
学説
通説:刑訴398条の差戻しは必要的差戻しであり、管轄違い・公訴棄却を理由とする破棄の場合、控訴審に自判の権限はないとする。一審が実体審理を経ていないため、被告人の審級の利益を保障する趣旨に基づくと解される。
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