刑事訴訟法 第399条
クイックジャンプ
不法に管轄を認めたことを理由として原判決を破棄するときは、判決で事件を管轄第一審裁判所に移送しなければならない。但し、控訴裁判所は、その事件について第一審の管轄権を有するときは、第一審として審判をしなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第399条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第399条の条文原文は「不法に管轄を認めたことを理由として原判決を破棄するときは、判決で事件を管轄第一審裁判所に移送しなければならない。但し、控訴裁判所は、その事件について第一審の管轄…」で始まります。
- 刑事訴訟法第399条は第二章に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第399条の前の条は刑事訴訟法第398条です。
- 刑事訴訟法第399条の次の条は刑事訴訟法第400条です。
- 刑事訴訟法第399条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第399条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第399条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/399
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法399条は、原審が不法に管轄を認めたことを理由に控訴審が原判決を破棄するとき、事件を管轄第一審裁判所へ移送しなければならないと定める。
Q · 管轄違いを理由に控訴で原判決が破棄されたら、その後どうなるの?
無罪ではなく、正しい裁判所へ移送され一審をやり直す
刑事訴訟法399条により、原審が不法に管轄を認めたことを理由に控訴審が原判決を破棄するときは、判決で事件を管轄第一審裁判所へ移送します。これは無罪を意味せず、正しい裁判所で一審がやり直されます。管轄違いは378条1号の絶対的控訴理由であり、判決の中身が正しくても破棄されます。ただし控訴裁判所自身が第一審管轄権を持つ場合は、但書により自ら一審として審判します。
解説
簡易裁判所で窃盗の有罪判決を受けた。だがその事件、法定刑からして本来は地方裁判所が裁くべきものだった。あるいは、東京で起きた事件なのに、なぜか大阪の裁判所で第一審が行われた。こうした「管轄違い」は、控訴審にとって特別な意味を持つ。刑事訴訟法399条は、原裁判所が不法に管轄を認めた、つまり裁く資格のない裁判所が裁いてしまった場合、控訴審は判決を破棄し、本来管轄を持つ第一審裁判所へ事件を移送しなければならないと定める。ここが核心だ。控訴審は自分で有罪・無罪の結論を出さない。振り出しに戻して、正しい裁判所で一審からやり直させる。しかも管轄違いは378条1号の絶対的控訴理由であり、判決の中身が正しかろうが間違っていようが関係なく、管轄がなかったというその一点だけで原判決は崩れる。あなたが見落としている、最も地味で最も強力な控訴の入口がここにある。
法的な位置づけ
刑事訴訟法399条は、控訴審が原審の管轄違いを理由に原判決を破棄した場合の措置を定める規定である。原審に管轄権がなかったときは、控訴裁判所は自ら結論を出さず、判決で事件を管轄を有する第一審裁判所へ移送する。ただし控訴裁判所がその事件の第一審管轄権を有する場合には、自ら第一審として審判する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.判決書で原裁判所の管轄を照合する 判決書を受け取ったら量刑を嘆く前に、まず事物管轄(簡裁・地裁・家裁の別)と土地管轄(犯罪地・被告人の住所地等、刑訴2条)を法定刑や事件発生地と照合し、原裁判所にそもそも裁く資格があったかを確認する
- 2.14日以内に控訴を申し立てる 管轄違いの疑いがあれば、判決宣告日の翌日から14日以内(刑訴373条、初日不算入)に控訴を申し立てる。期間は厳格で徒過すると判決が確定する
- 3.控訴趣意書に378条1号を絶対的控訴理由として記載 控訴趣意書に「不法に管轄を認めたこと」(378条1号)を絶対的控訴理由として明記する。結果への影響を問われないため、事実誤認・量刑不当より立証が軽い筆頭主張として置く
- 4.破棄移送後の一審やり直しで防御方針を組み直す 399条で破棄・移送が認められたら、移送先の管轄第一審裁判所で一審をやり直す。最初の裁判で不利だった証拠採用や訴訟指揮を仕切り直す second chance として防御方針を再構築する
よくある質問 AI による整理
Q1管轄違いとは何ですか?
事物管轄(簡裁か地裁か等)や土地管轄(犯罪地・住所地等)を欠く裁判所が裁いてしまったことです。刑訴399条で控訴審が原判決を破棄し、管轄を持つ第一審裁判所へ事件を移送します。
Q2破棄移送と破棄差戻しの違いは何ですか?
移送は別の管轄裁判所へ事件を送ること、差戻しは同じ原裁判所へ戻すことです。管轄違いの場合は原裁判所に資格がないため、399条で管轄裁判所へ移送します。
Q3絶対的控訴理由とは何ですか?
結果への影響を問われず、それがあれば原判決が必ず破棄される控訴理由です。管轄違いは378条1号に列挙され、事実誤認や量刑不当より立証のハードルが低いとされます。
Q4刑事控訴の期限はいつまでですか?
判決宣告日の翌日から14日以内です(刑訴373条、初日不算入)。控訴趣意書は控訴裁判所が指定する最終日までに提出し、管轄違いの主張もこの期間内に盛り込みます。
Q5簡易裁判所の管轄を超える事件はどうなりますか?
簡裁が審理中に禁錮以上が相当と判断したら、地裁へ移送する義務があります(刑訴332条)。これを怠って判決すると、399条の管轄違いになり得ます。
Q6控訴審は自分で無罪判決を出せますか?
管轄違いの場合は自判せず移送します。事実誤認や法令違反など他の理由で破棄するときは、控訴審が自ら判決する自判もあります(刑訴400条但書)。
Q7管轄違いはいつ控訴趣意書に書くべきですか?
控訴趣意書の提出最終日までに、378条1号(不法に管轄を認めたこと)として明記します。徒過すると控訴棄却の決定を受けるおそれがあります。
Q8事物管轄と土地管轄の違いは何ですか?
事物管轄は簡裁・地裁・家裁など裁判所の種類による振り分け、土地管轄は犯罪地・被告人の住所地など地域による振り分けです(刑訴2条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1管轄違いで原判決が破棄されたら、無罪放免ということですか?
違います。399条の破棄は、管轄を持つ正しい第一審裁判所へ事件を移送するだけで、そこで一審から審理がやり直されます。有罪か無罪かはこれから改めて判断されます。実務のポイント:ただし移送で時間が経つ間に、証人の記憶が薄れ、証拠が散逸し、共犯者の供述が変わるといった変化が起きやすい。やり直しの一審が最初と同じ結論になるとは限らず、被告側にとって時間が味方することは実務上少なくない
Q2控訴審が自分で判決を出さずに、わざわざ別の裁判所へ送り直すのはなぜ?
管轄違いの場合、原裁判所には初めから裁く権限がなく、その審理を前提に控訴審が結論だけ書くと被告人の審級の利益を奪うからです。399条は正しい裁判所での一審審理を保障します。ただし控訴裁判所自身がその事件の第一審管轄権を持つ場合は、但書により自ら一審として審判します。実務のポイント:この但書が効くのは高裁が内乱罪など特定事件の一審管轄を持つ稀なケース。通常の窃盗や傷害ではまず移送になる、と覚えておけば実務感覚として十分
間違えやすい点 AI による整理
- 控訴で勝てば無罪になる、と思い込んでいる。だが管轄違いを理由とする399条の破棄は無罪ではない。事件は別の正しい裁判所へ移送され、そこで一審からやり直す。あなたは振り出しに戻るだけで、有罪か無罪かはこれから別の法廷で改めて争われる
- 管轄違いは些細な手続ミスだと思っているかもしれない。だがその深刻度を見誤っている。378条1号により管轄違いは絶対的控訴理由であり、判決の結論が正しくても、量刑が妥当でも、管轄がなかったという一点だけで原判決は必ず破棄される。中身の当否を一切問わない、極めて強い破棄事由だ
- 「どの裁判所で裁かれても結局同じ」と考えている人が多い。だが裁判所には事物管轄(簡裁か地裁か)と土地管轄(どの地域か)があり、これを外すと判決自体が無効化される。問うべきは「裁判の結果」ではなく「裁く資格」だ。有罪か無罪かの前に、そもそもこの裁判所に裁く権限があったか、そこから立て直すべきだ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 破棄後の処理 | 399条:管轄違いゆえ管轄第一審裁判所へ移送 | 398条:不法に管轄違いを認めた破棄は原裁判所へ差戻し 400条:その他の理由による破棄は差戻し・移送・自判 |
| 破棄の前提 | 原審が裁く資格がないのに管轄を認めた | 原審が管轄を持つのに誤って管轄違いと判断した 事実誤認・法令違反・量刑不当など中身の瑕疵 |
| 控訴審の自判 | 原則せず移送(但書で第一審管轄を持つときのみ自判) | せず差戻し 但書により被告人に不利益でない限り自判可 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も第二審が原審の管轄錯誤を不当として撤銷する場合に発回・発交の処理を定め、管轄錯誤の諭知(304条)と接続する点で日本399条に近い
韓国も管轄認定が法令に違反することを理由に原審判決を破棄する場合、第一審管轄裁判所へ事件を移送すると定め、日本399条本文とほぼ同型の規定を持つ
ドイツは土地管轄の欠缺のみを理由に判決を破棄する場合、上告審が事件を管轄裁判所へ移送(Verweisung)すると定め、移送方式の点で日本399条と対応する
米国では管轄を欠く裁判所の判決は無効(void)として上訴審が破棄し差戻すのが原則で、統一的な単一条文ではなく判例・各法域の手続規則で扱われる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは簡易裁判所で罰金刑を受けた。だが弁護人が記録を精査すると、その罪は法定刑からして地方裁判所の管轄だった。簡裁にそもそも裁く権限はあったのか。なければ399条で原判決を崩し、地裁での一審やり直しに持ち込める
- 控訴趣意書の提出期限まであと5日。管轄違いを理由に挙げるか迷っている。挙げれば378条1号により、結果への影響を問われず必ず破棄される。最も立証の軽いカードだ
- 事件は A 県で起きたのに、なぜか B 県の裁判所で第一審が開かれた。土地管轄の合意も移送決定もない。控訴審はこの一点で原判決を破棄し、A 県の管轄裁判所へ事件を移送する
取るべき行動
被害を受けた側:1. あなたが被害者や告訴人で、被告人が管轄違いを主張している場合、事件が別の裁判所へ移送されうることを念頭に置く2. 移送されても公訴自体は維持される、無罪放免ではないので動揺しない3. 被害者参加(刑事訴訟法316条の33)や意見陳述の権利は移送先の裁判所でも引き継がれる4. 移送で審理が長引く場合に備え、損害賠償命令や民事(民法709条)の時効管理も並行して進める
訴えられた側:1. 判決書を受け取ったら、まず事物管轄(簡裁・地裁・家裁の別)と土地管轄(犯罪地・被告人の住所地等、刑事訴訟法2条)を照合し、原裁判所に管轄があったか確認2. 管轄違いの疑いがあれば、控訴提起期間14日以内に控訴を申し立てる3. 控訴趣意書に378条1号(不法に管轄を認めたこと)を絶対的控訴理由として明記4. 認められれば399条で破棄・移送、正しい裁判所で一審をやり直せる。この機会に防御方針そのものを組み直す
時効(請求できる期限):控訴の提起は判決宣告日の翌日から14日以内(刑事訴訟法373条、初日不算入)。控訴趣意書は控訴裁判所が指定する最終日までに提出する必要があり(刑事訴訟規則236条)、徒過すると控訴棄却の決定を受ける。管轄違いの主張もこの期間内に趣意書へ盛り込まなければならない
学説
通説:現行刑事訴訟法の控訴審は事後審であり、管轄違いは378条1号の絶対的控訴理由として判決への影響を問わず破棄事由となる。399条はその破棄後の処理として、原裁判所に管轄がない以上は差戻しではなく管轄第一審裁判所への移送を要し、被告人の審級の利益を保障する趣旨と解される
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 改正:現行刑事訴訟法の制定。戦後の英米法的当事者主義・事後審化に伴い控訴審の構造を整序し、管轄違いを理由とする破棄の処理として管轄第一審裁判所への移送を規定した
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める