刑事訴訟法 第403条
クイックジャンプ
- 原裁判所が不法に公訴棄却の決定をしなかつたときは、決定で公訴を棄却しなければならない。
- 2.第三百八十五条第二項の規定は、前項の決定についてこれを準用する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 刑事訴訟法第403条は、日本の刑事訴訟法に含まれる条文です。
- 刑事訴訟法第403条の条文原文は「原裁判所が不法に公訴棄却の決定をしなかつたときは、決定で公訴を棄却しなければならない。」で始まります。
- 刑事訴訟法第403条は第二章に置かれています。
- 刑事訴訟法の公布日は昭和23年7月10日です。
- 刑事訴訟法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 刑事訴訟法第403条の前の条は刑事訴訟法第402条の2です。
- 刑事訴訟法第403条の次の条は刑事訴訟法第403条の2です。
- 刑事訴訟法第403条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第403条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131 - 本サイト収録
刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第403条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000131/403
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点刑事訴訟法403条は、原裁判所が公訴棄却の決定を怠った場合、控訴審が判決ではなく決定で公訴を棄却すると定める。本案審理を経ずに瑕疵ある起訴を退ける規定である。
Q · 第一審が見落とした手続のミスは、控訴審でどうやって取り戻すの?
控訴審が決定一本で公訴を棄却し、審理せず起訴を消せます
刑事訴訟法403条により、原裁判所が公訴棄却の決定をすべきだったのにしなかった場合、控訴裁判所は判決ではなく決定で公訴を棄却しなければなりません。公訴の取消、被告人の死亡、二重起訴などの瑕疵(339条各号)があれば、控訴審は本案の証拠調べに入らず、書面審理で一気に起訴を消せます。控訴趣意書では378条2号「不法な公訴受理」を独立の控訴理由として主張するのが要です。なお403条の決定には385条2項が準用され、異議の申立てができます。
解説
刑事裁判の結末は有罪か無罪の二択だと思っているなら、見えているのは半分だけだ。第三の出口がある。公訴棄却である。起訴の手続そのものに致命的な瑕疵があるとき、たとえば検察が公訴を取り消した、被告人が死亡した、同じ事件が二か所で二重に起訴された、こうした場合、裁判所は中身を審理せず起訴を門前払いする。問題は、第一審がこの門前払いを怠ったときだ。刑事訴訟法403条は、原裁判所が不法に公訴棄却の決定をしなかった場合、控訴審が自ら決定で公訴を棄却すると定める。判決ではなく決定。つまり高裁は法廷で証拠調べをやり直さず、書面審理で一気に起訴を消せる。あなたが本来受けるべきだった門前払いを、上級審が取り戻す装置である。
法的な位置づけ
刑事訴訟法403条は、原裁判所が不法に公訴棄却の決定をしなかった場合における控訴審の処置を定める規定である。控訴裁判所は本案の審理に入ることなく、決定によって公訴を棄却しなければならず、その決定には385条2項が準用される。判決手続によらない簡易な是正手段として位置づけられる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.第一審判決後にまず公訴棄却事由を検算する 判決を受け取ったら、量刑の話より先に『公訴棄却の決定がなされるべき事由(339条各号)があったか』を確認する。公訴の取消、被告人の死亡、二重起訴がなかったかをチェックする
- 2.控訴趣意書で378条2号を独立の柱として明記する 該当があれば、控訴趣意書で『不法な公訴受理』(378条2号)を独立の控訴理由として先頭に置く。量刑不当や事実誤認と混ぜず、手続違反の柱として単独で立てる
- 3.控訴審に403条による決定での公訴棄却を求める 控訴審に対し、本案の証拠調べを待たず、403条に基づく決定で公訴を棄却するよう求める。瑕疵が明白であれば、審理をやり直すことなく決定一本で決着する可能性がある
- 4.控訴申立期限14日を絶対に逃さない 控訴の申立ては第一審判決の宣告日から14日以内(373条)。起算日を確認し、期限を過ぎると判決が確定して403条の道が閉ざされるため、最優先で手続する
よくある質問 AI による整理
Q1公訴棄却とは何ですか?
起訴の手続そのものに瑕疵があるとき、裁判所が事件の中身を判断せず門前払いする処置です。有罪・無罪とは別の出口で、決定によるものと判決によるものがあります。
Q2公訴棄却と無罪判決の違いは?
無罪は中身を審理し『やっていない』と認定するもの。公訴棄却は手続の瑕疵だけで起訴を退けるもので、犯罪事実の判断はしません。再起訴の可否や一事不再理効も異なります。
Q3二重起訴になったらどうなりますか?
同じ事件が二か所の裁判所に起訴された場合、後から係属した手続は公訴棄却の決定で退けられるべきです(339条)。これを怠った判決は403条で覆せます。
Q4被告人が死亡したら刑事裁判はどうなりますか?
被告人の死亡は当然に公訴棄却の決定事由です(339条)。第一審がそれを見落として進めた場合、控訴審で403条を主張すれば亡き本人に有罪記録が残るのを防げます。
Q5控訴の申立て期限はいつまでですか?
第一審判決の宣告日から14日以内です(刑事訴訟法373条)。この期間を過ぎると判決が確定し、403条による是正の道は閉ざされます。
Q6不法な公訴受理とは何ですか?
本来公訴棄却すべき起訴を裁判所が受理して審理を進めたことです。刑事訴訟法378条2号の控訴理由であり、量刑の重さとは無関係に原判決を覆す独立の柱になります。
Q7控訴趣意書には何を書きますか?
控訴の理由を具体的に記載します。手続違反(378条2号など)を量刑不当や事実誤認と分け、先頭に置くと、控訴審が本案審理前に決定で片付けられる可能性があります。
Q8検察が起訴を取り下げたらどうなりますか?
公訴の取消があれば公訴棄却の決定がなされます。ただし取消後の再起訴は新たな重要な証拠を発見した場合に限られます(刑事訴訟法340条)。不起訴とは別物です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1公訴棄却になったら、もう二度と起訴されないんですか?
場合によります。公訴の取消による公訴棄却の決定が確定した後は、その犯罪事実について新たに重要な証拠を発見した場合に限り再起訴できます(刑事訴訟法340条)。無罪判決のような完全な一事不再理効とは違います。実務のポイント:弁護側が早く終わらせたい一心で公訴棄却を狙うとき、検察が証拠を握り直して再起訴してくる余地が残っていないか、必ず340条の射程を確認する。手続で勝っても、再戦の芽を見落とすと意味がない
Q2403条の決定が出たら、検察はそれに文句を言えないんですか?
言えます。403条2項が385条2項を準用しており、公訴棄却の決定に対しては異議の申立てができます。決定は判決と違い口頭弁論を経ないぶん、不服申立ての手続が別に用意されています。実務のポイント:決定で決着すると早くて軽い印象を持たれがちだが、異議の申立てで蒸し返される可能性がある。本当に決着したか確認するには、異議申立期間が過ぎて決定が確定したかどうかまで見届ける必要がある
間違えやすい点 AI による整理
- 「公訴棄却になれば無罪と同じ」と考えて安心する人がいるが、問いの立て方そのものがずれている。公訴棄却は中身を判断せず手続だけで起訴を退けるもので、無罪のように『やっていない』と認定されたわけではない。しかも公訴の取消による公訴棄却は、新たに重要な証拠が見つかれば再起訴されうる(刑事訴訟法340条)。無罪判決の一事不再理効とは、ここが決定的に違う
- あなたから見れば『裁判所がうっかりミスしただけ』でも、法律から見れば378条2号の立派な控訴理由だ。『不法に公訴を受理した』ことは、量刑の重さとは無関係に、それ自体で原判決を覆す独立した柱になる。この落差を知らずに量刑不当だけで争うと、本来一発で勝てた事件を長期戦にしてしまう
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 判断する主体 | 403条:控訴裁判所が肩代わりして棄却 | 339条:原裁判所(第一審)が棄却 338条:裁判所が判決で棄却 |
| 棄却の形式 | 403条:決定(書面審理、口頭弁論不要) | 339条:決定 338条:判決(口頭弁論を経る) |
| 発動の前提 | 403条:原裁判所が339条の棄却を怠ったこと | 339条:公訴取消・被告人死亡・二重起訴等 338条:親告罪の告訴欠如・公訴権濫用等 |
| 不服申立て | 403条:385条2項準用で異議の申立て可 | 339条:即時抗告(385条等) 338条:判決に対する上訴(控訴・上告) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は手続上の瑕疵を『不受理判決』で処理し、上訴審が原審を破棄して自判する構造をとる。決定ではなく判決による点が日本と異なる
韓国も公訴棄却を『決定によるもの』と『判決によるもの』に分ける点で日本と類似する。公訴取消・被告人死亡・二重起訴等が決定事由となる
ドイツは訴訟障害(Verfahrenshindernis)がある場合、裁判所が決定(Beschluss)で手続を打ち切る。本案判決によらず手続的に処理する点が機能的に近い
米国は起訴の手続的瑕疵を motion to dismiss で争い、裁判所が起訴を却下する。陪審審理に入る前の手続的決着という点で機能が対応する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは同じ詐欺の件で、手違いから二つの裁判所に起訴されてしまった。後から係属した手続は本来339条で公訴棄却の決定になるはずなのに、第一審はそれを見落として判決まで進めた。控訴審で403条を持ち出せば、審理をやり直すまでもなく、決定一本で起訴を消せる
- もし第一審の途中で被告人が亡くなったのに、裁判所がそれに気づかず手続を進めてしまったら、どうなるのか。被告人の死亡は339条で当然に公訴棄却の決定事由になる。遺族や弁護人が控訴審で403条を主張すれば、亡き本人に有罪のレッテルが残ることを防げる。控訴の申立ては判決から14日、ここを逃すと取り戻せない
- 検察が公訴を取り消したのに、第一審がうっかり審理を続行。本来なら即座に門前払いされるべき事件だ。403条はこの取りこぼしを上級審で拾い直す
取るべき行動
被害を受けた側:1. 第一審判決を受け取ったら、まず『公訴棄却の決定がなされるべき事由(339条各号)があったか』を確認する。公訴の取消、被告人の死亡、二重起訴がないか。2. 該当があれば、控訴趣意書で378条2号を独立の控訴理由として明記する。3. 控訴審に403条による決定での公訴棄却を求める。本案の証拠調べを待たずに決着する可能性がある。4. 控訴の申立ては判決から14日、起算日を絶対に逃さない
訴えられた側:1. 第一審の係属中に339条該当事由(公訴の取消・被告人の死亡・二重起訴等)が生じたら、直ちに書面で裁判所に公訴棄却の決定を求める。2. 裁判所が応じず審理を続けるなら、その経過を記録に残す。後の控訴審で403条を主張する土台になる。3. 弁護人と『手続違反の柱』と『本案の柱』を分けて準備する。前者が通れば本案を争う必要すらなくなる
時効(請求できる期限):控訴の申立ては第一審判決の宣告日から14日以内(刑事訴訟法373条)。この期間を過ぎると判決が確定し、403条による是正の道は閉ざされる。なお403条の決定に対しては、385条2項の準用により異議の申立てができる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:403条は、本来第一審が339条により下すべきだった公訴棄却の決定を控訴審が肩代わりする規定と解される。瑕疵が明白で本案審理の余地がない類型に限り、控訴審が判決によらず決定で直接決着させることで、是正の確実さと迅速さを下級審尊重に優先させたものと位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:現行刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)の制定に伴い設けられた。控訴審における公訴棄却の決定と、385条2項を準用する不服申立ての枠組みを定めた
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める